やはり俺が恋愛に積極的になるのはまちがっていない。   作:部屋長
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あざとかわいい彼女のアフター第二弾ですっ!


勘違いは時としていい結果をもたらす。

 
 冬のある日、今日も今日とて一色に呼び出された俺は、いつも通り生徒会の手伝いをしている。
 もちろん奉仕部に顔は出している。でも30分も経たないうちに一色が来たから紅茶を飲んでたら終わってしまった。別に依頼がある訳じゃないからいいんだけどな。
 というか、今日の仕事の内容からして俺必要ないと思うんですよね……。まぁ彼女といれる時間が増えるのは嬉しいっちゃ嬉しいんだけど。
 ちなみに例のごとく生徒会室で二人きりだ。他の奴らどこだよまじで。ほんとは今日生徒会ない日じゃないのこれ?
 絶対副会長と書記ちゃんデートしてるだろ。副会長許すまじ。

「先輩手が動いてないですよー。ちゃんと働いてくださーい」

 一色が紙に視線を落としたまま言ってくる。む、少し考えすぎたな。

「はいはい」

「はいは1回って習わなかったんですかー?」

 ぷーくすくすとバカにする感じで言われた。ムッキー!

「うっせ。お前も手止まってるぞ。働け」

「はーい」

「はいは伸ばさないって教わらなかったのか?」

 ぷーくすくすとバカにするように言ってやったぜ!

「は?」

「……何でもないです」

 怖い! 同じことしただけなのにいろはす怖いよ! 
 なんで俺は後輩の彼女に主導権を握られているのでしょうかね……。

「あっ、先輩今日デートしませんか?」

「は? デート?」

 いつも通り話がぶっ飛んでるな。この子は急に突拍子なこと言うからなぁ……。

「もちろん放課後デートですよっ!」

 仕事は飽きてしまったのか。紙から視線を俺に向けて、ぱぁっと明るい表情で言う。眩しい。
 てか一色さん、放課後デートするためだけに今日俺をここに呼んだよね……。っべー、まじいろはす策士だわー

「えー……」

 ほら、もうお外真っ暗じゃん?

「仕事もそろそろ終わりそうですしいいじゃないですかー」

 制服の裾を握ってぶんぶん揺らしながら駄々をこねてくる。

「でもなぁ……。愛しの小町が待ってるからな……」

 受験近いしなるべく家にいてやりたいんだよな……。まぁ小町からしたらありがた迷惑かもしれないけど。
 
「小町? お米?」

 一色はきょとんとした顔で小首を傾げる。

「お米じゃねぇよ」
 
「え……、じゃあ女の人……。しかも愛しのって……」

 何を勘違いしたのか一色の表情にはどんどん陰りが見え、目尻には涙が浮かぶ。

「えっ、いや違っ」

「っ……! 今日はもう帰ります……!」

 俺の制止も聞かずに走って生徒会室を出ようとする。
それを慌てて追いかけて一色の手首を掴む。

「ちょっ、話聞け! 小町は妹だ!」

「……ふぇ?」

 なんだそれ可愛いな……じゃなくて。
 あー……畜生。なんで俺は彼女のこと泣かせてんだよ。

「妹いるってのは前に言ったよな?」

 多分一色が生徒会長になったばかりの時に言った記憶がある。あと理不尽に振られた記憶もあるな。

「はい……」

「その妹がそろそろ受験なんだよ。だからなるべく家にいてやりたくてな」
 
「そうなんですか……。ひっく……よ、よかったです……。せん……ぱい、まぎらわしすぎですよ……」

 ぐすっと嗚咽を漏らしながら、一色が呆れるように笑う。

「ほんとに悪かった……」

「……別にいいですよ。妹さんのためですもんね」

 一色は涙を流しながらくすっと微笑む。いや、そこはもうちょっと怒ったほうがいいんじゃないの? 一色優しすぎるだろ……。

「……ちょっと顔あげろ」

「? は、はい」

 顔をあげた一色を抱きしめて唇をそっと重ねた。俺が今一色にできるのはこれくらいしかないしな。

「んんっ……」

 数秒間の触れるだけのキスをして唇を離すと、うーと唸りながら俺の胸元に顔をこすりつける。
 まぁ制服濡れちゃったけどしょうがないか。俺が悪いんだし。

「はぁ……早とちりしすぎなんだよ」  

 優しく一色の頭を撫でながら言うと、

「……先輩にはわたしを泣かせた責任をとってもらいます」

 小悪魔のような笑みを浮かべて一色が言った。わぁ……さっきまで泣いてたのに切り替え早い。

「……まぁ俺ができることなら」

「じゃあ今からわたしのこと、だ、抱きしめてください」

 恥ずかしそうに言う。可愛い。

「……おう」

「あとはいっぱいあ、愛の言葉をさ、囁いてください」

 照れながら言う。可愛い。

「……おう」

「もちろんキスもいっぱいしてくださいね?」

 楽しそうに言う。えっと、いっぱいって流石にそれは、その……。

「…………」

「先輩。返事は?」

 じとっとした目で言う。どうやら拒否権はないらしい。

「……はい」

 最初こそ言葉を詰まらせていて可愛かったのに、途中から容赦ない要望をされまくってるんですけど……。
 とりあえず一色の背中に両腕を回して優しく抱きしめる。

「ん……もっと」

「……はいよ」

 少し力を入れると胸の中で一色が甘い吐息を漏らす。あごのすぐ下に一色の頭があるので、さらさらとした亜麻色の髪からはシャンプーのいい匂いがする。
 
「先輩、愛の言葉も囁いてください」

 遠慮ないねあなた……。これでも俺らキスまでしか関係進んでないんだからね? そうぽんぽんと愛の言葉囁けるほどメンタルないわ。
 でも頑張る。俺が一色を泣かせた罪は重いからな。今日の俺は一色が満足してくれるまで何でもしちゃう。

「いろは」

 顔を一色の耳元まで下げて、とりあえず名前で呼んでみる。

「えへへ……どうしました先輩?」

 どんな顔してるかは分からないが、名前で呼ばれたからか、その声はとても嬉しそうだ。
 と、ここで思ったことがある。や、正確には今まで何度か耳元で囁いたことあるから毎回思ってることなんだけどな。
 一色の耳たぶってめっちゃ柔らかそうだよな……。

「はむっ」

「ひゃあっ!?」

 耳たぶを唇で挟むと一色が悲鳴のような声をあげる。この距離でその声の大きさだと流石に耳が痛くなる。
 だがそんなことも気にならないくらいめっちゃ柔らかい。止められないわこれ。

 はむはむはむはむ……。

「〜〜~〜! せ、先輩っ、だ、だめですってばぁ……」

 一色が体をぷるぷると震わせながら、ふにゃふにゃな甘い声を出す。
 ……うん、これはダメだわ。学校で理性崩壊なんてしたら大変だし。
 あ、そうだ。あとは愛の言葉囁くんだっけな。
 
「いろは、大好きだよ……」
 
 耳たぶに唇を付けたまま吐息混じりの、俺ができる最高の甘い声で囁いてみた。

「はにゃぁ……」

 なんかよく分からない声を上げて(可愛い)、俺の胸元に顔を埋めておでこをこすりつける。

「……キスするから顔上げろ」

 言うと、しゅぱっと顔を上げて、目を閉じてからんっと唇を差し出してくる。
 ……ちょっと行動が早すぎない? どんだけキスしたいんだよ……。 

「…………」

 唇を突き出して今か今かとキスを待ちわびている一色を見て思う。
 超可愛いんですけど! え、なにこの子。天使?

「んっ……はやく、……んっ」

 俺がキスをしてこないからだろうか、目を閉じたまま唇を更に差し出してくる。
 なんで唇突き出すたびに「んっ……」て甘い声出すんでしょうかね。可愛いですからもっとお願いします。
 まぁもう俺も我慢できないので、一色のことを抱きしめる力を強め、顔を傾げ、ゆっくりと唇を重ねた。

「んふう……」


××××××

 
 結果から言ってしまえばあれだ。あれからめっちゃキスした。ただそれだけ。それ以外の説明の使用がない。
 一色が満足するまで数え切れないくらいしたんだけどね。ちょっとお腹いっぱいです。
 今は学校を後にして、一色を駅まで送っている最中だ。
 一色は自転車を押しながら歩いている俺の腕に抱きつきながら、楽しそうに鼻歌を歌っている。

「……今週の休みってなにかあんのか?」

「はい? んー、特に何もありませんよ?」

「なら、あれだ。……で、デート、い、行かねぇか?」

 ふぇぇ……キョドりすぎて気持ち悪いよぉ……。もう学校でメンタル使い切った。1週間は動ける自信がないわ。

「…………」

 一色は立ち止まり、ぽかんとした表情で俺をを見てくる。え、なんで無言?

「……もしかして嫌だったか?」 

 今日の放課後デートもなしになったからもしかしてぷんぷん丸? 実は怒ってたパターンですか?

「い、いえ! そんなことないです! 絶対に行きます!」

 一色は腕をわちゃわちゃぶんぶんと振りながら断言してきた。
 せめて腕に抱きつくのやめて少し離れてから腕振ってね? 何発か脇腹とかにヒットしてるから。
 
「お、おう」

「えへへ……デート、楽しみにしてますね?」

「……俺もだよ」

 満面の笑みを浮かべて「先輩とデートっ♪」と楽しそうに言っている一色を見て自然と顔が綻んでしまう。

 まぁ今日でよく分かったことは、勘違いには注意したほうがいいなってことだ。今回は結果的によかったかもしれないけど一歩間違えたら大変なことになってたしな。勘違いって本当に怖い。
 
 今日のこともあって一色が更にベタベタしてくるようになったのはまた別の話だ。日に日に可愛くなっていく彼女にドギマギしている俺の気持ちも考えて欲しいものだ。



ゆきのん√後編にて、今回初めて日間ランキング1位になれました。圧倒的感謝です!今後ともよろしくおねがいします!

ではでは今回もお読みいただきありがとうございました!







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