やはり俺が恋愛に積極的になるのはまちがっていない。 作:部屋長
やはり俺の妹はお兄ちゃん思いである。【前編】
今日で冬休みは最終日だ。最後の日くらい少女漫画とか恋愛ドラマを見るのはやめてのんびりしようと思う。正直お腹いっぱい。なんなのあいつらリアル充実しすぎだろ。お、俺だって絶対リア充になってやるんだからね! やだ、今のちょっとツンデレっぽい。
今はソファで寝転がりながらゲームをしている。久々にやるから感覚が掴めないな。
と、ここでガチャリとリビングのドアが開く音が聞こえる。見ると、世界一可愛い妹の小町がいた。
小町は俺のことを見てにっこりと笑ってから、俺の方に走り込んで来てそのまま腹の上にダイブしてきたぁぁぁぁ!?
「ぐはっ……!」
字面だとかっこいい感じだけど、実際は白目剥いてびくんびくんしてます。いくら小町が軽くても流石に痛い。
「むふふー、お兄ちゃん!」
俺の胸におでこを擦りつけてくる。え、急にそんなことされても困るんだけど。まぁ可愛いからいいや。
「はぁ……どうした?」
「今日は勉強しないでお兄ちゃんと遊ぼうかなーって思ってさ!」
体を起こした小町は俺の上で馬乗りの状態で、にひっと笑う。あのですね、早く降りて欲しいんですが。
「んじゃなにする? ゲームでもやるか?」
小町ちゃんのためにお兄ちゃんいっぱい接待プレイしますよ? もう負けに負けまくってやるぜ。
「んーとね、お兄ちゃんのために小町が一肌脱いであげます!」
「は?」
え、なに、お兄ちゃんの目の前で脱ぐの? 勉強の疲労でおかしくなっちゃったか?
「お兄ちゃん明日から彼女作るために頑張るんでしょ?」
「ん、まぁそうだな」
妹にそう言われると何か恥ずかしいな……。
「それで小町は重大なことに気づいちゃったのですよ」
「何をだ?」
「お兄ちゃんのことだからどうせ未来のお義姉ちゃんと二人きりになったら絶対キョドっちゃうってことにね!」
小町はずびしっと俺に指を突き立てて、まるで謎はすべて解けたと言わんばかりに断言してきた。
やだ、何も言い返せない。
「そうだな。お兄ちゃんへたれだからなー」
「だから小町と一緒に練習するの!」
あぁ、一肌脱ぐってそういうことか。
いつも通りお節介というかなんというか……。まぁ俺のことに関してこんなに考えてくれることは嬉しいんだけどな。お兄ちゃん思いな部分は八幡的に超ポイント高いぞ。
「んで、なにすんの?」
言うと、小町の目はキランと光る。
「も・ち・ろ・ん! お兄ちゃんが最近見た少女漫画とかでやってたことだよ!」
「まじで?」
それってあれか? 妹相手に壁ドンとかやれと? 地獄絵図になりそう。
「もちろんまじですよ! じゃあまずは壁ドンからやってみよー!」
言うと、壁の方までダダダッと走っていく。なんか今日はいつもよりテンション高いですね……。
まぁせっかく小町が手伝ってくれんだし俺も頑張ってみるか。
「じゃあどうぞ!」
うきうきルンルンな小町の前に立つと、もういつでも来てくださいって感じでウェルカム状態になっている。よし、やるからには本気でいこう。
右手を小町の頭のやや上の壁に付けて、肘は顔の真横に付ける。これによって必然的に顔の距離が近くなる。肘ドンってやつだな。まぁ俺は壁ドンの上位互換だと思っている。
ついでに左手も壁に付けて完全に逃げ場のないようにする。うん、我ながら完璧。
「……どうだ?」
「はわ、はわわわ」
小町は頬を朱に染めながら体をよじる。まぁ俺が完全に包囲してるから動けないんだけどなフハハハ!(謎のテンション)。
というか「はわわわ」って可愛いなお前。ちょっとあざといけど。
てかこの子はなんでこんなに顔真っ赤にしてるのん?
あ、何かテンション高いなーとは思ってたけどもしかして熱でもあるのか?
「……熱はないな。平気か?」
手は壁ドンしてる状態だからどうしよもないので、とりあえずおでこ同士をぴとっとくっつける。恥ずかしいのか小町は顔を真っ赤にしながら口をぱくぱくとさせてる。
「へ、平気だけどぉ……。お兄ちゃん、ち、近いってばぁ」
「あ、悪いな」
おでこを離して頭をぽふぽふと撫でる。流石に俺も少し恥ずかしかった。
壁ドンした後はどうするんだっけな。耳つぶか顎クイか?
……よし、顎クイでいこう。まぁ流石にその後にキスはしないけど。
左手を壁から離して小町の顎に添える。顎って漢字だとあれだな。なんか怖いわ。これからは小町のあごって言うことにしよう。
添えた手で小町のあごをクイッと上げる。
「ふぇ?」
何をされたか理解できていないのか小町は素っ頓狂な声を出す。
「どうだ?」
「お、お兄ちゃん……」
上ずった声で俺を呼んでから小町はすっと目を閉じる。
…………は? え、なんでこの子目閉じたの?
「こ、小町?」
「ん……」
艶っぽい声を出しながら小町は唇を差し出してくる。頬を上気させてうっとりとした顔で俺からキスされるのを待っているかのような表情だ。
その表情を見て思わず、心臓が早鐘を打つ。俺小町のこんな表情知らないんだけど……。
…………よし。
「んっ」
小町の頬に少し音を立ててキスをする。おぉ……ほっぺた柔らけぇな……。
「……ふふっ、お兄ちゃん顔真っ赤だよ?」
うっすらと目を開けた小町がくすりと微笑む。
「や、お前のが真っ赤だからね?」
ほんと真っ赤。何お前りんご? ってくらい真っ赤なんだけど。
「お兄ちゃんのが真っ赤だもん!」
なんでそこで張り合うんだよ……。さっきの大人っぽい表情も相俟ってちょっと子どもっぽくて可愛いじゃねーか。
「てかなんでさっき目閉じたんだ? あれじゃまるでキスしてくれって言ってるようなもんじゃん」
「えっ、そ、それは……」
小町は言葉を詰まらせながら顔を俯かせてしまう。
わー……超いじめたい。嗜虐心にそそられるってこんな感覚なのか。
「もしかして本当に俺とキスしたかったのか?」
にやりと口角を上げながら言うと(絶対気持ち悪い)、顔を上げた小町が涙目で俺を見てくる。
「そ、そんなことないもん!」
「んっ」
ちょっと小町が可愛すぎたから調子に乗ってもう一度頬にキスをすると、小町は頬をだらしくなく緩ませる。
「ふへへぇ……ハッ! なななな、なにしてんのお兄ちゃん!」
ノリツッコミかよ。器用だな。
「や、なんか小町が可愛いすぎてな。ちょっとキスしたくなった」
「そ、そっか……」
……んー、ちょっと本当に可愛すぎるんだけど。なんでそんなに嬉しそうな顔してんの? 相手はお兄ちゃんだぞ?
まぁさっきから可愛い可愛い思ってる俺も大概なんだけどな。やっぱり千葉の兄妹ってすごいと思いました(小並感)。
「んで、壁ドンはよくできてたろ? 次はなにすんだ?」
「……こほん。次は──」
おうふ。まじですか……。っべー、流石にそれは恥ずかしいな……。
小町と俺の練習はまだまだ続く。
なんか前編で普通にキスさせられる勢いに……。まぁ頬にはもうキスしちゃいましたけどね!これから更に甘くできるように頑張ります!
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