……早く、新章行きたいなぁ。
第1問
春、それは出会いと別れの季節。卒業は今までの仲間と別れの時。入学は新たな仲間との出会いの場。
それは卒業生や新入生に限らず、進級によるクラス替えも、また新たな出会いをもたらしてくれる。
暖かい日差しに包まれた桜並木が出会いと別れの季節、春を感じさせて……
「吉井、遅刻という現実から目をそらしていないでこっちを向いたらどうだ」
「……先生。先生には春の訪れを感じる感性はないんですか」
「その前にまずは遅刻に対する謝罪をしたらどうなんだ」
時刻は9時前。完全に遅刻となる時間帯なのだが、吉井と呼ばれた少年の顔には反省の色はない。
筋肉隆々補習担当鉄人西村はそんな吉井の態度にため息をつくと、『振り分け試験』の結果を知らせる通知表が入った封筒を手渡す。
ここ、文月学園は世界でも珍しい『試験召喚システム』を取り入れた新学校である。試験召喚システムとは、生徒一人一人が持つ召喚獣を、テストの点数に見合った強さを持たせて戦わせるという「え?何それ面白そう!よし、ママ!決めたよ!僕、文月学園に入学する!」的なお子様受けすること間違いなしの教育システムである。
「あのな、吉井。去年一年のお前を見ていて、俺は……いや、俺たち教師は、全員がお前のことを本物のバカだと思った」
「あっはっは、それは違いますよ、先生」
と笑うこの少年、吉井明久は、文月学園始まって以来の『観察処分者』である。
観察処分者とは、分かりやすく言うと教師の雑用係もとい奴隷である。物理干渉能力を有する召喚獣で、主に力仕事を請け負い(やらされ)、その負担の何割かが本人にフィードバックするというなんかあんまり役に立たなさそうな称号である。
ちなみに物理干渉能力ゆえに、教師に(直接的な)攻撃を仕掛けることも可能である。持たざる者が持つ物を討つのである。
「だからな、吉井……お前はSクラスで更生してこい!」
鉄人西村が告げる。
こうして、吉井明久の壮絶なる学園生活2年目が幕を開けた。