やはり俺が恋愛に積極的になるのはまちがっていない。 作:部屋長
やはり俺と恥ずかしがり屋な女の子のテンプレ青春ラブコメはまちがっていない。⑴
冬休みが終わり、学校が始まって一週間が経ったある日の放課後。いつも通り部室に行こうと思ったが、平塚先生に急遽呼び出された俺は現在職員室の応接スペースにいる。
平塚先生と二人きりだよやったね! とも思ったが、煙草を吸っている先生の表情はいつもより険しいのでそんなことはすぐに考えられなくなりました。超怖い。
「……で、何の用ですか」
「ふむ、比企谷。単刀直入に聞くが、君は委員会に所属しているよな?」
「あー、はい。確か図書委員に」
一度も参加したことないけど。呼び出されたこともない。なんなら何で俺が図書委員なのかさえ分からない。気づいたらなってたし。とっても不思議!
うん、ただ単に委員会決めの時に寝てたからですねはい。余ってた図書委員に余り物の俺がぶち込まれてた記憶がある。
「参加したことはあるのかね?」
「いえ、呼び出されたこともないんで一度も」
「やはりか……」
眉間に手を当てる平塚先生から大きなため息がこぼれる。
「は、はぁ。それが何ですか?」
聞くと、吸っていた煙草をもみ消してから平塚先生が呆れたように言葉を漏らす。
「君はクラスの女子に今まで任せきりにしていたのだよ……」
「え?」
てっきり全くお仕事ないじゃないですかやったー! みたいなノリだと思ってたんだけど。
え、ていうことはヤバくない? もうそろそろ2月だよ? 俺今まで一度も働いたことないよ?
「ちなみに今日は丁度君のクラスが仕事らしいぞ」
「マジっすか……」
だから今日呼び出されたってことか。納得した。
「まぁそういうことだ。頑張りたまえ」
「……うす」
新しい煙草に火をつけながらニカッと笑う先生に見送られながら職員室を後にする。部活は行けそうにないし由比ヶ浜にメールでもしとくか。
うん、とりあえずあれだ。図書室に行くの超怖い。マジっべーわ……。
××××××
もうそろそろ図書室の前で立ち止まってから5分ほど経っただろうか。未だに俺は図書室へ入るのを躊躇っている。
いや、だってね? 絶対気まずいですよねこれ。まずどうすればいいの? 謝る? 土下座? 土下座なの?(混乱)
それに今はほとんど忘れられてるけど、俺って文化祭やらの悪評がヤバいからな。元の印象が最悪なんだからどうしよもないよねほんと……。やっぱ土下座しかないか……。
「はぁ……」
よし、覚悟を決めよう。ちゃんと謝ってしっかり仕事しよう。こうやって自分に言い聞かせなきゃ現実逃避から帰ってこれなくなる。
なるべく音を立てずに静かに図書室に入る。放課後の図書室は閑散としていて、しんと静まり返っていた。
誰もいないのかと疑問に思ったが、入口からは見えない少し奥の方から物音が聞こえる。音のする方に向かうと本棚の整理をしている女の子がいた。
彼女は俺が入って来たことに気づいていないのか、黙々と本棚の整理をしている。ちょこちょこと動くたびに短めの黒髪がはらりと揺れる。
もう一人の図書委員ってこの子のことだよな……? ていうか何か見覚えあるような気が。や、同じクラスだし当たり前か。
「んー……」
彼女は一番上にある棚に手を伸ばしているが、いかんせん身長が小さいので全然届いていない。
背伸びして頑張ってるけど足がぷるぷる震えているだけで結局届いてはいない。
「あ、あのー」
「んっ!」
俺が話しかけると同時に彼女はぴょんっと大きくジャンプをした。
「へっ? わひゃあっ!?」
……うん、これは話しかけたタイミングが悪かった。彼女は指に本をひっかけたまま振り返ったので、そのまま本がずり落ちてしまい見事に頭に本をぶつけてしまった。
何かデジャヴあると思ったら俺も似たようなことしてたな……。まぁ俺の場合はその後もアホみたいに本落ちてきたけど。
「……大丈夫か?」
「だ、大丈夫です……」
彼女はよほど恥ずかしかったのか、少したれ目の大きな瞳に涙を浮かべながら、顔を真っ赤にしていた。うん、本って割と鈍器になるし痛い気持ちはよく分かるよ……。
……とりあえず落ちた本でも拾うか。
「あ、ありがとうございます……」
「いや、別に気にすんな」
床に落とした本を拾ってから立ち上がると、未だに顔を真っ赤にしたまま彼女がちらっと見つめてくる。だが、俺と目が合うと恥ずかしいのかすぐに目を逸らしてしまう。そしてまたちらっと見てくる無限ループが続く。
知り合いの女子よりさらに小柄な彼女が下から見つめてくるので、背の高さの関係上必然的に上目遣いになる。なんつーかこっちまで恥ずかしくなるんだけど……。
「え、えっと、な、ななな、何かご用でしょうか?」
いや、さすがにテンパりすぎだろ……。ていうか何で俺ら同級生なのに敬語なの……?
「あー、えっと、図書委員の仕事? その、今日俺らのクラスって聞いたから」
「あ、そ、そうですか……」
小さな声でぽしょりと呟くと、彼女はもじもじしながら俯いてしまう。
「…………」
「…………」
沈☆黙! ふええ、会話が全然続かないよぉ……。
あ、そういやまだ俺この子に謝ってないじゃん。一番の目的忘れてるとかやっぱり俺もテンパってるのか……。
いくら恋愛に積極的になるっていっても初めて会話する女子相手にとか絶対に無理だわ……。それに不謹慎すぎるし。
うん、無駄な思考はとりあえずカット。まずは謝らなくては……。
「今まで一回も参加してなくてすまん……。結構仕事あったんだろ?」
言うと、彼女は首をぶんぶんぶんぶんと横に振る。え、えっと、それは平気だって合図なのか? ちょっとぶんぶんしすぎじゃない?
「そ、そんなことないでしゅ……ないです。き、気にしないでください……」
噛んだことが恥ずかしいのか彼女はまた顔を真っ赤にしてしまった。
うーむ、さっきから話してるけどあれだ。何か近いものを感じるぞこの子。
……あー、分かった。このキョドり方どっかで見たことあると思ったら中学の頃の俺だわ。この子男子と話慣れてない感じのタイプか。
つまり男子苦手で言えなかったと。ていうことは俺最悪すぎじゃね……?
「や、マジで本当に悪かった……」
「い、いえ、本当に大丈夫ですので頭を……」
この子ちょっと良い子すぎませんかね……。彼女も謝られるのは嫌なんだろうしやっぱりここは礼のがいいよな。
「……ありがとな。今まで俺の分まで仕事してくれて」
「は、はひっ……」
はひって何だそれ超可愛いんですけど。まぁ男子苦手なんだろうしあとは仕事だけして戻るか。
「仕事って何やればいいんだ?」
「えっと、今日は本の整理をちょっとするだけです」
「ん、分かった。じゃあ俺あっちからやるわ」
ここから一番離れた場所へ行こうとすると、何故か彼女も俺の後ろをついてきた。いや、ほんと何で?
何か言うわけにもいかないし本棚の整理を始めると、驚くことに彼女から話しかけてきた。
「ひ、比企谷君は何で今日委員会があることを?」
「あー、先生に言われてな。それで今日委員会あること初めて知った。つーか何で今まで呼ばれなかったのかほんと謎なんだけど」
「他の人は放送とかで呼び出されたりしてたんですけど比企谷君だけ呼ばれなくて……」
うわ、さすがに存在感なさすぎでしょ俺……。
「まぁ何にせよ悪いことしちまったな」
「それはさっきから何度も聞いてるので謝らないでください……」
「ん、分かった」
さっきはテンパりまくってたけど落ち着けば意外と普通に話せるんだな。というか一つだけ気になることが。
「ちょっと聞いていいか?」
「はい? 何でしょうか?」
「何で俺の名前知ってんの?」
聞くと、彼女は「ふぇ?」と言わんばかりにこてんと首を傾げる。まさかの天然性ですかこの子……。
「え、えっと、それは同じクラスですので……」
「あー、まぁそうだよな。変なこと聞いたわ。悪い」
クラスの奴らは俺のことヒキタニって呼ぶからな。それなのに話したこともない彼女が何で俺の名前を覚えてるのかは少しだけ気になってしまう。
「……ずっと席が隣なので覚えてます」
「え、マジで?」
言いながら、俺が困惑の表情をすると。
「え、知らなかったんですか……?」
彼女も困惑の表情を見せた。よほどショックだったのか目尻には少しだけ涙を浮かべている。
「俺そういうのほんと無頓着だから……」
「じゃ、じゃあもしかして名前も……?」
「……すまん」
「い、いえ……」
そのまま、お互い俯いてしまう。ヤバい、一気に気まずくなってしまった……。
名前、か……。ほぼ一年間隣だったのに覚えてないってさすがに酷すぎるな。
「……名前、聞いてもいいか?」
「……葉月 双葉です」
少しだけ不機嫌そうに頬を膨らませながら、彼女はぽしょりと呟いた。
というわけで、隣の席の女の子(可愛い)としてたまに登場していたモブ子ちゃんだった女の子に名前をつけてみました。
初めてのオリキャラの葉月 双葉ちゃんです。読み方は「はづき ふたば」です。話を進めるごとに彼女がどんな子かを表現できていけたら良いなと思ってます。
これから少しずつ八幡と関係を深めていってはやくイチャイチャさせたいですね。八幡が双葉ちゃんに積極的になるのはもう少し先になりそうです……(๑´ω`๑)
あ、よろしければ感想をお願いします。初めてのオリキャラですので皆さんの感想を聞きたいです。よろしければお願いします!
ではでは今回もお読みいただきありがとうございました!