やはり俺が恋愛に積極的になるのはまちがっていない。   作:部屋長
<< 前の話 次の話 >>

37 / 54
やはり大魔王(ぴゅあぴゅあ天使)が甘えん坊なのはまちがっていない。【後編】

 

 陽乃さんと公園の前で立ち止まる。

 既に日はとっぷりと暮れていて、真冬の寒々しい宵闇が辺りを包んでいる。当然の如くその公園に人影はなかった。

 陽乃さんは熱に浮かされたような表情で俺を見つめながら、ぎゅっと手を握る力を強めてくる。

 

「……行きましょうか」

 

「……うん」

 

 公園に歩を進める。今からのことを考え、自転車は人目になるべくつかない所に止めた。

 陽乃さんが甘えたいって言ったのだから、つまりそういうことをしたいって合図なはずだ。

 それに通りかかった人にバレると色々とめんどくさいからな……。リスクは最大限まで抑えた方がいいに決まっている。

 まぁ最初からそんなことをするわけではないので、とりあえず陽乃さんと一緒にベンチに座る。

 

「はーっ、寒いね」

 

「そうですね」

 

 確かに寒いけど陽乃さんの手めっちゃ熱いんだよな……。これからのことを考えて緊張でもしてるのか。俺も同じだけど。

 

「学校来たときびっくりした?」

 

「いや、だいたい予想はできてましたからそこまでは」

 

「つまんないなー。……じゃあ嬉しかった?」

 

 言いながら控えめにちろりと覗きこんでくる。だが、聞くのが恥ずかしかったのか俺と目が合うとすぐにぷいっと顔を前に向けてしまう。

 

「……そりゃもちろん」

 

「……ん、それならよし」

 

 満足そうにくすりと微笑む陽乃さん。嬉しそうで何よりです。

 

「でもあんまり久しぶりって感覚はなかったですけどね」

 

「まぁわたしたち毎日電話とかしてるしね。でも比企谷くんから全然してくれないのはお姉さん的にポイント低いなー」

 

 足をぱたぱたさせながらぷくっとあざとく頬を脹らませる。やってることが子どもにしか見えない。ていうか小町の真似しないでくださいよ……。

 

「そりゃ俺からとか恥ずかしいじゃないですか……。それにもし陽乃さんが忙しい時だったら迷惑になりま──」

 

 言いかけた途中で、陽乃さんが唇にぴとっと人さし指をくっつけてくる。見ると、少しだけ怒ったような表情をしていた。

 魔王オーラ出てますやん……。怖い、漏らしそう。

 

「迷惑なんて言っちゃだめ。……分かった?」

 

「……すみません」

 

「もー、この前は比企谷くんすごい積極的だったのになー。何かいつもの比企谷くんに戻っちゃったみたい」

 

「逆に聞きますけどずっとあんなんでいいんですか?」

 

 聞くと、あごに手を当てて「んー」と言いながら考える素振りをする。

 

「けっこうあり、かな?」

 

 ありなのか……。え、なに? 陽乃さんは俺が積極的になって好き好きアピールしてくるのを望んでる感じなの? それできゅんきゅんしたい感じなの?

 いや、まぁそういう陽乃さんも普通に可愛いし見てみたいな……でも恥ずかしいな……とか色々考えていると、ふいに──繋がれている手に熱がこもる。

 

「だからさ、その……」

 

 陽乃さんはくにゃっと眉根を寄せながら潤んだ瞳で見つめてくる。恥ずかしいからこれ以上は言わせないでと訴えているようにも見えた。

 ……まぁ多分だけど、この人も一週間会えなくて寂しかったんだろうな。ならそのご要望に答えるのが俺の役目だ。

 

「……ちょっと来てください」

 

 陽乃さんの手を引いて連れてきたのは、公園の奥の方で木や遊具により周囲から死角になっている場所だ。ここなら多分気づかれない……はず。うん、細かいことは気にしない。

 

「比企谷くん……?」

 

 不安げに俺の名前を呼ぶ陽乃さんの背中に腕を回して、こちらに抱き寄せる。

 

「ふあっ……」

 

 俺の胸にぽすりと顔が埋まると、陽乃さんから可愛らしい吐息が漏れる。

 俺はさらになるべく優しく、それでいて力強く陽乃さんをぎゅうっと抱きしめる。

 

「んうう……っ。ひ、比企谷くん……ちょっと力強すぎるよぉ……」

 

「……このくらいのがいいですよね?」

 

「そ、そうだけどぉ……」

 

 少しだけ力を緩めると、胸に顔を埋めていた陽乃さんが顔を上げる。その頬は暗くても分かるくらい真っ赤に染まっていた。

 

「この一週間、会えなくて寂しかったんですか?」

 

「……別にそんなことないよ」

 

 ここで素直じゃなくなるのか……。

 

「……俺は陽乃さんに会えなくてめっちゃ寂しかったです」

 

「……ふーん。そっか」

 

 興味なさそうに呟くが、陽乃さんは緩みそうになっている頬をバレないように頑張って我慢していて。

 多分、いざ甘えられる状況になったら恥ずかしくなってしまったのだろう。

 そう思うとやっぱり陽乃さんも普通の女の子なんだと改めて実感する。

 

「キス……してもいいですか?」

 

「……ん、いいよ」

 

 ぽしょりと呟くと、陽乃さんは瞳を閉じて唇を寄せてくる。

 彼女とは逆の方向に首を傾げ、ゆっくりと彼女に唇を重ねた。

 

「んっ……」

 

 唇が重なると、陽乃さんも背中に手を回してきて、より身体が密着がする。ここが外だということもあって、唇からは陽乃さんの緊張と興奮が直に伝わってくる。

 唇も胸も柔らかすぎてちょっと色々とヤバいんだけど……。

 

「ぷはっ……はぁっ、はぁっ……んっ……」

 

 唇が離れると、うっとりと目を細めた陽乃さんから白い吐息が弾む。

 だが、呼吸が整う暇もなく陽乃さんはすぐに唇を奪ってくる。

 

「んふう……比企谷くん……んんっ、ちゅっ……んむう、んっ……」

 

 身体を悩ましげに動かしながら陽乃さんと舌を絡ませ合う。

 とろんと目尻を下げた陽乃さんは、もっともっとと言わんばかりに身体をくねらせ、唇を重ね、舌を絡ませてくる。

 それがどうしよもないくらい愛おしくて、彼女の頭をキスしながらくしゃくしゃと撫でる。

 

「んんっ……っ!? ぷはっ、あ、や、うぅ……きゅ、急にそんな優しく頭撫でてくるなんてナマイキ……」

 

 慌てて唇を離した陽乃さんが甘い吐息を漏らしながら頭に乗っている手を掴んでくる。

 あ、あれ……? 頭撫でるの駄目な感じ? めっちゃさらさらしてて撫で心地最高なのに……。

 

「駄目なんですか?」

 

「……んーん、いいよ。だから、……もっとしよ?」

 

 陽乃さんは俺の頬に手を当てながら、上目遣いの潤んだ瞳で見つめてくる。

 

「……もちろんですよ」

 

「ふふっ……」

 

 嬉しそうにくすりと微笑む陽乃さんに釣られて、俺もふっと頬が緩んでしまう。

 今度こそ彼女の頭を優しく撫でながら、愛情を確かめ合うように、陽乃さんと唇を重ねた──。

 

 

××××××

 

 

 あれからかなりの時間陽乃さんとイチャイチャして、今は陽乃さんを駅まで送っている最中だ。

 陽乃さんは楽しそうに鼻歌を歌いながら俺の腕に抱きついている。しかも肩に頬ずりまでしてくるくらいルンルンだからかなり満足してもらえたのだろう(でも自転車押して歩いてるから色んな意味で辛い)。

 外が暗くて人が少ないのが本当に幸いだった……。こんなん知り合いに見られたら恥ずかしくて死んじゃう。

 

「やっぱりわたし、もっと落ち着けるところで比企谷くんと二人きりになりたいなー」

 

「……そうですね」

 

「もー、反応薄いよ? それに比企谷くん顔真っ赤だよ? どうしたの?」

 

 にやにやと目を細めながら陽乃さんが腕を揺すってくる。メロンがむにゅむにゅ当たってちょっと柔らかすぎて意味が分からない。

 はぁ……この人絶対分かって言ってんだろ……。ていうかブーメラン投げてることには気づいてないのかしら?

 

「いや、陽乃さんだって真っ赤じゃないですか……」

 

「ふふっ、もちろんそうだよ。比企谷くんがあんなにエッチなことしてくるから身体が火照っちゃって……んっ、どうしてくれるの?」

 

 蠱惑的な笑みを浮かべながら陽乃さんが恥ずかしいことを平然と言いながら、俺の頬にちゅっと音を立てながらキスをしてくる。うん、絶対さっきより俺の顔真っ赤になってるわこれ……。

 

「はぁ……まぁ、そこは一人で何とかしてください……」

 

「それはさすがにドン引きだよ……」

 

 いや、自分でも分かってるから言わないでほんと……。冷静な判断なんて今日の俺にはもうできないから。

 

「んー……あっ、わたし一人暮らししよっかなー」

 

「は? 何で一人暮らし?」

 

 いやそんな「コンビニ行ってこようかなー」みたいなノリで言うようなことじゃないでしょそれ。

 

「そうすれば比企谷くんと二人きりになれる機会がいっぱい増えるでしょ?」

 

「や、まぁそうですけど……。でも平気なんですか? 親の承諾だってありますよね?」

 

「多分平気だと思うよ。仮にだめって言われても何とかするし。比企谷くん知ってる? 恋する乙女は強いんだよ?」

 

「自分でそれ言っちゃうんですか……」

 

 ぱちっと可愛らしくウインクをする陽乃さんはすごく可愛いけど、この人何するんだろって不安の方が大きくて複雑な気分になりました。

 

「あ、もうここで大丈夫だよ」

 

 ぱっと腕から離れてた陽乃さんは俺の目の前に来ると、目を閉じてからんっと唇を差し出してくる。

 周囲に人がいないのを確認してから陽乃さんと唇を重ねる。瑞々しいフローラル系の香りがふわっと漂い、柔らかい吐息が唇越しに伝わってくる。

 

「んっ……へへっ、また今度ね」

 

「はい。帰ったらちゃんと俺から電話しますから」

 

「……ん、わかった。じゃあばいばい比企谷くん!」

 

 頬をまた朱に染めながら嬉しそうに微笑んだ陽乃さんは駅の方へ歩いて行った。

 はぁ……一週間ぶりに会ったけどやっぱあの人ってほんと自由だな。甘えん坊でキスも大好きとか普段のイメージと違いすぎてほんと可愛すぎるんだけど……。

 あの大魔王兼ぴゅあびゅあ天使が自分の城を手に入れたら色々と大変なことになりそうだな……。や、まぁそれもちょっとというかかなり楽しみだけど。

 ……うん、俺ほんと陽乃さんのこと好きすぎだな。

 




はるのんアフターいかがでしたか?久々に書くぴゅあぴゅあはるのん楽しかったです(๑´ω`๑)
次のはるのんアフターへのバレバレな伏線的なのも書いときましたし次はもっとイチャイチャできる予感……( *´艸`)

次回の更新はちょっと私用が色々とあるので6月になる予定です。5月中に投稿するとしても1回だけになる予定です。多分今年はそういうことが多くなる予感……。把握しといてくれたら助かります。

ではでは今回もお読みいただきありがとうございました!







※この小説はログインせずに感想を書き込むことが可能です。ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に
感想を投稿する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。