ティル・マクドール:トラン共和国の初代大統領となる。
レパント:トラン共和国副大統領に選ばれる。
マッシュ:トラン共和国の要職に就くことを固辞し、ティルもまたそれを認めた為、カクの町へ戻り塾の教師に復帰する。
ルック:レックナートについて行く。
ハンフリー・ミンツ:フッチを連れて、行く先を告げずトラン共和国を去る。
カシム・ハジル:共和国軍総司令官の椅子を断り、北方の守りを固める為、再びモラビア城の城主となる。
クワンダ・ロスマン:共和軍の総指揮官に就任する。
ペシュメルガ:姿を消したユーバーを追いかけて、共和国を去る。
グレミオ:ティルの傍に付き従う。
ウォーレン:トラン共和国の初代議長を引き受ける。
クン・トー:商人ギルドの長となり、権勢を振るう。
クレオ:「戦いに疲れた」と言い、軍の職を辞す。マクドール家に住み屋敷を守る。
ビクトール:帝国での戦いは終わったとして国を去る。故郷であるジョウストン都市同盟へ戻り、ミューズ市市長のアナベルに請われて傭兵隊を組織し、傭兵隊の隊長となる。
バレリア:トラン共和軍の部隊長となり、エルフの村との調停役を務める。
グリフィス:共和軍に入るのを嫌がって商売を始めた。
クライブ:ティルに連れられてロックランドへ行き、そこで行き倒れた女性の墓を見つける。しかし死んだなどとは信じなかった。探し人である彼女を追い、姿を消す。
フリック:オデッサと結婚。戦士の村、その成人の儀式を完了したとして村へ戻る。周囲から祝福されながら、戦士として過ごす。
カミーユ:共和軍の槍術指南役に抜擢される。グレミオといい仲だと噂されるが、真偽は不明。
クロイツ:共和軍に誘われるが断り、共和国を去る。
スタリオン:世界一速い男になって帰って来ると言い、キルキスの弓を貰って旅立つ。
カゲ:契約は終わったと言い残して、みなの前からは去る。
フー・スー・ルー:一時、コボルトの村にいた。しばらくして旅に出る。
キルキス:エルフ村を蘇らせる為に力を注ぐ。
ミルイヒ・オッペンハイマー:クラウディアの眠る墓を守り、一生を終える。
パーン:未熟な自分を鍛える為に、旅立ちの決意をする。
ソニア・シューレン:共和軍の水軍を引き継ぎ、武名を上げる。
アンジー:船を使って貿易を始め、一儲けを企む。
タイ・ホー:カクの町に戻って気ままな生活。しかし押しかけ女房を嫌がってふらっと姿を消した。
カナック:アンジーと共に商売をする。
ヤム・クー:トラン湖のほとりで、のんびりと魚釣りを楽しもうと思ったが、兄貴が旅立つと聞いてついて行く。
レオナルド:アンジーと共に商売をする。
ヒックス:戦士として“本当に”認められた為、旅に出る。
テンガアール:自分がいないと駄目だからと、ヒックスの旅に無理矢理ついて行く。
バルカス:国境警備隊隊長に任命される。
シドニア:バルカスと共に共和軍に誘われるが、いつしか姿を消す。
アイリーン:レパントの傍には常に寄り添うアイリーンの姿があった。
レオン・シルバーバーグ:カレッカの村に戻ったが、いつしか旅に出ていた。
ジョルジュ:北でいい儲け話が見つかったと行ってしまった。
イワノフ:「自由」を表現する色を探しに旅に出る。
ジーン:アンテイの町で紋章師の仕事を続けるが、気がついた時にはまたいなくなっていた。
エイケイ:強い相手を探す為に、修行の旅に出る。
マクシミリアン:騎士の務めは果たしたとして引退を宣言しようとするが、ティルから「本当の悪者」が現れると聞いて現役続行を決意。
サンチョ:ご主人様の世話を幸せそうに続ける。
グレンシール:首都警備隊の左将軍となる。
アレン:首都警備隊の右将軍となる。
テスラ:トラン共和国の書記官に任命される。
ジャバ:共和国の財産管理を任される。
ローレライ:グレッグミンスターを拠点に、次の冒険とシンダル遺跡を探す日々。
ブラックマン:ティルからカレッカの村復興の為、村での畑仕事と村長を任された。
ヨシュア:竜洞騎士団に戻り、後進の指導に当たる。
モーガン:クロン寺に戻り、修行を再開する。
モース:首都となったグレッグミンスターの復興に力を尽くす。
エスメラルダ:薔薇で一杯の庭付きの家で、優雅な生活を送っている。
メロディ:世界中の音を集める為に、旅立つ。
チャップマン:防具屋をやめて、芝居小屋を始め、大成功する。
リュウカン:医療所を開設。多くの人々の命を救う。また、自分の技術をたくさんの弟子に伝える。
フッケン:クロン寺に戻る。
フッチ:竜騎士の資格を失い、ハンフリーと共に旅立つ。
カスミ:ロッカクの隠れ里に戻り、共和国との連絡役を務める。時々グレッグミンスターに行っている。
マース:自分の腕の未熟さを知り、再び修行に打ち込む。
クロウリー:世事を嫌い、再び洞窟に戻る。
フウマ:ロッカクの里に招かれる。
ムース:鍛冶屋大師匠の名を引き継ぐ。
ミース:修行の為にドワーフの村へと戻った。
セルゲイ:発明が売れて大金持ちになる。
キンバリー:タイ・ホーの家に押しかけて、いつしか居座ってしまう。しかし彼には逃げられてしまう。
シーナ:相も変わらず遊び歩いている。
ケスラー:トラン共和国のパトロール隊隊長に任命される。
マルコ:日々を逞しく生きているが、武術家が怖くなってギャンブルは程々にするようになった。
ゲン:テイエンの村に戻り、船大工を続ける。
ユーゴ:トラン共和国最初の裁判官となる。
ヘリオン:レックナートの代わりに星見の役を受け継ぐ。
ミーナ:共和国一番の人気がある踊り子となって、何不自由ない暮らしをしている。
ミリア:竜洞騎士団領に戻り、自分の務めを果たす。
カマンドール:今も錬金術の研究に没頭している。
ジュッポ:もっと大きな“からくり”を探す旅に出る。
カシオス:解放軍の戦いを歌った歌を多くの人々に聴かせる為、旅立つ。
ビッキー:共和国建国の祝賀会の最中に、テレポート魔法をまた失敗して、どこかへと飛んで行ってしまった。
ルビィ:復興したエルフの村に迎えられる。
ヴァンサン・ド・ブール:帝国が崩壊し、貴族階級はなくなった。しかし財産の没収はなかったので、家に戻って財産を受け継ぐ。その後は気ままに遊学の旅などにも出ているらしい。
メグ:「冒険が私を呼んでいるの」とまた家を飛び出てしまう。
タガート:補佐役としてウォーレンを助ける。
ジョバンニ:レパントからのれん分けして商売を始める。
クインシー:森に戻り、一人で狩りをしながら自由に暮らしている。
アップル:マッシュに「もっと世界を知りなさい」と言われたことと、元々国外に留学していたこともあり、広い世界を見ようと旅行に出る。
カイ:共和軍の武術指南役に任命される。
ロッテ:猫のミナと一緒に、グレッグミンスターの小さなお家で暮らしている。
メース:ムースに鍛冶屋大師匠の名を渡して引退した。
オニール:噂話が好きなのは今も変わらない。
クロミミ:コボルト村に戻り村長となる。
ゴン:コボルトで2番目の(1番はクロミミ)戦士になる為に頑張っている。
アントニオ:マリーの宿屋でコックを続けている。
レスター:シチュー専門レストランを開店する。
キルケ:愛用していた鎌を捨て農夫となる。
ロック:ドワーフの大金庫を設計する仕事を頼まれ、その大事業に没頭する。
ルドン:まっとうな宿屋を開いて繁盛させる。
シルビナ:小さい頃からの約束通り、キルキスのお嫁さんになる。
ロニー・ベル:花嫁修業に精を出しているらしい。
ガスパー:今もカクの町で、サイコロ賭博を楽しんでいる。
ウィンドゥ:魔術師の島、その飾り窓工事を任される。
マリー;共和国首都グレッグミンスターで宿屋を再開する。
ゼン:トランの城は今でも花で一杯だと言う。
セイラ:マリーの宿屋で女中をしているが、気にいらない客には肘鉄をかましている。
サンスケ:新しい風呂の設計に余念がない。
クロン:トラン城の留守番役を、自ら望んで引き受ける。
テンプルトン:世界の全てを地図に書く為、世界中を歩き回っている。
クリン:グレッグミンスター城の宝をくすね……ようとしたところを、知っていたティルに捕まり牢屋に入れられる。
チャンドラー:念願だった自分の店を持つことができた。
オデッサ:フリックと結婚。仲間達みなから祝福される。トラン共和国の要職に就くことを切望されるが、「解放運動だけで限界」と言い、フリックと共に戦士の村へ。いいお嫁さんとして毎日幸せに過ごしている。
テッド:グレッグミンスターのマクドール家に迎えられる。最初は断っていたが「もう家族だから」というティルの言葉で居候となった。
§
「レックナート様、ではお願いします」
「……わかりました」
気絶しているウィンディから、レックナート様が紋章を剥ぎ取る。それが、僕がした提案。真の紋章があれば、他人が宿している真の紋章だろうと剥ぎ取れる。ウィンディもソウルイーターを奪取しようとしていたし、きっとできると思っていた。ウィンディが持つ“表の門の紋章”を奪うのだ。そうして……。
「……ここは?」
「気づかれましたか、バルバロッサ様」
クワンダが助け起こす。まあベッドに寝ているから必要はないんだけど。ウィンディはまだ気絶している。
「ここは魔術師の島ですよ。バルバロッサ
「ティル……。――!! それは!」
バルバロッサさんは僕が持つ剣を見て顔色を変える。
「はい、貴方が持っていた竜王剣。27の真の紋章、『覇王の紋章』ですよ。これからは僕が管理します。と言ってもある場所に安置するつもりではありますが」
「待て、それは……」
確か、覇王の紋章は(というか大体の紋章が)ハルモニア神聖国のものだったはず。だけど赤月帝国が独立する時に、竜王剣も赤月帝国のものとなったんだったね。そして時の皇帝達はみな竜王剣を継承し続けてきた。その呪いと共に。だけどもう赤月帝国は滅んだのだ。剣を継承する義務も筋合いもない。原作では行方不明になっていたし、誰かが常に持つのではなく安置してしまっても問題ないはずだ。
そして僕は説明した。今までレックナート様が張っていた魔術師の島にある結界、それを逆転させたと。つまり、島の中にいる人間を閉じ込めるようにしてもらったのだ。
「――ここで、貴方とウィンディには流刑という形で過ごしてもらいます。死刑ではない。終身刑です。愛しているのなら、愛されているのなら、どうぞご勝手に。もちろん罪に対する罰ですから、一生ここから出られない、自由のない生活ではありますけどね」
僕は甘いのだろうか? 多くの人を殺し、苦しめた二人だ。殺してしまうのが正しいことなのかもしれない。だけど、多くの人が死んだその様を見てきたからこそ、思う。死ぬ人を見たくない。死なせたくないと。
「――――君は、君は私達を……」
救うとか助けるなんて偉そうな気持ちではない。ただ、死んで欲しくなかっただけだ。人が死ぬのは悲しいことだから。既に二人には真の紋章がない。呪いも、不老も、もうないのだ。その状態で普通に歳をとって死ね。
せいぜい自分達の行いを後悔して、苦しむのなら苦しめ。それが、二人が背負うべき罰だ。特にウィンディは、ソウルイーターを得るどころか自分が宿していた表の門の紋章を失うことになったのだ。それで「ああ、あああ、復讐ができなくなってしまった。何もできなくなった……」と無力感と喪失感と絶望に塗れればいい。そうして普通の生を全うするという苦しみを味わうのだ。それが彼女に与える僕からの罰。とことんまで苦しむ中、バルバロッサの愛情と優しさはさぞお前を苛むだろうさ。もがけ、苦しめ、涙を流せ。だが、生きろ。それでも生きろ。踏みつけにしてきたものを思って生きやがれ。
「ということで、必要な人員などは後々送ることにします。五将軍、貴方達は新国家の軍でも働いて貰いますので、今は僕と一緒に引き上げますよ。もうバルバロッサさんにはいつでも自由に会えますから、ここに残るのはやめて下さいね」
まあ来るには竜とかが必要なんだけどね。
「じゃあ行きましょうかレックナート様。ルック」
彼らに送ってもらう。レックナート様はもう魔術師の島に引き籠もる理由がないのだ。彼女にも自由に過ごしてもらおう。“表の門の紋章”も宿して、完全な門の継承者になっているけど。
「…………すみません、ティル。貴方に姉のことまで……」
「気にしないで下さい。僕が選んだことです」
そう言って強引に話をまとめた。二人についても僕が背負う。そう決めた。
竜王剣は……星辰剣が封印されていた場所に安置すればいいだろう。そしてフッケンに出入り口をこれでもかというほどに封印してもらおう。フッケンが死した後に解放されては意味がないので、後継の人間に必ず伝えていくようにもお願いして。
§
「それじゃあ……」
「ええ」
「…………」
僕は、竜王剣、“覇王の紋章”を右手に持つ。場所はクロン寺の洞窟、その最深部だ。
「いきます……」
覇王の紋章は全ての魔法、魔力を受け付けない。その力でもって呪いの紋章、“ソウルイーター”を抑え込む。いや、正確には魔力を打ち消すと言った方が正しいか。
何故こんなことをしているのか? それは、僕がレックナート様にソウルイーターを引き剥がせないか、聞いてみたのだ。その答えは、
「真の紋章は宿主を選びます。宿主とした貴方以外の人を認めることはないでしょう」
ということで、奪取は難しいだろうと言われた。シークの谷と空中庭園でもウィンディが奪おうとしたが、ソウルイーターはこれを拒み、弾いている。実際に、レックナート様で試してもみた。だが結果は失敗。ソウルイーター――というか全ての真の紋章――は意思を持っているのかな? そしてその意思で僕が選ばれたから引き剥がせない、と。
その時に、以前から考えていたことを言ったのだ。
「竜王剣、“覇王の紋章”はたとえ真の紋章であってもその魔力を受けつけないとバルバロッサさんは言っていました。それでソウルイーターも封じてしまったらどうでしょう? その力も意思も全て無効化してしまえば……」
その言葉を元に、ここに第二次ソウルイーター剥離実験が開始された。レックナート様の完全となった“門の紋章“で僕からソウルイーターを引き剥がす。
カァァ、と光が散って、僕の右手から紋章が消えた。そして中空に封印球として出現するソウルイーター。三百年連れ添っても、この紋章を封印球の状態で見るのは初めてなのだろう。テッドが感嘆している。僕も、実際に行えたので少し驚く。できなければ一生背負うと決めていたのだが。
「ソウルイーターが……」
「……は……あぁ……」
力を使って疲労したのだろう、レックナート様が崩れ落ちる。
「大丈夫ですか、レックナート様?」
「ええ……これで、ソウルイーターはティルから引き剥がせました」
「ありがとうございます。レックナート様」
お礼を述べる。実際にありがたかった。レックナート様がいてくれて良かった。
「後は……この封印球をここに、洞窟に封じればいいんですね」
始まりの紋章がそうであったように、場所に封じることも不可能ではないのだ。これで、僕もテッドもソウルイーターのくびきから解き放たれた。
僕達は、僕達も、ようやく解放され、自由の身になったのだ。
§
あれから、門の紋章戦争(別名トラン解放戦争)が終わってから、二年の月日が流れていた。平穏な日々が続いている。だけど……あと一年後には、北の地で再び戦乱が起こる。しかし……僕ってその戦乱の知識が完全じゃないんだよね。門の紋章戦争は自分が関わることだから、子供のうちに書き留めたりしていたけれど、こっちの戦争にはさほど注意を払っていなかったんだ。不完全な知識でどこまでやれるか……。
いや、上手くやるという気持ちなんて必要ないか。もうこの世界は独自の歴史を歩み出している、はずだ。知識なんて完璧じゃなくてもいい。ただ、自分の目の前で起こることに全力で対応する。それだけだ。
……それとも、やっぱり僕は関わらない方がいいのかな? この先、北の地で起こる戦乱を治めるのは彼だ。彼の物語である以上、僕は一切関わらないという選択もあるな。どうしようか? 悩む。本当に続きの物語に入っていくべきかどうか。
「さて、どうなるかな」
僕はそんな言葉を呟きながら、執務室で一人グーンと背中を伸ばすのだった。
§
王城の屋上から街を眺める。ようやくだ。ようやく復興してきた。あれだけ傷ついたこの街が。そうだ、確かに傷跡は残ってしまう。だけど、傷は癒やせる。きっと、きっと。傷つくことは負けることじゃない。そこから立ち上がれないことが敗北なんだ。立ち上がることができた国民の強さ、それを信じるんだ。
僕は世界に立ち向かった。オデッサさん、グレミオ、テッド、アイン将軍、バルバロッサさん、ウィンディ。死なせなかったぞ。殺さなかった。許して、許されて、そうして生きていくんだ。僕達は。
――これからも、ずっと。生きていく――