次話はまあ、ゆっくり待っていただけるとありがたいです。
ーーー奇妙な家を見つけた。
茹だるような、鍋の中に居るような気分になる夏が過ぎて、風も涼しくなってきた今日この頃。
…涼しいを通り越して、肌寒いと思うこともしばしばあるけれど。
夏から秋に移り変わり始めて、木々も衣替えをしてボクの目を楽しませてくれる、そんな時期。
高くて抜けるような空の下、ボクは何時ものように歩いてた。
丁度、お日様も一番高い所に登ったくらいの時間帯。
とある山の麓で、その家と出会った。
その家は、とても色彩豊かだった。
具体的に言うと、屋根が赤・黄色・茶色で、壁は白と緑で構成されていた。
朽ちてもなお、威圧感を与える門に護られるように、それは存在していた。
まあもっとも、その門も中にある家と同じような色をしているのだけれど。
長々と回りくどく説明してみたけれど、つまるところ。
屋根から様々な植物が生えたり、飛び出ていたりする…、そんな家だった。
いや、かなり立派だからお屋敷って言った方がいいのかな?
きっと持ち主だった人は、酔狂な人だったんだろうな。
だってこんな辺鄙な所に、こんな古風なお屋敷を建てるんだから。
そんな酔狂で奇妙な家に、ボクはお邪魔することにした。
…面白そうだし。
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大きく立派で和風だけれど、植物に彩られているせいか、西洋の庭園にあるゲートを彷彿とさせる門をくぐる。
門のすぐ後ろには、一本の松が生えていた。
他の植物が赤くなったり黄色に染まっている中で、何時でも青々とした姿の松。
樹齢何年なのかは分からないけれど、その腕を大きく広げていて、まだまだ現役だと力一杯に叫んでるその姿は、とても大きく見える。
その傍らには、小さな苔むした燈籠が置いてある。
かつては、中に置かれていただろう蝋燭はもう無くて、少し黒ずんだ部分が使われていた事を証言している。
夜闇の中で月を背にして、傍らにある燈籠から漏れる光に照らされる一本の松。
その姿を想像すると、幻想的に思えて見てみたくなる。
…後でやってみようかな?
篠笛とかの音色がすごく似合いそうだな。
そんなことを想像しながら、松の下を通り抜けて戸口に向かう。
がらがらと、戸口を開ける。
そこはやはり、というか期待通りというか、土間だった。
右側にはかまどが幾つかと、水場と瓶…とまあ、そんな古民家!って感じの調理場が広がっている。
かまどは一つを残して大きく崩れているし、残った一つも大きなヒビが入っている。
瓶は干上がっていて、中を覗くと蜘蛛の巣が張っている。
まな板は腐り、朽ちているし、包丁も錆の塊となっている。
食器棚は辛うじて崩れてはいない…けど、触ったら一気にいきそうなので、触らないようにする。
…怪我なんてしたくないし、壊したくないからね。
奥に進むとそこは風呂場のようだ。
まあ、タイル等使われてない上に、ほとんどが木で出来ているようなので、朽ち果てているけれど。
窓から陽射しが射し込む場所は、苔が繁栄していて緑に染め上げられている。
元はスノコだったんだろう謎の物体の向こう側には、大きな釜のようなものがある。
どうやら、五右衛門風呂と言われる種類の浴槽を採用してたようだ。
…でも、形が釜ってどうなのさ。
これではまるで、自分が煮られている気分になりそうだ。
ここの持ち主だった酔狂人は、これに入りながら 絶景かな、絶景かな! とか言ってたのかもしれない。
そんなアホな想像をしながら、ボクは風呂場を後にする。
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土間に戻って、右側にある上がり框を踏み越える。
ギシギシと、キシキシと抗議の声を上げる、天然製の鶯張りの音を楽しみながら、廊下を進む。
…これ、床板踏み抜いたりとか…しないよね…?
まあ、内心戦々恐々としているのだけれど。
窓から射し込む日光に照らされる、薄暗い室内を時折覗きながら、長い廊下を進む。
時々ある曲がり道や、分かれ道をなんとなくこっち!と思う方向に進む。
幾つかの襖や障子を通り過ぎながら、この先にある光景を夢想する。
立派な庭もあったし、お屋敷なのだからどこかにあるだろう、お茶室を夢想する。
…夢想し過ぎて、ささくれ立った床板に躓いて転びかけたのは内緒だ。
さあ、今度はどんな風景が見られるのかな?
毎日毎日なぜかお一人は見ていただいてるらしい、この小説もどき。
お陰様で500PV、お気に入り20人突破しました。
思ったより伸びててびっくりしてる作者です。
まあ、ランキングに乗ってるような作品と比べたら吹いたら飛んでいくような数ですが。
ここで一つ疑問が。
この小説を皆さんどのようにして知ったんですかね?
一番ありそうなのは新着かなー、とは思うんですが。
読了、お疲れ様です。