やはり俺が恋愛に積極的になるのはまちがっていない。   作:部屋長

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書き手になったら1度は書いて見たいとずっと思ってた猫のんネタですっ!


可愛い彼女に猫耳を渡してみたらどうなるか。

 

 冬のある日。今日も今日とて俺は奉仕部で放課後ティータイムをしながらのんびりとしている。いつもと違うのは由比ヶ浜が三浦たちと遊びに行っていないことと俺のバッグに入っているある物だけである。

 

「…………」

 

 紅茶を飲みながらチラりとバッグに視線を向ける。バッグから覗くある物とは、猫耳である。もう一度言おう。猫耳である。あ、色は黒です。

 何でこんな物が入っているのかというと、簡単に言ってしまえば小町が原因である。「雪乃お義姉ちゃんにこれつけてもらって猫耳プレイを楽しんでね!」と、訳分からないし恥ずかしいことを言われながら押し付けられてしまった。

 うん、ほんと恥ずかしかった。お義姉ちゃんってなんだよお義姉ちゃんって。気が早すぎるっつーの……。

 ……まぁ猫耳プレイがしたいわけじゃないけど何か落ち着かないしとっとと渡しちまうか。うん、ほんとそういうつもりじゃないんだよ? 

 ハチマンウソツカナイ。

 

「……お前、これいるか」

 

 ぽんと長机の上に猫耳を置くと、猫耳を見た雪ノ下はくりんと首を傾げる。

 

「……それはなにかしら?」

 

 興味なさげに聞いてくるけどちょっと目がきらきらしてる雪ノ下さんです。分かりやすいなぁ……。

 

「猫耳だな。何か小町がお前に渡せって言ってきてな」

 

「そ、そう。小町さんから私にというなら貰わないわけにはいかないわよね」

 

 めっちゃ目がきらきら輝いてる雪ノ下さんです(可愛い)。

 

「ほれ」

 

 ぽいっと猫耳を投げると雪ノ下はそれを見事にキャッチしてまじまじと見つめる。その目には少しだけ困惑の色が混じっている。

 まぁそりゃいきなり猫耳なんて渡されたらそうなるわな。

 

「で、でもこれを私にどうしろと言うの?」

 

「さぁな。まぁとりあえず貰っとけよ」

 

「……そうね。じゃあ家に帰ったら小町さんにお礼を言っておいてもらえるかしら」

 

「おう。喜んでたって言っておくわ」

 

 言うと、雪ノ下はぷいっと横を向く。夕映えのせいか、それとも照れているのかその頬には朱が差している。

 

「……ちょっとマッ缶買ってくるわ」

 

 俺がいたらその猫耳を鑑賞するのも躊躇うだろうしな。空気読める俺マジクールだわぁとちょっとドヤ顔の八幡君です(気持ち悪い)。

 

 

××××××

 

 

 マッ缶は買わずに10分ほど適当にぶらぶらしてから部室へ戻る。まぁ紅茶あるしわざわざ買う必要もないしな。

 部室の前まで来て扉に手をかけると、中から微かに声が聞こえることに気づく。俺がいない間に誰か来たのか……? とも思ったが中からは雪ノ下の声しか聞こえてこない。

 何か怖いから少しだけ開いていた扉から中を覗いて見ると信じられない光景が目に入った。

 

「……にゃー」

 

 ん? んんん?

 

「……にゃあ」

 

 何それ可愛い……じゃなくてあいつ何してんの?

 うん、ちょっと状況を整理しよう。

 

 ……何であいつ猫耳鑑賞せずに頭に装着してるのん?

 

 え? え? え? あの雪ノ下さんだよ? 俺が戻ってくる確率だってあるのに何で普通につけちゃってるの?

 

「ふふっ、比企谷くんが今の私を見たらどう思うのかしら」

 

 ご、ごめんねゆきのん。もう俺見ちゃってるんだ……。うん、大変可愛らしいと思いますよはい。

 

「……もしかしたら今の私に見とれて発情でもしちゃうのかしらね」

 

 頭につけた猫耳を両手でもふもふしながらくすりと笑う雪ノ下は超可愛いよ? でも何かめっちゃ不吉なこと言ってるんですけど……。

 いや、まぁでも? 実際可愛いですし? そりゃ彼女さんの可愛い猫耳姿なんて見ちゃったら誰だって発情だってしちゃうよね!

 何か吹っ切れちゃったしもうちょっとだけよく見えないかなぁ……と、少しだけ顔を乗り出したら見事に頭を扉にぶつけてしまった。あまりにも情けなすぎて超恥ずかしいんだけど……。

 

「ひ、比企谷くん……?」

 

「お、おう……」

 

「み、見た?」

 

「はい……」

 

 今も猫耳装着してるのにその質問は無意味だと思うんだ……。

 何かもう色々と諦めて部室の中に入ると雪ノ下がくいくいと手招きをしてくる。猫耳つけながら手招きすると何かそれっぽくて可愛いと思いましたまる。

 

「……そこに座りなさい」

 

 ……可愛いと思ってた猫のんの言葉は厳しかった。雪ノ下の視線の先は普段雪ノ下が座っている椅子の後ろ。つまり窓際の床です。

 そこで縮こまってろとでも言うのだろうか。やだ、辛い。

 

「お、おう」

 

 とりあえずチキンでヘタレな八幡君はその言葉に逆らえずに壁に背を預けて床に座ってしまいました。既に尻に敷かれてる感が凄いことになってる。

 俺が座ると猫のんこと雪ノ下はつかつかと歩いてきて俺の目の前で仁王立ちをする。

 

「……私は今、猫なのよ」

 

「……へ?」

 

「……猫なのよ」

 

「……はい」

 

 雪ノ下の無言の圧力に負けて頷いちゃったけど、猫って言ってるのに人間の言葉話してるんですがそれはどういうことなんでしょうかね……。

 

「だから、その、……私のことを撫でなさい」

 

 いや、まぁ、うん。凄く魅力的な提案だと思うよ? 猫耳つけて上目遣いで見てくる猫ノ下さんだよ? そりゃ最高ですよ。

 

「……分かったよ。来い」

 

 言うと、雪ノ下は頬をほんのりと朱に染めながら俺の腿の上に跨って来る。所謂対面座位というやつだ。

 とりあえず左手は雪ノ下の腰に回して床に落ちないように支え、右手は彼女の頭の上に置く。そして、ゆっくりと慈しむようにそっと撫でてみる。

 

「ふぁ……ふふ」

 

 頭を撫でられて気持ちいいのか目が少しとろんとしている。ていうか髪さらさらだな。俺なんかが触っていいんだろうか。や、まぁ前にお持ち帰りされた時は髪とかその他もろもろもめっちゃ触っちゃったんだけどね。

 あの時はほんと恥ずかしかったなぁと考えつつ、彼女の髪を梳くように優しく撫で続ける。

 

「ふふっ、やっぱり手馴れているわねすけこまし谷くん」

 

「語呂悪いんたから無理やり名前変える必要ないだろ……。ていうか猫はどうした」

 

「……にゃあ」

 

 うわ、ちょっとこの子無理やりすぎない……? と呆れていると、首にざらりとした何かが触れて全身がぶるっと痺れるような感覚に陥る。

 ……猫のん自由すぎない? 流石に舐めてくるのは反則だと思うんだけど……。八幡ほんとに発情しちゃうよ?

 

「っ……何やってんの」

 

「……にゃー」

 

 その猫設定超ずるい。都合悪い時だけ人の言葉は話せないってか。

 ていうか本当に可愛いすぎて辛いんですが。普段真面目な子ほど裏では大胆らしいからやっぱり雪ノ下もそれに含まれるのだろうか。

 でも、何か俺も反撃しなきゃ気がすまないな。このままやられっぱなしなのも何か癪だ。

 すると、雪ノ下が俺の肩に頭を預けたことによってある物が俺の目に入る。

 ……ふむ。耳ですか。

 

 はむっ。

 

「ひゃあっ!」

 

 耳たぶを咥えると、雪ノ下は可愛らしい悲鳴をあげてぷるぷると震える。うおお、超柔らけぇ……。それに髪のいい匂いもするし頭くらくらしてきた……。

 

 はむはむはむ……。

 

「んんっ……ひ、比企谷くん……っ」

 

「んー、どうした」

 

 平常心平常心……。

 

「そっ、そこ、弱いから、……ね?」

 

 悩ましげな声でこれ以上は無理と言ってくる雪ノ下。可愛いすぎて死にそう。

 

「ほんと可愛いよお前は……」

 

 思わず口から零れてしまったその言葉に、彼女は顔をこれでもかというくらいに真っ赤にする。そして、ぎゅっと目を瞑りながら唇を奪ってきた。

 

「んっ……」

 

 甘い吐息を漏らしながら唇を離した雪ノ下は、何か言いたそうにじっと俺のことを睨めつけてくる。だが、威圧感もなく拗ねてるようにしか見えない彼女の顔に思わず笑みが浮かんでしまう。

 

「どうしてあなたはいつもいつも……」

 

「いつも?」

 

「……ずるいのよ」

 

 ほむん。ずるいとは何なのかしら。俺には理解できないな。

 

「……何だかよく分からんけど悪かったな。じゃあ俺のこと好きにしていいぞ」

 

「……本当にいいのかしら?」

 

「あぁ、俺はお前の彼氏だからな。どんとこい」

 

「ええ、そうね」

 

 そう言い、彼女は嬉しそうに微笑む。この関係になってから彼女はよく笑うようになった。

 俺にとって魅力的すぎる彼女のその笑顔を。これからもずっと見ていけたらと。

 柄にもなくそう思えた。

 

 まぁつまり何が言いたいのかといいますと。

 

 この後めちゃくちゃご奉仕した。 

 




お久しぶりのゆきのんでした。ゆきのんのお泊まりアフターはネタが思いついてからで。とりあえず猫のん書きたかったのん……。

ではでは今回もお読みいただきありがとうございました!

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