またもや一部リメイク前のを流用しました(甘え
たのしんでいただけたら幸いです
ぶん、と振るわれたドリルアームが空を切り、反撃として突き出されたガイの拳を避けながらバースは再度ドリルアームを振りぬいた
ガキン、とガイの胸部にドリルが当たり、ガイは少しよろけて後ずさる
すかさずバースはその腹に蹴りを打ち込んで、もう一枚のメダルを入れて再度カプセルレバーを回した
<クレーンアーム>
右腕のドリルアームにクレーンの要素を付けたし、離れた距離からでも疑似的な遠隔攻撃を可能とするこの組み合わせ
個人的に神那賀がよく用いる組み合わせだ
けどやっぱりそろそろシンプルな射撃武器が欲しいとも思う今日この頃
ブレストキャノンは少々かさばるし、何よりデカくて動きづらい
破壊力抜群なのは好みなのだが
「くっそ…! 調子に乗んなよこの女!」
思考にふけっているとガイはデッキから一枚のカードを取り出し、左肩前面にあるメタルバイザーにカードを投げ入れると、バイザーを閉じる
<ストライクベント>
そんな電子音声と共に、ガイの右手にメタルホーンが出現し、クレーンドリルアームの攻撃を防ぎつつ、バースへと接近していった
振るわれるメタルホーンの一撃をドリルアームで防ぎながらバースはガイに向かって
「答えなさい、なんでこんなことに手を貸すの!」
「あ!? 理由なんかねぇよ!」
面倒くさそうに反撃とばかりにバースの腹に蹴りを打ち込み、大きく仰け反らせるとデッキからもう一枚アドベントカードを取り出すと、肩のバイザーに投げ入れる
<アドベント>
直後、どこからともなくバースに突進してくるいつぞやのサイの化け物、メタルゲラス
不意打ちに近いタックルを貰い、もう一度吹っ飛ばされてしまった
ゴロゴロと転がりながら、また一枚のメダルを取り出し、仮面の下でギリリと歯を食いしばる
ふざけるな
そんな理由もなく、理不尽にあの子たちは今の今まで殺されてきたっていうのか
心の奥底で、静かに、しかし激しく怒りが神那賀の中で渦巻いてくる
「こいつはね、ゲームなんだよ。
「―――アンタはぁっ…!!」
これ以上話していても、きっと埒が明かない
ガイの方も会話に飽きてきたのか、短くため息をしながら、デッキからもう一枚カードを取り出す
デッキに書かれている紋章が刻まれた、そのカードだ
「ま、これでゲームオーバーってことで」
<ファイナルベント>
バイザーにそのカードを入れて、ゆっくりとメタルゲラスの突進に自身がゲラスの肩に飛び乗って繰り出すヘビープレッシャーが迫りくる中、バースは取り出したメダルをドライバーに装填してレバーを回していく
<ショベルアーム>
<キャタピラレッグ>
<カッターウィング>
<ブレストキャノン>
各部のリセクタプルオーブから展開されていくアームズが、バースの各所に装着されていく
ヘビープレッシャーを繰り出して突っ込んでくるガイのメタルホーンを、ショベルアームで強引に掴んだ
「!! なんだと!? ってか、嘘だろ!?」
まさか止められると思ってなかったガイは仮面の下で驚愕の表情を浮かべる
そのままバースのキャタピラが激しく走らせ今もなお走っているメタルゲラスをついに跳ね除けて吹っ飛ばした
メタルホーンが消えうせ、メタルゲラスとガイはゴロゴロと地面を転がり、体勢を立て直す暇もなく、次の攻撃がガイを襲う
「ぐあっ!?」
カッターウィングの鋭利な刃で切り裂いたのち、飛行して飛び回るバースがショベルアームとクレーンドリルアームによる複合攻撃で、さらにガイに追い打ちを仕掛けていく
「もうアンタには何言ったって無駄ね! 言った通り、アンタに借りを返してやるわ!」
ゆっくりと地上に降りたち、胸部のブレストキャノンにエネルギーを収束させていく
本当はこいつだって改心できる余地があるのかもしれない
だが、今だけはとりあえず、ぶっ飛ばす!
「ブレストキャノン…セルバーストォォォっ!!」
<セル・バースト>
ブレストキャノンから放たれたエネルギーがガイに直撃し、叫び声をあげながら大きくガイが爆炎と煙に包まれてる
どさりとその場に変身が解除された芝浦の姿があった
それを見届けると、バースも変身を解除して倒れる芝浦の横を通り過ぎる
「…トドメは、刺さないのかよ」
「必要ないわ。意味がないもの。アンタも一度、誰かの為に戦ってみたら?」
「…は?」
「それじゃあね」
短く会話を斬り捨てて、神那賀はその場から離れるべく足を動かす
士やアラタは無事だろうか…
◇◇◇
「ふん!」
振るわれる鞭をライドブッカーソードで斬りはらいつつ、咄嗟にブッカーをガンモードに切り替えてライアに向かって銃撃を行う
ライアはその場から跳躍を行い、ディケイドの背後を取った
背を取られたディケイドはすかさずライアを撃とうとガンモードを向けるが、その手がライアの持つエビルウィップに弾かれる
「っ!」
その隙を逃さずライアはさらに連続攻撃を仕掛ける
丸腰となったディケイドは数発貰ったが、すぐに後ろに飛んで距離を取る
「…ったく…やるじゃねぇか」
「貴様もな」
ライアはそう言いながら一枚のカードを取り出した
一本の剣と、鏡に映されたような剣が書かれたカードだ
再度ライアはエビルバイザーを開くと、そのカードをセットする
<コピーベント>
するとディケイドの持っているライドブッカーが一瞬輝いたと思うと、その幻影のようなものがライアの手元に飛んでいく
次の瞬間ちゃきり、とウィップを持っていない反対の手にディケイドが持っていたライドブッカーがコピーされていた
「はぁ!? マジかよ!?」
「あいにくマジだ」
そう言いながらライアはコピーしたライドブッカーをディケイドに向かって発砲した
撃ち出された弾丸は真っ直ぐディケイドにぶち当たり、吹っ飛び地面を転がっていく
体験して思う、自分の武器案外痛い
「ってぇ…! なろぉ…! だったら、俺も使わしてもらうぜ!」
そのまま立ち上がりながら、同じようにライドブッカーからカードを一枚取り出す
それは三日月のような装飾が顔についている、オレンジ色の複眼のあるライダーが描かれたカードだ
ディケイドはバックルを開きながらそのカードを突き出して
「変身」
そう短く言いながらバックルにカードをセットし、閉じた
<KAMEN RIDE GAIM>
<オレンジアームズ! 花道 オン ステージ!>
突如として上空に現れたミカンのようなものがディケイドに被さると、ミカンが展開されて鎧を形作っていく
完全に鎧となったと同時、何やら液体のようなものが弾けて、そこには全く違う仮面ライダーがそこにいた
「! 別のライダーになっただと!?」
「さぁて。ここからは、この俺のステージだ」
大橙丸と無双セイバーを構えると、セイバーのブライトリガーを引いて弾丸を装填し、接近しながらそれをライアに発砲した
ズガガガガ、とライアは直撃を貰い、僅かによろけてしまうものの、すかさずこちらも反撃とばかりにライドブッカーを構えるが、すでにその時にはディケイド鎧武の接近を許しており大橙丸でライドブッカーを持っていた手を弾かれてしまい落としてしまった
そこからは一方的にライアがラッシュを受けて、受け身となる
無双セイバーと大橙丸の二本から繰り出されるシンプルながらも強力な斬撃の連撃はかなり手強いものだ
二刀流の同時攻撃を体に受け、吹き飛ばされたライアは何とか踏ん張りながら、デッキから一枚のカードを取り出した
エイの紋様が描かれた、ファイナルベントのカード
「なるほど。次でケリをつけに来たか。いいぜ、乗ってやる」
同じようにディケイド鎧武もライドブッカーから鎧武のライダーズクレストの入ったカードを取り出した
互いに一触即発の状態の中でにらみ合う中、不意に一陣の風が巻き起こる
それが合図となった
<ファイナルベント> <FINAL ATTACK RIDE G・G・G・GAIM>
現れたエビルダイバーに乗って繰り出すハイドべノンと、オレンジ色のエネルギーと共に繰り出す無頼キックが激突し、直後、大きく爆発が巻き起こった
モクモクと煙が消えていき、その場で悠然と立ち上がったのはディケイド鎧武だった
残像が離れるようにディケイド鎧武はディケイドへと戻ったあと、バックルを開いてさらに変身を解除する
「う、ぐ…」
どうやらまだ生きているみたいだ
殺す理由などもないから、ここはこの場で放置でいいだろう
士は踵を返して、その場を去った
ここにいて自分ができる事など、なにもない
◇◇◇
王蛇の攻撃を捌きながら、クウガは反撃として拳を王蛇の胸部に叩きつける
「ぐっ!」と短い嗚咽を漏らしながら王蛇は一度大きく後退し、手に持っていたベノバイザーの展開すると、デッキからカードを取り出す
金色の突撃剣のようなものが描かれたカードだ
王蛇は先ほど開いたスロットにカードをセットすると、それをそのまま押し込みベントイン
<ソードベント>
すると王蛇の手元に描かれていた突撃剣―――ベノサーベルが現れた
そのままベノバイザーとの二刀流で、王蛇はクウガに攻撃を仕掛けてくる
流石に素手でこのまま戦うのはじり貧だ
青も緑も紫も、その辺で武器にできそうなものはない
なら…あの姿しかない
最もテレスティーナの時になれただけで、今回もなれるとは限らない
それでも、やる価値はあるはずだ
大きく息を吸って―――呟く
「―――超変身」
アークルの上部右側に手を添えて、そのまま右手を左斜めへと突き出した
瞬間、彼の覚悟に呼応するかのようにアマダムが金色に輝き、アークルに金色の装飾が装着される
紅い装甲が黒くなっていき、鎧の縁が金色に染まっていく
両足にはマイティアンクレットなる装甲が追加されて、もう一度赤い複眼が発光した
「…できた」
色の変わった己の体を改めて見やる
身体から雷のような力が迸るのを感じる
王蛇はそれを見るとイライラを隠す様子もなく首を動かしながら
「ほぉ? …色変わんのかお前…がっかりさせんなよぉ!」
そのままアメイジングマイティに向かって一気に距離を詰めて、ベノサーベルを振り下ろす
だがベノサーベルは不意に現れた何かによって防がれた
あん? と王蛇は訝しんだ
こいつは何も持っていなかったはずだ
この感触は素手での防御ではないはず…そう思っていると、アメイジングマイティが持っている何かに気が付いた
それは黒をメインカラーとした剣だった
いつの間にか、それがアメイジングマイティの手に握られていた
「…テメェ、いつの間にそんなもん出しやがった」
「悪いな。…俺もよくわからねぇ!」
そのままベノサーベルを弾き飛ばし王蛇に向かって持っている黒い剣…タイタンソードで斬りつけた
二度、三度と何度か斬りさくと今度は蹴って相手を吹き飛ばし、タイタンソードをその辺に放った
放ったタイタンソードは虚空へと消え、今度はアメイジングマイティの手に同じく黒い棒―――ドラゴンロッドが現れた
「! お前、どこから!?」
「わかんねぇって言ってんだろ!」
そこからはもう王蛇の防戦一方だった
振るわれるドラゴンロッドの戦いに翻弄され、いつの間にまた片手に出現させたタイタンソードとドラゴンロッドの二刀流で徐々に押し込まれていく
アメイジングマイティはドラゴンロッドを放ると、今度は黒い銃のようなもの―――ペガサスボウガンを生み出すと王蛇に向かって数発撃ち込んだ
「ぐ、がぁぁぁっ!!」
地面をゴロゴロと転がりながらも王蛇はベノバイザーを取り出してそこにデッキから取ったカードをセットする
<ファイナルベント>
直後現れたベノスネーカーが王蛇の周りを這いまわり、ゆっくりと王蛇は構えを取った
それに対してアメイジングマイティも持っていた武器をその辺に放ると両手を広げて身構えた
そのまま互いをにらみ合うことおおよそ数十秒、動きだしたのは同時だ
王蛇は両手を開きながらそのままの姿勢で飛び上がり、クウガに向かってバタ足の要領で蹴りの連撃を繰り出し
アメイジングマイティも助走をつけてそのまま空中に飛び上がり一回転し両足を突き出した
王蛇のベノクラッシュをクウガのアメイジングマイティキックがぶつかり合い、大きな爆発が巻き起こる
爆発の後、互いが互いの技に吹っ飛ばされ同じように地面を転がっていく
最初に起き上がったのは、王蛇だった
「が、っはぁぁ…! やるじゃ、ねぇか…」
満身創痍になりながらも、同じようにゆっくりと立ち上がったクウガに向かって歩き出す
既に金色の縁取りもなく、色も赤に戻っているみたいだ
もう少しだ、もう少しで俺が勝つ―――そんな思考を最後に、王蛇の変身は解かれ、浅倉はそのまま前のめりに倒れ伏した
「…ふぅ…」
そのまま同じように地面に尻もちをつきながら、クウガもその変身を解除する
体力的にもギリギリだった
まぁ、勝てただけでもよしとしよう
◇◇◇
幻想殺しを宿した右手は躊躇なく
ぐしゃり、と彼の顔に当たった当麻のパンチは
「あ…は?」
恐らくなんで自分が空を見ているのかも
もそり、と
「―――な、ンじゃこりゃァァァ!?」
殴られた!?
この俺が―――!?
否、あり得ないと
第一自分に振れる全てのもののベクトルを
ならなんで殴られた?
(…ハイになりすぎて無意識に全身の反射を切っちまったのか?)
そう自分に結論付けて再び彼は当麻へと向き直る
「はっ、はは! イイねェ! 愉快に素敵に決まっちまったぜオイオイヨォ!」
いいながら
そうだ、さっきのは何かの間違いだ
テンションが高すぎたせいで引き越したアクシデントだ
このまま手が相手に触れればその時は今度こそアイツの身体は粉微塵に吹き飛ぶはずだ
当麻はゆっくりと右手を動かす
その右手は
パン、と緩やかに
「―――!?」
今度こそ
しかし確信したときにはもう上条当麻の右手は目前にまで迫っており
バガン、と再び
それでも彼は目の前の男を殺そうと両手の毒手を伸ばす
しかしその手は触れる事かなわず、いとも簡単に避けられる
身体を大きく動かして、或いはその右手で弾かれて
「っくそ! なンなンだよその右手は!!」
能力に頼っているか、否か
結局はそれが二人の明確な違い
見についた能力があまりにも一方的なばかりで、彼は戦い方を覚えようとはしなかったのだ
だってそれは、戦いですらないのだから
事実、よく見ると彼の構えは適当で足の運びもめちゃくちゃだ
しかし、それすらも気にする必要もないくらい彼のチカラは強すぎた
技術や努力は言えば足りない人間が己を補うためのものに過ぎない
しかしそんなものを必要としないくらい、
上条当麻という、イレギュラーが現れるまでは
その針の穴のような隙間に勝機は見える
「三下がァァァッ!」
咆哮と共に
巻き上がる砂利の向きを変え放たれた砂利のショットガンは今度はいともたやすく避けられた
顔面を狙ったその攻撃は低く身を屈めただけで避けられてしまった
そしてその身を屈めた状態で当麻は拳を強く握り、渾身のアッパーカットを
「つまんねぇことに手ぇ貸しやがって」
当麻は紡ぐ
「な―――に!?」
慣れない足に力を込めながら
「
生き、てる?
(あいつらは―――人形だって―――)
そう科学者は言った
だから何も気に病むことはないとも
けれど―――この男は―――浅倉とも対峙しているあの男も―――この人形を助けるために立ち塞がって…
絶対的な力が欲しかった
最強の座を狙う馬鹿どもが、挑む気すら起こさなくなるような存在になれば、また、あの輪の中に―――戻れると思ったから
ふと、脳裏にアイツらの顔が思い浮かんだ
同時に、今さらながらに理解した
いつか世界全てを、敵に回すかもしれないこの力のことを知っていながらも、友と呼んでくれるあいつらがいることに
「歯ぁ食いしばれよ最強…!」
繰り出される、上条当麻の右拳
襲い来るその拳に対して、
「俺の最弱は、ちっと響くぞ…!」
―――あァ。何やってンだァ…俺
バキィ! と音を立てて一方通行は吹っ飛ばされた
彼はその一撃で気を失い、立ち上がることはなかった
◇◇◇
ふと、目が覚めた
ツンと鼻にくる独特な匂いが鼻腔をくすぐる
「…てかここどこだっけ」
見慣れない場所に戸惑いつつ、何があったかなと思い出す
そうだ、思い出した
確か昨日当麻は
そしてそれぞれの戦いが終わった後に、御坂美琴や雫から念のために病院に行った方がいいと言われたのだが、それを断ろうとして半ば連行されるように美琴に二人は連れられて―――検査入院という形で今に至る
「起きたか、アラタ」
ふと視界に入ってきたのは蒼崎橙子だった
彼女は病室であるにも関わらず、窓を開けて堂々と煙草を吸っていた
「…あの、ここ室内なんですけど」
「細かい事は気にするな。ちゃんと窓を開けてるだろうが」
「いえ、そういう事でなく。…まぁいいや」
この人がこんななのは今に変わったことではない
それに今は、何となく煙草を吸う橙子を見てどこか安心している自分がいる
「それで、何の用さ」
「何。一応見舞いに来たんだよ。と言っても、杞憂だったがな」
橙子は煙草を携帯灰皿に入れてそれを懐にしまうと改めてアラタに向き直った
眼鏡のない裸眼瞳がアラタを見据える
「それとなアラタ。お前無茶しすぎだぞ」
「え?」
「昨日は無茶しすぎと言ったんだ。とにかく、今日一日は変身するな。ゆっくりアマダムを休ませてやれ」
そう言って橙子は懐から缶ジュースを取り出し、それをアラタに向かって投げ渡す
唐突に投げられたものの、それを何とか受け取り、その缶ジュースを適当に置く
「…まぁ、そうさせてもらうよ」
「分かればよろしい。後で未那や黒桐夫妻に会いに行ってやれ。心配してたぞ。鮮花も込みでな」
「おっけー。…いろいろとありがとう」
そう言うと橙子は短く手を振って出口へと向かっていく
そして橙子が扉を開けた時、一人の女の子とぽすんとぶつかった
常盤台の制服を着た女生徒だ
「あっと…、すいません」
それは御坂美琴だった
同様に橙子もそれが美琴だと確信するのに時間はかからなかった
「いや、こちらこそすまない。…これからも、あのバカを支えてやってくれ」
「え?」
美琴にそう言って橙子は彼女の隣を歩き過ぎる
そんな橙子の背中を、美琴は戸惑った表情で見つめていたが、すぐに意識を切り替えて室内に入っていく
「…お見舞いにきたよ」
そう言って小さく笑みを浮かべる
その笑顔は若干疲れたような感じがしたが、それでも本当に笑っていた
「はいこれ。お見舞いのクッキー。一応、デパ地下とかで高そうなの選んできたから美味しいと思うけど」
「そっか。…ありがとう」
「あぁ、それから。アンタの友達だけど」
「ん? 当麻がどうしたって?」
美琴は花瓶の花を整えつつ、アラタに言葉を紡いでいく
「ついさっき退院したわ。怪我少なかったみたいだしってあの医者が言ってたわ」
「そうか」
アラタはそれを受け取りながら言葉に頷き、先ほど橙子にもらったジュースの隣にクッキーは入った袋を置いた
「そだ、さっきの人ってだれ? 知り合い?」
「そんなところだ。俺の恩人」
短くアラタはそう答えると大きく背を伸ばした
その時思い出したように、美琴が口を開いた
「実験」
「ん?」
「中止になったってさ。あの子から聞いた。…それでさ、少しの間研究所の厄介になるって」
後から当麻に聞いた話によると、もともとのクローン体に薬物投与して急成長させた彼女たちはもともと短命だった彼女たちの寿命はさらに短くなってしまったらしい
そう言った状態を治すべく、研究施設の世話になって寿命を回復させる、とのこと
「そうか。…なら、守れたんだ」
「…うん」
けど…、と美琴はスカートの裾をぎゅ、と握る
「…それ以外の
自分が不用意にDNAマップを提供したせいで、二万もの
その重荷は、これからも背負って行かないといけない
世界が許しても、それだけは永遠に背負って生きていかないといけないのだ
「けどさ、お前が提供しないと…
「…私のせいで、一万人以上の
「それでもだ。辛いことに辛いって言って、そんな当たり前の事も生きてないとできない。生まれてこないとできないんだよ。…だからきっと
アラタの言葉に美琴は顔をあげた
彼は少しだけ美琴に向かって笑いかける
「だからお前は笑っていい。あの子たちはお前が一人で塞ぎこむことを望んじゃいない。
その言葉で、トマトみたいに顔を赤くした美琴がうっかり電撃を打ち出してしまい、駆けつけた藤乃と士に怒られたりとかあるのだが、それはまた別の話だ
◇◇◇
とある病院の出入り口にて
御坂妹は黒猫を抱えながら沢白凛音、神那賀雫と話をしていた
内容は実験が中止になったことと、自らの身体の調整のために一度研究所に身を置く、という事だ
「そうか。よかった。これでひとまず一件落着だ」
「うん。ようやく一息ついたね」
「…いろいろとご迷惑をおかけしました、とミサカは礼をしながら謝罪の言葉を述べます」
そう言ってお辞儀する御坂妹を凛音は手で制す
「気にしないでいいよ。好きでやったことだし、ネ」
「ですが…」
「ホントに気にしなくていいって。ね?」
そう言って笑みを浮かべる凛音と雫
彼女らに釣られて小さく、本当に小さく御坂妹は笑った―――そんな気がした
「それでは、とミサカは小さく手を振りながら踵を返します」
「もう行くのかい?」
「えぇ、とミサカは答えます。これからあのツンツンの人たちに礼を述べたあと、研究所に向かうつもりです」
「そっか。じゃあね、妹さん。機会があったらまた会いましょう」
「―――えぇ、とミサカは力強く頷きます」
そう言って黒猫を抱え直した御坂妹は手ってと走って行く
そんな背中を見ながら凛音は背伸びしつつ、雫も彼女の背中を見送ってから
「…じゃあ、帰ろうか。こっちも」
「そうですね。行きますか」
そうして二人も帰路につく
またこれから、何でもない日々が始まるのだ