全ては誰かの笑顔のために   作:桐生 乱桐(アジフライ)

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#74 開始の合図

御坂美琴は学生用応援席にいた

一般用とは違いこっちには日差しを遮るテントはなく、ブルーシートが敷いてあるだけでとってもシンプルであり椅子もない

なんだかお花見みたいだなぁ、なんてどうでもいい感想を抱きながらきょろきょろとあたりを見回した

 

流石にあたりに常盤台の生徒の姿はなく、美琴一人である

神那賀は競技に参加しているようでここにはいない

一応食蜂操祈にも声をかけてみたが体力的に戻れないかもしれないからと断られた

 

そう、時間的にアラタの学校の競技を最後まで見るのは割とギリギリなのだ

でもでもやっぱり気になった美琴はこうして足を運んだわけで

 

「…ん?」

 

ふと視線を見ると銀髪の見知った女の子と角のカチューシャをした女の子たちが目に入った

インデックスとゴウラム───みのりである

 

「あ、ミコト」

「おっすー。…インデックスはどうしたの…?」

「空腹でこうなってるの」

 

あっけらかんと答えるみのりに、美琴はゆっくりとインデックスの近くを観察する

彼女の右手には箸が握られていて、その近くには舞夏が販売しているメイド弁当の空箱が置いてある

 

「今食べたばっかりじゃないの?」

「スポーツドリンクでお腹を満たそうとしたからねぇ」

「ホントにお腹減ってるだけなんだ」

 

熱中症とかじゃなくてよかったと安堵する

とりあえず美琴も改めて手に持ってたスタミナ携帯食を手渡して彼女のおなかに貢献することにする

彼女はそれに気づくと口だけを動かしてむぐむぐしだした

なんだか餌付けしてる気分だ

そんな時インデックスのおなかと地面の間からにゅるんと三毛猫がはい出てくる

何やら違和感を感じたのかきょろきょろと周囲を見渡している

御坂美琴は超電磁砲(レールガン)という強力な能力者だ

そんなわけで黙ってるだけでも微弱な電磁波を発してしまい動物とかには好かれにくい傾向にあり、本人は割かし可愛いモノが好きなだけあって何度か苦い経験をしたことがある

 

「ミコトは応援にきたの?」

「えぇ。と言っても私の競技ももうすぐだから流石に最後まではいれないかもだけど…」

 

みのりと雑談を交わしながらインデックスの口に携帯食を差し出す手を止めない

携帯食を食べきった勢いで指を咥えられたときはびっくりしたがとりあえず頭に軽いチョップをしつつ撫でることで茶を濁す

とかなんとかしていると校内放送のアナウンスで選手入場が告げられた

 

最初の競技は〝棒倒し〟

敵対している二組のグループが高さ七メートルくらいの棒を立てて自軍の棒を守りつつ、敵軍の棒をしばきに行く、というのが分かりやすい競技内容だ

もう少しで競技が始まる

テレビカメラが来るといってもそういうテレビ向けのナレ―ションとかは別のスタジオでやるから競技する側にはそこまで大きい変化はない

けどそれでも緊張はするのだ

 

「…そう言えばアラタたちのクラスの対戦相手は…っと」

 

何となく気になった美琴は校庭に視線を向ける

どうやら相手の高校はスポーツ校のエリートみたいで柔軟しているその姿からはエリートみを感じさせる

まともに対戦したら大変そうだ、と思いつつ今度はアラタたちのクラスへと視線を向けた

一応パンフを見た限りでは〝ごく普通な一般校〟だという話なのだが

 

「…えっ?」

 

 

そこにいたのは歴戦の勇士たちだった

 

 

誰も野次など飛ばしておらずそれなのに妙な威圧感を放っている

彼らは鏡祢アラタとその友人である上条当麻を核に一列に並びジッと敵軍だけを見据えている

 

「おー、なんだかアラタたちやる気満々だねー」

「そ、そうね。…一体何があったのかしら」

 

後半の声は小さく呟いたゆえにみのりの耳には届いていない

実際は小萌のエピソードがクラスメイト全体に伝わった結果あんなテンションになっているだけなのだが応援席の彼女たちは知る由もない

 

 

棒倒しに参加する人間は基本的に二つに分類される

棒をしばきに行く人と棒を立てて支える人、この二つだ

或いはその棒を支える人を守る人もいるから、よく考えてみれば三つか

 

今回アラタが選んだのは三番目…守りの役だ

 

前衛を選んでももちろんよかったのだが、守りというのもまた大事ではある

 

事実敵の攻撃部隊のような連中が前衛に向かった当麻たちを搔い潜りこっちに向かって何人かがやってきていた

そして手のひらからこっちに向かって火球のようなものを飛ばしてくるのが見える

 

(やっぱ来やがったな。───正直あんまり使いたくないが慣れてくためにもこういう場で練習させてもらうぜ───!)

 

アラタは瞼を閉じて意識を集中させて、大きく息を吸って吐く

そしてカッと瞼を開いたその時、彼の瞳が〝爛〟と輝いた

こちらに向かって飛んでくる火球へとジッと視線を合わせていくと───おぼろげながらも〝線〟が視えた

 

「───ぜぇあっ!」

 

アラタはポケットに忍ばせていたバタフライナイフ(練習用の斬れないやつ)を展開させてその火球の線をなぞって殺す

断ち切られた火球は一瞬のうちに霧散し周囲には何もなかったように空気が流れていくだけだ

 

(よっし、すっげぇ久々に使ってみたが問題はなさそうだ)

 

───直死の魔眼

 

一般的にこの眼はそう呼ばれているらしい

何でアラタにこの能力が発言したのかは不明だが、橙子が言うには〝能力開発が偶然起こした奇蹟のようなもの〟らしい

 

「さぁ、来やがれ」

 

手の中でバタフライナイフを適当にもてあそぶと改めて向かって来る火球や水の球などにアラタはナイフを突き立てていくのだった

 

 

「お、今アイツ使ったな」

 

そんな彼らの戦いを観客席から眺めていた一行が一組

両儀式たちだ

夫である幹也は未那や鮮花、そして橙子に預けられたアリサと一緒に声をあげて応援している

式も同じように応援こそしていないが彼らを見守りながら観戦していた

やがて視界にアラタを見つけたのでしばらく目で追ってみるとアラタ自身に放たれた火球みたいなものをまるで〝線をなぞるように〟持ってたナイフみたいなので斬り裂いた場面を見ると、彼も魔眼を使ったのだな、と推察する

 

式自身も直死の魔眼を持ってはいるが、アラタのは本人曰く〝弱視〟らしい

人の線や点は視えないし、〝物〟の線しか見えない

超能力によって繰り出される火球とかは〝物〟なのかはわからないがあの様子から察するに見えるみたいだ

しかしこれまでははっきり言えばそんな眼を使う事態なんてないだろうからと使うことはなかった

一応オンオフははっきりできるらしいのだが

 

「…しかしまぁ、こんな眼まで発現させるたあね」

 

偶然という言葉で片づけても良いものか

まぁ、そんなものは式が考えるものではないのだ

 

 

結論

 

鏡祢アラタたちクラスメイトは無事に勝利をもぎ取った

正面から堂々と会敵すれば負けると考えた彼らは接敵する直前に持っている能力全てを使って地面を叩き土煙をあげて視界を奪う電撃作戦に出たのだ

一応砂埃を抑えるために競技の前に水を撒いていたりはするのだが、流石に完全ではない

と、あとは発案者でもある吹寄制理がそのまま指揮官としてその都度指示を飛ばし、見事勝利をもぎとったのだ

 

「ど、どうしてみんなあんな無茶までして頑張っちゃうのですかーっ! だ、大覇星祭はみんな楽しく参加することに意味がああっで…! 勝ち負けなんてどおでもいいのでずぅ…! せ、せんせぇは…こんなボロボロのみんなをみでもち、っちっともうれじくなんか…っ!」

 

涙交じりに小萌は訴えてはいるが、ここでは多くは語らないのが美徳

そう判断した生徒たちは特に彼女に触れることなく散っていく

とりあえず上条当麻と合流を果たしたアラタは今度は応援席にいるであろうみのりとインデックスの二人を探すがどういうことか見つからなかった

 

「しょうがない、ちょっと携帯取ってきてそれで探すか」

「そうだな、それが一番手っ取り早い」

 

二人の携帯は教室にある

大覇星祭期間中は校内への立ち入りを禁止している学校も多い

学校の時間割り(カリキュラム)に関係する設備などを晒すわけにはいかないからだ

しかし元からその学校の生徒ならば特に問題はないのである

 

「とりあえず俺が行ってくるから当麻はいったん待っててな。前線で暴れてボロボロだろ」

「いいのか? それじゃあお言葉に甘えるぜ」

 

そんなわけで当麻と一度別れると学校の入り口に向かう

そこにいた二人の警備員(アンチスキル)に断りを入れるとアラタはそのまま上履きに履き替えて自分の教室へ向かって歩いていく

校舎の中は静かなのかなぁって思っていると校内放送やらが反響しており結構うるさい

やがて教室の入り口の前に来たアラタは扉に手をかけようとして───止まった

 

「…?」

 

一瞬教室の中の机が動くような音がわずかに耳に聞こえてきたからだ

もしかして自分以外に誰かが教室に来てる?

僅かでもその可能性が生まれた以上このドアをそのままガラガラと開け放つわけにはいかない

万が一女性だった場合うっかり着替えでもしていたらエライことになってしまう

開けようとしていた手を引っ込めてアラタは軽い力でドアをノックしてみることにする

気のせいならそれでいいのだけど───

 

「はーい?」

 

教室から声が聞こえてきた

…声色から察すると───吹寄制理か?

 

「…制理?」

「? その声は鏡祢アラタね。どうしたの?」

「いや、ちょっと連れを探したくて携帯取りに来たんだけどね。開けようとしたら中から音が聞こえたからノックしたってわけ。…制理は?」

「私はさっきの競技で汗たくさん掻いたからリフレッシュついでに着替えに来たの。それで携帯だっけ? 待ってなさい、もうすぐ着替え終わるからついでに取ってきてあげる」

「マジ? じゃあお言葉に甘えようかな」

 

危なかった

うっかり考えなしに開けてたら事件が起こるところだった

マジあぶねぇ()

言ってくれてもいいじゃないか聞かなかったこっちも悪いけど

 

「制理、悪いけど当麻の携帯もお願いしていい?」

「わかったわ」

 

とりあえず当初の目的もこれで達成だ

うっかりラッキースケベなハプニングに遭遇しそうだったが持ち前の勘で見事に回避

これを悲しいと表現していいのかどうなのか、判断できる思考はアラタには持ち合わせていなかった

 

「待たせたわね。はいこれ」

「サンキュ。悪かったねわざわざ」

「別にいいわ。お前には色々世話になってるし」

 

そう言った後適当に雑談でも交わしながら制理と一緒に校庭へ戻っていく

何気ない言葉を交わす彼女の表情には、大覇星祭をイイものにしたい、という決意をひしひしと感じる

手伝えられる範囲でこっちも手伝っていこうとアラタも一人思うのだった

 

 

当麻と合流したアラタはとりあえず携帯を使ってインデックスとみのりを探し出す

インデックスの方の携帯は電池切れだったためいくら電話しても繋がらず隣にいたみのりの携帯に通話をかけたことでやっとこさ合流を果たしたのだった

なぜかインデックスは空のスポーツドリンクのペットボトルを三毛猫のスフィンクスと一緒に抱えていた

 

「…そんなことよりお腹が減ったんだよとうま」

「え? てかお前弁当は? っつうか何でそんな腹減ってんの?」

「さっきまで一緒にいたみことからドリンクとかチョコクッキーとかもらったけどちっとも…」

「ちっとも!? 知人とはいえ人から物貰っといて!? っていうかちゃんとありがとうって言ったのかインデックス!?」

 

当麻はギャーギャーいうがそれに対してインデックスはそんなに大きなリアクションをしない

というかたぶん空腹が勝っているのだろう

 

「仕方ないよ。とりあえず屋台にいこうよアラタ。たしか次の競技までまだもうちょっとあるでしょ?」

 

パンフレットを見ながらみのりがそんなことを言う

確かに時間をチラ見すれば次の競技である〝大玉転がし〟までにはみのりが言う通り余裕がある

そして屋台、という言葉を聞いて目をキラキラさせたのはインデックスだ

 

「屋台!! っていうことは! ごはんがいっぱい!!」

「い、いやインデックスさん!? いっぱいあるだけでその〝いっぱい〟を網羅できるほど上条さんのお財布に余裕はないわけでしてね!?」

 

当麻が持っている財布の中身は大覇聖祭期間中の全財産だ

初日で使い切れば後に待っているのは地獄、ゆえにここはほどほどにしなければならない

とはいえ何かを腹に入れたいのも事実、そんなわけで信号に差し掛かって青になった、屋台エリアまであともう少しといったところでガラガラと無情にも警備員のお姉さんたちが〝通行止め〟の看板を持ってきた

警備員のお姉さんたちは知り合いだった

 

「よ、黄泉川さん?」

「あっちゃー、ごめんねぇ。もうそろそろ吹奏楽部の合同パレードの時間じゃんよ、少し早めに人の流れ止めとかないと交通整理が間に合わないじゃん」

 

うえ、と口にしながらアラタは道の先と看板に視線を行ったり来たりしながら

 

「マジですか。ちょっとあっち側に行きたいんですけどどのルート通った方がいいですかね?」

 

何となく口にしたアラタの疑問に黄泉川の横にいた鉄装がうーん、と頬に指をつけながら

 

「一番近いとこでここですかね…。西に三キロある地下街、ここらへんの道を経由すれば到着すると思いますけど…」

「さ、三キロ…」

 

流石に遠い

その言葉にアラタは冷や汗を浮かべ当麻は絶句し、みのりは苦笑いしインデックスは絶望した

 

 

とはいえここで唸っていても何もできないので仕方がないので別の道を探すことにした

 

「ほらインデックス、ここで項垂れても仕方ないよ。他にも屋台エリアはあるからそこめざそ?」

「うぅー、手を伸ばせば届くのに掴むことができないだなんてーっ」

 

うなだれるインデックスにみのりがポンポンと背中を優しく叩く

黄泉川も鉄装も物凄いバツが悪そうな顔をしているが規則なので通せないとのこと

 

「当麻、次に近い屋台はどの辺だ?」

「んーっと…これは…うわ、さっき教えてもらったルートと一緒だ…こっちのルート行っちまうと次の競技に間に合わないぞ…ダメだ、屋台は〝大玉転がし〟の後だな。悪いインデックス、もうちょっと我慢だ」

「…、」

 

カチカチカチ

なんだか不意にインデックスの口元が動き出した

なんだか嫌な予感がした当麻は警戒しつつ

 

「…え? 待ってもしかして俺にキレてらっしゃいます!? 屋台の位置も競技のプログラムもバスのルートも一切関与していないのにーっ!?」

 

ぐぉぅばぁ、と大きく口を開けてインデックスが当麻をイートし、「不幸だぁぁぁ!」と叫んだ刹那、不意にアラタの身体がブレた

っていうか何者かに攫われたのかアラタの姿がいなくなったのである

 

当の本人は頭に疑問符を浮かべながら景色が変わったことに一瞬遅れて気が付いた

 

「…え?」

 

そしてさらにワンテンポ遅れて自分が誰かに抱えられてる…もといお姫様だっこされているということに気が付いた

そしてさらに視線を動かすとその先に───

 

「ほ、っかぜさん!?」

「すみませんアラタさん、舌を噛んでしまうかもしれませんので、閉じていただけると!」

「えっていうかどういう状況!? なんで抱っこされてるの俺!?」

 

なぜだか知らんが今アラタは帆風潤子にお姫様抱っこされている

彼女の能力は天衣装着(ランペイジドレス)

めっちゃわかりやすく言うと身体能力強化系の能力だ

体内の電気信号操り肉体のリミッターを解除してパワー・スピード・五感・動体視力などの身体能力を限界以上に引き出すことができ、さらに日常生活の切り傷、かすり傷程度なら即再生ができるという能力である

 

そんな彼女に抱えられ、今ニンジャよろしく高速で移動しているのである

身体能力が強化された彼女は男性であるアラタを抱っこしていてもなお全く速度は落ちず、むしろかなり早いまである

速度だけなら青いクウガレベルである

 

「すみませんアラタさん、もう少し速度をあげますね!」

「えこれ以上出んのぉぉぉぉぉ!?」

 

言葉の最中帆風はさらにスピードアップ

流石に今度は口出しする余裕はなく大人しく揺られるのだった

 

 

少しの間揺られていると、何やらゴールテープが見えてきた

そしてゴールテープより少し離れたところにいっそう目を引く金髪ロングの女生徒の姿が見える

食蜂操祈だ

 

「女王! お待たせしました、指定の者をお借りしてきました!」

「本人の了承得てませんけど!?」

「ご苦労さま帆風さん。やはりこういう時に生きるのは、派閥力よねぇ」

「アリなのそれ」

「さあアラタさん、是非女王と一緒にゴールテープを切ってあげてください、さぁ!」

「わかったわかったって! っていうかいい加減説明を要求したいんですけど!?」

「ゴールした後教えたげるわぁ。ほら、早くエスコートして」

「選手お前だろ!? ───…まあいいや」

 

全く状況が分からないまま、とりあえず手を差し出された食蜂操祈の手を取って軽く小走りでゴールテープを切った

すると運営委員の学生が彼女に向かって大き目なスポーツタオルを被せ、水分補給用の水などを渡したりなどてきぱきと行動する

まぁゴールテープ前でスタンバっていたとはいえそこに行くまでは操祈も走った…かはわからないが少なくとも歩きはしたはずだ

 

とはいえ場違い、もとい疎外感が強い

ここで活動してる運営委員らはテレビを意識した動きをしている気がするからだ

すると一人の運営委員の生徒が不意にアラタをじろりと見た

っていうか吹寄だ

彼女は操祈から受け取った紙切れとアラタをと何回か確認すると

 

「…〝借り物〟の指定は間違ってないわね。っていうか、お前ってば交友関係広いのね」

「借り物競争だったんだこれ」

 

マジで急に拉致られたので戸惑いの方が大きい

短い会話を交わしたのち、これ以上仕事を邪魔しないようにアラタは一度その場から離れる

今度は軽くストレッチでもしてる食蜂操祈へと足を向ける

 

「ルール的には一応第三者の承諾を得て、とかなんとか見たいなんだけども」

「事後承諾がダメ、だなんてルールもないじゃなぁい? こういうのは応用力よ応用力」

「やれやれ。まぁいいけどね」

 

幸いにもこっちは帆風に揺られて操祈と一緒に軽く走った程度なのでそんなに疲れてはいない

とはいえ軽くのどは乾いたかなーって思っていると、ずい、と操祈が持っていたストロー付きのスポドリボトルを手渡してきた

 

「ともかく、今回はありがとぉ。私はこれから表彰あるから、ちょっとそっちいくわぁ。このドリンクはご褒美ってことで」

 

と、少々強引に手渡され、すいーっと操祈は表彰台の方へ向かっていく

学年対抗などの団体競技は雑だけど個人競技は三位までちゃんと表彰される

当然今回一位*1の操祈は表彰台だ

 

とりあえずせっかくもらったのでスポドリドリンクのストローにアラタは遠慮なく口につける

その光景を遠目から見ていた吹寄は「んなっ」と若干頬を赤くしながら睨んでいたがその視線にアラタが気づくことはなかった

 

(…そういえば結局借り物の指定ってなんだったんだろ)

 

ちゅいー、とスポドリを飲みながら帰路に会場の外へと歩を進めているアラタはふとそんなことを思った

そういえば当麻やインデックス、みのりを完全に置いてきてしまった、携帯で連絡は取り合えるだろうがそこまで心配する必要もなさそうだが

と、そんな時足元に一枚の紙切れが風で飛ばされて引っ付いてきた

よくよく見ると操祈が持ってた紙切れだ

恐らくもう必要のないものだろう、すでにクリップボードかなんかに記入されているだろうし、今となっては完全に燃えるゴミだ

何となしにそれを拾ってみる

 

「…〝第一種目で競技を行った高等学生〟か…なるほど、借り物であると同時に借り〝者〟でもあったわけだ」

 

うまいこと言ったつもりだが別にそんなうまくもない

そしてそんなアラタの独り言に返すものもいないので誰も彼が滑っていることに気づきもしない

とりあえずスポドリを飲み干してそれをゴミ箱に放ると当麻らと合流するためどんなルートを行くか、とのんびり考えるのだった

 

*1
あれを一位と言っていいのかはともかく




アラタの直死設定はだいぶ過去作から引っ張ってきました
もっともその作品はもうないのですけどね
いにしえの読者さまなら知ってるかもしれない(誰もいない

あと鉄装さんだいぶすごいことになってて草
・・・そこまで行けるかなぁ(行きてぇなぁ

まぁ気長にやっていきますのでこんな私に付き合ってくれる方はこれからもよろしくお願いします
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