全ては誰かの笑顔のために   作:桐生 乱桐(アジフライ)

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今回から全力で昔のヤツを手直しして投稿するリサイクル投稿に戻ります
手抜きじゃねぇかとか言わないで(土下座
せめて有効利用と言って(言い訳


風斬氷華
#39 始業式


前日にそれは起こった

ゆっくりと部屋でくつろいでいたアラタの部屋を開け放ち、いきなり上条当麻が入ってきたのである

顔色を見ればそれがどういったものであるか等はすぐわかった

しかし問題はそれじゃない

内容は学園都市の外の行こうとしていることで

 

なんでも、インデックスの十万三千冊の魔導書を狙い、一人の魔術師は襲撃してきた

その名を闇咲逢魔(やみさかおうま)

実際には知り合いである大切な人の為に、インデックスの持つその十万三千冊の一つの魔導書を狙って襲撃したらしいのだ

そしてその魔導書をコピーしようとするものの、魔導書の毒に身体が耐えることが出来ず、あえなく断念

そこに当麻の説得もあり、彼は当麻と共にその呪いの呪術師と一線交えるべく外に行こう、という話になったらしいのだ

 

それでもしよかったら…という事で鏡祢アラタも援軍を頼まれた

実際、そんな事情があるのなら断る理由もなく、アラタはそれを快諾、共に学園都市の外に出かけることとなった

 

しかし問題も多かった

 

そもそも学園都市の外に出かけるのにはちゃんとした許可証とかいうのがないといけない

とはいえ馬鹿正直にそんなもん申請していては時間がかかる

それを乗り切れたのが闇咲の持つ魔術のおかげである

なんでも彼の持つ魔術の一つにそれを持っているように見せかける術式があるのだ

それを用いてどうにかその堅牢な警備隊を突破

そして当麻を援護しつつ闇咲の知り合いを助けて、もう一度彼の魔術の力を借りて本日二度目の強行突破を敢行、成功し帰路についているわけだが

 

「…明日から学校だというに、お前は厄介事を運んでくる天才か」

「言わないでくれアラタ…」

 

まぁ助けられてよかったと思っているのだが

本日は始業式、いわば始まりの日である

アラタは割と暇を見つけて夏休みの課題(しゅくてき)を終わらせてきたのだが、友人である当麻は自分以上に厄介事に巻き込まれすっかりやっていなかったのだ

 

「…ハァ…結局終わらなかった。マジどうしよう」

「俺のを写せる範囲で写せよ。登校にはまだ時間があるからな」

「ホントに!? 助かるぜアラタ! 持つべきものは友達だよなぁ!」

「調子いいなおい」

 

そんな当麻を尻目に、学生寮に到着し各々の部屋の前に到着

 

「そいじゃちょっととってくるから、お前は朝飯の準備とかしとけよ」

「おう、ホント悪いな」

「気にすんなっての。困ったときはお互い様だ」

 

そう言って二人は自分の部屋へ入っていく

そう言えばインデックスは当麻の部屋に留守番してた記憶がある

危ない場所に連れてくのは危険だ、という当麻の判断で彼女を縄で縛り(これも闇咲の魔術の助力で縛った)、そのまま当麻の部屋で放置プレイされていたのだ

 

「…まぁ、それは俺の知るところじゃないよね」

 

被害を受けるのは当麻である

可愛そうな気もするが、そこら辺のフォローは出来ない

とりあえず課題のプリントを探すべく靴を脱いで居間に行こうとしたとき、居間でテレビを見ていた女の子がこちらを向いた

 

「あ、おかえりなさい」

 

ゴウラム

正式名称 装甲機ゴウラム

いつの間にかは知らないが、人の形を取れるようになっていたアラタの相棒みたいなものだ

 

急に学園都市の外に出かけることになったので、何となく彼女に留守番を任せることになったのだ

別に寮の部屋には自分一人しかいないのでカギでもかければ問題はないのだが、最近この子にかまっていないということを橙子に電話で指摘された

そんな訳でしばらくお前の部屋で面倒見てあげろということで人間体のゴウラムを伽藍の堂から引っ張ってきたのだ

 

とりあえず宿題を当麻に渡して自室に戻る

手渡した時、なぜか当麻には歯形があったが、アラタは一切触れないことにした

 

居間でのんびりとテレビ観賞を再開したゴウラムを見ながら、ふと思う

 

そういえばこの子に名前ってつけてなかったなぁ、と

 

基本ゴウラム呼びだし、何の違和感も抱いてなかったが、なんだかあくまでもゴウラムとはあのクワガタ状態での名前だ

なんだかそれは可哀そうな感じが唐突にした

いや、ゴウラムも一応本名ではあるのだが! なんだか個体名みたいな感じがして嫌なのだ

 

まぁそれはそれとして

 

流石に学校にまで一緒に行くことはできない

とりあえず戻ってきたらなんか遊びにでも連れていってあげよう

 

「なぁ、ゴウラム。悪いんだけどまだ留守番任せていいかな」

「うん? いいけど?」

「ありがとう。これから学校なんだ。戻ってきて風紀委員の仕事とかこなけりゃ…そうだな。当麻やインデックスたちと出かけるか。あそうだ、もしよかったら隣の部屋にいるインデックスのことも頼んでいいか?」

「うん、いいよ。あと、お出かけも楽しみにしてる。…ねぇ」

 

不意にゴウラムがアラタに向かって声をあげる

何だろう、と思いながらアラタは彼女の顔を見やると

 

「行ってらっしゃい」

 

そう言って小さい笑みを浮かべながら、ゴウラムがそんなことを言ってきた

どこか背中のあたりがかゆくなるのを感じながら、アラタは

 

「…行って来ます」

 

少しだけ頬を赤くしながらそう返答して、部屋を後にするのだった

 

 

部屋を出ると同じタイミングで当麻も部屋から出てきていた

顔を合わせるとよぉ、なんて言葉を言いながら挨拶をしつつ、当麻は課題をアラタに返す

 

「サンキュ、とりあえず出来る所だけはやった。…あとは祈るばかりだ」

 

これは後で聞いた話だが彼の課題は闇咲逢魔の襲撃に伴いほとんどが紛失してしまってるらしい

おかげで残っているのは普通授業分だけの課題だけとかなんとか

 

「流石にインデックスは留守番か」

「そりゃあな。色々考えないといけないからよ…。とりあえず、帰ったらどっか遊びに行くってインデックスと約束したんだけど…お前も行くか?」

「そん時までなんもなかったら行く。風紀委員の仕事とかが入らないことを祈るばかりだ」

 

そんな言葉を交わしつつ、二人は学校への道を急いだ

 

…しかし線路上にカラスが小石を置いた、なんてしょうもない理由で学校へと走る電車が止まっていたらしく、アラタのビートチェイサーで学校に走って行ったのは別の話

 

 

当麻が部屋を出て早五分

インデックスは速攻で暇になっていた

つけっぱなしのテレビには目もくれず三毛猫のスフィンクスを弄っていたインデックスはやがてその動きを止めて

 

(…暇かも。追いかけたいかも)

 

そんな欲求に駆られるが、それで自分の都合を押し付けては当麻やアラタに迷惑をかけてしまうだろう

立場が逆なら分かり易い

たとえば自分が聖ジョージ大聖堂から召喚命令を受けたとしよう

そんな中、暇だからー、という理由で当麻が後を追ってきたとしたら

 

それは確かに嬉しい

嬉しいけど―――困る

魔術の専門家としての顔を見知った人間に見られるのは割と恥ずかしいものだ

それと同じで今彼の後を追って行ったら困るかもしれない

そう思うと無邪気に追うのも気が引ける

 

そうだ、ここは大人しくお留守番してよう

帰ってきたら遊びに連れて行ってくれるって言っていたんだし

再び決意を新たにし、スフィンクスをいじくってゴロゴロしようとしたところで

 

「…あれ、そう言えばお昼ご飯は?」

 

呟いて彼女の動きがフリーズする

インデックスに料理を作るスキルはない

スナック菓子の類も完全に三毛猫が食い散らかしてしまっているために買い置きはもうない

 

「…こ、これは単純明快大ピンチかも」

 

そう言ってインデックスは今しがた当麻が出ていった扉にちらりと視線を見やるとまたいきなりその扉が開いた

思わず身構えるがそこに立っていたのは黒い髪に角みたいなカチューシャを付けた黒いワンピースを着た女の子がいた

 

「あ、インデックス。久しぶり」

 

女の子はどうやら自分の事を知っているらしい

しかしインデックスとしては目の前の少女とは初対面のはずなのだが

そこでふと、インデックスは彼女の首にかけてあるペンダントに気が付いた

それはいつぞや背中に乗った背中に合った宝石と酷似していた

 

「…あーっ!? 貴女、いつかの自動人形(オートマトン)!?」

「うん、元気そうで何よりだな。改めて初めまして、私はゴウラム」

 

 

見た目の年齢が近いこともあってか二人はすぐに仲良くなった

ほどなくしてインデックスは当初の目的を思い出す

 

「そうだ、当麻にお昼ご飯貰わないと!」

「あれ、インデックスも学校に用があるんだ?」

 

彼女の口ぶりから察するとゴウラムもようがあるのだろうか

インデックスのそんな視線に気づいたのか、ゴウラムはすっと手に持っていたコンビニ袋を見せると

 

「アラタがお昼忘れてさ、届けようと思ったんだけど…そうだ、よかったら一緒に行く?」

「え? い、いいの?」

「うん。一緒に行こう、あの人たちに会いに」

 

ゴウラムはインデックスの手を取り、扉を開け放つ

眼前に広がっていたのは―――上条当麻と鏡祢アラタの待つ、外の世界

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