アリシアお姉ちゃん奮闘記   作:燐禰

20 / 24
拝啓:母さん、フェイトが人間止めました

 少々息を切らせ、未だへっぽこな自分のスタミナを実感しつつ階段を上る。てか、転送装置みたいなの付けてくれればいいのに、変な所でローテクで困るね。

 

「……ごめん、遅くなった!」

 

「いや、まだ始ってはおらん。問題無い」

 

 訓練校から大急ぎで来た私に、王様が簡潔に間に合った事を伝えてくれる。

 

 ここは時空管理局本局内で最大級の広さと耐久力を誇り、大がかりな訓練での使用を目的とした第五訓練場の観戦室。私が今日この場に急いでやってきたのは、フェイトがここで行われる模擬戦に参加するからだった。

 今日行われるのはかなりの大規模模擬戦で、魔導師100人対100人、計200人の大人数で行われる。参加者は若手魔導師からランダムで選出されたらしい。

 

「どれどれ……おぉ、やっぱこれだけの人数が居るのは壮観だね。あ、はやても出るんだ」

 

「うむ、奴と守護騎士二人も参加しておる。貴様の妹とは別のチームだがな」

 

 参加者をざっと眺めてみると、はやて、シャマル、ヴィータの姿もあり、どうやらこの大規模模擬戦に参加するらしい。それ以外には、私達がよく知ってる人は少ないね。私個人で言えば、120人位は知り合いだけど……

 

「けど、凄い面子だね。殆どAランク……分隊長クラス以上の魔導師じゃん」

 

「ああ、この大規模模擬戦は管理局としても大きな試みらしい。観戦者も相当の数にのぼる。複数ある観戦室だけでは無く、モニタールームにも人が溢れかえっていた」

 

「ふへぇ……大一番だね」

 

 でもこれは実際良い経験になるんじゃないかと思う。特にフェイトは執務官志望だし、執務官になってからじゃこれだけの人数での模擬戦は中々経験する機会が無いだろうしね。

 いや、でも、実際凄い人……王様に頼んで私の席も確保しておいて貰って良かったよホント……

 

「あ、アリシアだ。やっほ~」

 

「お、レヴィも来てたんだ」

 

「うん。ここじゃないけどにゃのはとかシグにゃむも来てるみたいだよ~さっきシュテるんが通信してた」

 

 青のツインテールを揺らしながら現れたレヴィと軽く挨拶を交わす。ユーリも少し離れた場所に姿があるし、この観戦室には王様の家族が集まってるのかな?

 ちなみにレヴィの言うにゃのはとは、なのはの事で、シグにゃむはシグナムの事だ。レヴィはわざとやってるのか、単純に覚えられないのか……基本的に家族以外の名前は間違えて呼ぶ、フェイトの事もへいとって呼んでるし、私も……って、あれ?

 

「……そう言えば、レヴィって最近私の名前間違えないよね?」

 

「ひっ!?」

 

「……なんで、そんな怯えた顔を……」

 

「……貴様の妹によって刻まれたトラウマだ」

 

 レヴィは数か月前までは、私のこともありしゃとかそんな風に間違えてたはずだけど、思い返してみれば最近は普通にアリシアって呼んでくる。そう思って尋ねたんだけど……またフェイトが、何かやったのか!

 

「えっと、うちの妹が、また何か粗相を?」

 

「……一言だけ言うのであれば、我は今までの人生で、あれほど恐ろしい『壁ドン』を見た事が無い」

 

「……ボク、分かったんだ。この世には……間違えちゃいけないものがあるんだって……」

 

「……えと、代わりに謝っとく。ごめんね」

 

 どうやらよほどの恐怖体験だったようで、レヴィはブツブツと呟きながら体を震わせ、王様も遠い目をしている。別に私の名前は、間違えても良いものに分類されると思うんだけど……まぁ、触らぬフェイトに祟りなしって言うし……

 

 そんな風に雑談を続けていると、周囲がざわつく。

 

「お、始まった!」

 

「……やはりAチームの指揮は小鴉か……Bチームは、見覚えは無いな」

 

「確か中隊指揮資格持ってる人だけど……分隊長とかじゃ無かった気がする」

 

「ふむ、そうなるとやや黒ひよこが不利か」

 

 大規模模擬戦が開始され、魔力弾や砲撃魔法の閃光が飛び交う。Aチームを指揮するのははやてで、その両脇をシャマルとヴィータが固める盤石な布陣。逆にBチームは少し指揮官周りが浮足立っている様に見える。

 ざっと私が見た限り、純粋な戦闘力と言う部分で上回るのはBチームの面々。フェイトを筆頭に若手のホープや高ランク保持者が多い。でも、癖の強い人ってか個人、少数チームでの戦闘が強い人が多い気がする。

 

 対象的にAチームはチーム戦に慣れた人が多いのか、はやての指揮で的確に陣形を組んでる。強い相手には一対一で当らない様に立ち回ってるし、位置取りがかなり上手く見える。

 

 っとそんな事を考えていると、フェイトが少し本隊から離れた場所に移動……いや、誘導されているのが見えた。

 

「あっ、フェイト駄目。そっちに行っちゃ……」

 

「まぁ、当然だな。全体で見ても黒ひよこの力は抜きんでている。当然、本隊から分断してくるだろう」

 

 はやては単独での戦闘力が高く、凄まじい機動力を有するフェイトを巧みに誘い本隊から分断……孤立させてていく。

 その誘導は見事の一言で、私達は上から全体を観戦してるから分かるけど、現地で乱戦の最中にあるフェイトではそう簡単には気付けない。

 

 流れは完全にAチームだけど……フェイトは流石に強い。10人近くに囲まれながら、優勢に戦闘を進めている。けど……その10人は攻め込んだりはせず、防御と回避に重点を置いて立ち回ってる。一人が結界魔法を展開、フェイトが本隊の救援に向かえない様にしてから、他9人で術者を守る。これはいくらフェイトでも、突破に時間がかかるかもしれない。

 

 フェイトさえ抑えてしまえば、はやてが広域殲滅魔法を使う上での障害は消える。そうなれば後は……

 

「口惜しいが、流石小鴉と言ったところか……決まったな」

 

 王様がそんな風に呟く言葉、それを肯定する様にBチーム本隊の中央に広域殲滅魔法が炸裂する。これでBチームの指揮系統は完全に崩れ、Aチームが一気に戦況を掌握した。

 

 こうなってしまえば覆すのは難しい、戦いは乱戦に移行しはやても広域殲滅魔法は撃てなくなったけど……数の差が響く。結果として、フェイトが包囲を突破した時にはAチーム残り半数、Bチームはフェイトのみ……ザット考えて50対1の絶望的な戦局が完成していた。

 

 戦局は決した。もう、いくらフェイトでも覆せない。これはフェイトを責めるべきでは無く、はやての指揮の巧さを称えるべきだろう。こういう大人数での戦いは、はやての独壇場……出来ればフェイトが負けるとこなんて、見たくは無かったけど……こればっかりは……

 

 そんな事を考えていると、ふとフェイトと目が合い……フェイトがこちらに向かって微笑んだ様に見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 50人近い圧倒的な戦力差を目の当たりにしながら、フェイトはギブアップを宣言しなかった。戦術でははやての方が一枚も二枚も上手、それを実感しながら、自分を取り囲む様に展開していく魔導師達を見ながら……それでも、彼女の心は落ち着いていた。

 

 フェイト・テスタロッサ・ハラオウン……彼女は稀代の天才だ。魔力量、運用技術、頭の回転、反射神経……本来そのどれか一つでも持っていれば天才と呼ばれる様な才能を、彼女はいくつも有していた。

 しかしこの世に完璧な存在など居ない様に、彼女もまた無敵でも完璧でも無かった。フェイトの才能は肉体面とでも呼ぶべきか、そちらに集中している。

 確かに彼女は他を隔絶した天才……幼くして強大な力を有し、正しく最強の座に辿り着けるだけの資格を持った存在だった。しかしそんな溢れる程の才能とは対極的に、彼女の精神面は酷く繊細で傷つきやすく、そして何より脆かった。

 

 フェイトには最強に至れる才能はあっても、最強になろうとする心は宿っていなかった。彼女は心優しい性格をしており、そもそも争う事を好んではいない。故に、彼女は最強になる事は出来ない。

 よく比較の対象にあがる存在、高町なのは……彼女もまた稀代の天才であり、フェイトと並び称される存在ではある。初めて二人が対峙した時、フェイトはなのはを圧倒した。しかし半年足らずで、なのははフェイトに追いつき……そして、追い越した。

 

 二人が正規の局員となってから今日までに行われた模擬戦。非公開のものを含めると……7:3でなのはが上回っている。その結果だけど見れば、なのはの才能がフェイトを上回っている様に見えるが……実の所、単純な才能と言う点ではフェイトの方が優れている。

 では、なぜフェイトはなのはに破れ、そして負け越しているのか……それは一重に、両者における精神面での差からだった。先にあげた様にフェイトはそもそも戦いを好んでいない。彼女は力を求めていない。

 

 フェイトが戦う動機、当初はただ母親に認めてもらいたい、役に立ちたい、母親の愛情が欲しい……そして今は自分を救ってくれた人達を助けたい、犯した罪の償いをしたい、自分と似た境遇の人々を助けたい。それが彼女が魔導師として刃を取る理由。

 逆になのはは……彼女もまた戦いを好む性格では無いが、必要な時には我を力で貫き通す強さも持っている。その為に努力も怠らず、今も尚人を導く立場に立つ為に力を求めている。

 

 なのはにあってフェイトに無いもの、それは力を渇望する意思。フェイトは天才だ。だからこそ、彼女は血のにじむ様な努力をせずとも、他者より高い基準に達してしまう。少なくとも彼女がこれで十分だと思える力は、すぐに手に入れる事が出来てしまう。そして、そこで立ち止まる。それ以上先を必要としない……それこそがフェイトが最強に至れない最大の原因だった。

 

 フェイトは力を求めない。今以上の力を必要としない。故に彼女はそのまま緩やかに、成長と共に力をまし、その才能で辿り着ける高さに落ち着いただろう……そう、アリシア・テスタロッサが現れなければ……

 

 性格だけでなくフェイトとアリシアは持ち得た才能も対極だった。アリシアの才能は精神面に偏る。不屈と言う言葉が生ぬるい程、異常なほど強固な精神力。人との繋がりを瞬く間に形成する社交性……そんな自分が持ちえない才能を持った姉の存在は、フェイトには途方も無く眩しく映った。

 

 そして、アリシアはフェイトを受け入れてくれた。彼女が渇望してやまなかった無償の愛情を、余すことなく注いでくれた。足りなかった心の隙間を満たしてくれた。

 そんな敬愛に値する姉との日々の中、フェイトの心に大きな変化が生まれたのは1年半前だった。

 

 ふと意識の覚醒した深夜。窓に映る月を見つめながら……寂しそうな顔で「ママ」と呟いている最愛の姉の姿……それを見た時、フェイトはようやく理解する事が出来た。

 アリシアはフェイトにとって自分にない全てを持った存在だ。しかし、彼女もまた一人の人間……無敵でもなければ、傷つかない訳でも無い。

 なら自分は姉に甘えているだけで良いのだろうか? 姉がくれる無償の愛情に甘え、それに縋るだけで良いのか? もし、自分がそれに縋り甘えるだけの存在になったら……誰が、姉を守るのだと……

 

 その日からフェイトは時間が許す限り訓練場に足を運んだ。今までした事が無かったほど、桁違いの鍛錬を……血反吐を吐くほどの努力を始めた。彼女に焼けつく程の力への渇望が生まれた。

 フェイトにとってのアリシアは、自分の遥か先を行く大きな背中。それに追いつき、いつか隣に並び立てる存在になる為……彼女は与えられただけだった稀代の才能を磨いた。

 

 そう、フェイトは稀代の天才だ。その天才が……強大な意思を持って、努力を始めた。それは即ち……

 

 訓練場の空、圧倒的な戦力差を前にして……フェイトはアリシアに視線を向けて微笑む。

 

――大丈夫、そんな心配そうな顔をしなくても、私はお姉ちゃんが見てくれてるなら……誰にも負けないから

 

「バルディッシュ」

 

≪ライオットドライブ・リミッターリリース≫

 

 この場には不釣合なほど穏やかな声の呟きと共に、その力が解放される。

 

「……なんや、あれ……」

 

「……光の……翼?」

 

 はやてとシャマルの呟き。その視線の先、フェイトの背には時折閃く様に放電を行っている……桁違いの魔力が込められた金色の翼が現れていた。

 少なくとも今まで、はやてやシャマルはその魔法を見た事が無い。だが、この戦況で切ってくるカードが弱いものの筈も無い。

 

「あたしが切りこむ、後詰め任せるぞ!」

 

 素早く動いたのはヴィータだった。この場面での未知の魔法、後手に回れば他の面々に動揺が広がり最悪陣形が崩れる恐れがある。守護騎士として戦闘経験が豊富な彼女だからこそ、この場で即座に切り込むと言う選択を取った。

 

 愛機グラーフアイゼンを振り上げ、全速力で迫るヴィータに対し、フェイトは緩やかにすら見える動きでマントをはためかせ、自分の体を包みこむ様に動かす。

 

 そして直後、フェイトの姿は消え、ヴィータの体に五本の金色の線が走った。

 

「……うっそっ、だろ……(なんだこれ? あたしが、アイゼン振り下ろすより早く……『五回』切りやがった!?)」

 

「ヴィータ!」

 

「クラールヴィント!」

 

 制御を失い落下していくヴィータの姿にはやてが驚愕の声を上げ、シャマルは咄嗟に自分とはやての前に風の障壁を展開する。

 そしてその障壁に何かが当って弾かれ空中に金色の軌跡が刻まれる。

 

 そう、軌跡だけ……輝く金色の線が空に突如現れ、それから遅れて炸裂音の様なものが響く。それは即ち、フェイトの速度が完全に音を置き去りにしていると言う何よりの証明。

 

「……なんや、これ、み、見えん……」

 

「ま、魔力探知も残滓しか……知覚も、出来ない……」

 

 呟く二人の言葉に続く様に、数人の魔導師が壁に叩きつけられ、そこに金色の軌跡が残る。そう、その場に居る誰もフェイトが今どこに居るのか分かっていない。目に映っているのは、そこをフェイトが通過したと言う軌跡だけ……

 

 金色の軌跡は広い訓練場のあちこちに現れ、なんの抵抗も出来ずに一人ずつ魔導師が切られ、吹き飛ばされていく。

 

「……皆動くな! 散らばったら相手の思う壺や! その場で全方位防御魔法を全力で展開!(こんなとんでもない速度……何のリスクも無く到達できる訳無い。さっきシャマルの防御魔法は貫けんかったし、ヴィータには5回攻撃してた。攻撃力や防御力を全部犠牲にして、速度のみに特化させとる……反応するんは無理や、けど、進路を予想するんは……)」

 

 はやての指示通り全員その場で防御魔法を展開するが、それでもシャマルのものに比べれば脆く、なおかつ何度も攻撃されれば崩れてしまう。

 フェイトのスピードを知覚すら出来ない以上、このまま守り続けても敗北は濃厚。

 

 はやてはシャマルに防御魔法を任せ、どんどん撃墜されていくチームメンバーを見ながら予想する。フェイトが次に何処を狙ってくるのか、それを必死に考える。

 

 そして20人目の魔導師が防御を破られ撃墜されていくのを見ながら、はやては展開した膨大な魔力弾をフェイトの進路予想点に設置する。

 高速機動型魔導師には設置系魔法、セオリー通りではあるが、高速機動下では細かな制御が難しい以上、最も有効な方法。

 

 そして、はやての表情は……新たに刻まれたジグザグの……彼女の設置した魔力弾を全て避ける軌道を見て、絶望に染まる。

 

「……あ、あのスピードで、あんな細かな軌道制御ができるんか……無茶苦茶や……」

 

 それはまさしく絶望的な光景だった。見えない、反応できない、防御もいずれ崩される、設置系魔法も通用しない。

 

「まだや! こんな出鱈目な力が長続きするわけがない! 皆、今は堪えて!」

 

 そう、もしこのスピードをフェイトが常に維持できるのであれば、それこそ初めから使っている筈。しかし実際彼女がこれを使用したのは、終盤と言って良い戦況でだ。つまるところこれは、デバイスのフルドライブモードに近い力であり、当然そんな常軌を逸脱した能力に使用制限が無いわけがない。

 

 フェイトはこの魔法を発動させる前にバルディッシュにリミッターを解除を指示した。となればはやての予想は間違い無く当たっている筈だが……それでもいつまで続くのかが分からない。

 Aチームの残り人数は既に半数を切り、尚も不可視の攻撃は繰り返されている。果してこの魔法が切れた時に、まだフェイトと戦えるだけの戦力が残っているのか……それは賭けだった。

 

 永遠の様に長く感じる数分が経過し、ついにフェイトはその姿を現した。背中にあった翼は消え、肩で大きく息をしながら空中に現れたフェイトを見て、はやては微かに微笑む。

 

「流石のフェイトちゃんでも、あれだけの魔法を使ったら消耗するね……それでも、40人近くやられたんは、おっそろしい話やけど……」

 

 フェイトが姿を現した時点でAチームの残り人数は11人。50対1の状態からここまで切り返されたのは、背筋が冷たくなる思いだったが、それでもはやては賭けに勝った。

 

「……はぁ、はぁ……うん。まだこれ未完成だし……『設置しながら』だとしんどいね」

 

「……え?」

 

 呟く様なフェイトの言葉。そしてゆっくりと振り上げられるバルディッシュ。それに誘われる様に視線を上げ……はやても、シャマルも、Aチームの全員の表情が凍り付き、そして絶望に染まる。

 

 視線の先には天を埋め尽くす程の膨大な魔力球が展開しており、防御に手一杯だった面々は気付く事が出来なかった。そして、はやてとシャマルはこの魔力球の一つ一つが何かを知っているが、これだけの数を見るのは初めてだった。そして同時に……敗北を確信した。

 

「フォトンランサー……ダウンフォール・シフト!」

 

 フェイトがバルディッシュを振り下ろすと共に天は金色に染まり、そして訓練場に金色の滅亡の雨が降り注いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 フェイト・テスタロッサ・ハラオウンは稀代の天才だった。稀代の天才……止まりだった。

 

 しかし彼女は弱かった心を鍛え上げ、同世代の誰よりも早くその領域に……最強と呼ばれる頂点の領域に足を踏み入れた。

 

 そう、天才は……渇望を得て……

 

『び、Bチームの……勝利です』

 

 天才と言う名の壁を砕き……最強への道を歩き始めた。

 

 そしてそんな妹が心から憧れ敬愛する最愛の姉は……

 

「あわわわ……フェイト、つ、つえぇぇ……」

 

 ……観戦室で震えていた。

 

「よもや、これ程とは……もはやひよこなどとは呼べんな。奴め鷹に化けよった……」

 

「……(え? ちょっと待ってよ。フェイトにとって私って……アレより強いって思われてるの!? いやいや、無理だからね! あのスピード完全に人間止めてるじゃん! お姉ちゃん何が起こってるかも分かんなかったからね!)」

 

 フェイトのあまりの強さに言葉を失う観戦室の中で、アリシアは一人見当違いな方向に震えていた。

 そう、フェイトは自分よりアリシアの方が強いと思っている。というか、全てにおいてアリシアの方が上だと盲信している。つまるところ、アリシアに姉として要求されているハードルは、さっきのフェイトに勝てるレベルと言う事になってしまう。

 

「……(つ、ついに言葉すら発さずハードル上げてきたか……駄目だ。あの妹、早くなんとかしないと……)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




レヴィ「時代が追い付いた」
ユーノ「……」





フェイト・テスタロッサ・ハラオウン(当作)

魔導師ランク:空戦S習得済み(尚も成長中)

MAXスピード:知覚不可

フォトンランサー・ダウンフォールシフト:展開数100↑

ここ半年の模擬戦戦績

対高町なのは 24勝6敗
対シグナム 13勝2敗
対クロノ 18勝3敗

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。