『兄』の幻想郷   作:春夏秋冬(fnan)

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今回はさとりんを視点キャラに番外として、過去編それもバレンタイン編です。
出来るだけあまあまなストーリーにしたいと思って書きました(バレンタイン当日に)。
しかし書き上げてみると、なんというか………過去編の全体のストーリーに大きく絡んでしまう可能性が出てきました。
まぁ、ともかくさとりん主観での出来うる限りのあまあまバレンタイン、どうぞお楽しみください。
※あくまで作者があまあまだと思ってるだけです


〜過去編1《さとり》〜

それは3年ほど前の事でした。

私の家のペットが人間を拾ってきました。

その人間は酷く弱っていて全く起きる気配がありませんでした。

そこで私の両親は目が覚めるまで、その人間の世話をすることにしました。

人間が目を覚ましたのはそれから3日後でした。

人間は起きると周りを見てこう言ったそうです。

「ここはどこ……?」

当然でしょう。目が覚めると見知らぬ部屋にいたのですから。

そして私の両親はすぐに人間の様子を見に行きました。

私と、私の妹もドアの隙間から両親と人間が話しているのを聞いていました。

 

私は、そのような人間、生物に初めて出会いました。

 

その人間には、その心には、何も無かったのです。

記憶と呼ばれる物には2種類があります。

いわゆる『知識』と『思い出』のような分け方です。

その人間……どうやら男のようなのですが、彼はその『思い出』が一切存在していなかったのです。

母は言いました。

「彼は記憶喪失のようですね」

父は言いました。

「ならば、記憶が戻るまではここに居てもらおう」

そうして私達の家に1人の人間がやって来たのです。

 

 

 

3年後、私達は本当の家族のように生活していました。

私と妹はいつしか彼のことを「お兄ちゃん」と呼ぶようになりました。

しかし、最近は、私は『兄』として接することが出来なくなっていました。

ついこの前、私が「お兄ちゃん」ではなく名前で呼ぶようになると彼はとても残念がっていました。

「お兄ちゃんって呼んでくれていいのに…」

私はそれからは名前で呼んでいます。

妹の方は相変わらず『兄』として接しています。

 

私は何故『兄』として接することが出来なくなったのか、自分で不思議に思っていました。

最近は一緒にいると胸が高鳴って、ちゃんと話すことさえ出来ないのです。

私は母に相談することにしました。

母は笑ってこう言いました。

「ちょうどもうすぐそう思う人達のための日があるのよ」

母はまた、私にこう言いました。

「チョコを作りましょう」

私はチョコというお菓子を作る練習をしました。チョコは外界のお菓子で、ごく稀に幻想郷に流れ着くらしく、特に2月の前半は流れ着く数が多いため、幻想郷内でもチョコが多く食べられるそうです。

ペットに頼んでそのチョコを地上から買ってきてもらいました。

チョコには色んな種類があるらしく、様々な物を作りました。

試作品を作っては食べ、作っては食べる、ということを、一生でこれ以上食べることは無いだろう、という程に何度も繰り返しました。

あまり多く食べるような物ではなく、食べすぎで吐き気を催すこともありました。

そうして、そんな時に母は言うのです。

「彼に美味しい物を食べてもらいたいでしょう?」

彼に美味しい物を食べてもらうために、私は頑張りました。

 

2月14日、この日は、父曰く「好きな人に贈り物をしたり、想いを伝える日」なのだそうです。その時の贈り物として、最も広まっているのがチョコらしいです。

当日、私と母は早起きをしてチョコを作り始めました。

母も父に贈りたいのだそうです。

前日までに作った試作品達の中で、最も美味しく感じられた物を作ります。

完成したチョコは、これまでに無いくらい綺麗に、美味しそうに出来ていました。

父や彼、妹達が起きてきました。

ひとまずいつも通りに朝食を食べ、その後彼が彼の部屋で1人になるタイミングがあります。

私はそのタイミングで彼の部屋をチョコを持って訪問しました。

 

 

 

「おや、どうしたんだい?」

彼は聞いてきます。

私は彼にチョコを差し出します。

「その、き、今日はバレンタインと言って、好きな人にチョコを渡す日らしいんです……」

彼は笑いました。

「ありがとう……お兄ちゃんって呼ばれなくなったから嫌われたのかと思ってたよ」

そんなはずはありません。私は全力で否定しました。

「そんな事無いです!私は、その……」

私は俯きながら言いました。

「……好き……です、あなたのことが、とっても」

彼は私の頭を撫でてくれました。

「ありがとう、さとり……」

そして私の体を引き寄せ、抱きしめてくれました。

「僕もさとりのこと、大好きだ。大切に思ってる」

何故だか私の目からは涙が溢れました、とってもとっても嬉しくて笑いながら泣いてしまいました。

私が涙を止めるまでの間ずっと、彼はとても嬉しそうに私の頭を撫でてくれました。

その時の感触を、彼の鼓動を、私は忘れません。

例え、その後に離れ離れになってしまっても、どんな時でも、絶対に。




過去編、それもバレンタインVer.でしたが、いかがでしたでしょうか?
あまあまになっているのかが1番心配です(汗)
その次に心配なのは、当日に急いで書き上げたために誤字脱字などのチェックがあまり出来ていないことです。
かなりヤバイです(苦笑)
もし見つけたのであれば、感想欄かTwitterででも教えてくださると幸いです。

次回は現在に戻ってお話を書きます。
おそらく、霊夢が視点キャラになります。
また、その次の次、過去編2ではさとりかこいしを視点キャラにしてこのストーリーの続きみたいなものを書きます。

それでは、ここまでお読みくださりありがとうございました。
また投稿が遅れるかも知れませんが、次回をお楽しみに〜
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