全ては誰かの笑顔のために   作:桐生 乱桐(アジフライ)

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コードイエローの詳細がわからないので想像しました


#41 侵入者

月詠小萌に追い出され、インデックスとゴウラムの二人はとぼとぼと廊下を歩いていた

二人の手にはそれぞれ二千円ずつお札を持っていた

小萌から貰ったものだ

これでタクシーをつかまえて帰ってくださいね、とのことだが止め方なんて分からない

それ以前にゴウラムが本気出せばすぐに帰れるのだが

ゴウラムはちらりと隣のインデックスを見やった

彼女はちょっとムッとした、それでいてどこか寂しそうな表情をのぞかせている

それもそうだ、慕っている相手にあからさまな拒絶の色の表情を見てしまっては

一方でアラタもどこか苦笑いだったのをゴウラムは鮮明に覚えている

 

ふと、二人は食堂へと差し掛かった

厨房付近から聞こえてくる炒め物のような音や、鼻に来る美味しそうな香りにインデックスの腕の中にいる三毛猫が鳴き、二人の足が止まる

 

「…お腹減った」

 

ふとインデックスが呟いた

朝、あまり食べていなかったのか彼女はまるでゾンビみたいな歩き方で食堂へと進んでいく

慌ててゴウラムも彼女の後を追った

 

食堂は広く、内装はだいぶおざなりだった

丸いテーブルに椅子四脚のワンセット、それが百個ほど並べてある

部屋の隅には食券販売機が三つほどおいてあった

 

「むむ。あれ確か漫画で読んだんだよ。確かお金入れてボタン押すと食べ物引換券みたいなものが出てくる奴だ」

「そうなの?」

 

正直言ってゴウラムはそう言った知識についてはあまり乏しくない

インデックスはゴウラムの声にウンと頷くと胸を張って

 

「任せて。とうまは私の事時代遅れだとかなんとかいうけど私にだって出来ることを証明してみせるんだよ。このお金を…入れて」

 

しわを伸ばしてお札を自販機に飲み込ませる

 

「そしてボタンを―――あれ」

 

そしていざ、と自販機のボタンを押そうとして、彼女の指が止まった

何故ならその販売機にはボタンが一つもなかったから

 

「…、」

 

インデックスはフリーズしている

実際はモニターがタッチパネルになっているのだがそんな事はインデックスにもゴウラムにも分からない

 

インデックスはお金を取り出そうとしているのか取り出し口を見てあたふたしている

因みにやっぱり液晶には〝取り出し〟ボタンがあるのだがそのボタンは完全に心理的に死角に回り込んでいる

単純にインデックスは〝画面に触れると何かが起きる〟なんてありえないと考えているのだ

 

「…大丈夫? インデックス」

「う、うー。…とうまの事言えないかも」

 

途方に暮れた彼女はそのまま床に四つん這いに崩れ落ちた

三毛猫は呑気に欠伸しているし、ゴウラムもインデックスを見てあたふたしている

そんな彼女たちの背後からかつん、という誰かの足音が聞こえた

 

その足音に気づいたゴウラムはふと、背後を振り向いた

そんなゴウラムに釣られてインデックスも視線を動かした

 

立っていたのは見慣れていない女の子だった

背丈は当麻やアラタより低く、それでいてインデックスやゴウラムよりは上か

それでいて茶色っぽい黒髪が太腿まで伸び、またそれとは別にゴムで束ねた髪が一房伸びている

おまけに眼鏡もかけていて、知的な感じが出ていた

そして何となく、胸元を見た

 

(…鮮花よりは大きいかも。いや、同じくらい…?)

 

そのふくらみを見てゴウラムはそんな事を考える

それでいて多分、橙子よりは小さいかもしれない

いや、そんな事はどうでもいい

問題なのはこの女の子が誰かという事だ

ちらりとインデックスに視線を移してみるとどうやら彼女も知らないようで首を振る

 

見た感じでは個々の女生徒は白い半そでのセーラー服と紺色のスカートを着込んでいる

しかし目の前の女の子は半袖ブラウスに青色スカートなのだ

その雰囲気からここの生徒ではなさそうなのだが

 

「その…ボタンをね? 押さないと」

「え?」

「だから…モニターの、ね? ボタンを…」

 

おずおずと、小さい声で彼女は言いながら彼女は販売機を指差した

インデックスは起き上がり迷子になったような顔をして

 

「ボタンって、この自販機にはボタンなんてないんだよ」

「え、っと。モニターに直接触ればいいの。し、知らなかった? あ、だ、だからそんな泣きそうな顔しないで…」

「嘘だよ。私知ってるよ、テレビにさわったって何にも起きないんだよ」

 

そんなインデックスの声を聞きつつ、女の子は自販機の前に立ち、モニターの端にある〝取り消し〟ボタンに手を振れた

するとうぃーん、とモーターの音が聞こえ取り出し口からにょーん、とお金が吐き出された

インデックスは目を丸くし、ゴウラムもおー、と声をあげた

 

「な、なにこれ?」

「え、っと…モニターに触れればいいんだけれど…」

「びっくり」

 

盛り上がる二人を見て女の子は苦笑いをした

そして一通り落ち着くとインデックスとゴウラムは女の子へと視線をやり

 

「ありがとう、貴女、名前は?」

 

インデックスの言葉に女の子は答えた

 

「…ん。風斬氷華」

 

そう言って目の前の女の子―――風斬氷華は笑った

 

 

三人はとくに注文をせずにそのまま食堂の席の一つを勝手に陣取って世間話を開始した

世間話というよりはインデックスの愚痴を風斬とゴウラムが聞く、と言った感じになっている

会話にすっかり夢中になっているのか空腹という事は完全に忘れているようだ

 

「でね、とうまの事よんだのに答えないばっかりか目を逸らしたんだよ。お昼用意してくれなかったのはとうまの方なのに」

「まぁ、勝手に来ちゃった私らも悪いんだけど」

「そ、それも…そうだけど」

 

ゴウラムにそう言われしゅん、とするインデックス

そんなインデックスに風斬はあはは、と笑いかけて

 

「まぁ学校は部外者が入ってきちゃいけないし…先生に見つかったら大変なことになっちゃうよ」

「あれ? でもひょうかも入ってきてるよ?」

「カザキリも転校生なの?」

「う、うん。正確には転入生だけど。制服持ってないだけだし」

「じゃあじゃあ私たちもその転入生になろう! ね!」

 

そう言ってインデックスはゴウラムの手を掴む

そんなインデックスにゴウラムは

 

「けどどうするの? この格好じゃ流石に目立つよ」

「ふぇ?」

 

インデックスは自分の恰好を見る

日常的に着こなしている本人に自覚はないが金糸の刺繍が入った修道服は流石に場違い感が否めない

まぁそれは黒いワンピースを着たゴウラムにも言えることだが

 

「あの、保健室に行けばきっと予備の服があるかも。…多分体操服だと思うけど」

 

「たいそうふく? それ着れば大丈夫かな」

 

無邪気なインデックスの問いかけ

普通に考えれば恐らく修道服とかよりは目立たなくなるだろう

しかしそれでも始業式の日に体操服はやはり目立つような気がするし

それ以前に猫連れてきちゃいけないという原則事項もあるわけで

とはいってもこれ以上名案も浮かばない

しばらく考えて風斬は

 

「うん。きっと大丈夫だよ。…たぶん」

 

そんな曖昧に答えてしまった

風斬が答えた時、横合いからまた別の声が聞こえた

 

「ゴウラム、ここにいたのか…、うん?」

 

少しだけ息を切らせた鏡祢アラタがこちらに向かって走ってきたのだ

 

「あ、あらた」

 

インデックスは知人を見つけまた笑顔を作る

しかしアラタの視線はインデックスの隣にいる見慣れない女生徒へと向けられる

 

「…えっと。こちらの方は?」

「ひょうかって言うんだよ。私たちのともだち」

「友達? …まぁいいや、俺は鏡祢アラタだ。よろしく」

 

今度は風斬に笑いかける

それに対して風斬も笑って返し「よ、よろしく…」と答えてくれた

そんな挨拶を交わした後、ゴウラムはアラタに向かって口を開く

 

「ところでアラタ。私を探してた様子だったけど、どうしたの?」

「あぁ、そうだった。今大丈夫か?」

「大丈夫と言われれば大丈夫だけど…。何かあったの?」

「まぁ何かあったと言われればそうなんだが。いや、今回は俺が悪いんだが」

 

何だか妙に歯切れが悪い

しかし深く追求はせず、ゴウラムは肯定する

 

「分かった。私の力が必要なら」

「助かる。ともかく、インデックスに風斬さん、また後で!」

 

アラタはインデックスと風斬の二人にそう告げて走って行く

ゴウラムも二人に「また」と言って彼の後を追っていく

そんな二人の背中を見て風斬は

 

「…いろいろ大変なんだね?」

「うん。とうま以上に大変かも」

 

二人してそんな事を呟きつつ、彼らの背中が見えなくなるまで見送っていた

 

◇◇◇

 

警備強度(セキュリティコード)

それは文字通り学園都市の警備体制の事を指す

それらのレベルには複数段階あり、大雑把に言うなれば

 

第一級警報(コードレッド) ・・・特別警戒宣言。テロリストの侵入が完全に確定した状態を指す

第二級警報(コードオレンジ) ・・・テロリストの侵入の可能性がある状態を指す

第三級警報(コードイエロー)・・・何らかの異常が起きた状態を指す

コードグリーン ・・・第三級警報より一段階低い警報で正常を表している事を指す

 

このような四つに分けられる

今現在学園都市に発せられている警報は第一級警報…コードレッドである

コードレッドが発令された時点で学園都市は完全に封鎖され、風紀委員には公欠と共に侵入者の捜索、及び索敵の命令が下された

…下されたのだが、アラタがそれに気づいたのは自分が学校に登校してからだ

何故か

 

そもそも昨日、アラタは当麻と一緒に闇咲の知人を助けるために外に行っていたのだ

その際、携帯は電源を切って自宅に置きっぱなしであり、帰ってきてからも携帯は持ったが電源をつけたのはつい先ほど

アラタはコードレッドを発令されたことを直前まで知らなかった

それ故に、かかってきた固法の電話になんとなしに耳を付けたら彼女の怒号が耳を貫いたわけで

 

それでいて小萌先生に事情を説明し、彼は始業式を欠席し、辺りを調べて回る事としたのだが

 

「<どう? 何か見つかった?>」

「いや。この辺には何も。…次は―――」

 

ちまちまと地面を歩いて探すより、上空から見た方が早いと考えたアラタはゴウラムに頼んで今現在、空から散策しているわけなのだが

 

「<ねぇ、アラタ>」

「うん? どうした」

 

紅い複眼を発光させて、躊躇うようにゴウラムは聞いてくる

 

「<その…私たちが学校に来たこと、迷惑だった?>」

「迷惑? なんでさ」

 

ゴウラムの気持ちとは裏腹に返ってきたのはそんな軽い言葉

思わず呆けてしまいそうなゴウラムにアラタは続ける

 

「まぁ驚きはしたけれど、別に迷惑だなんて思ってないよ。一方的に留守番しててって言った俺も悪いし。一段落したら当麻とインデックスとで遊びに行こうぜ」

「<…、>」

 

思わずゴウラムは押し黙る

そして思い出す

あぁ、この人はそう言った細かい事は気にしない人だった、と

 

「<…フフ>」

「? どうした」

「<なんでもない。さぁ、次はどこを―――>」

 

ゴウラムが行き先を確認したその直後だった

不意にゴウラムが口を閉ざしたのである

何らかの異常を感じ取ったのか、アラタも顔つきも真剣なものになっていく

 

「<…魔力の流れ>」

「侵入者は魔術師か。…ゴウラム、急いでくれ」

「<わかった>」

 

短く返事して、ゴウラムは加速する

そんな彼女の背中の上で、アラタは臨戦態勢を取った

 

◇◇◇

 

白井黒子は窮地に陥ってた

白井黒子は鏡祢アラタと同様に風紀委員の一人だ

よければ不審者の探索もアラタがいてくれれば心強かったが、どういう訳だか連絡が取れず、仕方なく黒子は一人で何時間かかけて街中を歩き回って探していたのだが、つい先ほどその人物を見つけた

 

見た目はゴシックのようなドレスを着込んだ見るからに異様と言える女だった

黒を基調とし色々な所に白いレースやリボンがあしらわれた、金髪碧眼の少女が着れば似合いそうな服だった

しかし着ている女は長い金髪ではあるがボロボロで肌もガサガサで、何というかゴシックロリータに抱く幻想を完膚なきまでにぶち壊したような女だった

 

黒子はその女を拘束しようとした

しかし、女が使用してくるわけの分からない〝超能力〟に圧倒され、今まさに、絶体絶命の危機にあった

空間移動で難を逃れようとしても、足は得体の知れない何かに噛まれ拘束され、その痛みが邪魔し、うまく演算できない

地面から生えてくるその腕を、黒子は睨む

よく見るとその腕はガードレールやら何やらを一つに纏め粘土細工のようにこねくり回して作ったような感じだ

ぐ、と足を噛む何かが食い込み、思わず彼女は眼を瞑る

瞬間、彼女の耳に何か別の音が聞こえた

 

それは何かが地面から生えていた腕を斬り裂いた音

 

「…え?」

 

突然の事に白井黒子は驚いていた

 

腕の手首に当たる部分が水平に切断されていたのだ

それと同時に自分の足を拘束していた何かも薙ぎ払われる

枷が外れ、黒子は距離を取るべく後ろへと地面を転がった

切断されたその場所は支えを失ったようにばらばらと元の部品へと戻り四方へ散っていく

 

ブゥン、とハチの羽音を大きくしたような音が黒子の耳に届く

よく見るとそれの正体は砂鉄だった

その砂鉄は磁力か何かに操られレイピアのように宙を泳いでいた

 

「磁力で…操る? もしや―――」

 

黒子はげほげほとせき込みつつ、視線を向ける

その先に、御坂美琴が立っていたのだ

 

彼女は一枚のコインを弾く

弾かれたコインはゆっくりと彼女の頭上を舞う

 

美琴は言った

 

「なんだかわかんないけど―――私の知り合いに手ぇ出してんじゃないわよっ!!」

 

叫びと共に放たれたのは彼女の異名の所以となる、超電磁砲を撃ち出した

撃ち出されたオレンジ色の閃光はまさに攻撃しようとしていた腕の半分を貫き、吹き飛ばす

ゴウ、という轟音は少し遅れてやってきた

立ち込める粉塵の先を美琴は睨む

 

<Herakusu>

 

僅かに聞こえてきたそんな電子音声

そこから、一体の人影が飛び出してきた

 

思わず美琴はその場から一歩後ずさった

瞬間、自分がいた場所にブンと斧のようなものが振り下ろされた

 

瞬間美琴は眼を見開く

そこに立っていたのは、天道が変身するような仮面ライダーがいたのだ

しかしカラーは赤ではなく銀色で、右肩に何やら変な突起物がある

そのライダーの名前はヘラクスという事を、美琴と黒子は知る由もない

 

「お姉様!」

「黒子! アンタはそこで休んでなさいっ!」

 

自分を呼ぶ黒子に向かい、美琴はそう言ってヘラクスに向かって電撃を放った

しかしその電撃は容易にに避けられ、容易く接近を許してしまう

 

(―――早い!)

 

それでもカブトほどではないが、十分な速度を誇るものだ

雷と共に美琴はヘラクスの腹部に蹴りを打って、その反動で距離を取る

だがそれでも大した一撃にはならなかった

 

ち、と美琴は歯噛みする

そして美琴はヘラクスを睨んだ―――その時だ

 

上空からそのヘラクスの顔面に誰かが蹴りを叩きこんだ

割と勢いのある一撃だったらしく大きく吹き飛び地面を転がった

蹴りを打ったその人物はスタリ、と美琴の前に着地した

その男を、美琴は知っている

 

「ったく。…遅いわよ、アラタ」

 

「あぁ、遅くなった」

 

そんなアラタの周囲にはゴウラムも飛び交っている

美琴は飛び交うゴウラムを撫でつつ、美琴はアラタを見て

 

「ごめん、任せていいかしら」

「あぁ、任せときな」

 

目の前のライダー、ヘラクスを睨みアラタはアークルを顕現させる

そして構えを取って叫んだ

 

「変身!」

 

徐々に彼の身体を変化させ、美琴と黒子の前には赤い戦士、仮面ライダークウガの姿があった

その戦士の背中を見て、今度は黒子の方に美琴は駆け寄った

 

「大丈夫? 黒子」

「え、えぇ…大丈夫ですわ」

 

未だ地面に膝を付いたままの黒子を支えつつ、美琴はアラタの戦いに視線をやった

 

 

手に持ったハンドアックスみたいな一撃をクウガは避けつつ、カウンターで蹴りを打ったり、拳を放つ

ヘラクスの持つクナイガンアックスでの攻撃は細かい動作に見えて少しばかり大振りなのだ

落ち着けばその攻撃を見切るのは簡単だった

 

そんな攻防を何度か繰り返し、再びヘラクスが後退した時だ

ふと、ヘラクスが自分の右腰に手をやり、何かを捻るように動かした

 

<clock up>

 

そんな電子音声が聞こえたその瞬間、ヘラクスの姿が消えた

否、消えたのではない、超高速で動いているのだ

 

「―――これはっ!?」

 

クロックアップ、と口にする前にガツン、と一撃を貰う

その隙を逃がすまいと二撃、三撃とクウガは攻撃を受けていく

ドサリ、と地面に倒れながら、クウガは叫んだ

 

「―――く、超、変身っ!」

 

攻撃を受けつつも、その姿を赤から緑―――ペガサスフォームへとその身を変えた

姿を変えたその直後でもまた一撃を貰う、が今度は立ち上がり、精神を集中させる

意識を研ぎ澄まし、〝音〟を探る

―――僅かに、前方から走るような足音が聞こえた

 

クウガはカッと目を見開き、繰り出されるであろうその一撃を受け止める

 

<clock over>

 

そんな音が鳴った時、クウガの目の前にはヘラクスがいた

振り下ろしたクナイガンアックスを受け止められた状態で

僅かに動揺したその隙を、クウガは見逃さなかった

そのまま緑から赤へと姿を変え、腹部に一撃を打ち込み、そのまま足を払うように蹴りつけてダウンを奪う

そして足に力を込め、倒れ伏したヘラクスの胸部にその紅蓮の蹴りを叩きこんだ

その態勢のまま―――さらに力を入れて踏み砕く

 

直後、ヘラクスは爆散し、そこにはクウガしかいなかった

クウガが足を退けるとヘラクスが倒れていた場所には一本のメモリ

 

「…ガイアメモリか…」

 

とりあえずそのメモリ踏み砕き、クウガは変身を解いた

 

そして二人の友人の近くへと歩き出す

 

「怪我は…なさそうだな」

「えぇ、おかげ様でね。―――所で黒子、聞くの遅れたけど、さっきの女が件の侵入者でいいのかしら?」

 

そう美琴が聞くと黒子は頷いて

 

「間違いないですわ。何とも珍妙な能力でしたが…」

 

…どうやらあのライダーは本人が逃げるための囮に過ぎなかったようだ

しかし事情を知らない二人に魔術の事を言ってしまえば変に混乱させてしまうだろう

故に魔術関連の事は伏せておく

 

「ところでお兄様、今までどこにいたんですの? わたくし電話も致しましたのに」

「え、あ…その…ははは」

 

言い淀むアラタをゴウラムは中空から眺めていた

がやがやと言い合うその三人の姿を、楽しそうに


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