和泉という家筋
和泉家ーーーーー
私の聞くところによると、和泉家は日本神話で出てくる最上位の神様(?)である天照大神と契りを交わした一族の末裔らしい。
その証拠に我が和泉家の血を引く者は代々体の何処かに『天照大神』の姿でもあった狼の特徴が出ている。例えば獣のような耳が生えていたり、尻尾が生えていたり、犬歯が異常に発達していたり、鼻が効いたり・・・。とにかく純粋な人の形では無い。
そしてその和泉家の血筋は21世紀に入った現在でも続いていて、私がその血筋の末端であったりする。
私の名前は和泉 桜(いずみ さくら)。
京都の私立高校に通う普通じゃない女子高生で、理由は前述の通り。しかも私は天照大神の血が濃く出ているのか狼耳は出るし、犬歯は鋭いし、尻尾もあるし、目は紅いし、鼻も異常に効くし、犬派だし。とにかく人間じゃない。
そのため帽子は生活に欠かせないし、スカートや短いズボンは尻尾を隠せないのでNG。口は八重歯と誤魔化せるけど、紅い目は割と気味が悪いと評判。
本当に稀に良く思う。
「なんでこんな家に生まれて来たのだろう・・・」
基本的に隠し事が多い為に友達は出来ないし、学校では一人ぼっち。時には虐められた時もあった。そして秘密が暴露たりしたら化け物扱いされて転校。
友達と言えば犬くらいだ。血筋と関係があるのか知らないけど、どんな犬にも敬意を払われる。
「はぁ・・・」
そんな私はこの日もこの人生で数百回目のため息を吐きながら帰宅の路に就いていた。
そんな中・・・。
「キャンキャン!」
どこからか仔犬の鳴き声が聞こえた。しかし周りを見回しても仔犬の姿なんて見えない。
どこだろう?
「キャン!」
するともう一度、今度は上から聞こえた。
見上げてみるとそこそこ高い街路樹の枝に柴犬の子供がぶら下がっていた。いや、表現が違った。落ちかけていた。
「え?ちょ!ヤバイ!!」
気が付くと私は走り出して子犬の落下予測地点に向かっていた。
あの子犬も運が悪いのか、ぶら下がっているのは車道にまで伸びた枝。しかも高さも7m程はあるし、何より交通量も多い。
「(死んでしまう・・・っ!)」
その思いだけが私の中にあった。
遂に耐えきれず落ちてしまう仔犬。私はさも野球のヘッドスライディングのように飛び込んで仔犬をキャッチ・・・・・・した!
ギリギリで仔犬は硬いアスファルトに叩きつけられずに私の手のひらに弾かれて「キャン!」と声を挙げながら草むらに着地する。
「よかった・・・」
そう思った瞬間。
私の視界に入ったのはけたたましい警笛を鳴らしながら走ってくる大型トラックだった。
ここは車道。そして距離にして5m程の距離の大型トラック。
後は簡単にどうなるか分かった。
ビチャァッ!
後に残ったのは血だらけの現場と、動かない私の肉体だった。
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時は戦国、世は群雄割拠。
十年にも及ぶ応仁の乱は京の都を灰にして、中央政権だった室町幕府の求心力を大幅に衰退させた。
既に各地の大名達は各々の大義や野望を掲げて、自らの領地を広げる戦乱を繰り広げている。
そんな中で我が和泉家は織田の尾張と今川の三河に挟まれた鳴海の国(三河湾周辺の新興国)の保持が精一杯だった上に、当主であった和泉 信輝様がご子孫を残さずに死去してしまった。
とうとう当主不在となった和泉家は自然崩壊して、家臣達は織田に降伏するか今川に降伏するかでかなり揉めたいた。
「して、本多忠勝殿はどうお考えか?」
信輝様不在の軍議の間で私は今川派の家臣に決断を迫られていた。
私は・・・この家を裏切りたくない。この家を捨てたくない。
でも既に当主は死んで、家柄も形骸化してしまっている。私は・・・・・・
「私は、いま・・・」
そこまで言いかけた時だった。ドタドタと足音を立てて伝令の侍大将が軍議の間に入ってくる。
「大変です!城下の者達が、現神様が出たと騒いでいます!」
「「「なんだとっ!!」」」