また週末なので、感想返しは月曜の朝に。
それと、執筆していた幻想水滸伝Ⅱが完結しました。書ききりました。
ただ、このⅠとはかなり違う毛色の物語となりました。
Ⅰはそれなりに気楽で人死にも少ない。救いがある。
Ⅱは人死にがあってあまり救いがない。ちょっと、いやかなり暗めの物語になりました。
まあ投稿は年明けになると思うので、それまでお待ち下さい。私も推敲しますからね。
まずはダッシュで大木を降りて馬に飛び乗る。姿を見られたので、当然のように「牢屋から逃げたぞ!」と騒がれたからだ。馬に乗ったら北東の山を目指すのだ。ドワーフの山道、そこの手前に来た。ここを越えなければならないので、可哀想だが馬は放置だ。生きていれば再び走らせることできるだろう。
早歩きで山道を歩く。ここにはイーグルマン(翼を持つ人型の空飛ぶ魔物)、ワイルドボー(猪の別種)、はぐれドワーフが出る。はぐれドワーフは野良犬のようなものなので、可哀想だが倒させてもらった。またはぐれは拳法着の材料を採取できる魔物でもある。まあ普通に買えばすむ話なので採取はしないけど。ワイルドボーは獅子の封印球を落とすが、拳で戦う拳法家専用の紋章だし、今のところ唯一の拳法家パーンは既に宿しているし……あまり意味はないかな。
「バレリアは強いね」
前衛で百烈剣を振るうバレリア。やはり彼女は強かった。解放軍でも一・二を争う剣の使い手だからね。
「軍で鍛えられているからな」
さすがの最強だ。隼の紋章を宿しているので、常に三倍ダメージなのだ。紋章を使った攻撃は三倍ダメージになるし、必中だし、後列に配置しても使えるし、言うことなしの最強なのである。まあそれはゲームでの話だけど、現実でも百烈突きからの斬り下ろしは強かった。最強、それが烈火のバレリアだ。Ⅱでは弱体化したが、どうやらこの世界はⅠ準拠らしい。
それはそうと軍で鍛えられた、か。彼女は解放軍で一般兵士への教官もやってもらおう。正規軍と同じ訓練メニューを行うのだ。……まだ正式に解放軍に入ったわけじゃないけどね。
「な、なんとか一日で越えることができましたね」
息せき切って、グレミオ。その言葉通り、一日で山道を越えられた。往復で二日か。僕は、間に合うのか。
「これからドワーフの村に……」
と言いかけたところでまたクロミミ登場。山道の向こうから歩いてきた。ドワーフの村を訪ねた後なのだろう。
「どわーふけちんぼう。びょうきのなおしかた、かくして。クロミミはあきらめないワン」
……うん、犬語がとってもプリチーだね。
「やあ」
軽く声をかける。
「おまえら! ゆるさないけど……うぅぅうう! いまはみのがす」
だだーっと走って通り過ぎて行った。
「……何なんでしょう……」
「今は気にしていても仕方ない。ことが終わったら調べることにして、先へ急ごう」
クロミミには悪いがこっちが重要だ。しかし……僕は暗澹たる思いにとらわれた。僕が迅速に行動しようとしていることは既にわかってもらえたと思うが、実のところ、いくら早く行動できたとしても、あの悲劇を回避できるかどうかはエルフ次第なんだよね。カウンター兵器のアレが間に合うかどうかが鍵ではある。しかし唯一悲劇を回避できる道があるとしたら、長老以下村のエルフ全員がバレリアとキルキスの言葉を信じてくれて、村の大木から避難してくれた場合だけだ。そして頑迷な彼らはそんな道を選ばない。つまり悲劇が起きることはほぼ確定してしまっているのだ。
(決まっている悲劇……転生者である僕にもどうにもできない事象……)
それは、それは確かに存在する。自分は万能でも全能でもないのだ。できることなど爪垢程度でしかない。
(それでも……諦めたくないよ……)
キルキスのことを思い、気分が下がる。……ええい! リーダーが下を向いていちゃ始まらない! 顔を上げろ、前を向け! 未来に向かって歩くんだ!
「やっと着きましたね……おれぁもう腹が減って腹が減って」
「お腹を空かせているとこ悪いけど、事情によっては即行動するからね。料理を味わう時間なんてないかも」
それを聞いて絶望的な顔をするパーン。
「帝国軍よりハードだぜ……」
失敬な。
§
村に入った。とりあえず事情を聞きたいので村長の屋敷へ。しかし石畳は久しぶりだね。最近は土の町ばかりだったから。綺麗にタイルが並べられた地面を歩く。
「長の家ならそこだぁよ」
「ありがとうございます」
道案内を聞いて長の所に。エルフほどの蔑みはないな。そしてやはりちっちゃい。矮躯だ。可愛いとすら思ってしまった。……宿屋のベッド大丈夫かな。
「失礼します」
「ん? ……ほっほ。こりゃあ珍しい。人間とエルフが共おるとは。しかもこのドワーフ鉱山へやってくるとはのぉ」
「ドワーフの長老ですね。エルフのキルキスと申します。貴方にお願いがあって参りました」
僕も同時に挨拶をする。
「こりゃ驚いた! 無駄に誇り高いエルフがわしらにお願いとな!」
オーバーアクション。やはりエルフ嫌いのようだね。あ、人間もか。
「長老、
バレリアがかつっと靴を鳴らして前へ。
「ほっほっほ。そりゃあもちろん知ってる。わしらの宝じゃからの」
「その設計図を手に入れたクワンダ・ロスマンが、森を焼き払うつもりなのです。私達はそれを何とかしたいと……」
「ほほほぅ。こりゃ愉快愉快。エルフや人間なぞ焼き殺されてしまえばいい」
「そんな!」
最初はこれだもんなぁ……いくらなんでも酷いよ。キルキスがんば! いや、僕もだな。
長はうすのろな人間に設計図を盗める訳なかろう、と一蹴。
「しかし、私が軍にいた時、カゲという人物が設計図を盗み出してきたのです」
これがあるからカゲは仲間にしたかった。でもあの時雇えなかったからなぁ。
「ほっほほ。そこまで言うなら試してみるか? わしらの金庫から設計図が盗めるかどうか」
長が最初から信じてくれればこの作業と時間がなくてすむんだけどね。世知辛い世の中だ。
「ええ、試してみましょう。人間とエルフの力を見せてやりますよ」
「面白い。ならばわしらの金庫から流水棍というものを盗み出してみるがよい。そうしたらおぬしらの言葉を信じてやってもよいぞ」
大金庫が村の北にあるというので、すぐ行くことにしよう。パーンの腹が騒いでいるが無視だ。ほしにくでも食ってろ。
「あまりに大きすぎての、村にゃあ作れんかったんじゃ。ほっほっほっほっほっほっほ」
ほ多すぎ。それと自慢もちょっとうざい。まあ、では、吠え面をかかせてやりますか。
金庫へ行く前に鍛冶屋さんによってみる。皆には既に仲間になったマースから話を聞いた、ということにした。本当は原作知識で知っているからだ。ティルのとって未知の情報はこうやって上手くごまかすのだ。と、108星のミースがいた。やったね鍛冶屋。
「解放軍……ねえ。あまり興味はねえが、マースの奴が参加してるのか。奴が認めたってんなら大丈夫だろ。俺の腕も貸してやる。解放軍の武器、まとめて面倒みてやろうじゃねえの」
口は悪いが技術は確か。そんなミースもこれで仲間になった。ミースはドワーフの長にいとまを告げてから出立すると言って出て行った。
ついでに紋章屋によってかめの封印球を二つ購入。これ大事。
しかし、ドワーフ達からは、蔑視ではないが隔意や敵意を感じた。やはり種族間の溝は簡単には埋まらないか。しかしキルキスとバレリア、ドワーフの長がいればこの溝も数年かけて埋まっていくだろう。そうする為にも頑張らねば。
「長から話は聞いているっさぁ。まあエルフと人間ごときに破れるものじゃないさ」
さてさて、大金庫だ。門番も偉そうだなぁ。中に入って長い道のりを歩く。暴れドワーフが出た時はびびったよ。どうやら警護用に魔物を放っているらしい。やれやれ、棍を手に入れる為に僕の棍が火を噴くぜ。
簡単に打ち倒して先に進む。レバーを下ろす仕掛けがあったので、記憶を頼りにレバーを引く。よし、何とか通路を防ぐ玉がガコンと下に沈んだぞ。……この玉でかいね。インディージ〇ーンズじゃないんだからさ。
と、デスマシーンが進路を塞いだ。機械兵のバージョン違いである。鉄の盾を持っているので倒したあとはバレリアに渡そう。え? 戦闘? シーナとルックの雷で一発ですよ。イッパツ!
次は迷路か、これは確か右手法で辿り着けるはず。皆を先導して歩こう。それはそれとして各所にお宝があるね。宝箱なんて初めて見たよ。これらも貰って大丈夫だろう。あれだけ自慢していたのだ。気にせずゲットだ。
「って、こいつらもでるのかよ……」
シーナのぼやき。ワイルドボーだ。だが無意味だ。棍の錆びになってもらおう。で……
「これは一体……」
グレミオが不思議そうに床をみる。床が途中で途切れているのだ。床のないところは、かなり巨大な空間が空いている。落ちたらタダではすまないな。三十メートルくらい先には続きの床があるけど……。
「この床の先端に、違う種類の床があるよ」
「危ないですよぼっちゃん! 落ちたら……」
うぃーんと床が空を浮いて移動する。
「な、なんだこりゃ」
パーンが目を白黒させた。
「どうやら動く床のようだね。行き先も決まっているみたいだよ。上手く対岸の床に渡る床を選ぼう」
うーむ。ゲームでやっていた時は俯瞰して、神の視点で見ていたけど、こうして自分の目の前だとかなり違うな。何より落ちそうで怖い。四苦八苦して向こう側に渡る。ここで魔物とか出たら色々と終わるところだった。何故そうしなかったのやら。
階段を降りたらまた迷路。ここも右手法で行こう。次は……音を鳴らして開く扉だ。ヒントは手前の岩に刻まれているので、その通りに音を鳴らそう。ピコポンポンピコ、ピコピコポンポン、と。
「…………」
ルック様がお怒りになっている。だらだらと歩かなくてはならないので不満なのだろう。我慢してくれよ。君強いんだから。
宝箱で5,000ポッチやすりぬけの札を拾いつつ、かつーんかつーんと鉄の床を歩く。そろそろ……と思ったらいたよボス敵ギガンテス。
「なんですかこいつ!」
キルキスの叫び声通り、奇妙な魔物だった。上半身が裸の人。下半身には逆立ちした紫色の上半身。二つの上半身が腹のところでくっついている。それぞれ攻撃方法が違うんだよな。だけどね……。
「ルック! キルキス! 切り裂きを!」
ルック達の風魔法が放たれる。こいつ風属性が弱点なんだよね。二人の風魔法、切り裂きが一発ずつ当たるととたんに弱った。
「追撃ー!」
僕とバレリア達近接担当が一斉に攻撃する。いよいよ弱って体をぐにゃりとさせるギガンテス。その状態で裸の上半身が両腕に持った鉄球を振り下ろす。人の頭ほどもある鉄球が二つとか、食らったら死ぬってば! 僕は必死に逃げる。攻撃範囲から離れると、
「――切り裂き!」
キルキスの二発目がヒットする。と、ギガンテスは倒れた。切り裂き三発でダウンさ。よしよし。
「ひときわ強い魔物だったね」
「……この為に僕を連れて来たのかい?」
「いや、単純に魔法が強いからだよ。物理より紋章魔法が強い世界だからね」
「…………」
うむ。ルックに怪しまれているな。先を見据えた手を打てるのは僕の強みだけと、あまりやり過ぎると不審を招く。注意しよう。
たかたかと歩って進む。すると宝箱。キィッと開けると棍が一本。
「これみたいだね。さあすりぬけの札を使って戻ろう」
建物などから出られるすりぬけの札だ。Ⅱ以降では紋章魔法の札も登場するので、これはつまりビッキーが使うような瞬間移動の魔法を札にしてあるのだろう。その割には山とかでは使いづらいんだけどね。
瞬間移動で入り口に戻った。さて村に行こう。
§
「うぬぬぬぬぬぅ。わしらの金庫が…………」
「これで信じてくれますよね?」
にこやかに話す。ふふふ、こうやって他人の思惑を超えると楽しい。……「性格が悪い」とか言わないでね。これぐらいは許して欲しい。
「………………仕方、あるまい。お前らの話、信じよう。焦魔鏡は確かに強力な兵器ではある。威力も絶大じゃ。しかもそう簡単には破壊できぬときている。しかしわしらの宝“風火砲”を使えば一瞬で壊せる。じゃが、作るのには少しばかり時間がかかる」
「では早速作って頂けますか。パンヌ・ヤクタ城から一番近いのはエルフの村ではありますが、彼らがやられたら次はドワーフの番です」
「わかった。作らせることにしよう」
何とかドワーフの長だけは説得できた。ここからだな。ここから、やっていくんだ。
「感謝します。ドワーフの長」
「キルキス、エルフの村へ行こう。報告すれば今度こそ……」
「そうですね。きっと、信じてくれるでしょう」
さてどうなることやら。とりあえず今日はもう夜更けなので、宿屋で休むことにした。明日だな。明日が勝負だ。僕は間に合うだろうか。あの悲劇に。
後書き
イーグルマンに代表する「魔物で骨董品等を落とすやつら」を説明できない……。骨董品や絵画を落とす魔物って何だよ……手のひらサイズのひいらぎこぞうとかどう考えても持てねーし! とはいえあの魔物のアレについては原作通りに持たせるのですが。
ギガンテス撃破。こいつが強いとか言う人はいないですよね? ゲームでも強制メンバーのキルキスに風の紋章を。もう一人、私はいつもアイリーンを連れて行って風の紋章を宿しています。ルックは通常攻撃ができないからザコ戦が五人パーティーになっちゃうのです。アイリーンさんはそれなりに通常攻撃の威力があって、魔力も高い。二人で切り裂きを放つと作中のようにあっさり倒せますよ。
すりぬけの札。まあこういう理屈にしました。虎狼山や竜洞で使う時は注意が必要。「自分が入った」方の入り口に戻るからね。