この悲しくも美しい世界にて   作:ふがふがふがしす

12 / 17
どうも、お久しぶり(?)です。
駄菓子です。
ちょっと研修やらモンハンやらで遅れました、ええ。
とりあえず短いですが本文、どうぞ。


緑に飲み込まれた街にて

 ーーふ~んふふふ~んふんーー

 

 数日続いた嵐も通り過ぎ、台風一過なんて言葉を思い出すくらいには、よく晴れたある日。

 ボクは今、珍しく鼻歌なんて歌いながら歩いている。

 そしてボクの頭の上には、そのらしくもない鼻歌を歌っている原因がのっている。

 

 ーーにゃーにゃにゃーにゃーーー

 

 ボクの調子外れな鼻歌に、合わすように鳴いているこの子。

 そう、マヨヒガっぽい場所で特になついてくれた、黒い子猫だ。

 ボクはこの子を手懐けることに成功したのだ!

 この小さく可愛いボクの同行人(同行猫?)は、賢いのか全然手間がかからない。

 とりあえずボクは、この子を飢えさせたりしないように、ひもじい思いをさせないように、道中の木々から少しずつ、その果実を拝借してくことを決めた。

 

 

 閑話休題。

 

 

 まあ、そんなボクの誓いは置いといて。

 いやまあ、置いといて良いものではない気がするけど…って危ない危ない、また思考が脱線するところだった。

 ボクが今歩いている道は、かつては山間部のそれなりに大きな街だったんだろう、これまたそれなりに大きな道路だ。

 元々、あったのであろう街路樹と、山の方から拡がって来たんだろう木々が、既に入り交じってしまっている。

 

 メインストリート(多分だけどね?)に面していて、賑わっていたのであろう商店街。

 その店達もその表面に蔦をびっしりと生やしていたり、雑草に覆われていたり。

 すごいものでは大きな樹に、そのど真ん中を貫かれる様になっている店まである。

 車なんかも、所々にあって、それら全ては錆びて、雑草に囲まれて、朽ち果てている。

 座席のスポンジ部分は露出していて、そこから精一杯生きている草花が、太陽に向かって伸びている。

 名も知らない白い花が、木漏れ日に照らされている様はあまりにも神秘的で。

 でこぼこになった道路を、水玉模様に彩る水溜まりが反射して、そのレンズそれぞれに写す様々な風景は、息をすることも憚られる様な、そんな幻想的な光景が広がっている。

 その光景が、この世界が確かに終わっているということを、静かに、優しく、だけど強く示しているようで。

 ボクはそんな光景に見惚れながらも、少しだけ、ほんの少しだけ胸が痛むのを感じた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 この通りの先は、どうやら駅に続いてるらしい。

 駅に近付けば近付く程に、建物は大きくなっていて、その分倒れている建物も、多くなっている気がする。

 その瓦礫が多くなってきた道の向こうに、小さめの駅が見えてきた。

 地殻変動か、はたまた地盤沈下か、それとも液状化現象なのかは、そういう知識が無いボクには分からないのだけれど。

 駅は少し窪んだ所にあった。

 当然、下り坂になっているわけだから、雨水はその駅の方に流れていっていたようで。

 その周りは、ちょっとした池のようになっていた。

 流れ込んで来ていない上に、今はほぼ無風だからか、その表面は静まりかえっている。

 

 明鏡止水、なんて言葉があるけれど。

 それはきっと、この目の前の光景の様なことを言うのかな?

 正に鏡の様に上下に別れている、忘れ去られた駅。

 昔はその体に、人を乗せて運んでいた鉄の馬車の姿は何処にもなくて。

 それがどこか寂しそうに見えて。

 でも、満足そうにも見えて。

 人類がいつ頃から居なくなって、なんで居なくなったのか。

 ボクには分からないし、解明する気も無いのだけれど。

 残された…いや、遺されたその建物は。

 少なくとも、後悔はしてなさそうに見えた。

 ボクはその駅の中に、入ってみることにした。

 幸い、池のようと言っても雨水だから、深いところでもボクの膝下くらいのようだし。

 おもむろに、靴を脱ぎズボンを捲って濡れないようにした。

 澄みきった揺らぎの無い水面に、波紋を起こすのにはちょっと躊躇したけれど。

 ボクは水の中に足を入れた。

 

 ーージャブジャブと、音をたてながら進む。

 頭の上で黒猫が鳴く。

 周りの木々で、蝉がその生を謳歌している。

 街のどこからか、小鳥達が囀ずっている。

 ジャブリ、ジャブリと。

 ボクは歩みを進める。

 その進路を遮る様に、鮮やかな緑色をした蛙が泳いで行った。




駅は次回となります。
まあ、作者の貧相な語彙で情景を描写できるのか、という不安はありますが。
そういえば、もう少しでお気に入りが二桁になりますね。
正直、見てくれてる方はもっと少ないと思ってたので驚きです。
廃墟とかをメインに据えてるのってなかなか見ないので、そんなみてくれる方が居るとは。
まあなにはともあれ、これからも細々とやっていきますのでお付きあいいただければ幸いです。

PS:ちなみに作者はエリアル大剣やってますw
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。