やはり俺が恋愛に積極的になるのはまちがっていない。   作:部屋長

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五ヶ月ぶりのいろは√です!タイトル通りぬくぬくするだけのお話です。


ぬくぬくいろはす。

 ある日の放課後。今日も可愛い後輩兼彼女に呼び出された俺は生徒会室へ向かっていた。

 で、中に入ってみたわけだが。

 

「ふひゃぁ……ファンヒーターあったかぁい……」

 

 もうそろそろ2月も終わりに近いのだが全然暖かくならない。だから彼女が頬をふにゃふにゃに緩ませながらヒーターの前でしゃがんでぬくぬくしてる気持ちも分かるのだが……。

 

「…………」

 

 周りを見渡してもやっぱり他の生徒会のメンバーはいなかった。昨日仕事してたって時点で今日はないってことは分かってたけど……。

 

「あっ、先輩!」

 

 ドアの前でぬくぬくしてるいろはすを見てると、俺に気づいたいろはがとてとてと小走りでやってくる。そして流れるように生徒会室の鍵を閉めてから俺の腕にぎゅっと抱きついてきた。

 この子が鍵を閉める日は仕事する気はゼロって合図だ。多分今のいろははイチャイチャすることしか頭にないのだろう。

 

「よう、ジャージってことは6限目体育だったのか?」

 

「そうなんですよー。しかもわたしだけ最後の片付けやらされちゃって着替える時間なかったんですよねー。……ちっ」

 

「生徒会長も大変だな」

 

 リアルな舌打ち怖いんですけど……。完全にマジなやつじゃないですかやだー。

 

「そうなんですよー。なので大変だったわたしは先輩成分を補給しなきゃいけないのです」

 

 ぽへっとした表情でそんなことを平然と言ってくるいろは。まぁ片付け我慢して頑張ったんだろうしな……。

 

「……何すりゃいいの」

 

「ぎゅーってしてください」

 

「……はいよ」

 

 いろはの背中に右手を回すとんっと甘い吐息を漏らす。左手で髪を撫でると頬を朱に染めながら上目遣いで見つめてきた。

 その表情がたまらなく愛おしくなりぎゅっと抱きしめて胸の中に埋めさせる。体育で少し汗をかいたのか、髪からはいつもよりも甘ったるい匂いがした。

 

「……どうだ?」

 

「えへへぇ……先輩に抱きしめられるの大好きです……」

 

 ふにゃふにゃのとろけた声で言いながら、いろはも俺の背中に両手を回して抱きついてくる。めっちゃあったかい……。

 いろはがうりうりと頭を押しつけてくると、いつもとは違うあることに気づく。

 

「髪型違うのな。体育あったからか」

 

「もー、やっと気づきました? ていうか頭撫でてきたときに気づくのが普通だと思うんですけど」

 

 今のいろはの髪型はスポーツ女子がよくするポニーテールだ。セミロングの髪をまとめてアップしているので、いつもは見えないうなじが見えて少しだけドキドキしてしまう。

 いろはが「どうですか? どうですか?」とアピールするように頭を動かすたびに、短めのポニテの髪がぴょこぴょこと揺れた。

 

「あー、うん、似合ってると思うぞ」

 

「あ、似合ってるのは知ってますから。もっと他に言い方がありますよね?」

 

「……はぁ、お前ならどんな髪型にしても可愛いに決まってんだろ」

 

 言うと、いろはは頬を赤く染めながらぽかぽかと俺の胸を叩いてきた。何それ可愛いんですが。

 

「……自分で言わせといて何その反応」

 

「い、いえ、わたしの予想よりいっぱい嬉しいこと言われちゃったので……」

 

 嬉しそうにぽしょぽしょと呟く。何か恥ずかしいし話題変えよう……。

 

「今日は仕事ないんだろ?」

 

「ないですね。先輩といっぱい一緒にいるために昨日のうちに頑張っちゃいました!」

 

「……お疲れ。じゃあ何すんだ?」

 

 やはり何度聞いてもこういうのは気恥ずかしい。自然と頬をぽりぽりと掻きながら視線を逸らしてしまう。

 

「今日は寒いし疲れたのでぬくぬくしたいです。座布団持ってるんで座ってください」

 

「ん、分かった」

 

 何で座布団持ってんだよって質問は意味ないよな……。どうせ今日のために持ってきましたとか言ってくるんだろうし。

 ファンヒーターより少し離れた場所に座布団を置き、膝を立てて足を少し広げながら座っていろはのぶんのスペースを取る。

 

「で、では、おじゃまします……」

 

 いろはは少し緊張した面持ちで俺の足の間に座ってくる。そのまま寄りかかるように俺に身体を預けてきた。

 

「えへへぇ……あったかいです」

 

「……そうだな」

 

 とりあえずいろはをぎゅっと抱きしめると「いやんっ」と変な声を上げながら楽しそうにキャッキャと騒ぐ。テンション高いなこいつ。

 ……ファンヒーターの前で座ってぬくぬくか。うーん、最高なんだけどやっぱりこういうのは家でやりたいよな……。

 でも、今の時間は会話はないがすごく心地よい時間だ。本当にぽかぽかするしいろはの抱き心地もいいしで寝れそう。

 このまま動かないと寝て色々と大変なことになりそうなのでいろはの髪を梳くように撫でる。

 

「んふふー、もっともっとー」

 

 少し後ろを振り返って俺の顔を見てくすりと微笑むいろは。同意を得たのでふさふさわしゃわしゃとポニテ髪をいじりまくる。

 

「ふぁ……せ、先輩ってポニーテール好きだったんですか?」

 

「多分そうだろうし当たってるな」

 

「でも先輩はわたしのこと好きすぎてどんな髪型でも可愛いって言ってくれそうですよね」

 

 むふふーと笑いながら、いろはが冗談めかして言ってくる。うん、まぁあながち間違っていないから困るんだけど。

 

「……ん、それも当たり」

 

「ふぇ……?」

 

 いろはは前を向いているのに首を傾げるが、すぐに耳まで真っ赤にしながら俯いてしまった。

 

「も、もうっ……今日の先輩は口説いてきすぎです……」

 

「……事実だし」

 

「え、えへへ……はっ、だ、だめです! 先輩は今からおしゃべり禁止ですっ!」

 

 えぇ……いつもは喜ぶのに何で今日は駄目なんだ?

 

「…………」

 

 喋ったら本当にぷんぷん怒られそうなのでいろはの頭を撫でてみる。どうやらそれはOKらしいので右手で頭を撫でながら左手は頬を撫で続けた。

 しばらくそれを続けていると、いろはは時折ふわぁっと欠伸をする回数が増えてきた。

 

「すぅ……すぅ……」

 

 と思ったらすぐに寝ちゃったよこの子……。まぁ、何だかんだで最近は俺にあまり頼らないで生徒会の仕事頑張ってんだよな。

 ……しかし、仕事は嫌だがそれを少し寂しく思っている自分もいるわけで。そのぶん仕事が終わった次の日は必ずこうやって2人きりになってるんだけど。

 

「……お疲れさま」

 

 そう言いながらいろはの頭をくしゃくしゃと撫でると、んぅっと小さな吐息を漏らしながら頬を緩めた──。

 




身体を密着させたりしてるのに特に何もしないでのんびりイチャイチャしてるのとか大好きです。同じ気持ちの人がいたら嬉しいですね……。

久しぶりの投稿ですが多分今年の間はかなり投稿滞ると思います。予定では次回の更新は11月です。来年になって余裕ができたら前みたいに週1ペースで投稿できるように頑張りたいと思います!

ではでは今回もお読みいただきありがとうございました!

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