蒼の彼方のフォーリズム 彼は挫折の果てに何を見る   作:ソモ産

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こんばんはー
ソモ産でごぜーます。

新年明けましておめでとうごぜーます!
本年も、ボチボチと更新していきますのでどうかよろしくお願いします

今回は、前回より早めに投稿。
ただ、すこし文章量がこれまでより少ないですが…。

では、どうぞ。


不安と期待

そこに立っている真藤さんは、笑顔なのに迫力があった。

有無を言わせない、自分の言葉をしっかりと聞けと言わんばかりの圧倒的な威圧感。

 

でも僕は、それを感じつつも別のことを考えていた。

 

――真藤先輩、あなたはいったいいつからそこにいたんですかねぇーー!?――

 

あんな恥ずかしいこと、誰かに見られていたなんて考えるだけでも穴に入りたくなる。

きっと佐藤院さんも同じ気持ちなんだろう、顔を真っ赤にして口をわなわなと震わせていた。

 

そんなことなどつゆ知らずと、真藤さんは言葉を続けた。

 

「早速だけど、2人に一つお願いをしたいんだけどいいかな?」

「お、おねがいですか?」

 

まだ、気持ちが落ち着いていない佐藤院さんに代わって僕が聞き返す。

あって間もない、それも2年生の先輩が新入生の僕たちに頼み事って何なんだろう。

 

全く見当もつかない、真藤さんの言葉に懸命に頭をひねる。

……まさか、いやそれはないだろう。

 

一瞬思いついた考えを、頭を振ることで追い出して真藤先輩の言葉を待つ。

 

「2人には、うちのFC部に入ってほしいんだ。」

「わ、わたくしはもとよりそのつもりでしたわ。けど…」

 

冷静になった佐藤院さんは、そういって僕に視線を向ける。

まだ、彼女には何も伝えていないけど、なんとなく察してくれたのだろう。

 

そんな彼女の心遣いが、すごくうれしかった。

 

「……ぼ、僕は―」

「返事はすぐじゃなくていい。笹原くん、じっくり考えて答えを出してくれ。」

 

真藤先輩はそれだけ言うと、踵を返してすぐに立ち去っていった。

僕は、そんな真藤先輩の背中を見つめながら唖然としてしまった。

 

その後は、佐藤院さんと僕は何も話さずに帰路についた。

もやもやとしたものを、胸に抱えながら。

 

この学校に入学してから2日。

これまで、執拗に避け続けてきたFCに関わりすぎている気がする。

 

これから先、僕はFCとどう向き合っていくことになるんだろう。

それはまだわからない。けど、大きな転機に差し掛かっている、そんな予感がした。

 

~~~~~~~

 

次の日、昨日と変わらず晴れ渡る空の下。

僕は、学校の屋上で横になっていた。

 

「FCか…」

 

僕の言葉は、吹き付ける風にのみ込まれて溶けていく。

時間は昼休み。静かに流れていく雲を見つめながら、昨日の真藤先輩の言葉を思い出す。

 

―うちのFC部に入ってほしいんだ―

 

その一言は、僕の心に深く突き刺さった。

辛い思いをする切っ掛けになったFC。それをまたやってほしい。

 

それを聞いたときそんなことできるわけがない、そう思った。

自分の足元が急になくなって、先の見えない暗い穴に落ちていくようなそんな感覚。

それを味わう切っ掛けになったFCはもうやりたくない、と。

 

だけど、同時にまたやりたい、飛んでみたいとも思った。

佐藤院さんと飛んだ時に思い出した、空が楽しいって気持ち。

それを考えたらもう一度飛んでみるもの悪くないかも、なんて。

大好きな空をあの頃みたいに飛び回りたいな、って。

 

やりたくない気持ちと、やりたい気持ち。

2つの相反する感情が、頭の中でぐちゃぐちゃになってわけがわからなくなってくる。

 

「さて。どうする、かな…」

 

僕の小さな言葉は、直後に吹いた風にのみ込まれて消えていく。

誰もいない屋上なら何かいい考えが浮かぶと思ったけど、そんなこともなく。

 

ぐるぐると同じ考えが回るばかり。

いつまでもここにいても埒が明かない。

 

そう思い、教室へ戻ろうと体を起こすと、屋上のドアが開く音がした。

その音に振り返ると、そこには佐藤院さんがいた。

 

「ここにいましたのね。探しましたわよ」

「佐藤院さん?」

「隣、失礼しますわよ。」

 

そう言って、僕の隣に座り込んだ。

温かい日差しが僕たち二人を照らす。

 

そんな微睡んでしまいそうな陽気で、僕たちは穏やかに過ごす。

しばらくの沈黙の後、佐藤院さんが口を開いた。

 

「昨日の話。どう返事をするつもりなんですの?」

「あはは、そうですね…。どうしたほうがいいですかね…」

 

佐藤院さんの質問には、そうあいまいに返す。

まだ自分の中でもはっきりと答えは出ていないんだ。

 

そう答える以外、僕にはできなかった。

ついでに何かヒントみたいなものがもらえないか、そんな気持ちも込めて。

 

その答えを聞いた彼女は、仕方ないというように

苦笑を浮かべながら再び口を開く。

 

「まったくなんですの、その曖昧な答えは。自分の事じゃない。」

「申し訳ない…。でもやっぱり―」

 

そういうしかない。全く佐藤院さんの言う通りだった。

これは自分の問題なんだ、僕自身で答えを出さないと。

 

その答えを他の人に、求めるのなんて間違ってる。

彼女は、どこまでも正しい。それを改めて実感した。

 

その佐藤院さんはと言えば、真剣な顔をしていた。

言うべきか、言わないべきかそんなことを悩んでいるかのような…。

 

すると彼女は、決心がついたのか大きく息を吸って口を開いた。

 

「実はわたくし、昨日あなたの選手時代の映像見ましたの。」

「っ!…そうですか。」

 

彼女のその言葉は、寝耳に水だった。

まさか、僕の選手時代の映像がまだ残っていたなんて。

 

それに驚いたと同時に、疑問も浮かんだ。

なんで、今それを言うんだろうって。

 

佐藤院さんはまだ言葉を続ける。

 

「それを見たとき、鳥肌が立ちましたわ。こんな人がいるんだ、自分もこんな風に飛びたいって。」

「……。」

「それと同時に、憤りも感じました。何があったのかわかりませんけど、

 こんな風に飛べる人がなんで飛ばないんだって…」

 

力強くそう言い切った佐藤院さん。

その言葉は、どこまでもまっすぐで僕の胸にストンと入っていった。

 

自分の飛んでる姿を見て、そう思ってくれる人がいるんだ。

もったいないって、まだまだお前は高く飛べるだろう、って。

そんな風に思ってくれる人が…いたんだ。

 

彼女は、そういって立ち上がり、僕の方を見てもう一度口を開いた。

 

「だから、わたくしはまたあなたにFCをしてもらいたいですわ。

 あんな飛び方が、こんなにも人を魅せられる飛行ができるのですから。」

「佐藤院さん、でも…。」

「ですけどあくまで、これはわたくしの気持ち。この問題はあなた自身が決めるべきことですわ。」

 

そう言って、微笑む佐藤院さん。

彼女のその笑顔は、僕の全てをやさしく包み込むような優しさがあった。

 

この人になら何でも話せる、そう思わせられるような。

そして佐藤院さんは腰に両手をあて、こう言った。

 

「ですが!何か困ったことがありましたら、この佐藤院麗子を頼ってくださいまし。

 わたくしたちは、友達なのですから!」

「佐藤院さん…。」

「それと!わたくしたちは友達なのでしょう?

 ですから、敬語はいりませんわ。」

 

言い切った佐藤院さんはどこか、恥ずかしそうに見えた。

そっか、佐藤院さんも僕と仲良くしたいと思ってくれていたんだ。

 

そう思うと、なんだか胸が温かくなった。

そんな彼女の気持ちに僕は、心から答える。

 

「わかった、佐藤院さん。これからよろしくね。」

「えぇ!では、わたくしはこれで。」

 

そう言って佐藤院さんは、屋上から去っていった。

それを見送った後、僕は空を見つめて独りごちる。

 

「僕の飛んでる姿を見て、あんなふうに言ってくれる人まだ、いたんだ…」

 

あんなにまっすぐな感情を向けられたのは、いつぶりだろう。

この間の真藤先輩とは違う、まっすぐな気持ち。

 

僕がまだFCをやっていたときにも、あったかもしれない感情。

それを直接面と向かって伝えられることがこんなにも、うれしいことだなんて。

そんなこと、知りもしなかった。

 

「うしっ、もう一度考えてみるか…」

 

自分に気合を入れなおして、勢いよく立ち上がる。

さっき彼女に言われた言葉、それを踏まえてよく考えよう。

 

今の言葉を聞いたうえで僕はどうしたいのか。

―FCをもう一度やりたいのか、やりたくないのか―。

それの答えをだそう、そう決めた。

 

~~~~~~~

 

「あ、あの先輩、答えは待ってくれるんじゃあ…?」

「うん、待つよ?」

 

決心を決めた日の放課後。

僕は、なぜか我が高藤学園FC部の練習場にいた。

 

僕の隣には笑顔の真藤先輩、後ろには困り顔の佐藤院さん。

いったいどうしてこうなった…。

 

「えと、それじゃあ僕は何でここに?」

「実は、少し部の子たちを指導してほしくてね。」

 

真藤先輩曰く、いまのFC部は監督の先生と対立しているらしい。

 

なんでも名門の看板に固執するあまり、部員を顧みない指導をする人らしく

いろんな無茶を強いる練習ばかりだったそうだ。

 

そのため、部員全員が真藤先輩を中心に部を分裂させ

、そのため指導する人が足りていないということだった。

 

「それで僕に?」

「ははは、恥ずかしい話だけど僕だけじゃみんな面倒は見きれなくてね。

 それでジュニア時代の有名選手である君に指導をお願いしたいんだ。どうかな?」

 

なんとも込み入った事情で大変だとは思う。

でも、自分自身で答えを出せていない僕にはできないことだ。

 

何より指導なんて、僕には荷が重すぎるし

到底できるとは思えなかった。

 

だから、ここは断ろう。

そのための言葉を出す前に、佐藤院さんが口を開いた。

 

「それは大変ですわ!そのお願い受けましょう!」

「え?ちょっ、佐藤院さん!?」

「本当かい?えっと…」

「佐藤院麗子ですわ。真藤先輩」

 

さっきまでの困り顔とは打って変わって生き生きといしている佐藤院さんが前に出た。

っていうかですね、今の話って僕に向けての話じゃあ…。

 

それに真藤先輩も真に受けないでくれません??

僕が完全に蚊帳の外の状態で話はどんどんと進んでいく。

 

あの…僕の意見はなしですか…?

 

「それじゃ、頼むよ。笹原くん」

「さ、やりましょう。笹原さん!!」

 

期待に満ちた佐藤院さんの視線と、どこか面白がっている真藤先輩。

そんな2人に、詰め寄られてしまったらもう答えは一つしかなかった。

 

「わ、わかりました。でも、今日だけですからね」

「あぁ、わかってるよ。それじゃよろしくね。」

 

逃げ道をふさがれ、この道しか残されていなかった僕には首を縦に振るしかなかった。

でも、もしかしたらこれをきっかけに何か答えを出せるかもしれない、そんな気がする。

 

大きな不安と、一握りの期待。

そんな二つの感情がない交ぜのまま、僕はFC部の部員の人たちの下へと向かった。

 




読了ありがとうごぜーます。

あおかなのアニメの放送日が着実に近づいてきてテンションが上がってきております。
しかし、改めて進みが遅いこの作品w。

まだ、主人公入学して一週間もたってないんじゃないか??
なるべくいらないところはカットしつつ、進めていきますのでよかったら次回も見てください。
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