魔法科高校の劣等生 ~幼馴染たちと共に~   作:ローニエ

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大会3日目

翌朝、ほのかは一人でランニングをしていた。

 

(深雪の総合力は圧倒的だし、雫も力押しでなんとかできる魔法力がある。私は二人ほど実戦が得意じゃないし、ここ一番にも弱い。二人に追いつくには、人一倍練習しなきゃ!)

 

と、思いながら。

昨日雫に怒られたことなどすでに気にしていなかった。

故に、一人で考え込みながら、走っているほのかは気づかなかった。

後ろから近づく影に。

 

「あれ?ほのかじゃん。どうしたの、こんな朝早くに?」

 

「え?翔人君!?」

 

「何をそんなに驚いてるんだよ…」

 

溜息交じりに翔人は告げる。

 

 

 

 

 

 

 

「翔人君はどうしてここに?」

 

「散歩だよ。なんか早く目が覚めちゃってな。昨日の雫の説教が効いてるのかもしれない」

 

そんな冗談をいいながら、二人は、ストレッチをして話していた。

 

(思い返せば、ここに来てから翔人君と二人っきりになるのって初めてかも…早起きした甲斐があったよ~)

 

ほのかは一人、感嘆に浸っていたが…

 

「にしても感心だな。競技中なのに練習するなんて」

 

そんなほのかに翔人は声をかける。

 

「少しでもブランクが開くとなまっちゃう気がして」

 

「まぁ、そうかもな。でもほどほどにしとけよ。競技に支障が出ちゃ元も子もないからな」

 

ほのかならそういうことやりそうだし、と付け加えて笑う翔人。

 

「もう~、そんなことないよ」

 

笑っている翔人に頬を膨らませながらも、目は笑っているほのかはそう告げる。

 

(やっぱり翔人君と話してると楽しいな…)

 

そう思ったほのかは思い切って、翔人に尋ねてみることにした。

 

「翔人君、あのね――――――――」

 

ほのかは、自分の不安を翔人に打ち明ける。

私は深雪ほど総合力が高いわけでもなければ、雫みたいに力押しでなんとかできるわけでもない。

だから人一倍練習しなきゃ、と。

全て言い終わった後、ほのかは何て言われるだろうと覚悟していたが、予想に反して翔人は笑った。

 

「ちょ、ちょっと翔人君。何で笑うの!?」

 

「いや、あんまりにも可笑しくてな」

 

その後も少し笑った後、翔人はほのかに告げる。

 

「あのなぁ、ほのか。確かにお前は深雪ほどの総合力もなければ、雫みたいに力押しでなんとかすることもできないって言ったな。確かに自分をそうやって客観的に見ることは大事だ。それにそれも間違っているとは思わない。…だがそれがどうした?ほのかには、ほのかのすごいところがある」

 

そう告げられたほのかだったが、ほのかには何のことか分からなかったため、翔人に質問する。

 

「すごいところ?」

 

「あぁ、例えばほのかは、雫よりも魔法の細かいコントロールができるだろ?あいつは細かい作業が嫌いだからな。魔法のみならず…」

 

そんな翔人の言葉に苦笑いするほのか。

事実故の苦笑いだ。

 

「とまぁ、そんな感じで、ほのかにはほのかにしかない、いいところがあるんだよ。いつも悪い点ばかり考えるのはお前の悪いところだぞ?もっとポジティブになれよ、ポジティブに」

 

さらに翔人は続ける。

 

「まぁ、ここまで色々言ったが、所詮九校戦は競技だ。楽しめればいいんだよ。勝ち負けなんて二の次だ。俺だって一条をつぶすのが楽しみで、九校戦に参加したんだから」

 

そんな翔人の言葉に再び苦笑いするほのか。

まぁ仕方のないことだろう。

あの一条をつぶすのが楽しみで九校戦に参加している人なんて翔人くらいのものだ。

 

「そうだね…なんか翔人君に話したら色々気持ちの整理ができたよ!」

 

思うところがないわけではないが(主に翔人自身のことで)、翔人の話を聞いて気持ちが楽になったほのかは、笑顔でそう告げる。

 

「まぁ俺の話なんかでそう言ってくれるなら良かったよ。…それよりまだ時間あるし、走るか?俺もなんだか走りたくなってきた」

 

「うん!じゃあ一緒に走ろっ!」

 

そうほのかが告げると、二人は並んで走って始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほのかご機嫌だね」

 

ほのか、雫、エイミィの三人は現在会場へと向かっている。

その途中、ずっとにこにこしていたほのかにエイミィが声をかける。

 

「早起きは三文の得ってね」

 

そうもったいぶって告げるほのか。

 

「何よ~教えなさいよ~」

 

「やだよ~減っちゃうから」

 

そんなキャッキャする二人を、雫はボーっと見つつ思った。

どうせ翔人と何かあっただけだろ、と。

 

「そういえばジョーは?今日まだ見てないけど」

 

ほのかとキャッキャしていたエイミィが疑問に思ったのか、二人に尋ねる。

 

 

「翔人君なら寝てるってさ。先輩たちには興味ないみたい…。一緒に見に行こうって言ったんだけど」

 

「でも翔人らしい意見だからしょうがない」

 

「ふ~ん、じゃあ早く行こうよ!試合始まっちゃうよ!」

 

「そうだね、行こう!」

 

ほのかがそう告げると、三人は小走りしながら会場へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

「キャー!渡辺先輩ーっ」

「摩利様ーっ!」

 

「相変わらずすごい声援」

 

「初日より増えてない?」

 

雫とほのか、エイミィは三人揃って準決勝のスタートを待っていた。

そして、選手が入場すると先ほどのような歓声が周りから聞こえてきたのだ。

 

「この準決勝は’海の七高’と謳われる、七高の有力選手がいて、注目のカードなんだよ」

 

「確か去年の決勝カードだよね?」

 

パアンッ!!

 

ほのかがそう告げると、試合開始の音が鳴る。

 

まず先頭にでたのは摩利。

しかし、予選とは違い、背後に二番手がピッタリとついている。

そして少し遅れて三番手。

 

「やっぱり準決勝ともなるとレベルが違うね」

 

「さすがは’海の七高’」

 

激しく波打つ水面は、二人が魔法を撃ちあっている証だ。

普通ならば先を行く摩利の方が引き波の相乗効果で有利だが、七高選手は巧みなボードさばきで魔法の不利を補っている。

スタンド前の長い蛇行ゾーンを過ぎ、ほとんど差がつかぬまま、鋭角コーナーに差し掛かる。

するとそこで七高の選手が仕掛ける。

……と思われた。

誰もがそう思ったのだが、実際には違う。

オーバースピードで七高選手が摩利に突っ込もうとしていた。

 

「危ない!」

 

そんな状況に誰かがそう叫ぶ。

しかしさすがは三巨頭の一人、渡辺摩利。

前方への加速をキャンセルし、水平方向の回転速度に切り替え。

水路壁から反射してくる波も利用して、魔法と体さばきの複合でボードを半転させる。

そして、七高選手を受け止めるべく、新たに二つの魔法をマルチキャスト。

本来なら、そのまま事故を回避できただろう。

そう…本来なら………

 

摩利が魔法を発動しようとした瞬間、不意に水面が沈み込んだのだ。

小さな変化だった。

しかし、ただでさえ高等技術を駆使した後だ。

例え小さな変化でも魔法の発動には、大きなずれが生じる。

そして七高選手が摩利に衝突し、もつれあうようにフェンスへ飛ばされる二人。

大きな悲鳴がいくつもあがる中、大会委員からレース中断の旗が振られた。

 




祝一カ月連続投稿!!

皆様のおかげで一カ月休まず続けることが出来ました!

しかし一カ月連続投稿したことによりついにストックが無くなってしまいました…

なので少し書き溜めてからまた再開したいと思ってます!

それではまた次回お会いしましょう!
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