やはり俺が恋愛に積極的になるのはまちがっていない。   作:部屋長

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今回は後書きに大事な話(アンケート)があります!ぜひ協力してください!


やはり俺と恥ずかしがり屋な女の子のテンプレ青春ラブコメはまちがっていない。⑵

 目の前にいる少女──葉月 双葉という女の子はただただ可愛らしかった。

 さらさらとした艶のあるショートヘアの黒髪に、少したれ目な大きな瞳。すっと整った鼻に小さな口が、身体の小さな彼女により小動物を連想させている。

 そんな彼女は今、俺に名前を覚えられていなかったのがショックだったのか、目尻に涙を浮かべている。先ほどまではずっとおどおどしていた彼女だが、今は少しだけ怒った表情をしながら頬を膨らませている。

 

「葉月さんな。ちゃんと覚えた」

 

「さんは付けなくても……。同級生なんですし」

 

「ん、分かった。それなら葉月だって俺に敬語使う必要なんてないぞ?」

 

 言うと、葉月は頬を真っ赤に染める。

 

「そ、そそそ、それは無理です……」

 

「無理なのか」

 

「む、無理です……」

 

 持っていた本で顔の半分を隠しながら目だけをこちらに覗かせる。まぁ俺と目が合うとすぐに逸らしちゃうんだけど。

 何というかあれだな。俺に対してここまで恥ずかしがる女子が今までいなかったから新鮮な気持ちだ。

 

「葉月は男子苦手なのか?」

 

「は、はい。今まで男の子とはほとんど関わったことがなくて……」

 

「え、マジで? 普通に可愛い顔してんのに……あ」

 

 ……っべーわ。ちゃんと話したの今日が初めてなのに何言ってんの俺……。いや、ほんとマジっべーわ。

 やだよぉ……冬休みの間に変な方向に特化しすぎちゃったよぉ……。これじゃただの女たらしのチャラ男じゃねーか。

 見た目地味目なのに中身だけチャラいって……。うん、怖すぎるな。

 やっちまたなぁと反省しつつ彼女を見ると、葉月はこれでもかというくらいに顔を真っ赤にしながら目を泳がせていた。口はぱくぱくと開いたり閉じたりしてせわしない。

 

「そ、そそそそ、そんなことないですっ! 私なんて全然可愛くにゃんか……」

 

 ……うん、今のもかなり危なかった。反射的に「その反応が既に可愛いんですが」って言いそうになった。

 

「……あー、何か悪い。いきなりこんなこと言われても気持ち悪いだけだよな」

 

「い、いえ、そんなことは……。ちょ、ちょっと驚いただけです」

 

「や、だって俺ぼっちだし。同じクラスなんだから色々悪い噂だって知ってるだろ?」

 

 今の状況だって一緒にいるのを見られたら割とヤバいかもしれないのに。まぁもうクラスの奴らが俺の存在を認識してるかさえ危ういんだけど。人の噂も七十五日ってほんとなんだな……。辛い。

 

「えっと、その……わ、私は、人を噂で決めつけるのは良くないと思ってます……」

 

 葉月は本をぎゅっと胸に抱きしめながら言葉を漏らす。この言葉でさえ彼女は勇気が必要だったのか、その声は少しだけ震えていた。

 

「いや、実際その噂通りなんだけどな……」

 

「え? そ、そうなんですか?」

 

 聞き返してくる彼女に俺は苦笑いしかできない。そんな俺を見て彼女も少し困ったように苦笑いを浮かべた。

 な、何かごめんね? また俺空気悪くしちゃったよ……。

 

「で、でも、えっと、そのことは別に私は気にしませんから……」

 

「へ? いや、何で? それなら普通俺となんて関わりたくなくなるだろ?」

 

 この子ほんとに大丈夫なんだろうか……。良い人すぎるのか天然なのか鈍感なのか分からなくなってきた。

 

「だって比企谷君のしたことってその……小学生でもよくあることじゃないですか」

 

「や、俺一応高校生なんだけど……」

 

「あ、ご、ごめんなさい。それはちょっとした例えなので……。わ、私は相手にハッキリ物事を言うのは悪くないと思いますよ?」

 

 おどおどあわあわと言いながら彼女は「あ、でも」と付け足す。

 

「女の子を泣かせるのはある意味関心しちゃいますけどね……」

 

「や、まぁそりゃそうだけど……。それにしたってついさっき関わり始めたばっかなのに俺の評価高すぎないか?」

 

 聞くと、葉月は顔を赤らめながらちらりと上目遣いで見つめてくる。

 

「だ、だって比企谷君は良い人ですから。いっぱい謝ってくれてちゃんと仕事も手伝ってくれてますし……」

 

 やだ、この子ちょっとチョロインすぎない? まぁもう良い人認定(死刑宣告)されちゃったけどね! 

 ふええ、ぜんぜん脈がないよぉ……(当たり前)。

 

「あ、な、何かごめんなさい……。色々変なこと言っちゃって」

 

「いや、気にしなくていいぞ。こっちもその、なんだ。……ありがとな」

 

 何となく口から漏れてしまったその言葉に、葉月はまた顔を真っ赤にしてしまう。そろそろそんなに顔真っ赤にして大丈夫なのか不安になってきた。

 

「は、はひっ。どういひゃひまして……」

 

「そこで噛むのか……」

 

「うぅ……」

 

 恥ずかしそうに唸りながら俯いてしまう彼女を少しだけ可愛いと思いつつ。俯いている彼女が手に持っている本を見て本来の目的を思い出す。

 

「そろそろ整理の続きやるか」

 

「そ、そうですね」

 

 つーか何で俺たち図書室の奥の方で立ちながらこんな話してたんだろ……。うん、俺が葉月の名前覚えてないのと急に可愛いとか言い出したのが悪いんですね。

 

「つっても特に整理するとこねーよなこれ」

 

「は、はい。あんまり利用する人も少ないですしね」

 

「まぁそりゃそうだろうな」

 

 それでも少しは整理するとこはでるわけで。他の本より出っ張ってたりする本や、順番が間違っている本を直したりと割と簡単だった。

 そんな作業を繰り返しているとふいに、隣で整理をする彼女が動きを止めた。

 

「ん……っ」

 

 葉月は背伸びをしながらぷるぷる震えながら二段目の棚に手を伸ばしていた。一段目の時とは違く何とか本に指は引っかかっている。そんくらい俺がやってもいいのにな……。

 

「これか?」

 

「んー……」

 

 俺が手を伸ばすと同時にもう一度頑張って背伸びをした葉月の指が少しずれる。ぴとりと──彼女の白くて細い指が俺の指に触れた。

 

「ひゃわっ!」

 

 慌てて指を離した葉月は身体ごと後ろに向けてしまう。

 

「わ、悪い……」

 

「い、いえ、こちらこそ……」

 

 ううむ、ちょっと指を触れただけでこの反応ってさすがにマズいんじゃないだろうか……。この子将来悪い男に引っかかってしまうんじゃ……。

 ……ほぼ一年間この子に図書書委員任せっきりだったもんな。お礼ということで一つ聞いてみるか。

 

「なぁ葉月。ちょっといいか?」

 

「……は、はい?」

 

 ぷるぷると震えながら振り返って俺を見つめる葉月。だが、毎度同じことで俺と目が合うとぷいっと目を逸らしてしまう。その顔はぷしゅーと湯気が昇るんじゃないかというくらい顔を真っ赤にしてしまっている。

 さっき指が触れたから恥ずかしさが倍増してるんだろうか。や、まぁ俺もちょっとだけ恥ずかしいんだけどな。

 俺のおせっかいかもしれないが、そんな恥ずかしがり屋な彼女の役に立ちたい。俺は一つ、覚悟を決めて大きく息を吐く。

 

「……男子に慣れる練習をしないか?」

 

「へ……?」

 

 葉月は大きな目をぱちくりさせながらこてんと首を傾げた。

 




やっぱり0からの関わりなので他のキャラよりかなりのんびりゆったりしてますね。これからものんびりやっていこうと思います(๑´ω`๑)

というわけで前書きに書いた大事な話(アンケート)をしたいと思います。長くなるので先に感想や評価、お気に入り等々よろしければお願いします!

では、お話します。以前メッセージで見づらいのでキャラごとに話をまとめてほしいというメッセージが何件か来ました。
話数ももうすぐ40話ということなので、今まで通りこのまま順番に投稿し続けるか、いろはす√、ゆきのん√みたいな感じでヒロインごとにまとめるかどっちがいいかというアンケートを活動報告で取りたいと思います。
とりあえず、詳しい話は活動報告に書きますのでぜひアンケートにご協力ください!

ではでは今回もお読みいただきありがとうございました!

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