さあ無茶な展開がやってきましたよ。耐えられない方はプラウザバック推奨です。
それと、戦闘描写には期待しないで下さい。
あれから、とりあえず家に上がって挨拶をした。というか僕は自己紹介すらしていなかったのである(まあ帝国の事情に明るいマッシュは僕の正体がティル・マクドールだと気づいていたが)。
そして、そこで二つの話がなされた。
「アジトを潰され打撃を受けた解放軍を甦らせるには、まず何よりも人です。人物を集めなければなりません。そして人材を集めるには、相応の器が必要です」
器。それに強大な帝国に負けない、解放運動を達成させる為の場所が必要なんだ。
「レナンカンプのアジトは潰されちまったしな」
「どこか当てはあるの? 兄さん」
「トラン湖のほとりに、大きな砦があります。そこが使えるかどうか見てみるのがよろしいかと。まずはここから南西にあるカクという町で、砦に船を出してくれる船頭を探してみてはいかがでしょうか」
トラン湖。赤月帝国の中心に座す巨大な湖である。その中心に砦は存在する。
「なるほど」
クレオが頷く。マッシュは引っ越しの準備をするので、ついては来られない。後から駆けつけるとのこと。しかしこうなると困ったことが一つあるなぁ。と思っていたら何とオデッサさんからその話を振られた。
「ティル……ずっと考えていたことがあるの。聞いてくれる?」
「何ですか? オデッサさん」
「新しく発足させる、生まれ変わる解放軍のリーダーを、貴方に任せたいの」
「え!?」
グレミオ達は驚愕する。
「ずっと……心の中で思っていたの。私よりリーダーに相応しい人がいるんじゃないかって。本当は、誰か別に解放軍を率いてくれるような人がいるんじゃないかって」
ずっと……か。重責に、潰されそうだと言っていた彼女。心は限界だったのかもしれない。
「……そうしたら、私の前に貴方が現れた。私は……貴方ならば、圧政からの解放を望む人達を束ねてくれるんじゃないか……そう、思って。解放軍は一度壊滅してしまった。だから、ここで新しく求心力をもったリーダーを立てたいの。新しい、帝国に対抗できる人物を」
「オデッサ、いきなりそんなこと言い出して大丈夫なのか? フリック達が……」
「彼らが戻ってきたら私が話をするわ。きっと、大丈夫よ」
「うーん、まあ俺も、そんなに悪い気はしねえが……」
いきなり現れた少年の僕に任せるというのが不安なのだろう。ビクトールは珍しく迷うような顔つきだ。
そして、僕は心の中で、一つの言葉を思い出していた。
――貴方が正しいと思えることを選び取るのです――。
その言葉を心で繰り返す。僕は、確かなその重みを、受け止めた。父さんの顔は、もう思い浮かばなかった。
僕は、決意の言葉を押し出した。
§
次の日、宿屋から出る。と、そこに一人の女性が。
「おや、まあ。ティルじゃないか? 私? 私はあんた達を匿っていたのがばれちまってねぇ。帝都から追放されたんだよ」
グレッグミンスターで宿屋をやっていたマリーさんだ。帝都を追い出されてこんな南までやってきたのか。大変だったろうに。
「マリーさん……すみません。僕らのせいで……」
「いいっていいって。恨んでなんていないからね」
マリーさんは肝っ玉母ちゃんだなぁ。こんな母親が欲しかった。まあそれはそれとして、帝都からの追放も、宿屋をやれなくなったことも、僕の頑張り次第で何とかなる。頑張ろう。
そうそう、それともう一つやっておきたいことが。紋章屋に寄って販売されている封印球を見せてもらう。しかしカクの町では品揃えが悪く、水の封印球しか売っていなかった。僕は皆にお願いして、共有のお金を使わせてもらった。水の封印球を購入し、左手に宿してもらう。これで、いざという時の外傷回復や状態異常回復はばっちりだ。水の紋章は回復ができるからね。
よし、大体やることを終えたので、とりあえずカクの町へと向かおう。
「魔物だ!」
草原で魔物に遭遇。殺し屋兎という黒い兎だ。刃を持っている。棍で攻撃を防御し、打ち据える。むささび(普通のむささびより大きいやつ)もいる。こっちは後衛に任せよう。クレオの飛刀とオデッサさんの矢が飛ぶ。ビクトールとグレミオは動きが鈍った敵にとどめを刺している。
「ふう、こっちの地方は魔物が強いね」
ゲームの進捗に合わせて魔物も段階的に強くなるのだ。帝都周辺の魔物は一番弱い奴らだったからね。それでも十数年鍛錬しておいて良かった。戦えている。戦えているぞ。やれる。やれるんだ。勝てるし生き残れる。生き延びなきゃ、全てが無駄になるのだ。何をしてでも生きてやる。
さて、カクの町である。仲間になる人物もいっぱいのこの場所だ。だけど仲間集めはさておきとにかく聞き込みだ。目指す場所はわかっているけど、僕(ティル)がそれを最初から知っていたらおかしいからね。手順を踏まなきゃならない。町の人に事情を話したところ、霧に包まれたトランの湖に船を出すなんて、“命知らずのタイ・ホー”くらいじゃないか、とのこと。早速彼が入り浸っているという酒場に赴く。
酒場に入ると、目にも鮮やかな赤い髪に青い服をした女性。率先して声をかける。
「ああん? タイ・ホー? おっさんならそこの……ああっ! てめえ! ようやく見つけたぞ、この野郎!!」
「え? え? え? な、何ですか一体!」
襟首を掴まれるグレミオ。そのまま壁まで押し付けられる。
「ここで会ったが百年目、地獄の果てからだって取り立てる、この“夜叉カミーユ“様から逃げられると思うなよ!?」
借金取りのカミーユだ。
「なんだあいつ、グレミオのこれか?」
小指立てるな。
「あの、すいません。グレミオの主人であるティルと言います。どんなご用件なのか、ちゃんと伺ってもいいですか?」
話を聞く。と、グレミオが借金をしているというのだ。証文もあると。
「グレミオ、あんた借金なんかしてるのかい?」
クレオも呆れ顔だ。
「ああ、これは私の飲み屋のツケですね。それに宴の代金も……え!? こ、この金額を今すぐ支払えと!?」
どうやら目玉が飛び出るくらいの金額らしい。というかグレミオ、宴は父さんが出征に行く前のアレだからマクドール家が背負うべき借金だろうけどさ、飲み屋で飲んでツケにしていたのか。それはお前の借金だよ。
「ちょっといいですか? 僕達は今お金がないんです。だけどタイ・ホーに会えばお金が入る当てがあります。タイ・ホーの居場所を教えて頂けませんか?」
しかし前世から思っていたが実にきわどい衣装だ。瑞々しい太ももが眩しい。純情なぼっちゃんもドキドキである。
「う、ううん。あっあんたら、あたしをだますつもりだな! そうはいかないよ!」
だますなんて人聞きの悪い。ただお金が手に入り“そうだ”と言っただけじゃないか。
「うーん。だったらこうしよう。あたしは金を返してくれるまであんたらについていく。それでどうだ!」
こっちとしては戦闘のできるメンバーが増えるのはありがたいので、是非パーティーに加わってもらいたい。
「何だか、とんでもない人がついてきたわね……」
半ば呆れたように、オデッサさん。
「タイ・ホーの奴ならそこの地下だよ」
というカミーユの言葉に従って地下へ。……ああ、気が重い。封印球、
地下に降りると、綺麗な空色に染められた着物を着た金髪の男性。
「なにーーー! トランへ船を出せ!? どうかなぁ。兄貴は気まぐれだから……」
タイ・ホーの弟分、ヤム・クーだ。彼も戦闘を行えるが……トランの砦にはついてきてくれないんだよね。
「ほう、トランの化け物砦にか、中々面白いことを言うじゃねぇか。解放軍、ねえ。……城をものにしたいってえ訳かい」
薄灰色の着物を着た粋なあんちゃん(というには少々歳上すぎか)。顎髭か渋い命知らずのタイ・ホーである。
「あそこは化け物に占拠されてんだよ。船を出せってんならこっちも命がけだ。ようし、なら賭けをしようぜ。ちんちろりんで勝負だ。俺に勝ったら言うことを聞いてやる。ただし負けたら帰ってもらうぜ。有り金全部賭けて勝負、してみるかい?」
「その勝負、受けてたとう!」
「いい啖呵切るじゃねえか。よっしゃ! 勝負だ!」
ちんちろりーんと茶碗に三つのサイコロを転がすタイ・ホー。二つのサイコロが一の目を、一つのサイコロが五の目を出した。
「俺の目は五だな」
三つのサイコロを振って、二つのサイコロが同じなら、最後のサイコロが目となる。しかしいきなり五の目か!? くそぅ。これに勝つには六の目か、一以外のゾロ目(三つのサイコロが全て同じ目になる)、四・五・六の目しかない。一のゾロ目や一・二・三は無条件で倍額の負けだ。どうなる……っ!
ちんちろりーん。サイコロを転がす。全員の目が注がれたその先は……!
「六のゾロ目……二倍もらいの手か。あんちゃんの勝ちだな」
「か、勝った……」
す、凄く緊張した。だけどどうやら僕にはツキの女神がついていたようである。ふぅーっ。
「ほう、あんたついてるな。ついてる奴の話には乗ることにしてるんだ。よし、いいだろう。トランまで船を出そうじゃねえか」
僕ってついているのかな? この世界の人間の中でもとりわけ不幸な人間だと思うんだけど。
「やれやれ、兄貴の気まぐれにも困ったもんだぜ」
そうして、船でトラン湖の砦へ移動する。あの砦には奴がいる。気を引き締めていかねば。
§
「こりゃあ化けもんが出てきそうな所じゃねえか。いっちょやってやるか」
カミーユとタイ・ホー、それにヤム・クーは槍(銛)を武器に持つ。特にカミーユは、僕の記憶が確かなら技巧のステータスが高い人物だったはずだ。後々国の指南役にまでなっていたからね。しかしそれにしても操船は見事だった。確かに彼らでなければ、この霧に覆われた湖を渡ってこられなかっただろうね。普通の人じゃあ無理だ。
「兄貴も行くんですかい!?」
船着場にとめた船で待機するヤム・クー。
「こんな面白そうなこと、黙って見てられるか。腕がなるぜ!」
そんな気軽に参加するのもどうかと思うが、このノリで仲間になるのも確かなことだ。僕は受け入れることにした。
「あんたら、ここに金があるってのかい?」
多分、きっと、メイビー……。
「さあ、行きましょう!」
そう言って、先が見えないほどの霧に覆われた砦の中を進む。砦は後の城となるだけあってとても大きい。縦に伸びた縦長の形だ。湖を挟んで左右にも砦はあるので、回廊を渡せばそちらも人が住めるようになるな。城になったら建築業の人をたくさん軍に入れるか、雇うかしなきゃね。そして内部だけど、案の定というかなんというか、行き倒れた人間や白骨がそこら中にあった。後で城として整備する時にでも遺品は回収するか。今は先に進もう。城の中に魔物の頭がいるはずだ。ということで進む。
砦の中には亡霊が鎧を動かしている亡霊鎧や、マイマイと同系統の魔物であるスラッグ、毒をもつ魚モンスターなどがいた(毒消しは当然常備しているよ)。個別に倒していく。クレオの火の紋章は封印だ。僕の知識が確かなら、ここのボスには火の紋章が効くからな。
「封印球発見」
僕の知識通りなら風の封印球のはずだ。これは後々ボスと戦う時に使える。見逃すわけにはいかないのだ。……隠し部屋にあったけどね。さて、洞窟部分を進んだら、城の中に出た。そこの階段を降りていく。
「何だ!? こいつは!?」
階段を降りると、ドラゴンの姿をしたゾンビ、その名もドラゴンゾンビが襲ってきた。
「こいつが親玉か!」
僕達は戦闘態勢をとる。とりあえず左右に散開して、近距離・中距離・遠距離、それぞれの武器に応じた距離をとって戦う。傷ついたら後方に下がっておくすりの出番だ。カクの町でしっかり補充してあるので不足することはない。
「炎の嵐!!」
火の紋章解禁である。ことにドラゴンゾンビには良く効き、苦しんでいた。弱点なのだ。そして奴の攻撃手段だが……その巨体を突進させる体当たりが主だ。牙や爪があるのにもったいない。しかし対応するこちらは楽だった。ある程度距離をとり、特定の誰かに突撃してきたら、その人は後ろに逃げ、他の人間でその隙をつき体に刃をつきたてる、という形を繰り返す。パターン入ったな。と、
ガボォオオオオオオ!!!
これまで沈黙を保っていた、巨大な口から炎のブレスを吐いてきた。青いその炎は僕達全員を舐める。
「ぐぅぅ!」
魔法攻撃だ。魔法抵抗力が低い人はダメージを受けて全身をぷすぷすと焼かれている。
「下がって回復に専念!」
指示を飛ばす。リーダーになったこともあり、戦闘での指示出しも僕の役目になった。皆にはおくすりや特効薬(城の中に一組だけあった。大幅に回復できる薬)で回復してもらおう。この体(ティルボディ)は魔法力も魔法抵抗力も高いので、さしたるダメージは受けていない。さっすが主人公。ステータス高いよ。
「てりゃあああ!!」
顎を閉じさせるように頭を上から一撃! 確かな手応え。だが奴はまだまだ元気だ。すぐに距離をとって突撃に備える。
「ぼっちゃん、回復が終わりました!」
クレオ達が戻ってくる。
「火炎の矢!」
クレオの火の紋章を軸に攻める、攻める、攻める。やはり属性攻撃は大事だな。今後も戦闘に出かける時は紋章魔法が使える人物を多種多様に集めて連れて行こう。おっと、取らぬ狸の皮算用だ。今はこいつに専念。
「オオーラァ!!」
ビクトールが振り下ろした剣が首を斬る。ビクトールは同じ場所を何度も攻撃している。それにより、ドラゴンゾンビの首はもはや千切れる寸前だ。
「とどめです!」
そこに、重量感溢れるグレミオの斧が振り下ろされる。もうすぐで切れる! 僕はグレミオの斧に、上から棍を打ちつけた。ザクンッと音を立てて奴の首が胴と分かれた。
ぐしゃおおおお!
最後に口から断末魔を吐き出して、ドラゴンゾンビは倒れたのだった。
「霧が……晴れていくわね」
首を上にぐぃっと反らして見上げ、オデッサさん。
「ビクトール、炎でだいぶ火傷を負っただろう? 今傷を治すよ。――優しき雫」
ぽちゃん、と水滴が落ちるような音がして、ビクトールの体を優しき水が包む。火傷を水魔法で完治させた。彼は脳筋で魔力が低いからね。ダメージがでかい。体力は多いんだけどね。
「ありがとよ、ティル」
「どうやらこいつが霧を生み出してたみたいだな」
元気なタイ・ホーがドラゴンゾンビの遺骸を触る。確かこいつの遺骸は城に飾るようになるんだったか。
「おっ、これは……」
ドラゴンゾンビの口から、なんと封印球が出てきた。……これって確かレアドロップの雷の封印球じゃないか? こんな形で出るんだな。
「とにかくこれで、この城は僕達のものだね」
「俺達の城……か。へへへ、名前でもつけねえか? ちなみに俺はドラゴン城がいい!」
「オレンジ城!」
カミーユがオレンジを推す。伝統のオレンジ、その始まりである。
「ぼっちゃんは何がいいですか?」
大の大人が集まって城の名前を言い合うなんて微妙に恥ずかしい。さっさと決めよう。
「トラン城でいいじゃない」
無難な名前だ。だが一番相応しい名前でもある。結局それに決まった。さて、次だな。
§
「いやあ、子供達に一年分の宿題を出してきたら、行かないで欲しいと泣きつかれましてね」
とマッシュ。塾の教師も大変だ。
「それは大変だったね。なるべく早く戦いを終わらせよう」
そんな会話をしつつも体を動かす。とりあえずこの城を整備しなくてはならないので、皆で掃除をしている最中である。そんな庶民的な行為をしつつ、先のこともちゃんと話すのだ。
「ティル殿。器は手に入りました。次は人を集める番です」
「わかっているよ、マッシュ。仲間集めは僕に任せてくれ」
原作を知っている僕なら仲間集めも楽だ。条件も大体覚えているしね。とりあえず仲間集めに奔走する。
まずはセイカの町に行った。マリーさんを仲間に誘うのだ。宿屋でマリーさんと再び会う。
「へぇー。あんたが城持ちになったってのかい。そりゃ凄いねえ。……ねえティル。あたしもあんた達の仲間に入れてくれないかい。そりゃああたしは戦うことなんてできないけどね、戦いから帰ってきた戦士達にあったかいスープと寝床を用意することはできるよ。お願いだよティル」
もちろん二つ返事でOKだ。それに城の中に宿屋を作ってもらわないと僕達が困る。ついでにセイカの宿屋にいるアントニオさんを誘う。彼は白いコック帽が似合う料理人だ。是非戦士達の腹を満たす料理を作ってもらおう。
「マリーのおかみさんが行くのか……。ティル殿、私も解放軍に加えて下さい。料理人である私も戦いたいのです」
「もちろん歓迎ですよ」
実際に戦う必要はないけどね。というか原作はなんでこの人戦えるようにしちゃったんだろう。武器フライパンだし。
セイカの宿屋には他にナンパしている少年もいたが、今は仲間にできない。後で迎えに来るから放っておこう。
「あら、おや、知ってるよ。あんた、解放軍の新しいリーダー、ティルだろ。仕方がないねえ。このオニールおばさんが仲間になってやろうじゃないか。噂話なら任せなさい。トラン城の場所なら当然知ってるよ」
物知りおばさんのオニールさんも、セイカの民家でゲット。
せっかくセイカの町に寄ったので、足を伸ばしてクワバの城塞へ。するといました道具屋のチャンドラー。
「よう。俺は気ままな行商人さ。儲けを求めて東へ西へ……とな。店を持つのが夢ではあるんだがな」
解放軍の居住地であるトラン城なら出店してもよかですよ、と。
「おお! 解放軍か! 俺も役に立ちたいと思ってたんだ。任せてくれ。おくすり、毒消し、なんでもござれだ」
これで物資(道具)についても確保だ。よーし次はカクの町へ戻ろう。
「聞いて下さいよ。苦心に苦心を重ねて、ドワーフにも負けない凄い発明をしたんですよ。でもどこの城主も聞いてくれないのです」
壮年の男性。発明家のセルゲイは興奮気味にそう言った。
「解放軍のトラン城に来てくれませんか? 今は地下一階、地上二階の建物だけど、最終的に地上四階に改築する予定です」
「なんと! 解放軍! 私も帝国の横暴にはうんざりしていたのです。自由な発明は自由な世界から。さっそく道具を持って行きますよ!」
これで、なんと自動エレベーターが城に設置されるのである。移動が楽になるぞ。せっかくなので原作と違い地下にも行けるようにしてもらおう。ちなみに自動じゃないエレベーターはⅡとかⅢでね。
宿屋の前に女の子がいるが、現時点では仲間にできないのでスルーで。
「おや、アンタがティルかい。アンタが上客のタイ・ホーを連れて行っちまったから、こっちは商売上がったりなんだ」
酒場の地下にはバクチ打ちのガスパー。片目を覆う黒い眼帯がカッコイイ。
「なら勝負しませんか? 貴方が勝ったら解放軍の資金を差し上げます。だけど僕が勝ったら城に来て賭博場を開いて下さい。博打をしましょう」
「おっ。話がわかるじゃないか。よし、ちんちろりんで勝負だ!」
ちんちろ、ころっ。
「あ」
「あ」
「しょ、しょんべんだとぉおおおおお!!!」
※ しょんべん:ちんちろりんにおいてサイコロが一つでも茶碗の外に飛び出してしまうこと。無条件で負けになる。
「あんた、ついてるな」
「声が震えていますよ」
なーにが、「あんた、ついてるな」だ。貴方の方がついてない、というか大チョンボしただけだろう。だからガスパー銀行とか言われるのだ。まあ現実であるこの世界では銀行になんてなれないし、ならないだろうけど。
「…………」
「じゃあ、解放軍にきて下さるということで」
「ち、ちくしょおおおお!!」
さて、この人は放っておいて南に行こう。今度は馬を使う。というか使わないと往復で時間がかかりすぎる。南の大森林の村に行く。そこには鍛冶屋のマースと風呂屋のサンスケさんがいる。解放軍にきてくれ、と宿屋でお話。
「我が師匠メース様は言っていました。心を鍛えるのも武器を鍛えるのと一緒だと。人々の心が歪んでいては武器を鍛えるのも上手くいかない。ティル殿、私も解放軍にお加え下さい」
やった! これで城の中でいつでも武器が鍛えられる。
「解放軍ねえ……でっかい風呂を作るってか! それなら行くぜ。ちょうどいい木も手に入ったことだしな」
大浴場作成計画もこれで本格的にスタートできるな。そうして話していると、
「あのー、貴方、お城を持ってるの。ホント? すごーい。……ねえ、良ければ私もそこに住んでいいかな。私ビッキー、行く所のない悲しい身の上の少女なの」
長い黒髪に白い服、杖を携えた美少女ビッキーが話しかけてきた。彼女はテレポート魔法の使い手なのである。一度行った場所なら一瞬でテレポートさせてくれる。当然仲間にした。
この仲間集めは主に僕とグレミオ、クレオの三人組で駆けずり回った。素早く移動する為に人数を絞ったのだ。本当なら一人でもいいかと思ったんだけど、マッシュとオデッサさんに止められた。危険なのと、お供を連れていなくては解放軍のリーダーと思われないから、と言って。
軍記帳を開く。主なメンバー(つまり108星のこと)だけでなく、一般兵士や勇士、戦いとは縁のない技術者なども、たくさんの人が集まってくる。各街を回って108星を仲間にすると同時に、他の民間人にもトラン城で解放軍の人員を募集していると触れ回ったおかげだ。僕達三人以外は城の整備を主に行ってもらっていた。新しい人が届く度に施設などを作る必要があるから、その為の人員を残していたのだ。
そして、それは城の広間で皆と今後の方策などを話し合っていた時だった。広間に光が飛び散り、一点に収束した。皆のどよめきが起こる中で、僕に静かな声が届く。
「ティル……お久しぶりですね」
「レックナート様」
急に現れた彼女を、皆に魔術師だと説明する。帝国お抱えとかそういった部分はもちろん語らない。
「ティル、貴方はついに自分の道に踏み出したのですね」
「はい……ようやく、ですけれど」
ずっと、十数年もくすぶり続けた思いが、今爆発しているのだ。そんな僕にレックナート様は驚きの話をし始めた。
ティル・マクドールは世の中を「乱」から「治」へと導く
「つまり……この解放運動をなすには、僕を含めて宿星を背負った108人の仲間が必要だと……」
「ええ、そうなります」
知識では知っていたけれど、実際に言われるとは思っていなかった。この驚きは演技ではない。
「この二つを貴方に送りましょう。貴方の力、それは思いを一つにする仲間達なのです」
レックナート様はそう言って約束の石板という、宿星を背負った人物の名前が彫られる石板を置いていった。この石板を埋めていくんだ。頑張ろう。それにしてもでっかい石だなぁ。と同時に、
「やあ、僕のことは忘れていないよね? これからよろしく」
皮肉げに歪めた唇。ルックだ。彼も仲間になってくれる。これほど頼もしい仲間はいない。これで風の属性は埋まった。
「歴史は、時は動き出しました。ただ、まだ始まりでしかありません。くじけないで下さい。では、またお会いしましょう」
現在の仲間、19人――。
(うち宿星でないオデッサ1人)
後書き
うむ、鼻くそのような戦闘描写でしたね! 最低! ですが私の筆力なんてこんなもんです。期待した人、正直すまんかった!
城の名前は公式ネームのトラン城で。スタンダードが好きな私です。
私のこだわり。最初に仲間にするフリーの108星は、必ずマリーさんで。何もこだわりがなければ、最初に城を得て仲間になるのはセルゲイかな。でも私はマリーさんが好きなのと城の設備的にこの人が一番だろ、と思うのでそうしています。
オデッサを生存させたことについて。彼女が生存したので、解放軍の人数が一人増えたんですよね……それで思ったのですが、原作の108星から一人減らした方がいいのでしょうか? 別に109人になっても問題はないと思いますが、なんとなく締まらないかなぁと思ったもので。ストーリーやⅡに繋がらない女性を外してオデッサを組み込むのがいいのだろうか? Ⅱのカスミとバレリアのように、どちらかが仲間になれば星が埋まるという風にするべきか。などと考えています。完結しているけど変更はいくらでもききますしね。