ご注文はうさぎですか?~私はあなたあなたは私~ 作:れんにゅう
あれは意識が途切れた後、目の前が明るくなったのを感じた私はふと気づいたら、心愛という女の子になっていた。
意識がはっきりしたのに違和感が無いこの感じは、そう...幼い頃に自分という意識がはっきりと覚醒したときと同じだった。その時はとても驚いた...神様のイタズラかと思ったけど考えても仕方がないとそのまま私は保登心愛として生きることにした。
私は生前、姉という立場だったから妹という立場には妙に違和感を感じた。そして、姉が私にべったりしてきた時には、生前の私の妹もこんな気持ちだったのかと感じたけど、妹は笑顔で喜んでいた気がする...時々鼻血を流していたけど...
15年が経ち、私は幼い時に行ったことのある町の高校に下宿という形で入学することにした。お母さんは賛成してくれたけど姉さんは寂しいなどと言い反対だったけどなんとか説得ができた。
なぜ、親元から離れてまで遠い高校に通うのかというと...自立したいのも一つの理由なんだけど、もう一つが私の中では1番の理由だった。それは生まれ変わって15年...私が感じていたのは罪悪感だ。家族に生前の記憶のことを黙り続けていると"私はここの家族なの?"と自分に問いかけてしまう...ちゃんと血の繋がった家族だが自分は本当にここの家族としての資格があるのかと考えてしまう。
そして私が1番考えてしまうのは、私が死ななければ本当の保登 心愛がここにいたかもしれない...私と違って元気で場を盛り上げている子かもしれない...
1人の子の人生を奪ってしまった...その言葉が私の奥深くまで刻まれ続けている。
「....ん..んぅ...あ..れ...」
気づくと懐かしい町並が見え、そこで目的の場所に着いたとわかった。
「ふわぁ...気づいたら寝てたんだ...んぅ~!」
背中を伸ばし眠気を飛ばし、電車が止まるのを待つ。
「ふぅ...町並みが変わってなければいいんだけど...」
電車が止まり、電車を降りて駅の外に出るとやっぱり懐かしい町並みだけど少し変わっていた。
「ん~...私方向音痴だから迷わなければいいんだけど...あ、これフラグかも...」
心配しながら地図を見ながら目的地に向かって歩き出した。
はい、迷いました。ここはどこだろう...さすがに無理だった。
「さて、どうしよう...人に聞きたいけど...もうお昼なのに人がいない...」
さてさて...これはまずい...周りを見ると目に留まったのが【RABBIT-HOUSE】と書かれた喫茶店だった。
「とりあえず休憩も兼ねて入ってみよう。それでお店の人に聞こうかな」
私は地図をポケットに入れて【RABBIT-HOUSE】に入った。
「いらっしゃいませ...」
そこには薄い水色の髪をした背の低い女の子がいた。
「あのお客様...?」
「...あ、ごめんなさい...!少し歩き疲れてて...」
「そうですか?席はこちらです」
(ここのアルバイトかな?それにしては小さい...中学生くらい?)
席に案内され、メニューを渡されて気づいた。女の子の頭の上にうさぎらしき動物が乗っかっていた。
「...もじゃもじゃ?」
「...?これですか?これはティッピーです。一応うさぎです」
「うさぎ...?触っても大丈夫かな?」
「その前にご注文を...」
そうだった。注文しないと話が進まないね。
「じゃあ、そのうさぎさんをお願いできるかな」
「ティッピーは非売品です」
まぁそうだよね。こんなこと言うお客さんなんて普通いないもんね。
「冗談はここまでにしてと...え~と...とりあえずコーヒーを1杯お願いできるかな」
「わかりました。少々お待ちください」
そう言い奥のカウンターに行き、コーヒーを粉末状にする物を取り出して作り始めた。
「ほ、本格的...ってあの子が淹れるんだね」
まだ小さいのにすごい。私も家がパン屋だからお店の手伝いをするけど1人は大変そう。
そう考えながら私は窓の景色を見る。
ああ..落ち着く~...やっぱりここはいいところだね。
それから数分後して女の子がコーヒーを持ってきた。
「どうぞ、コーヒーになります」
「ありがとう、それにしてもお店には君しかいないのかな?」
「もう1人アルバイトの方がいます」
「2人でもお店はキツイと思うような...」
「ここはそんなに混まないので2人でもお店は回れますので...」
「ふ~ん...あっ美味しいね」
うん、これは美味しい味に味に深みがあって苦味もまた美味しさを引き立てている。
やっぱり落ち着きたい時にはコーヒーに限るね、種類などはわからないけど。
「あの...」
「ん?どうしたの?」
コーヒーを飲みながら休んでいると女の子が話しかけてきた。その手にはさっきのうさぎがいる。
「もしよかったらティッピーに触りますか?」
「え?いいの?さっきのは冗談で言ったんだけど...いや、触りたいといえば触りたいけど...」
「コーヒーを頼んでくださったサービスと思ってください。その...お客さんは優しそうなので安心できます」
「そこまで言われると断れないよ...それじゃあお願いしようかな」
「はい、どうぞ」
女の子からティッピーといううさぎを渡してもらって膝の上に置いた。
触ってみるとわかるね...あぁ...気持ちいい毛がモフモフしてて歩いてきた疲れが消えていく~...
「この娘中々のテクニシャンじゃ...」
「ん?何か今ダンディな声が聞こえたんだけど...」
「き、気のせいです」
...?気のせいか~...それにしても気持ちよすぎだね。この感触癖になる...!
「気持ちええ~♪」
「いいな...」
私がうさぎを撫でていると女の子が羨ましいという目でうさぎを見ていた。
ああ、この子も触りたいんだ。それもそうだこの感触なら毎日触っていても飽きることは無いよ。
「君も触る?私ばかりじゃあずるいからね」
「い、いえ大丈夫です!...そっちじゃないので...」
ん?最後のほうが聞き取れなかったけど仕事中だからだろうか...今、お客さんは私しかいないから気にしなくていいのに。
って...そろそろ、地図のことを聞かないと...
私はコーヒーを飲むと女の子に話かけた。
「ちょっと聞きたいことがあるんだけど大丈夫かな?」
「...?はい、大丈夫ですよ」
「私、春からこの町の学校に通うことになったんだけどね...」
「あ、そうだったんですか」
「でも、下宿先探してたら迷子になっちゃって...私昔から方向音痴って言われてね。道を聞くついでに休憩しようと思ったけど。香風さん家ってこの近くのはずなんだけど知ってる?香る風って書くんだけど」
「...香風はうちです」
「あ、そうだったんだ...これってすごい?こういう場合ってこれは偶然を通り越して運命だよ!って言ったほうがいいかな?」
まさか聞きに入ったお店が下宿先だなんて、確率的に結構すごいほうだよね?
「どうなのでしょう...あ、私はチノです。ここのマスターの孫です」
「あ、お孫さんだったんだ。もしかして中学生?」
「はい、中学2年生です」
「まだ中学生なのにコーヒーを淹れることができるなんてすごいね。あっ私は保登心愛。気軽にココアと呼んでね」
「わかりました。こ、ココアさん...」
「ゆっくりでいいから慣れていこうね。それで、学校の方針でね下宿させて頂く代わりに、その家でご奉仕しろって言われてね。でも見た感じお店の方は私は必要ない感じかな?」
「そうですね...といっても家事は私一人で何とかなってますし...」
わお...私することがないじゃん...要らない子かな?
「ですが、一応お店のほうを手伝っていただけると嬉しいです」
「任せて。まだ、全然わからないけど足手まといにはならないくらいには頑張るよ。それとマスターさんは留守かな?あいさつしたかったんだけど...」
「祖父は去年...」
チノちゃんが少し悲しい顔をした。その顔で察した私は何故かチノちゃんを抱きしめていた。
「...ッ!?」
あ、これあとで気まずくなるやつだね...
でも、それ以上に私にはチノちゃんが生前の妹に見えたのだ。あの子もこんな風に悲しんでいるのかなと思うと本当に申し訳ない...
「ごめんね...嫌なこと聞いちゃって...」
「い、いえ...もう平気なので...父もいますしバイトの子がもう一人...」
「ならよかったよ...チノちゃんは笑っていたほうが私は好きだし」
「す、好きって...私はあまり笑いません...!」
「そうかな?そんなこと無いと思うけど」
私にとってチノちゃんの表情はなんとなく読み取れる。今は照れてるのかな?まぁ、こういうところが可愛いんだよね。
「それに...祖父の話のときのココアさんは...何か思いつめていたような顔をしていました...」
「...!それは私が聞きにくいことを聞いちゃったから...」
「本当にですか?それでもあまり気にし過ぎてはだめですよ...」
「う、うんわかったよチノちゃん。あ、そうだチノちゃん私のことは家族と思ってくれないかな?」
「家族ですか?」
「うん、まだ難しいけど...徐々にでいいからね。私がチノちゃんの寂しい思いを消してあげたしいし」
もう、チノちゃんのあんな顔見たくはない。チノちゃんには笑っていてもらいたいしね。
「わかりました...それではココアさん早速お店の手伝いをよろしくお願いします」
「うん、任せて」
さて、新しい生活の始まりだね。
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「お姉ちゃんって呼んで♪」
「ココアさん...」
「それではココアさん、早速働いてください」
「任せて♪」
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「...ッ!?」
歩き出そうとした時、脳裏に何かが流れ込んできた。思わず足が止まり、頭に手を置く。
何今の...何だったの...さっきの私とチノちゃんの会話だったけど...でもあんな会話していない...
なら何だ?してもいない会話....そうかあの会話は.....
「ココアさん?大丈夫ですか...!」
チノちゃんが心配してくれた。こんな子に心配させちゃうなんて私はだめだなぁ...
「大丈夫だよチノちゃん。少し長旅で疲れちゃったのかもね」
「そ、それならお店の手伝いをしてもらうわけには...」
「ふふ、心配してくれてありがとう。でもこれくらいへっちゃら、それにお店もあと少しだしね」
「無理しないでくださいよ...?」
「あはは...わかったよ...」
私はにっこりと笑い、チノちゃんの頭を撫でた。
「ふわぁ...んぅ...!」
「さて、更衣室はどこかな?」
「あっ...」
撫でるのを止めてチノちゃんに更衣室の場所を聞く。
「......更衣室はそこです...私は制服をもってくるので先に行っていてください」
「う、うん...」
あれ何か不機嫌?気のせいかな?とにかくまずは更衣室に行かないと。
更衣室に入り去り際にチノちゃんから聞いた私のロッカーの場所に行く。
チノちゃんが来るまですることがないけど...どうしたもんかな...
適当に部屋の中を見渡しているとどこからか視線のようなものを感じた。
覗き見?でも窓はちゃんと閉まってる...それにこの視線...
「これはもしかして...ワイルドで男勝りな性格な女の子だけど実は普通の女の子っぽさに憧れている一面があってそして可愛いものが好きだけど自分のキャラと合っていないと考えていて、隠したり諦めたりしているあと...」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
私が語っているとロッカーの中か下着姿の女の子が出てきてその手にはモデルガンらしき銃が握られていた。
え?そんなところで何しているの?新手の覗き魔?それとも泥棒?まぁ、冗談はここまでにしてこの子がもう一人のアルバイトの子かな。
「だ、誰だお前は!!って隠れて聞いていたらいきなり人の気にしていることを...!!」
「あっ、もしかして当たってた?君意外と可愛い一面あるね」
「か、かわ...!?」
「あ、私は保登 心愛。今日からここで下宿することになったのでよろしくお願いします」
「ま、待て!話の展開が速くて追いつかない!!それに下宿とかそんな話し聞いてないぞ!!それにこれを見てよく平気でいられるな...!」
「そこは...なんでだろう?下宿の件はチノちゃんの反応から見てもそんな気がしてたけど...チノちゃんのお父さんに聞けばわかると思うよ?」
このアルバイトさんはおもしろいね。見た目からして高校生かな?
「ココアさん制服もって...何しているんですかリゼさん...」
「チノ!!下宿とか聞いてないぞ!!」
「私も知りませんでした。ですが紙に書かれていたことは本当ですし...そこはお父さんに聞いてみないことには...」
「ということだよリゼさん。よろしくね」
「なんなんだー!」
姉さん...こっちは楽しくしています。どうか心配しないでください。
こうして、私とチノちゃんとリゼさんは出会った。
中々思うように書けないものですよね...
ゆっくりですが更新していきたいと思います。