さて、結論から言おう。残念ながら俺は特別クラスとなった。
今回初めて実施された授業参観に両親がやってきて即座に俺を特別クラスに入れるように職員室で掛け合っていたげせぬ。
そうしてやってきた特別クラス。担任が奈良シカクさんだった。マジか。
こんにちはーと挨拶をして早速始まる訓練……と思ったら話し合いから始まった。
「アラタ君、自分が吐いてしまうのは何故だと思う?」
「俺の能力が最高に高いからです。」
「……それはどれくらい高いのかな、例えばうちの息子と比較してみて。」
「圧倒的勝利ですね。俺が。」
「…………そうか、なら兎に角君の能力を正確に計ってみよう。それで俺が判断する。」
軽く頭を撫でられ少し離れた場所にシカクさんが行く。頭が揺れない軽さで気を使ってくれているのが分かった。俺もついて行こうとしたら「そこにいろ」と言われてしまい立ち止まる。
「……この辺かな。おーい!これは?」
「にー!」
広げられた巻物には今書いたのだろう「10―8は?」と書かれていた。小学生レベルの問題です本当にありがとうございました。
「よし、……次!」
こうして俺は段々離れて行くシカクさんの算数の問題に付き合い、とうとうシカクさんが下がれなくなって戻ってきた。
「……目が良いな。」
「最強ですから。」
「なら次だ。」
そうして今度は目の前を右から左へと流れるクナイに取り付けられた文字を読んで本数が増えてあたふたしたり、遠くに歩いていくシカクさんの小説の音読を書き写したり、匂い当てゲームのようなものをしたり、まあ、俺は一歩も動かないがシカクさんが只管動くテストは終わった。
「……成る程な。アラタ、これを見てみろ。」
「すみません念能力はちょっと。」
「何の話しだそりゃ。違う。指だじっくり見るなよ。軽くだ。」
「はい。」
言われた通りに軽く視線を外して見る。すると少しずつその指が左右に揺れ初めた。
最初は平気だったが、段々とそれが辛くなってくる。
「辛いか?」
「まだまだぁ……っ!」
「落ち着け、これは唯の確認だ。正確に現状を教えてくれ。」
「段々胃がせり上がってきてます。」
「分かった。」
十分休憩。と言われて座り込んで目を閉じる。あー、キツい。
「休憩終了。次はこの匂い袋をお前の顔に押し当てる。それで今度は30分歩いてくれ。匂いは嗅ぎながらな。」
言われててこてこ歩き、30分。何がなんだか。
「どうだ?」
「と言われても、何がなんだか。」
「そうか」
シカクさんが軽く目を閉じて考える仕草をした後、よし、と頷いた。何かを決めたらしい。
「アラタ、今日からお前の目は無くなる。」
「は?」
「目をくり抜く訳じゃない。けど常に目を閉じたまま生活しろ。それがお前の修行になる。」
「いや、せめて説明を。」
「モノは試しだ。取り敢えず1週間は目を開けたら駄目だぞ。」
「えええぇー……。」
最強の俺の最高な視界が無くなるとか理解できない。不満たらたらでぶーたれた顔をしていたら、シカクさんが苦笑いをした。
「ほら、今からだ。目を閉じろ。」
「……………………はい。」
視界が目蓋を通した光で赤くなる。あー、血管が見えるうう……。
「歩けるか?」
「んー……。」
おそるおそる足を前に出す。此処は平地だったので大丈夫なのは変わらないがそれでも何となく怖い。なんでこんな事しなくちゃいけないんだ。
「へっぴり腰だな。背中は立てろ。」
ぽんぽんと背中をのばすように叩かれる。うおお驚いた。
「なるべく周囲の空気や人の臭い、出来れば気配なんかを感じながら歩くといい。音にも注意を払え。それで距離感を掴むんだ。」
なにそれ格好いい。
一気にやる気が出た。くそぉ!シカクさんわかってやがるな!!不満はまだあるけど気分は随分いい。操られている気分です。あ、もしかして影真似の術かけられてる?ッハ!もしかしてこれは影真似対策か!?最強の俺に攻略されないように視力を奪ったとでもいうのか!!?くっ、流石だぜシカクさん、けど目が見えなくったって俺はアンタの術に勝ってやる!!これがハンデってやつだぜ!これからの俺の成長を見てろよ!!!!ヘヘヘヘヘと笑いながらソロソロと歩く俺は随分と気色悪かったらしい。シカクさんに物凄い心配された。ショック。
シカクさんが出る回あまり見たことないので完全に想像と妄想で作ってます。
何故シカクさんみたいな良い立場の人が先生なのかは元々交友があった設定なのでそこから木目夫妻に頼まれました(無理矢理感)。
良いんですよこういうのは御都合主義で……。
最初はアラタ君呼びですが途中からアラタにシフトチェンジ。仲良くなりました。
猪鹿蝶は親も子も可愛くて大好きです。親はチョウザさんがおっきくなったのとシカクさんが「優しく笑う」のくだり言ったのしか知らないけど。あれ、意外と知ってるな。
こんな所まで読んで頂きありがとうございます。