やはり俺が恋愛に積極的になるのはまちがっていない。   作:部屋長

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やはり俺の妹はお兄ちゃん思いである。【中編】

 

 場所はリビングから移って小町の部屋のベッドの上だ。何をするのかはさっき小町に言われて分かっているので結構ドキドキしてしまう。

 あ、あんれー? 俺ら兄妹だよね? な、なんで俺は妹相手にこんなに緊張してるんだ……? 

 うん、これは小町が可愛すぎるのが悪い。いや、やっぱり小町は可愛いから悪くないな。ほんと小町は可愛いから困るわー。まじ可愛すぎる。

 うん、話が逸れすぎてる。

 

「お兄ちゃんどうしたの? さっきからオドオドしたりニヤけたりしてて気持ち悪いよ?」

 

「や、小町って可愛いよなーって考えてたら自然とな」

 

 言うと、驚くように目をまん丸とさせてから頬を朱に染めた。

 

「そ、そっか……」

 

「……頬緩みすぎだから」

 

 ほんとに蕩けちゃうんじゃね? ってくらい頬がでろっでろに緩んでる。

 

「……こほんこほん。じゃあまずはここにやって!」

 

 わざとらしく咳払いをして小町が右手の手の甲を差し出してくる。一つ大きく息を吐き、その手を取ってちゅっと口づけをした。

 今回の練習は小町の体の色んな所にキスをする練習らしい。最初は恥ずかしくて断ったけど小町に「女の子の体に慣れるためだよっ!」という一点張りで押し切られてしまった。

 

「んっ……くすぐったいね」

 

 小町は俺がキスをした手の甲を見てにへっと頬を緩ませる。ちょっとこの子ブラコンすぎやしないですかね……。

 

「なぁ小町」

 

「ん? どしたの?」

 

「……その、今更だけど俺がこんなことして嫌悪感とかないのか?」

 

 小町も思春期真っ盛りの女の子なんだし、兄にキスなんてされたら普通は気持ち悪いだけなんじゃないのだろうか。

 

「そんなのあるわけないじゃん」

 

 まるで俺が聞いたことを「何言ってるのお前? バカなの?」みたいな視線を向けてくる。俺にそっちの趣味はないからやめてくださいお願いします。

 

「……まぁそれならいいけどよ」

 

「? うん?」

 

 うーん、小町からしたら俺にキスされるのは普通なことなのか。

 

「じゃあ次はここにやって?」

 

 ぺろっと服をめくって細くて綺麗なお腹を見せてくる。なんか前に見たときより女性らしくなってるような気もするな。や、そんなに普段から見てないけどね? ほんとだよ?

 

「え、どこにやんの?」

 

「んー、お腹らへんならどこでもいいよ?」

 

 説明が雑すぎるわ。まぁ適当なとこにやるか。頭を下げて小町のお腹に顔を近づけると頭に両手を置かれる。そしてすりすりと頭を撫でられた。

 

「え、ちょっ、なにしてんの?」

 

「んー、いつもお兄ちゃんに撫でられてるからたまには小町が撫でてあげようかなーって思ったの!」

 

 頭の上から楽しそうな声音が聞こえてくる。

 

「そ、そうか」

 

「ふふっ、今のお兄ちゃんちょっと可愛いかも」

 

 ちらっと少しだけ視線を向けると小町が大人っぽい雰囲気を醸し出しながら微笑む。いつもの快活で無邪気な笑顔とは違うその笑顔に思わず見惚れてしまった。

 

「ん? どうしたのお兄ちゃん?」

 

「い、いや、なんでもない……」

 

 はぁ……ちょっと小町が可愛いすぎて死にそう。てかキスするために頭下げたの忘れてた。おへその横辺りに唇を押し付けると小町が艶っぽい声を上げる。すべすべしてて柔らかいな。病み付きになりそう。

 

「んっ、やっ、お兄ちゃん、くすぐったいてばぁ……」

 

 俺の頭をすりすりと撫で続けながら体をもじもじとよじる。ちゅっともう一度キスをしてから顔を離す。

 

「へへっ、お兄ちゃん、変態さんだぁ……」

 

「自分からやらせておいて何言ってるんだよ……」

 

 今度は俺から頭をくしゃりと撫でてやると目を細めてころころと甘えてくる。や、やめて! 急に抱きついてこないで!

 

「こ、小町?」

 

「ん、ちょっと休憩。もっと撫でて?」

 

「……はいよ」

 

 んー、なんか小町のデレ具合がヤバい。あと可愛いすぎて辛い。

 

 10分ほどひたすら頭を撫でて愛でていると小町がガバッと顔を上げる。び、びっくりした……。

 

「じゃあ続きしよっか!」

 

「おう。で、次はどこにするんだ?」

 

「むふふー、次は首にキスマークをつける練習だよっ!」

 

 まぁもうここまでやっちゃったし断る意味もないよな。

 

「……分かった、ちょっと我慢しろよ?」

 

 こくりと頷くのを確認してから小町の白く細い首筋に吸い付く。

 

「あっ、お、お兄ちゃん……」

 

 首筋に吸い付いていると小町にまた頭を撫でられる。なに、お前俺の頭撫でるのそんなに好きなの? 割と俺もハマりそうで怖い。

 

「ん、できた」

 

 跡をつけたことを確認して顔を離すと、小町が頬を紅潮させて息を荒らげていることに気付く。

 

「はぁっ、はぁっ、お兄ちゃん……お兄ちゃん……」

 

 飛び込むように抱きつかれて押し倒される。勢いがあったからいくら小町が軽くても結構痛い。

 

「こ、小町?」

 

「……ね、お兄ちゃん。次はここにして?」

 

 甘い声でぽしょりと呟きながらぷるぷるとした唇を指さす。え、は? まじで?

 

「や、流石にそれは……」

 

「大丈夫。大丈夫だから……。お願い……お兄ちゃん」

 

 小町が涙目になりながら懇願するような瞳で俺を見つめてくる。そんな顔したら断れないだろ……。

 

「……目、閉じろ」 

 

「……うん」

 

 ゆっくりと目をとじた小町が、んっと唇を差し出してくる。

 これを一度でもしてしまったらもう今まで通りの仲の良い兄妹でいられなくなってしまうんじゃないかと思ってしまう。だが、その恐怖心より小町との関係を更に進めたいという好奇心が勝ってしまった。

 小町の頬に手を添え、顔を傾けて、ゆっくりと小町に唇を重ねた。

 

「んふう……」

 

 唇が触れ合うと小町から甘い吐息が漏れる。うっすらと目を開けて小町の顔を見ると、幸せそうにうっとりとした表情をしている。

 

「ぷはっ。……えへへぇ」

 

 たっぷりと十数秒の口づけを終えると、小町がだらしなく頬を緩ませる。

 

「…………」

 

 ううむ、何て話しかければいいんだろうか。顔の距離は未だに目の前にあって近くて恥ずかしいし。

 よし、ほっぺたをゆるっゆるにしている小町の鑑賞でもしてよう。そうしよう。

 

「ねぇお兄ちゃん?」

 

「ん、なんだ?」

 

「小町がそ、その、……こ、恋人になってあげようか?」

 

 ほんのりと頬を赤らめた小町が恥ずかしそうにぽしょぽしょと呟く。

 

「へ? 本気で言ってんのか?」

 

「……鈍感」

 

 ほっぺたをむーっと膨らませてじとっとした目で見られる。うん、まぁ途中から薄々気づいてはいたんだけどね。

 ……それに小町の唇にキスをした時点で俺の返答は決まってるしな。

 

「まぁ小町がいいって言うなら俺は大歓迎だぞ」

 

「やったぁ!」

 

 嬉しそうに無邪気に微笑んだ小町は唇を重ねてきた。唇柔らかいし甘い匂いもするから頭がクラクラしてくる。

 

「えへへー、小町がお兄ちゃんの彼女さんだぁ……」

 

 や、それを口に出す必要はないだろ……。まぁ嬉しそうに微笑んでる小町が可愛すぎるから別にいいんだけど。

 てか恋人になるんなら一回くらい愛の言葉ってやつを言っておいたほうがいいよな。よし、八幡頑張る。

 

「小町……」

 

 小町の頬を指先でつつーっとなぞりながら普段とは違う声音で名前を呼ぶと「ひゃ、ひゃいっ!」と言い、体をびくーんと跳ねさせた。なんだそれ可愛いなお前。

 

「ど、どうしたの?」

 

「愛してるよ……」

 

「ふぇ……? ふ、ふにゃあ……」

 

 吐息混じりの声で囁き、耳にちゅっと口づけをすると、だらりと小町の体から力が抜けて俺に覆いかぶさってくる。小町の顔を見ると興奮しすぎてしまったのか気を失ってしまっている。

 俺の発言が気持ち悪すぎて気を失ったって訳じゃない……よな? それだったらむせび泣くわ。

 

 ふぅ……俺もこの短時間に色々ありすぎて疲れたし昼寝することにするか……。どこか幸せそうな顔をしながら眠る小町の頭を優しく撫でながら俺も眠りにつくことにした。 

 




1日遅れですがめぐりん誕生日おめでとう!はい、全然関係なく普通に小町中編でした。めぐりんもいつか書きたいですね(遠い目)。

ではでは今回もお読みいただきありがとうございました!

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