全ては誰かの笑顔のために   作:桐生 乱桐(アジフライ)

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サブタイトル難民


#64 少しずつ、明らかに

それはあくる日の沢白の研究室にて、不意に沢白が布束に問いかけた

 

「そういえば、最近鷹山くんは来てるのかナ?」

「…What? なんで急に彼の名前が出てくるの?」

 

布束砥信は直球な疑問を沢白凛音に投げかけた

今自分がいる場所は先述した通り沢白凛音の研究室だ

問いかけられた沢白は「いやいやいや」と手を振りながら視線をこちらに向けた後

 

「一応アイツのドライバー*1を作ったの私だからさー、気にはなったんだよ」

「…ま、定期的に邪魔しには来てるわね。really いい迷惑だわ」

 

沢白が言っている鷹山くんとは、恐らく鷹山ジンの事だろう

自分が悠を生み出す前に、チャイルドエラー上がりのスキルアウトを一人拉致して連れてこられて、アマゾン細胞を移植された人間がいたと聞いている

しかし実験は失敗し、あろうことか被検体である鷹山はアマゾン細胞をあっさりと順応してみせて脱走、行方をくらましたそうだ

その後、自分の家にいた時は度肝を抜かれたが

 

どうしているのか、と聞いたらあっけらかんと調べたと答え、なんでここなのかと聞くとアンタが一番優しそうだったと答えられた

これは褒められているのだろうか、と流石にその時は脳が理解を示さなかった

もっとも彼をあの研究所に言いふらすつもりなどなかったし、放っておいたら定期的に食事と睡眠しに来るようになったし、何なら悠と時たまトレーニングしてる時もある

 

いい迷惑だ、と言葉の中で入っているが、そう言っている砥信の顔は僅かに笑っていたのを沢白は見逃さなかった

 

と、そんな時なんとなしにつけていたラジオから音楽が流れてきた

今話題沸騰中の鳴護アリサの楽曲だ

それに気づいた沢白がラジオのほうを見ながら

 

「お。ARISAの楽曲だ。最近人気だネェ彼女。砥信は何か音楽とか聞くの?」

「Apart 興味ないわ。テレビやラジオで流れてきたら聞く程度ね」

 

そう言って彼女はコーヒーを淹れ始める

砂糖を大目に用意しているので、それは今ソファで眠っている悠の分だろう

 

「ふーん。気分転換にはもってこいだと思うけどナァ」

 

そんなことを呟きながら、沢白は目の前の作業に戻っていく

その研究室には、のんびりと音楽が流れていた

 

 

「いよいよだねありさっ!」

 

とあるレストランにて

そこにはインデックスと伊達メガネをかけてプチ変装をしている鳴護アリサがご飯を食べに来ていた

インデックスは大きめのハンバーグやエビフライを突き刺しながら笑顔を振りまいている

それに対してアリサも「うん」と頷きながら

 

「インデックスちゃんたちが助けてくれたおかげだよ。今日は私が奢るから何でも食べてね」

「いいの!? ウェイトレスさーんっ!!」

 

許可をくれたのでインデックスは遠慮なく喰らい尽くす姿勢に入る

大きな声で彼女はウェイトレスを呼ぶとそれにはーいと〝金髪〟のウェイトレスがオーダーをとるべく歩いていくのだった

 

 

「いやー。よりにもよってあの子とは。さっすがかみやんたちぜよ」

「…ってことは知ってるんだな、元春。どうしてアリサが狙われるかを」

 

一方で人気のない広場にて

そこには土御門元春と上条当麻、そして鏡祢アラタの三人が集まっていた

土御門はベンチに座りながらそんな二人に受け答えしている

 

「教えてくれ土御門、どうしてアリサが狙われ―――」

「あの子は、聖人。あるいは、それに匹敵する力を持ってるとみなされてるからです」

 

その言葉に返してきたのは、女性の声だった

こちらにカツカツと歩いてくるエキセントリックな服装の女性―――神裂火織である

そしてその隣にいるのは、ヒビキと呼ばれていた男性だ

 

「神裂…」

「…それに、アンタは」

「よっ。直接会うのは初めましてかな。ヒビキってんだ。よろしく」

 

そしてそのまま彼はシュッ、と挨拶なんだかよくわからない仕草をするとこほんと、咳払いして話を戻す

 

「えっと。何の話だっけ」

「鳴護アリサの話です」

「ああそうだった。…完全に覚醒すれば、この神裂ちゃんをも上回る可能性まであるんだよ」

「神裂さんを…?」

 

強さを目の当たりにしている当麻とアラタはヒビキの言葉に驚きを隠せない

正直アリサにはそういった戦闘力がありそうには思えないが

それとも聖人というくくりにはまだわからない何かがあるのだろうか

 

「ま、コイツはあくまで推測、証明も何もないにゃー」

「土御門、貴方の見解は?」

「どーだかにゃー。ぶっちゃけ聖人の定義ってのも曖昧だし」

「…ヒビキ、貴方は?」

「俺に聞かれてもわかんないぜ? その辺は詳しくないし」

 

話を降られたヒビキは両手を上げてやれやれといったような仕草をする

するとベンチに座っていた土御門が立ち上がりきらりとサングラスを光らせながら

 

「ねーちんが隅から隅までずずぃーっと調べさせてくれれば―――」

「じょ、冗談じゃありませんっ!」

 

土御門の邪な視線から身を守るように自分の身体をかき抱いて一歩下がる神裂

その光景を見てははは、と笑いながらヒビキがアラタや当麻の方を見て

 

「ともかく、学園都市はその資質や才能を、解剖学的に解明して、利用したいんだよ。あの見た目幼い社長さんはね」

 

 

「はい、これ」

「ほえ?」

 

お腹も膨れてデザートを食べていたインデックスに向けて、アリサは一枚の封筒を差し出していた

 

「あの歌の歌詞。一緒に歌おうって、約束したでしょ?」

 

先日、インデックスとアリサが一緒にお風呂に入っていたとき、思い浮かんだフレーズを紙に纏めていた時だ

この歌ができたら、一緒に歌おう、と二人はそんな約束を交わしていたのだ

そんな時うっかり当麻が戻ってきてしまった不幸(ラッキースケベ)なことをしてしまったのだが、制裁は加えたので気にしないことにした

 

インデックスはそれを受け取って

 

「ありがとうありさ! いっぱいおめでとう! だねっ」

 

満面の笑顔を作りながら水の入ったコップを持ちあげる

 

「うん。ありがとう、インデックスちゃん!」

 

そのままお互いに水の入ったコップをかちんとぶつける

 

『かんぱーいっ!』

 

すっかり幸せムードなその光景を、金髪のウェイトレスに扮した魔術師―――メアリエ・スピアヘッドが小さく微笑んだ

 

 

「あぁ…今日も一日お疲れ様ねぇ…」

「ありがとうございます女王。わざわざこんな私の趣味に付き合っていただくなんて…」

 

のんびりと街を歩いてたのは食蜂操祈とその従者、帆風潤子の二人である

日頃頑張ってるお礼として一日帆風の趣味(ゲコ太)に付き合っていた食蜂はまさかここまで時間がかかるとは思わなかった

そもそも食蜂の派閥の女性からすると一日食蜂をほぼ独占できるだけでもえらいこっちゃなのだが、今回それはスルーする方向で

 

「気にしないでいいのよぉ。アラタからも偶には労ってあげろって言われてるしぃ…けど、自分で言うのもなんだけど、これ労えてるのかしらぁ?」

「全然労えています! はいっ!」

 

そう言って満面の笑顔を作る帆風

まぁ本人が言うのなら大丈夫なんだろうと食蜂は思うことにした

と、そんな時だ

 

パリーン!! と横を通り過ぎようとしていたファミレスのガラスが砕ける音がした

 

「! 女王!」

 

いち早く反応したのは帆風である

彼女は素早く彼女の前に出ると守るようにその身を盾にした

ファミレスから出てきたのは奇想天外な服装―――魔女の格好をした三人の女性だった

その中で一人、金髪の魔女は一人の女の子を抱えているのが視界に入ってくる

その中で一人―――扇子のようなものを持った女性がぶん、と一つ仰ぐと風が巻き起こりそれらが渦を巻き三人を包み込むと、その場から誰もいなくなっていた

 

そしてそんな三人を追っかけるように、拘束されたシスターの格好をした女の子が一人

何やら口元には薄い氷のような何かが引っ付いており、それが彼女を喋れなくしているようだ

 

「んーっ! んーっ!!」

 

そのシスターは身体をジタバタと動かし地上に流れ着いた魚のようにその場を跳ねて回る

何が何だかわからない食蜂と帆風はとりあえずお互いの顔を見合わせながら、ひとまずその口の周りの氷を剥がしてみようとする

その氷の何かは思いの外簡単に剥がれた

そしてそのまま両手を拘束を解くとシスターはこちらを振り向いて

 

「ありがとう!」

 

と言うやいなや服の中に忍ばせていた携帯を取り出すとどこかに電話を掛け出した

その光景を見ながら食蜂と帆風は困ったようにお互いに顔を見合わせるのだった

 

 

ふと、ピリリと当麻の電話が鳴る

何事かと思い当麻が携帯を取り出し画面を見るとそこにはインデックスの文字があった

 

「…インデックス?」

 

なんだろう、と思いながら電話に出る当麻に、それを見守るアラタ

 

「もしもし? インデックス…なんだって!? アリサが!?」

 

電話の声を聞いた当麻の顔が急変し、アリサという単語にアラタも身構える

そういえば今日は二人で食事に行っているはずだが…

同じタイミングで、今度はアラタの携帯も鳴り出した

携帯を取り出してアラタが画面を見てみると、そこには食蜂操祈の名前がある

 

「…なんでこんな時に操祈から…」

 

疑問はあったがとりあえず出てみることにする

 

「もしもし? 悪いけど今―――」

<アラタぁ? 今目の前でシスターちゃんが電話してるんだけど、何か知ってたりするかしらぁ>

「! …お前、現場にいるのか!?」

<現場って…そこのところよくわからないけどぉ…>

 

電話の向こうの操祈は明らかに混乱している

しかし今は彼女の言葉に情報があるやもしれないのも事実だ

 

「なぁ、その辺でなんか変わったの見かけなかったか?」

<変わったものぉ? …あぁ、そういえばシスターちゃんが出てくる前に、変な魔女っ子みたいな人達が誰か抱えてたわねぇ…」

「それだ! ありがとう操祈、今度なんか奢る!」

<え? ちょ、ちょっとぉ!?>

 

一方的にお礼をぶつけてアラタは電話を切る

ちらりと当麻を見るとどうやら彼も電話を終えたみたいだ

 

「魔女っ子って言ってた、多分アイツらだ」

「魔女…となると、ステイルたちでしょう。行ってください二人とも」

「あぁ、今からなら間に合うかもだぜぇい」

「あー…行動が早いなぁあの少年は」

 

話を聞いて察した神裂と土御門は二人して促し、ヒビキはステイルに対して軽い溜息を漏らしている

しかしこうしている場合じゃない、急がないと間に合わない可能性がある

 

「そうする! 行くぞ、当麻!」

「わかった!」

 

アラタは無言で青い姿のクウガ―――ドラゴンフォームへ姿を変えると当麻を抱えて跳躍する

途中ゴウラムを呼んで、緑の姿で行方を追えば、行けるかもしれない

 

 

「状況はどうなっている」

 

シャットアウラの自宅にて

緊急の連絡を受けた彼女は通信機を片手に、部下からの言葉を待つ

 

<目標は高速道路に入りました>

「わかった。そのまま見失うな」

<了解>

 

短く指示を出してシャットアウラは通信を切る

ふと、シャットアウラの視線は棚に飾ってある父の遺品に目がいった

それはボロボロの、飛行機の操縦士などが付けている機長帽子だ

 

「…奇跡などありはしない。―――在ってたまるものか…!!」

 

自分に言い聞かせるようにそう呟くとシャットアウラはブラックイクサナックルを持ち、自宅を後にした

 

 

一方でメアリエが運転する車内にて

運転席には上述の通りメアリエが座り、車を運転しその助手席ではステイルがたばこを吹かしている

後部座席にはマリーベートとジェーンがアリサを囲むように座り、ジェーンの隣に斎堵が座っている

どういうわけかジェーンはたばこを吸っているステイルを見てあわあわとしている

 

「…どうした、ジェーン」

「い、いえ…その…車内でたばこを吸われると…身長が伸びなく…」

「大丈夫だよ、僕は十分伸びたから」

「違うのです! 私が伸びなくなりますのっ!」

 

あっけらかんと言い話つステイル(十四歳)に抗議するジェーン

やれやれと思いながら霧島斎堵は何となしにバックミラーを確認したとき、違和感を感じる

 

「…うん?」

 

―――一瞬ではあったが、透明な何かが後ろを横切った気がする

もしかすると

 

「ステイル!」

「あぁ、来るぞっ!!」

 

ステイルが言葉を発したのと、相手の駆動メカが光学迷彩を解除したのは同時だった

それらはステイルたちが乗っている車を包囲するように今もなお動いている

 

「メアリエ、前に出すな!」

「がってんっ!」

 

ステイルの指示に了承するとメアリエは速度をアップさせる

前に出られては速度を落とさざるを得なくなる

何が何でも前方を死守しなくては

 

「ステイル、出るぞ!」

 

言いながら斎堵はオーズドライバーを取り出すと、先にそこに三枚のメダルを装填し、腰に押し付けてベルを装着する

そのままスキャナーを取り外しメダルをセットしたスレイターを傾けてスキャンした

 

「変身」

<タカ!><ウナギ!><チーター!>

 

車内での変身を終えるとそのままドアを開けたタカウーターは道路へと飛び出し、チーターの力で駆けながらウナギウィップで駆動メカに対して攻撃を仕掛けて妨害を開始する

その間ステイルも窓を開けて車の上によじ登り、ルーンのカードを準備して、いつでも戦えるように戦闘態勢をとった

 

一番奥の方からこちらに向かってくるのは唯一迷彩されていないバイクに乗った仮面ライダー…ブラックイクサだ

ブラックイクサは高速で走り回るタカウーターに向かってガンモードにしたカリバーを発砲するが、そう易々とは当たらない

また、別の駆動メカがアースパレットを車に対して発射するがステイルの炎がそれを防ぐ

 

「はぁっ!」

 

振るわれるウナギウィップ

それは一機の駆動メカを絡めとり、電気を流して機器系統にトラブルを与え戦闘不能にさせた

いつしか一行のデッドヒートはトンネルへと向かっていく

 

 

「ゴウラム、もっと速度上げれるか!」

<わかってる!>

 

一方で空から追いかけている当麻とアラタ

クウガであるアラタの命を受けて駆け付けたゴウラムの上に当麻を抱えて飛び乗ったクウガは緑の姿となってステイルたちを見つけるとそのまま空中を移動している

 

「もう少しだ…! しっかり捕まってろよ当麻!」

「あぁ!」

 

刹那、ドゴォンと大きな爆発音が耳に届く

それを見たクウガたちは一直線にその場へと向かうのだった

 

 

時間は少し戻る

メアリエの車がトンネルへと差し掛かり、ブラックイクサ率いる黒鴉部隊もそれを追って当然トンネルへと入っていく

 

「師匠っ!!」

 

そんな時ジェーンが窓ガラスから顔を出し、一斉に何かをばらまいた

それはステイルのルーンカード

トンネルという状況は限定されるが、今なら多少は顕現できるはず

車の上に乗っている以上、ばらまかれたルーンカードとの距離は離れていってしまうが、それでもこいつらを蹴散らすくらいならば―――

 

魔女狩りの王(イノケンティウス)ッ!!」

 

言葉と共に繰り出されるステイル最大の必殺魔術

ごぅ! と地面に顕現するは大きな上半身の炎の化け物

それらは大きく腕を振るいブラックイクサ以外の駆動メカを行動不能へと追い込んでいく

 

「―――ちっ!」

 

仮面の下で舌を打ちながらブラックイクサは一度フエッスルを取り出すとそれをベルトにセットしてナックルを押し込む

 

<イ・ク・ナ・ッ・ク・ル ラ・イ・ズ・ア・ッ・プ>

 

「はぁぁぁぁぁっ!!」

 

そのままバイクをUターンさせながら、イノケンティウスに向かってブロウクンファングを解き放った

刹那、ズドォン! という大きな爆発音が鳴り響き、周辺を火の海を変えていく

車の上で風を感じていたステイルはやったか、と内心思いながらじっとそれを見つめていた

 

「なにっ…!?」

 

しかし想像とは裏腹に、煙の中からブラックイクサが五体満足の状態で現れる

ブラックイクサはガンモードのカリバーを構えてメアリエの車のタイヤを正確に撃ち抜いた

タイヤを撃たれてバランスを崩した車からステイルは飛び降り、車はそのまま横転してしまう

遠目から見るとあの三人は目を回して気を失ったみたいだ

となると鳴護アリサも無事だろう

 

じろり、とバイクから降りてこちらに構えながら歩いてくるブラックイクサ

そして他の駆動メカを撒いてきたのか、オーズもステイルの隣に立ち並ぶ

 

一触即発

 

どちらかが先に動いてもおかしくない、そんな時だ

 

「やめろぉぉ!!」

 

上空から声が聞こえた

そちらへ視線を向けるとゴウラムに乗ったクウガと当麻が駆け付ける

降りれるようにゴウラムが低空へ移動すると当麻とクウガが飛び降りてゴウラムも少女の姿へと戻る

 

「何先走ってんだよステイル! まだアリサが聖人だって決まったわけじゃないだろう!!」

「…神裂たちか」

 

やれやれといった様子でタバコに火をつけて吹かしはじめる

ステイルは短く一服するとじっと当麻とクウガを見やり

 

「先ほど新たな命令が下った。…あそこに見えるのが何か、わかるか」

 

ステイルは視線をそれに向ける

その視線の先には、天高くそびえ立つ宇宙エレベーターが見える

 

「…宇宙エレベーターがどうかしたのか」

「いいや。シュメールのジグラッド、バベルの塔。…合理性を超えた規模を持った建築物は、〝そこに在るだけ〟で魔術的な意味合いを帯びてしまうんだよ」

 

クウガの問いに返したのがオーズだった

 

「問題はそこに、〝聖人〟を組み込んでかなり大規模な魔術装置にしようとした人間がいるってことでね」

「…つまり、学園都市に魔術を利用してる奴がいるってことか!?」

 

そんなアイツ等の会話を、ブラックイクサはマスク越しに聞いていた

魔術? バベルの塔? 一体全体何の話をしているのかさっぱりだ

 

<私よ>

 

そんな時、耳に仕込んでいた通信機からレディリーの声が聞こえる

 

警備員(アンチスキル)が動き出したわ。そこからすぐに撤収して>

「了解」

 

ブラックイクサはバイクをそのまま運転し、横転している車の方へ移動する

そのまま気を失っているアリサを取り出しやすいようにカリバーで軽く車を切り裂いていく

からん、とアリサから袋のようなものが零れたことに気が付いた

 

「…? !?」

 

視線を向けた時、目を疑った

それは自分が持っている、欠けたアクセサリーの半分が入っていたからだ

別にアクセサリーを持っていること自体に違和感はない

だが、問題は〝そのアクセサリーは自分しか持っていないはず〟のものだからで

 

<あら。見てしまったの?>

 

そんな自分の心境を見透かすように、レディリーの言葉が流れてくる

 

<いいわ、その子を私の元まで連れてきて>

「っ…!」

 

今は従うほかない

ブラックイクサは車から鳴護アリサを引っ張り出すと彼女を抱える

 

「まずい!」

「ちっ…!」

「来るな!!」

 

オーズとステイルが駆けようとした時、ブラックイクサはガンモードのカリバーを突き付けて威嚇する

しかし一人、ブラックイクサの元へ駆け寄っていく人物がいた

 

「待てシャットアウラ! その子を離せ!! ―――おいアウラぁ!!」

 

駆け寄りながら、変身を解いて近寄ってきた鏡祢アラタだ

すぐ後ろには、彼の友人である上条当麻の姿も、アラタを追ってきたゴウラムの少女…みのりの見える

ブラックイクサはぎり、と仮面の下で歯を食いしばった

 

「―――関係などないくせに! これ以上私に、歩み寄るなぁぁぁぁぁ!!」

 

叫びながらブラックイクサは上空にいくつかのレアアースパレットをカリバーから撃ち出した

少なくとも五個以上は射出したはずだ、上空に撃ったといえど衝撃は計り知れない

ステイルは伸びている三魔女、オーズはそのステイルを守らんとそれぞれ移動し、せめてと思いオーズはアラタたちに向かって叫ぶ

 

「離れろ!! 三人ともォォ!!」

 

オーズの叫びと、ブラックイクサが能力を解放したのはほぼほぼ同時

 

直後、大きな爆発音が夜の街にこだましたのだった

*1
逃亡してる鷹山を沢白が見かけたのが縁となった

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