《Execrable・エクシクラブル》   作:フィルト

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はい、来ました。初オリジナル来ました。まあ、そうですね。上手く書けているかは私自身、他人に評価されてみないと分かりませんが、私なりには頑張りましたので楽しんでいただければと思います。


忌種

ある日の、ある夕方の、ある夏のこと。僕らはみんな、一人の家に集まっていた。

 

沈みかけの太陽が部屋の窓から差し込み、室内を赤く照らしつける中、一つの部屋の円卓を囲んで話し合っているのは小学生男女合わせて五人。

 

その内の一人が人差し指を天に向け、堂々と声を上げる。

 

「僕達はこれから『新世紀軍』として活動する!」

 

一人の男子が上げた声に女子二人は微かに笑った。それは馬鹿にしているというよりか、楽しんでいるかのように。

 

「たっくん。私達は五人しかいないのに『軍』なの?でもなんか面白そう!」

 

一人の女子が楽しそうに言うともう一人の女子も楽しそうに言う。

 

「じゃあ龍樹くんは隊長だね!...ってどんな活動をするの?」

 

 

龍樹またはたっくんこと『霧ヶ峰 龍樹(きりがみね たつき)』は小学四年生の男子。成績は中の上に位置しており、友達からの信頼も強い男子だ。

 

 

「ナイス質問だ亜美!活動内容は...っとその前に!華澄の言ってる軍じゃなくて僕達は特別な軍隊!新世紀の軍なんだよ!」

 

 

黒いロングヘアが美しい華澄こと『花秋 華澄(はなあき かすみ)』は「はいはい」と笑顔で応えると腕につけていたヘアゴムをいじる。

 

また、黒髪、ショートヘアで顔立ちが美しく、上品さのある亜美こと『咲縞 亜美(さきしま あみ)』は活動内容を一刻も早く聞きたがっている。

 

 

「活動内容その一!困っている人がいたら助けてあげること!」

 

龍樹の言葉に華澄がいち早く反応。また無邪気な笑顔で龍樹に問う。

 

「そんなの当たり前じゃん!」

 

龍樹は笑顔の華澄に「当たり前だからいいんだよ!」と笑顔で返すと活動内容の続きを考えてから言う。

 

「活動内容その二!仲間を信じること!その三!仲間は見捨てないこと!以上!!」

 

龍樹が発した活動内容に疑問を持った男子一人が問う。

 

「質問いいですか?これは少ないのでは...」

 

この質問には龍樹よりも早くこれまた無邪気な笑顔で亜美が答える。

 

「少ないから覚えやすくていいよ!ね!涼太くん!」

 

 

涼太こと『羽咲 涼太(はさき りょうた)』は眼鏡をかけた男子で、同級生なのに敬語で喋るという珍しい男子だ。

 

 

やりとりを見ていた華澄は笑顔で壁際に腕を組み、壁に寄りかかっている男子に話しかける。

 

「海!あんたもなんか言えば?」

 

 

海こと『鏡野 海(かがみや かい)』は壁に寄りかかったまま言い放つ。

 

「なぜ俺までそんな下らない軍隊ごっこに入れられてんだ。全く。」

 

成績優秀。勉強面では誰もが彼には勝てないが、友情面では龍樹に劣る。

 

龍樹はそっと海に手を差し伸べる。

 

「なあ海。お前も仲間だろ?」

 

海は「めんどうだな」と言いつつも龍樹の手を取った。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

あれから六年の月日が流れ、僕らは高校生となった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

快晴、いや少し曇りだろうか。

 

登校中、背後から思いっきり肩を叩かれた龍樹は少しよろめく。

 

「おっす!たーつき!」

 

「なんだ。華澄か...」

 

笑顔の華澄の手を払いのけつつ、龍樹は無愛想に返事をする。

だけども華澄は笑顔でアレを言い放つ。

 

「なんだとはなんだよー!もう!『新世紀軍』の命名者さん...」

 

最後、不気味に笑いつつそれを言うと、華澄は龍樹の肩に手をかけ顔を覗く。

瞬時に龍樹の顔は赤く染め上がり、それは怒ったというよりも照れてるようで。

 

「う...うっさい!そんなの昔の事だろ!ってかよく覚えてんな!」

 

予想通りの反応に味をしめた華澄はさらに追い討ちをかける。

 

「いやーあの時の衝撃は忘れられないよー!いきなり手を挙げて『僕達はこれから『新世紀軍』として活動する!』とか言い始めたんだから〜」

 

回想、龍樹のセリフだけ声のトーンを変えて言うその華澄に悪気は...もちろんある。

 

半ば面倒臭そうに適当に返事をすると一人呟く。

 

「全く...。俺の黒歴史を...」

 

ーーーーーーーーーー

私立四方木高等学校

ーーーーーーーーーー

 

「あいつら元気にしてるかな...」

 

海は雲が目立つ窓の外を見つめる。寂しそうに、懐かしそうな目で。

 

隣の席の亜美はそっと海の横につき、頬杖をつく。穏やかな目で海と同じ目線で空を見上げる。

 

「元気なんじゃないかな?」

 

「はあ、お前はノー天気でいいな...」

 

亜美は海の呆れた表情を見て微笑む。あの頃を思い出したように。

 

「二人共。行きますよ。次は移動教室です」

 

少し離れた机から亮太が呼びかける。海と亜美は返事をした後、教室をあとにした。

 

ーーーーーーーーーー

 

「たっだいまー。っと。今日は誰もいないんだっけ?」

 

龍樹は靴を脱ぎ捨て、暗い廊下を過ぎ、特にする事もなくテレビをつける。

 

『さあ!次の問題です!皆さんご存知。天草一揆、別名、島原の乱ですが、その一揆が起こった年は西暦何年で...『突然ですが、臨時ニュースです...』』

 

「あ?臨時ニュース?こりゃまた珍しい...」

 

龍樹はテレビのリモコンをテーブルに置くと、珍獣でも見るような目つきでテレビを凝視する。

 

『今日、午後二時頃、JR秋葉原駅前にて、直径六メートルほどの範囲の地面が深い所で十センチほど陥没するという事態が発生しました。多くの目撃者は一人の男性が地面を蹴った瞬間、地響きとともに地面が陥没した。と口を揃えて行っておりますが、真相は不明です。臨時ニュースでした...』...正解は1638年でしたー!いやー正解者はほとんどいなかっ...』

 

龍樹はソファにもたれかかると携帯をいじり始める。

 

「あんなくだらない臨時ニュース。千年に一回も見れねーよ...」

 

適当にインターネットを開くと既に、多くの掲示板にあのニュースが載っていた。

 

『怪力男現る』

 

『ある男、火事場の馬鹿力がry』

 

『例のニュース信じる奴集え』

 

サイトを下にスクロールしてもあのニュースで埋まっていた。痺れを切らした龍樹は携帯を適当に置くと、風呂場に向かった。

 

龍樹は体を洗いながらふと、あのニュースを思い出す。

 

「こりゃあ、その男を祀った宗教とかできちまいそうだな...」

 

ーーーーーーーーーー

 

「やっと解放されたーー!!」

 

下校中、沈みかけの太陽が射す坂道を下っている途中、華澄が吠える。

龍樹はそんな華澄を無視しながら携帯でネットニュースを確認するが、ネットは昨日のニュースで持ちきりだ。

隣を歩いていた華澄が龍樹の携帯を不意に覗き込む。

 

「へぇ~。龍樹もしかして信じてる?」

 

悪戯な笑が龍樹の目に入る。龍樹は目線を携帯に戻し、微笑みながら言う。

 

「はっ。まさかね」

 

正直内心は半信半疑だ。現在、何が本当で何が嘘なのかは神のみぞ知る事だろう。ネットもニュースも全てが真実ではない。それは今まで生きてきた経験則から分かること。

 

「実際にこの目で見ないと話にならないな」

 

「私も見てみたい!」

 

「見たいとは言ってないぞ」

 

蒸し暑い夏が過ぎ、涼しさを感じられる秋に入ろうとする時期、太陽が沈みかけた道の途中、二人が歩いていた前方に停めてあった一台の車から一人の金髪の男が出てくる。

その男は二人の一メートル先辺りで立ち止まる。それにつられ、二人も立ち止まる。

 

「なあ、ボウズ。その女置いてそこから立ち去るなら見逃してあげるぜ?」と金髪をなびかせ、男が言う。

 

男はジーパンのポケットからキャンプなどで使う直径八センチの折りたたみ式ナイフを取り出し、龍樹を脅す。

龍樹は突然の事態に困惑しながらも、隣で恐怖に怯える華澄と自分が助かる方法を考えている。今まで生きてきた中でこれ以上に無いほど、頭を回転させ、策を考えるが、プレッシャーからか何も考えられない。

 

「ほら、おいで嬢ちゃん。悪いようにわし無いからさぁ〜。クククク」

 

男は右手でナイフを弄びながら徐々に距離を詰めてくる。

華澄が震える手で龍樹の手を握ると、龍樹は一つだけ策が思いついた。

 

「なあ、おっさん。そのナイフ出さ無いほうがいいぜ。ほらそこ、警察が巡回してるから...」

 

龍樹は適当に男の後ろの道の端を指さすと、男は「うっ!」っと唸った後ナイフを体で隠し、指差す方向を見る。

龍樹はその一瞬を逃さず、華澄の腕を掴んで走り出す。恐怖と焦りで所々つまずきそうになる。

荒い呼吸を上げながら男が背後から迫ってくるのが視界の片隅から網膜に焼きつく。

運悪く人通りの少ない時間帯だった為、助けを呼べずにいる中、華澄が足を滑らせる。

 

「きゃっ」っと言った後、滑るように転ぶ華澄。龍樹がそれに気づいたが、全力疾走していた速さから止まるのに少し時間がかった。

 

その間に男が華澄を抱きかかえると、ナイフを龍樹に突きつける。

 

「さっさと、行け、それか、ここで、死ぬか?」

 

呼吸が落ち着か無い男は途切れ途切れのセリフを言うと、華澄の体を触り始める。

 

「龍樹...助けて...」

 

微かに聞こえたその言葉が龍樹の脳の奥に突き刺さり、これ以上に無い怒りが自分でもわかるくらい込み上げてくる。

 

『あいつを殺せ。あいつを殺せ。あいつを殺せ』

 

龍樹の中にいる何者かがそう呼びかける。

 

「アアアアアアァァァァ!!!」

 

頭が爆発しそうなその叫び声は周りの草木をも揺らす。

 

男は「ひっ」っと声を上げると華澄を抱きかかえたまま、再びナイフを龍樹に向ける。

 

龍樹の今にも殺しに行きそうな右手が疼く。

 

疼く。疼く。疼く。疼く。うず...く...?

 

龍樹の右腕を制服とともに突き破って出てきた黒い鋭利な金属。一本だけでは無く、数十本もの鋭利な金属が擦り合いながら右腕をから突き出てくる。それらは複雑に絡み合い、所々隙間があるが龍樹の右腕は二倍にも巨大化した絡み合った金属になる。五本の爪の部分だけは銀色に輝き、竜の鉤爪を思わせる直径四十センチはある鋭利な金属になっている。

 

「あ゛ぁぁぁ。か...す...み...を..返せ...」

 

龍樹は黒目以外が青くなった眼球で男を睨みつける。右手の爪を擦り合い、特殊な金属音を鳴らしながら言うその言葉には殺気が溢れている。

 

華澄は視界に映るあまりの衝撃さに気絶し、男は華澄を地面に落とすと、気をおかしくしたかのように微笑する。

 

「ハハハハハ。これはスゲェ。国に出せば大金が...」

 

発言の途中に龍樹は男に飛びかかる。一瞬で男との距離を詰めるその速さは並の脚力を圧倒的に越える。跳んだ地面は薄くひびが割れ、跡を残すような目からこぼれた青い残像が離れるほど薄くなって消えてゆく。

 

振り下げたその腕は微笑する男の頭部をいとも容易く切断すると、残された体を切り刻み、返り血を浴びながら狂ったようにその体で遊び続ける。

 

「もっと細かく...ぐちゃぐちゃに...!」

 

それはもう人の体かが分からなくなるほど分解された時、ふと我に帰る。華澄の無事が確認でき、安心して首を落とすとそこに見えたものは返り血を浴びた服と、自分の右腕。

 

「あ...ああ...あああ...なんだこれ...俺の右手が...これは...あの男...うあああああああぁぁぁぁ!!!」

 

絶叫すると、金属の腕を構築していた黒い鋭利な金属は龍樹の体に戻っていき、突き破られた皮膚は数秒にして元に戻っていく。

その様を見ていた龍樹は何も考えられなくなる。しかし、一つだけ思ったことがある。

 

「俺はもう...人間じゃないのか...」

 

蒸し暑い夏が過ぎ、涼しさを感じられる秋に入ろうとする時期、太陽が沈んだ道で一人の男が殺された。




どうでしたでしょうか?いやーまあ厨二入ってるとかそういうのは小説を書く事に必要な素材だと思っております。次回作はいつ投稿するか分かりませんが、読んで頂きありがとうございました。
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