生命戦維が宇宙へ行きたいなんて思っていると誰が決めた?!   作:柿Pカレー

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第1話

生命戦維。

 

 

それは長い間宇宙を旅し、星に寄生し、その星を苗床とし、増殖し宇宙へ飛び立つ。

 

そして、そのサイクルを永遠に繰り返す。

 

 

・・・って誰が決めたのかね?

 

 

 

これは地球に寄生はしているし、苗床にもしているが、飛び立つ気など全くない生命戦維と、

 

その生命戦維とうっかり意志疎通できてしまった少年の話。

 

 

 

 

 

大型バイクに跨り道を走る少年。本人は颯爽と走っているつもりなのだろうが、小柄な体格の少年が大型バイクに乗っている様は、振り落とされないようにしがみ付いているようにしか見えない。さらに少年の紺色のブレザー学生服が違和感を際立たせている。

 

そして、これから向かう場所が嫌らしく先ほどから学生服は文句を言っている。その声は少年にしか聞こえない。

 

「本能字学園ねえ。最初に降り立った地ってさ、そんなに重要?じゃあ、お前ら産まれた場所とかそんなに重要視してるわけ?そこから飛び立つって、厨二っぽくね?それにさ宇宙ってさ寒いんだよ。わかる?しかも真っ暗なわけ。そんな所に行きたいわけないと思わないか?」

 

「まあ、降り立った場所を有難がってるのは人の勝手だからね。絶対零度の世界とか、暗黒の宇宙とか、言われてるからね。寒いし暗いと思うけど、生命戦維ってそういうの感じるモノなの?」

 

「感じるか感じないかと言われれば微妙なところだな、情報として解るが、実感はない。でもな、感覚の問題なんだよ、フィーリングっていうか、イマジネーションっていうか!!」

 

「カタカナ使えば格好いいと思っている残念生命戦維」

 

「残念いうな。タツそろそろ到着するぞ」

 

 

---本能字学園---

 

 

 

「こんにちわ、転校生の布柄 断(ヌノガラ タツ)です。よろしく・・・うわ!何々、え?流子ちゃん?僕のバイク何処に持っていくの?!」

 

「ちょっと借りるぜ、悪ぃな。ってタツ?!無事だったのか!いや、今は逃げるのが先か。・・・後でな」

 

「えー、いったい何がどうなって・・・」

 

 

人が集まってるし、なんとなく、挨拶しておこうかなとお辞儀をしたところで、走り寄ってきた少女にバイクを盗まれました。

 

そして、その少女は元同級生でした?!サッパリわけがわかりません。

 

 

「おのれ、なんて逃げ足の速い奴だ」

 

 

「キッサマー。神聖な決闘を邪魔するとは何事だ!!」

 

「ええっ?!一体何が起こってるのか、僕にはサッパリなんだけど?」

 

 

しかも、なんか半裸の人に言いがかりを付けられています。

 

大柄の人たちに抱えあげられて、何処かへ連行されています。

 

 

「重要参考人として、貴様を連行する。風紀委員引っ立てろ」

 

「ええええええー」

 

 

やっぱりわけがわかりません。

 

 

 

---本能字学園、生徒会室---

 

 

「お久しぶり、皐月お姉ちゃん、乃音お姉ちゃん」

 

「あら~誰かと思えば泣き虫タツ君じゃない。証拠にもなくまた現れたと思ったら、皐月ちゃんの邪魔をするなんて、どういうつもり~?」

 

「ごめんなさい。ごめんなさいってば、イタっ痛いって、その指揮棒鋼鉄製?なんか無茶苦茶痛いよ!?」

 

 

小柄な蛇崩乃音が同じく小柄な少年を指揮棒で叩いている様はなんとなく危ない雰囲気が漂い誰ともなしに目を背け関わり合いになりたくないように心持一歩引いている。

 

 

「お知り合いですか?皐月様」

 

皆の疑問を代表して風紀部委員長、蟇郡苛が質問をする。

 

鬼龍院皐月は静かにカップを置き、そばに控える老紳士に声をかける。

 

「・・・揃」

 

「はい、皐月お嬢様。では、僭越ながら私めがご紹介を、彼の名は布柄断。皐月お嬢様の婚約者候補筆頭でございます」

 

「婚約者?!」

 

「さようです。鬼龍院財閥後継者ともなれば婚約者候補の1ダースや2ダース当然でございます」

 

恭しく礼をとっているが、蛇崩乃音に打ち据えられているのを助けようともしないし、あくまで筆頭で婚約者候補にしか過ぎないという態度を崩そうともしない。他の候補達に至っては・・・ダースとか、すでに人として数える気が皆無なのが見て取れる。

 

「この泣き虫タツ君なら皐月ちゃんの邪魔はしないから、筆頭に据えてあげているのよ」

 

「うん、僕も皐月お姉ちゃんはお姉ちゃんだから、まあいいかなって」

 

指揮棒で突かれながらも笑顔で、答えている様はいっそ哀れである。

 

 

「そんなことよりも、貴様。あの転校生とはどういう関係だ?」

 

「彼女の名前は纏流子。半年前、彼女が在籍していた学校の同級生のようだね。しかもかなり親しかったようだ。君が消えてから半年間、彼女随分荒れてたみたいだけど、何があったんだい?」

 

それまでの流れをぶった切るような蟇郡の質問に答え、さらに質問を重ねてきたのは犬牟田だった。

 

室内の鋭い視線に晒されながらも特にあわてることなく、のんびりと答えるさまは大物なのか何も考えてないのか。

 

「今から半年前に纏一身、つまり流子ちゃんの父親が襲われたんだけどね。その現場に僕もいたんだよ。もう本当に酷かったんだよ、屋敷ごとバーンでゴーで・・・何とかなるまでに半年。本当に大変だったんだよ」

 

「なるほど、纏一身の娘ならあの片断ちバサミを持つのも頷ける」

 

大変だったという割には言葉の軽さのせいで、全く信憑性がない。しかし彼の言葉を聞き、皐月はカップを置きフッと微笑を浮かべ呟く。

 

「回収を命じたアレって一体何なの?皐月ちゃん」

 

「あれは対極制服用に特別に開発された特別な武器だよ。纏一身さんの研究成果ってやつだね。それを狙われて襲われたって話だよ」

 

「あんたに聞いたんじゃないわよ!!泣き虫!!」

 

「だから痛いって、乃音お姉ちゃん」

 

折角、シリアスに話がいこうとしたのに、よけいは一言で再び乃音の指揮棒の餌食となっているタツ。

 

 

・・・そして、部屋の片隅でずっと無言でいるボクシング部部長袋田隆治。

 

(俺の出番・・・)

 

 

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