ゴオンッ
鈍い音を鳴らして俺は華麗に地面に着地した。
風に吹かれた一輪の花の様に穏やかに立ち上がり、周囲を見渡す。
先程までは数名いたというのに、今や誰1人としてここに居る者はいなかった。
しかし俺は油断なく懐から紙を取り出し広げ……。
吐いた。
「おっおぼおおおおぉおおおっうおっおぶううっっっっ」
腹の底から放たれる咆哮が森に木霊する。
臭いそうな吐瀉音と全身を揺らす胃の痙攣で俺の精神はマッハだった。
数分もすると全てを吐いたのか痙攣もなくなり、体調は絶不調だが動けるようになった。
穴を掘って紙袋を中に納める。自然に戻る紙袋でエコ使用なのだ。 納め終わると一人の忍者が俺の前に現れる。
名を海野イルカといい、俺達アカデミー生の教師だった。
すかさず身嗜みとして身体に消臭スプレーを振りかける。
「アラタ、まだ動けるか。」
「勿論です。こんな演習、トップでクリアしてやりますよ。」
「よし医務室に行って大人しくしていろ。」
「何故。」
結局言われた通りに元来た道をトボトボと歩く。
演習は始まって5分もしていなかった。
腫れ上がった額に治療を施され、胃の負担を軽減する薬と兵糧丸を飲んで布団に横になる。
医療忍者の先生はこれらの処置が終わると、今日の仕事は終わったとばかりにアカデミーを出て行った。緊急の時は式で呼び寄せるらしい。
暇つぶし用に持っている本を懐から取り出し布団に寝転がったまま読み始める。内容は忍者同士が恋する女を取り合うドロドロの暗躍ものだ。
たまに血経限界とか秘伝の術がチラッと出てくるので馬鹿に出来ない本だが、こんなもの出していて木の葉は大丈夫なのかとたまに不安になる。有り難いので楽しく読ませて貰ってはいるが。
『っやめて!私の為に争わないで!!』
『クレハ……分かってくれ、これはもうどうしようもない事なんだ。』
『そう!俺とアイツ、どちらかが死なねば、この絡まりすぎた現状はどうにもならないっ!』
―恋愛沙汰で木の葉の大切な戦力を失うのは全く、忍びとしての本分を忘れた行動であるが、激情に駆られた2人は気付かない。クレハがそれを訴える事すらしないので誰も彼等を止められる者はいなかった。
―笹目エダハと薪木マルタはお互いの実力を充分過ぎるほどに理解していた。方やアカデミーからの秀才と呼ばれ、しかし努力に裏付けされたその才能は他を圧倒し、人より突出している。片やアカデミーからのボス猿、見た目からは考えられぬそのパワーは2人がまだ仲良い頃から遺憾なく発揮され、いつも2人の幼なじみを助けていた。
―それが何故こんな事になってしまったのか。笹目は社会の暗部を覗き過ぎ、薪木は人の重苦しさを知ってしまった。抜け出すことの出来ない人の闇。種類は違えど、2人はもう引き返せなかった。
―もう、アイツを殺すしか無かったのだ。
「またその本を読んでいるのか。」
「ん、シノくん。サボリ?駄目だよ真面目に授業受けなきゃ。落第になるよ?」
「既にサボっているお前に言われたくはない。それに俺はサボっていない。何故ならイルカ先生に言われてお前の様子を見に来たからだ。」
「ん、俺は大丈夫だよ。ありがとね。次の座学は出れるし。その後の実習も」
「その実習はお前は見学だそうだ。」
「え!?なんでさ!!こんなに元気!ほら俺こんなに元気なのに!!」
「俺ではなくイルカ先生に談判したらどうだ。」
「そうするわ!!ありがとなシノくん!!」
俺は教職員室に向かって風の速さで飛び出した。する事は直談判だうおお俺は元気ですよ見てくださいこのやる気を!!
「イルカ先っうぷ。」
「あああアラタ!吐くなら外かトイレで……!やめろアラタアアアア!!!!」
だいじょうぶ
おれ
かみぶくろを……
あれ、そういえばさっきつかって
ほじゅう、してなかったや……
ごめんよ、イルカせんせい…………
でもせんせいしごとこれだけでしょ?にんじゃのしごとこれだけでしょ?
もんだいないよ、ないって………………
俺はイルカ先生の服を引っ張って床を汚さないように吐いた。
よかった、さっきも吐いたからもう胃液だけだ。よかったねイルカ先生。
泣きそうなイルカ先生を見詰めて、一通り吐き終わった俺は安心させるように笑顔になった。
「ぜんぜい、おえ、実習でぎまず」
ちょっと鼻水でてるけど。
どうも。かなりの見切り発車でスタートしてみました。
NARUTOの原作持っていない上にアニメも途中な私が果たしてNARUTO原作終了まで書けるのか?ま、まあ追々ですね。
※
作者のNARUTO知識は二次創作が主です。
恋愛フラグは殆ど立てるつもりがありません。
流れと勢いでの内容になります。
創作忍術が出る可能性があります。
創作キャラクターが出る可能性があります。
最後に。
ここの主人公は最強です。