全ては誰かの笑顔のために   作:桐生 乱桐(アジフライ)

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お待たせしました
恐らく投稿納めになるかな?

今回は一人、自作品からゲストが
もう一人はある作者さんから許可をいただいたゲスト出演がございます

よいお年を


#67 開戦

ゾンジスは手下に何人か量産型ジオウを引き連れてとある場所に訪れていた

それは伽藍の堂と呼ばれる一般人には見えない特殊な結界が貼られている、特異な場所だ

ゾンジスの仕事は、手っ取り早くこの場の破壊―――なのだが

 

「…本当に来た。士さんの言ってた通りだね」

 

すでに入り口にあたる部分には何人か人影がいた

名前は確か右京翔に、アリステラだったか

右京はゾンジスの存在を改めて認識するとその腰にダブルドライバーを押し当てて自身の身体に巻き付ける

 

「悪いけどここはやらせない。…とっととお帰り願いたいんだけど」

「そう言われて、素直には帰れないのよねぇ…」

 

ゾンジスはそう返答して、後ろにいる手下たちがぞくぞくと量産型ジオウへと変身していく

最もこうなることは右京は想定内だった

 

「行こうか、アリス」

「うん。―――鮮花さん、私の身体お願いしますっ」

「わかったわ。…わかったけど、戦うのは翔の身体なんだから別に貴方は外に出なくたって―――」

「いいんです! こういうのは気分と雰囲気なんですから!」

 

鮮花の言葉に返しながら、アリステラは懐から取り出した一本の緑色のメモリを取り出してから、起動ボタンをかちりと押した

 

<CYCLONE>

 

そう音声が鳴り響き、同じように隣の右京も一本の黒いメモリを取り出して、彼女と同じように起動ボタンを押す

 

<JOKER>

 

そして二人は、ローマ字のWを作るように互いの腕を動かして

 

『変身!』

 

そう同時に言葉を紡いだ

そのまま最初にアリステラがメモリをドライバーに装填し、サイクロンのメモリが右京のドライバーに転送されていく

今度は右京が転送されたサイクロンのメモリを押し込んでしっかりと差し直し反対側のスロットにジョーカーのメモリを装填すると、勢いよくダブルドライバーを開いた

 

<CYCLONE JOKER>

 

二つのメモリの音声がつながり、アリステラの精神は右京へと移動していく

風が吹き荒れて、右京の身体を仮面ライダーダブルへと変身させる傍らで、意識がダブルに入っていったことで気を失ったアリステラ本体を鮮花が受け止める

 

「そんじゃあ、一回アリスちゃん置いてくるわね」

<はい、お願いします!>

 

右の複眼が発光して、鮮花にそう返答した

 

「さて。それじゃあ行こうか」

<えぇ。都市(まち)を泣かそうとする不届きな輩に、風の一撃を叩き込んでやりましょう!>

 

そう言ってダブルが身構えようとした、その直後だった

不意にダブルの目の前に灰色のオーロラが現れる

勢いよく駆け出そうとした矢先そんなのが出てきたために、ダブルは勢いを殺し止まってしまった

 

「な、なんだ!?」

 

やがてオーロラの中から一人の女性が現れる

見たことのない、黒髪のショートヘアの女の子だ

当然、ゾンジスもその姿は知らない

 

「…何者よ、アンタ」

「何者、ね。…この子達の助っ人よ」

「…なんですって?」

 

助っ人、という言葉にゾンジスは仮面の下で怪訝な顔をする

そんなゾンジスを尻目に、その女の子は両手を開いたのち、己の顔の前で交差させて、叫んだ

 

「変身!」

 

言葉と同時、彼女の身体が光り輝く

一瞬のうちに輝きは収まり、そこには一人の〝仮面ライダー〟が現れていた

深い緑をベースに、金色のようなラインが入ったその身体

しゃきん! と口元のブレイクトゥーサーが展開し、頭部の部分から蒸気のようなエネルギーを一通り噴出するとブレイクトゥーサーが元に戻る

 

「私の名前は望月翔子。そんで、仮面ライダーゼットオー! そこの半分こなライダー、行くわよ!」

「え、あ、あぁ!」

<なんかよくわかんないけど、味方って認識でいいんだよね!?>

 

唐突な来客に混乱しがちだが、ひとまず味方ということがわかってれば十分だ

そんな訳で、ダブルはゾンジスに向かって指をさし、いつもの様子であの言葉を問いかける

 

『さぁ、お前の罪を数えろ!!』

 

◇◇◇

 

同時刻、ザモナスが部下の量産型ジオウを数人引き連れて向かったのはとある研究室の入り口の前だった

そこは沢白凛音の研究室の入り口だ

だがこちらにも、何人かの人影が見えている

 

「お。ホントに来たねぇ、布束さん」

「Let's see。警戒はしておいて損はなかったわね」

「…よくわかんないけど、アイツらが悪い奴らだってことはわかる」

 

その入り口の前でこちらを待っていたのは、布束砥信、そして彼女に付き従う悠と―――鷹山ジンだ

彼はポケットからラップで包まれたゆで卵に食らいつきながら

 

「いきなり電話で呼び出すんだもん、何事かと思ったぜ」

「Sorry ほかに頼れる人がいなかったのでね。ともかく、早く準備なさい」

 

そう言って布束は白衣を脱ぎだし、その辺に放ると左腕につけてあるレジスターへと手を伸ばす

鷹山もゆで卵を食い終えると地面に置いてたドライバーを腰に巻き付けた

 

「悠、お前も一個喰っとけ」

「え? ―――わっ、ありがとう、ジン」

 

唐突に投げられたゆで卵を悠は一口で平らげると包んでいたラップをポケットへしまうと手に持っていたドライバーを鷹山と同じように腰に巻き付ける

 

「…面倒臭そうだなぁ」

 

心底いやそうにザモナスは仮面の下で舌を打つ

この研究室は本来〝この世界〟に存在しない、セカンドテイナーの生み出した異物

同じように目の前にいる連中もそうだ、いや一人は違うが

ともかく、さっさとケリをつけようとザモナスが一歩踏み出したその時、目の前に灰色のオーロラが現れる

 

「!?」

「なんだ?」

「…門矢士の?」

「…?」

 

四者四様の反応の後、ザモナスの目の前に一人の青年が現れる

少々厚着の、赤いマフラーを首に巻いている青年だ

 

「…誰だ、お前は」

 

どうしてか、寒気がする

こちらの自信に揺らぎはないはずなのに

なぜだか目の前の男から目が話せられない

 

「…どうして将也でもパラドでもなく俺なのか、アンタを見てなんとなくわかった」

 

言いながら彼は爬虫類の目のようなドライバーを腰に巻き付けると、ベルトの中央部にあるスロットに注射器のようなデバイスを差し込んで、倒れていたスロットを上げた

そして最後に、先ほど差し込んだデバイス―――インジェクター内の薬液を押し込んで注入していく

 

<NEO>

 

「―――アマゾンっ!!!!」

 

巻き起こる爆風、燃ゆる炎と共に、青年はその身を変える

青い姿をして、全身に赤いラインが施されており、要所要所に金属のような装甲

発光する黄色い複眼は、確かにザモナスを捉えていた

 

「―――お前は誰だ!?」

 

ザモナスが叫ぶ

それに対して、青いライダーが応える

 

「―――俺は千翼…! 〝仮面ライダーアマゾンネオ〟だっ!!」

 

高らかに宣言し、アマゾンネオと名乗ったライダーはザモナスたちへと向かっていく

その光景を見ていた布束たちも改めてレジスターやドライバーへと手をやった

 

「私たちも行くわ」

「オッケー、行くぜ悠」

「うん。みんな、僕が守る…!」

 

『アマゾンっ!!』

 

爆風と電子音をBGMに、三体のアマゾンもその戦列に向かっていった

 

◇◇◇

 

バルカン、バルキリー、バースの射撃や砲撃がバトルレイダーを撃破していき、カブトやサソード、ドレイクたちが襲い掛かるバトルレイダーを蹴散らし、ディケイドネオやアギトの一撃がバトルレイダーをさらに吹き飛ばしていく

 

この場にいるのはきっと数々の戦いを潜り抜けてきた戦士たちなのだろう

G3も負けじとバトルレイダーを殴りつけて気合を入れたその時だ

ゆっくりとこちらに向かって歩いてくる一人の女性の姿が見える

スーツの姿のその女性を、立花眞人は覚えていた

彼女は傍らのG4ユニットを起動させながらその女性は眞人の前で止まる

 

「そういえば、こちらの名前をあの時名乗っていませんでしたね」

「貴女は…!」

「私の名前は水城マリア。見ての通り、G4システムの装着員です」

 

言葉と同時、マリアと名乗った女性はG3と同じようにG4システムを胸に押し当ててG4ユニットを着装する

 

「死を背負った私と、生を背負った貴方…答えを出すのにはちょうどいいころ合いでしょう」

「水城さん、貴女は!」

「さぁ! 今この場で、答えを出しましょう!!」

 

向かってくるG4に応えるように、G3も拳を握って駆け出した

正直、彼女のあの時の問いかけに明確な答えなど出せる気がしない

だけど、少なくとも死ぬためになんて戦えない

誰かを守るために、自分の出せる全てを出す

未来に向かって生きることを、自分は素晴らしいと思いたいから

 

◇◇◇

 

通路にて、シャットアウラとレディリーの二人は対峙していた

シャットアウラはハンドガンを構え、しっかりとレディリーに対して狙いをつけていた

対するレディリーは小さく笑んで

 

「馬鹿な子。来てしまったの―――」

 

最後まで言葉が続くことはなかった

シャットアウラがハンドガンの引き金を引き、躊躇なくレディリーを撃ちぬいたからだ

がふっ、と息を吐きながらその場に倒れるレディリー

ゆっくりと身体を起こし、けほっ、と口から血液を吐きだすとゆっくりとレディリーはシャットアウラへ視線を移した

きひ、と歪な笑いを浮かべて

 

「―――言ったはずだ。…絶対に許さないと…!!」

 

言い終わるや否や、ダァン! と銃声が鳴り響きレディリーの身体を再度貫く

今度は一発じゃ終わらない、それこそ常人なら間違いなく即死してるレベルの弾丸をレディリーに撃ち込む

この程度では死なないとはっきり理解しているからだ

 

銃弾に身体を貫かれ、地面を転がりながらレディリーは過去の記憶を思い出す

もう何百年も前のことになるか、忘れてしまったがそれでもこの身体が変質してしまったときのことを思い出す

 

十字軍の遠征で、負傷した兵士を助けたのが始まりだった

今際の際にもらった、袋の中に入ったあの実を食べたことで、この地獄は始まったのだ

仲のいい友人は死に絶え、大切な家族も先に逝った

恋なんてする余裕もなかった

 

「―――がっ、っフ…」

 

咳と共に血を吐きだす

地面に横たわりながら、レディリーの身体はまだ呼吸している

化け物め、と心の中で罵りながら弾切れとなったマガジンを抜くと新しいマガジンをハンドガンにセットして再度ハンドガンを突き付けた

 

「もう千年は生きたかしら…オリオン号の実験は失敗したけれど、その代わりに、思わぬ副産物が誕生したわ…」

「…何?」

「そう…それが〝鳴護アリサ〟よ…あの、〝奇跡〟の力で…私は死ぬことが…っ、できる…! ―――さぁ!! 一緒に終わりましょうぉっ!!」

 

そう言って彼女は起き上がると、右手の腕輪が輝きだす

それを皮切りにここから見える宇宙空間に展開している魔法陣のようなものの光が一層強くなっていく

 

「させるか―――!」

 

すかさずレディリーに向かって引き金を引こうとするが背後から聞こえてくる足音にシャットアウラは気が付いた

そちらへ振り向くと仮面をかぶった一人の男がこちらに向かって走ってくるのが見えた

狙いをつけて何度か引き金を引くが思った以上に動きが素早く掠りすらしない

無言で男はシャットアウラに向かって蹴りを繰り出すと彼女はそれに応戦する

何度か格闘を繰り広げ、一瞬のスキをついて顔面に向かって弾丸を叩き込んだ

しかしマスクが砕けただけで決定打にはならない

シャットアウラはハンドガンを投げ捨てるとイクサカリバーを構え何発かレアアースペレットを撃ちだし、シャットアウラの能力でペレットを爆発させる

 

爆発は思った以上に巨大で、その爆発でガラスが砕け、大きな穴が開いてしまった

まずい、と本能的に察したシャットアウラはすかさずその場か離れることで真空に晒されるを回避する

しかし空気の吸引、と表現すべきかはわからないが、とにかく引っ張られる力は思いのほか強い

先ほどの男やレディリーは真空に投げ出されたみたいだが、男はともかくレディリーの方はこれでも怪しい

 

「ぐ…!」

 

ザスン、とカリバーを地面に突き刺し、それを軸に是が非でも進む

終わってたまるか

こんなところで―――終わってたまるか…!!

 

◇◇◇

 

「おい、なんだ今のは」

 

適当にバトルレイダーを蹴っ飛ばし、ディケイドネオが初春の近くに歩み寄る

それに対して初春はパソコンのキーボードを叩きながら情報を確認や閲覧、間違いがないかを確かめていく

 

「はい、どうやら先ほど宇宙エレベーターの中継ステーション付近で、爆発があったみたいなんです」

「爆発だと?」

「そのせいで、応力バランスが崩壊して…! このままだと、エレベーターは倒壊してそのまま地上に倒れます!!」

 

◇◇◇

 

ふと、目が覚めた

鳴護アリサはぼんやりとする意識の傍らで倒れていた身体を起こす

何があったのかアリサはゆっくり思い出す―――そうだ、確か大きな爆発音が聞こえて、全体が揺れてそのまま…

 

そうだ、と思い返し周りを見回す

ここにいるのが自分だけならまだいい、だがこの場には自分の歌を聞きに来てくれた大勢の人たちがいる

その表情には恐怖の色がうかがえる

当然だ、いきなりの爆発事故に加えて今いる場所は宇宙、逃れる術が限定的すぎるのだ

 

そしてまた、建物の一部が崩落し瓦礫が落ちる

阿鼻叫喚

地獄絵図と言ってもいいくらいの場所にアリサのステージはあっという間になり替わってしまった

 

だけど、鳴護アリサはこの光景に言いようのできない既視感を感じていた

 

 

そうだ―――あの時も―――私は

 

 

 

明日晴れるかな 空を見る

 

 

 

不意に聞こえてきたアリサの歌声に、怯えていた人たちはそっちに視線を向ける

先ほどまで係員に開閉を促して怒号を飛ばしていた人も、泣いていた人も、皆が彼女の歌を見る

 

 

 

 

満天の星たち煌く

手を伸ばしたら届きそうだね と

笑い合ったら ふたり

また歩き出す

 

 

 

透き通った声だった

元気の出る声だった

奇跡のような声だった

 

こんなわけのわからない状況でも、彼女がきっと、〝奇跡〟というのを信じているのかもしれない

そんな彼女の歌声が、人の心を変えていく

 

「あの」

 

一人の女子学生が呟いた

 

「こちらからどうぞ」

 

だって人は―――こんなにも簡単なのだから

 

 

 

本当はね ひとりの夜が

不安でメールをしたの

たくさんの夢とか 理想の中に

自分が埋もれそうで

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

いつかは この街を出て

大人になってくことを

想像してみたら 心細くて

君の顔浮かんだ

 

 

 

「エンデュミオンが崩壊する!?」

 

通路を四人走りながら、ふとやってきた土御門からの電話に、当麻はそう聞き返す

エンデュミオンの崩壊…かなり物騒で危険な単語に、インデックスと美琴、アラタの三人は一度足を止めた

 

<あぁ、どうやら避けられん状況らしい。こっちでも、なんとかやってみるぜよ…!>

 

電話はその言葉を最後に、ザザ、ザザッとノイズが走って聞こえなくなってしまった

なんてタイミングだ

だが地上でも土御門たちが奔走していることは間違いない

ならこっちでも、できることはやらなければ

 

「とうま…」

「インデックス、御坂、アラタ、二手に分かれよう!」

 

当麻は提案する

 

「俺とアラタは、アリサの所へ。インデックスは魔術の発動を止めるのと、御坂はインデックスを守ってやってくれ」

「えぇ、わかったわ」

「わかった。そっちの方が効率いいもんな」

 

崩壊、という危機が迫っている以上、のんびりはしてられない

そこで、ふとインデックスは周りの皆を見回して言葉を発する

 

「ねぇとうま、あらた、みこと。絶対に助けようね! …約束したんだよ…! あの歌ができたら、一緒に歌おうって!」

「ちょ、いつのまにそんな約束してたのよ」

「えへへ…ごめんねみこと」

 

インデックスの言葉に美琴は笑みを返して、改めて当麻とアラタを見やる

 

「インデックスは絶対に守り抜いて見せるわ。だから、アラタたちも絶対にアリサさんを助けてあげて。…全部終わったら、みんなでカラオケにでも行きましょう!」

「―――だな! っよし、行こう、当麻!」

「あぁ! それじゃあまた後で!」

 

短い言葉を交わして、四人はお互いを背にして駆け出していく

振り向くことはない

そんな必要なんてないくらいに、お互いを信頼しているのだから

 

 

 

 

いつも何気ないことで

気持ち分け合えるふたり

今から迎えに行くよ と 君の声

 

明日晴れるかな 空を見る

満天の星たち煌く

手を伸ばしたら届きそうだね と

笑い合ったら ふたり

また歩き出す

 

 

 

 

エンデュミオン崩壊の刻は、確実に迫っていた―――




今回、狼牙竜さんの〝戦姫絶唱シンフォギアEX-AID 運命を変える戦士〟よりアマゾンネオ/千翼がゲスト出演いただきました

快諾してくれた狼牙竜さんありがとうございます
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