生命戦維が宇宙へ行きたいなんて思っていると誰が決めた?!   作:柿Pカレー

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第3話

 

 

 

「それで俺をこんなところに連れてきてどうしようっていうんですか?」

 

さりげなく、生徒会室より連れ出されたボクシング部部長、袋田隆治はタツに挑むように対峙する。

 

先程の話から、自分が叩きのめした転校生は彼の知人らしい。どの程度の付き合いかはわからないが、親しかったと犬牟田は言っていた。

 

生徒会長の鬼龍院皐月様より会計を任されたこの人物は、自分をいや、ボクシング部をどうするつもりなのか・・・背中に冷たい汗が流れる。

 

 

しかし、タツはそんなこちらの緊張など全く気にもせずに、のんびりと揃が書類を持ってくるのを待っている。

 

足をぶらぶらさせて待つその姿は、とてもこれから本能字学園の生徒会の一員になるようには見えない。

 

 

「別に?どうもしないよ?むしろ帰っていいよ」

 

「えっ?」

 

「皐月お姉ちゃんは君にあの片断ちバサミの回収を命じた。そして、その命令はまだ撤回されてない。君を連れ出す時、誰も何も言わなかったでしょ?」

 

「・・・つまり俺には名誉挽回のチャンスがあるっていうことですね」

 

「それをチャンスととるかは、君次第だけどねー」

 

 

やる気に満ち溢れる袋田とは対照的に、なんだかやる気無くなっちゃったなーと言いたげなタツ。

 

そんなタツに袋田は悪い顔をして「お願い」をする。

 

 

「わかりました。では、ひとつお願いが・・・」

 

 

 

次の日、放課後

 

本能字学園、校庭。

 

 

「聞いてなーい!!」

 

「わははは、聞こえないなぁー」

 

「邪魔したの根に持ってるだろー」

 

 

校庭に特設されたリングの上に磔にされている生徒が二人。

 

一人は纏流子と本能字学園で唯一言葉を交わした満艦飾マコ。

 

もう一人は前の学校で同級生だった布柄断。

 

 

その前でメガホンを持ち、本能字学園都市全土に放送する。

 

「転校生。今から一時間後、お前の友人の処刑を行う。貴様の本能字学園への反逆罪の連帯責任だ。阻止したければ・・・(略)」

 

 

二人とも誰の趣味なのか、逆磔である。

 

タツはズボンだから服が捲れあがっている程度で済んでいるが(それでも臍はもちろん・・・かなりめくれて・・・)、マコに至ってはスカートを挟んで何とか見えないようにしているのと、意外にある胸のおかげで引っかかって見えていないという何ともギリギリ感漂う磔。・・・いったい誰の趣味だ。

 

 

「わわわ私、今日は見せパンじゃないのにー」

 

「何で、僕だけじゃなく見知らぬ女の子も人質なんだよー」

 

「見知らぬなんかじゃありません。私は流子ちゃんの親友です!!そんな貴方はなぜ人質に?」

 

「僕は流子ちゃんの前の学校のクラスメイトだよ。そうかーあの流子ちゃんに親友かー」

 

「流子ちゃんて前の学校ではどんな感じだったんですか?」

 

「喧嘩っ早くて、いっつも怪我してたよ。僕保健委員だったから、保健室で手当てしてるうちに仲良くなったんだ。君はどうやって流子ちゃんと仲良くなったの?」

 

「昨日流子ちゃんが転校してきて席が隣だったんです。それから流子ちゃんが一緒に帰ってくれたんです」

 

「ほうほう、それから?」

 

「それだけです!!」

 

「「「ええー?!」」」(ギャラリー息ピッタリ)

 

「時間なんて関係ない。私と流子ちゃんはすでに親友、ソウルメイトです!!」

 

「おお、言い切ったね」

 

 

磔にされているため、ポーズは決めれていないが、満艦飾マコ節全開。二人がテンポよく話しているせいで、予定していたエビに粉をつけて油で揚げると何故かエビフライに?!というデモンストレーションができずにイライラしている袋田。

 

 

「なんだか楽しそうじゃねぇか、マコ、タツ」

 

「ありがと、流子ちゃん」

 

「ひどいよ、流子ちゃん。僕も助けてよ!!」

 

「何甘ったれたこと言ってるんだぁ?男なら自分で何とかしやがれ」

 

「うーん、半年ぶりにあった同級生にその辛辣っぷり、さすが流子ちゃん」

 

 

そんなカオスな状況にマント姿の流子が現れ颯爽とマコを助ける。

 

マコだけを助けたとこに一応抗議の声はあげるものの、特に気にした様子もなくガチャリと拘束を外し、リングに降りるタツ。

 

 

「何っ?!」

 

「まあ、この程度の拘束、僕には意味がないけど・・・ねえ、君のお願いは流子ちゃんが来るまでの人質だったよね?まさかこのまま僕を人質に・・・なーんて卑怯な事は・・・しない・よ・ね?」

 

 

あっさりと磔から脱出した二人に驚きの声をあげる袋田に先程までの仕返しとばかりに脅しをかけるタツ。

 

至近距離で睨みをきかせながら小声で話しているため、ギャラリーは見えていないし聞こえていない。しかし、とても怖い顔をしているらしく、対峙している袋田は青い顔をして、タツを振り切るように流子に向けて宣言する。

 

 

 

「もももちろんです。ここはリング。ボクシングの試合形式での決闘だ!!」

 

「いいぜ、受けて立ってやる」

 

 

カーン・・・試合開始のゴングが鳴る。同時に袋田からの先制パンチが流子に襲い掛かる。

 

「左フックに見せかけた・・・コークスクリュー!鉄拳粉砕!!」

 

続く二撃目の袋田の拳も確かに流子を捉えたが、マントが粉砕されただけだった。

 

しかし、現れたその姿が問題だった。

 

「「「おおっー」」」

 

主に男性陣から上がった歓声も無理からぬこと。

 

ほぼ半裸となり、その若く瑞々しい体を晒しているのである。

頬ばかりか顔まで赤く染め恥らっている様がまた男心をくすぐっているようだ。

 

対峙している袋田も例外ではないらしく、というか至近距離で見ているため、冷静さを失っているようだ。抗議しているのだか声は裏返っているし、睨みつけているらしいが近すぎてガン見している様にしか見えない。

 

「貴様、なんだその破廉恥な格好は!ボクシングをスポーツを舐めているのか!その色香で俺を惑わせようというのか!そんなもので俺は惑わされないぞ」

 

「ジロジロ見んな、好きでやってるんじゃねぇ」

 

「良かろう。では俺も対抗して脱がせてもらおう」

 

錯乱したのだろうか?羽織っているシャツとボクシングパンツ以外服らしいものを身に着けていない彼が脱いだら・・・。

シャリン・・・ボクシンググローブのベルトについていた金具を外した。

 

「遠征用に付けていたソフトグローブを外させてもらおう。これを付けていないと他校の生徒が相手をしてくれんのでね」

 

ソレはすでにグローブの形などしておらず、四角く棘の付いた拷問器具か何かのようである。

 

「ボクシング知らないアタシから見ても反則だろソレ。でも面白れぇ」

 

 

カーン、第二ラウンド開始のゴングが鳴る。先程までの袋田の話の間が休憩時間だったということなのか?

 

「えっ?じゃあ、僕のセコンドタイムは?」

 

 

そんなタツの呟きなど当然無視されて、先程同様先制は袋田だった。

 

「大方さっきのマントに何らかの秘密があったんだろうが、今度はそうはいかないぞ。その服弾け飛ばせて丸裸にしてやる!!」

 

「「「おおっ」」」

 

そのパンチは確かに流子を捉えていた。観客(特に男性陣)も思わず歓声をあげた。

 

ピシリ、パキリ・・・。しかし、そんな音を立てながら崩れ去っていくのは袋田のグローブの方だった。

 

 

「そんな・・・」

 

「鋼鉄製になるのは、てめえのグローブだけじゃねぇこの服もだ」

 

「まさか、まさか・・・」

 

「全然きかねぇな、そんな攻撃」

 

自分の攻撃が全く効かないことを認められない袋田はこれでもかと攻撃を繰り出しているが、やはり全く効かない。

 

 

 

「何あの制服」

 

「まさか奴も極制服を」

 

「ほう」

 

タツは頭上で興味深げにこちらを見つめている四天王達と目が合ったので、ニッコリ笑って手を振っておいた。

 

「何あれムカつくわ」

 

・・・哀れタツ、また指揮棒の餌食になることが決定・・・。

 

 

 

「今度はアタシの番だね。左ジャブ、右フック・・・からのアッパーカット!!」

 

流れるように片断ちバサミで攻撃しているが、いいのか?

 

「とどめの右ストレート!!」

 

『戦維喪失』

 

 

「馬鹿な」

 

「極制服が」

 

「負けた」

 

「あれが断ちバサミの力か」

 

「いや、そだけではない」

 

「止めだー!!」

 

極制服にあった生命戦維を吸収する流子の神衣を観察する四天王達の余所に袋田を皐月に投げつけようとしている流子。

 

 

「ぐえっ」

 

タツは袋田を踏み潰すことで、ソレを阻止して流子を嗜める。

 

「ハイ終了ー。流子ちゃんの悪い癖だよ?無意味に事を大きくするの」

 

「邪魔すんな。タツ。アタシはアイツに聞かなきゃならねぇことがあるんだ!!」

 

「でも、今日はもう店じまい。あと何分?ソレ着ていられるの」

 

(そいつの言う通りだ流子。後5分でお前は貧血で倒れる)

 

「血を吸ってるお前が言うな。コノヤロー後で覚えてろよー!!」

 

 

捨て台詞で去っていこうとする流子を見送り、追跡をしようとする四天王達の前に邪魔するように立ちはだかる。

 

 

「待て!!転校生」

 

「そこまでだよ。四天王さん」

 

「貴様、なぜ邪魔をする」

 

「邪魔なんてしてないよ。ねえ、皐月お姉ちゃん?」

 

「そうだな、奴はまたやってくる深追いはするな」

 

 

そう言って去っていく皐月に納得できない顔をしながら敬礼をしている猿投山と蟇郡。

 

 

 

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