この世界に囚われてから一夜が過ぎようとしていた、ほとんどの人は救助が来ると信じはじまりの街で立て籠っていた。
もし、来るとしたら既に全員が解放されているだろう、つまり救助はあてにできない。
となれば支配者の言葉通り進むしかない…だが全員が進もうと歩みだすか?
この答えはNOだ、人間はそんなに強くない…空のエースオブエースのような不屈の闘志を持っているのなんてごく限られている。
生死の戦いの火蓋が切って落とされたのだ…言っちゃ悪いが平和ボケしている日本人なんかは恐れないはずがない。
俺はそろそろ行動に移そうと思っている、第一には晶彦さんの安否、真実を求めるのも同じくらいに優先する予定だ。
となると支配者の口車に乗るのも癪だが攻略に手を出すしかないな。
昨日のうちにこれのマニュアルは全て頭に叩き込んだ。
そしてスモールソードという初期の片手剣を購入し一晩宿屋で寝た。
今日始めに向かう場所は黒宮殿だ。
この街の中央に位置するこの街の象徴している巨大な建物それがこの黒宮殿だ。
この中にはプレイヤーの名が書かれている巨大な石版が置かれておりこの世界から消えたものはその名前に横線がしかれて死亡日…死因まで記載される。
「全く嫌な仕様だな」
これから支配者の陰険さがにじみ出てるというものだ。
俺と同じようにプレイヤーがこの場所で石版を見てどれもこれも絶望している表情なのは言うまでもない。
だが俺はこれを見るために此処に来たわけではないあるプレイヤー名を探すために此処に来たのだ
そういってアルファベッド順に並んでいるスペルを見ていき…あった
「ヒースクリフ…まだ死んでない…」
ヒースクリフ…このプレイヤー名は晶彦さんで間違いない…前にユミカから聴いていたものと同じだし
「取り合えず第一目的はヒースクリフを見つけることかな」
居るとしてもまだこの一層のどこかのはずだ探せば見つかるだろう。
そう思い黒宮殿にはもう用がないので出て広間へとうろつく。
「とっても外に出ても迷子になるだけかもな…幾らか情報が欲しいんだがな…」
こう言うときベータテスターがいるとわかるんだが…
「っ!?」
どうするか考えていると視界の隅に何故か現実で見覚えのある姿をした少女を捉えて目を大きくする。
「見間違え…じゃないよな」
何故彼女が此処に?こういったものに関しては無関心な子だと思っていたが…
「嫌な予感がする」
ここで追わなかったら取り返しの付かないことが起きそうで俺の体は追いかけようと思った直前には動いて彼女を追いかけた。
???side
どうして…こうなってしまったのだろう
出張にいくお兄ちゃんのナーヴギアを少し借りただけだった、高校受験も控えていたけど少し息抜きだと思ってこのSAOをプレイした。
初めは何もかも見るのがはじめてで楽しかった…
けどそれは夕暮れと共に終わりを告げた。
ログアウト不可能?ゲームなのに本当に死ぬ?脱出するには100層まで辿り着け?そんなの…無茶苦茶すぎる
こんなの悪い夢なんだ…そう思って一夜が過ぎて目が覚めればいつも通り私の部屋だと思ってたけど現実は非常だった。
どうして?どうしてこんなことに巻き込まれてしまったの?ほんの興味本意でプレイしただけなのに…どうして…
100層到達だっていつ終わるかもわからないしそれに私にはそんな悠長な時間なんてない。
高校受験が待ってるしそれ以前に期末試験だってある、それを受けなかったら成績だって落ちてしまう…お母さんやお父さんに失望されてしまう!
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!
一刻も早くこんなゲームから出ないと!
そういえば外周から乗り出して落ちていったプレイヤーが此処に帰ってこなかったみたいだけど…こんな怖い思いしたんだもんね、戻りたくないわけないよね…今頃現実で楽しく暮らしてるに決まってる。
そして私は街端のこの城の外周にきた下は雲の上だからそこが見えないでも此処から元の世界に帰るんだ怖くない。
私は柵を超える。
後ろから走る足音がするが気にすることでもない。
そして私は目を閉じて前向きに体重をかけ少し浮遊感に包まれて此処で私は意識を失った。
カインside
「くそ!一体どこに!」
あの子を追いかけていた俺だが路地裏に入った辺りぐらいで見失ってしまい辺りを見渡しながら走っていた。
早く見つけないといけないのに!
焦る俺は前の角から女性が出てくるのに気がつかずぶつかってしまう。
「きゃっ!」
「あ、すみません!こちらの不注意で」
ぶつかってしまって俺はすぐに謝る。
「いいえ、大丈夫です…あの急いでいるみたいですけどどうしたんですか?」
女性はどうしたのかを訪ねてくる、恐らく焦りが顔に出て心配になって伺ったのだろう。
何か手がかりを知っているかもしれない聞いてみるか
「あのこっちで茶髪のロングヘアーで大体中学生ぐらいの女の人は見かけませんでしたか!?あ、あと容姿もかなり綺麗な」
ありっきりの情報を教えて女性は頭のなかから思い出すと何か心当たりがある表情になる。
「そういえばついさっきそんな女の子が思い詰めた表情で外周の方へ…まさか…! 」
女性も察しがついてしまったのか焦りが顔に出て来る。
俺は教えてくれたお礼もなしに外周に急いだまたいつか会ったときに御礼はしておこう
そして外周にたどり着くと辺りを見渡して探すと見つけた。
彼女はいま正に柵を越えようとしていた。
「嫌な予感が的中しやがった!」
彼女との距離は大体50メートル一直線に俺は走り抜ける。
間に合ってくれ!
後3メートルというところで彼女は前から倒れて落ち始めた。
俺は走りながら必死に手を伸ばす
彼女はどんどんと身を空へと放り出していく。
頼む届いてくれ!
「届けぇ!!!」
俺は必死に伸ばして彼女の手を掴んだ。
「うぐっ!」
掴んだのはいいが彼女の体は完全に宙に浮いている腕一本では持ち上げるにはかなりきつい、しかも逆にこっちが落っこちそうになる。
「くそ!いつもならこんなくらい!」
現実ならば持ち上げることなど簡単なんだがシステムが全てなこの世界では多少は反映されるも初期では一人では持ち上げることができない。
「君!」
すると後ろから先程の女性も来た、これは好都合だ
「俺一人じゃ引き上げられない!手伝ってくれませんか!?」
「ええ!わかったわ!」
そういって女性は俺と一緒に彼女の腕をもつ。
「一斉にいきましょう!一…二の…三!」
タイミングを合わせて二人で彼女を引っ張ると彼女の体を引き上げることに成功し体を地面に横たわさせる。
「はぁ…はぁ…なんとか…間に合った…あの重ね重ねありがとうございます」
「いえいえ、どういたしまして」
女性にお礼をいうと俺は彼女に視線を向ける
どうやら気絶しているようだがこんな近くで見て間違いなく彼女だ。
「やっぱり…どうして彼女が此処に…」
「お知り合いなのですか?」
「一応…顔見知りで…彼女…完全に気絶してるみたいですね…どうすれば…」
宿につれていくのも…なんか犯罪のような気がするな
「良ければですけど…実は寝泊まりできる教会があるんですがそこに来ませんか?」
教会か…そこなら問題ないかな
「ありがとうございます、それじゃあお言葉に甘えて」
そういって俺は彼女をおぶり女性の先導で彼女がいう教会に案内してもらうことにした。
「にしても…どうして君が此処にいるんだ?明日奈」
気絶している彼女…結城明日奈を背おいながら女性の後を歩いていくのであった。