バカとテストと召喚獣 ~たった5人のSクラス~   作:黒炉

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第10問

一回戦、竜VS康太の保健体育勝負は、723点と言う超高得点をたたき出した竜の勝利で終わった。

今から、二回戦が始まろうとしている。

 

「二回戦の選手は前へ出なさい」

 

鉄人が二回戦を始めるために、選手を呼び出す。Fクラスからは学年次席、Fクラスの清涼剤代表姫路瑞希が出てくる。

 

「静真、私が出てもいいかしら?」

「構いませんよ。誰も立候補しなければ、私がやろうかとは思っていましたが」

 

Sクラスからは黒髪ツインテールのボンキュッボンこと小井草優希が出る。

優希は理系科目の点数が若干低いものの、殆どどの教科もまんべんなく安定した点数を保ち続けている、いわばオールラウンダーである。竜の保健体育や静真には劣るものの、高い点数を安定させている。しかもそれが全て担当科目の教師以上である。恐ろしい。

 

「……霞さんじゃないんですか」

「穂乃香じゃなくて悪かったわね。穂乃香はきっと島田さんの相手よ。私で我慢して頂戴」

「別に、悪いなんて」

「そう、それじゃ私の早とちりだったわね。さっさと終わらせましょう」

 

瑞希は相手が穂乃香ではないことに顔をしかめるが、優希は穂乃香が相手でないことを不服に感じている瑞希を見て何かに気づく。

 

「なんで穂乃香じゃないといけないのかしら。教科にもよるけど、あの子よりも私の方が勝ちやすいと思うけど」

「……霞さんは、Fクラスの皆さんをバカにしたんです。許せません」

「……穂乃香、それホント?」

「私、学力がないとは言ったけど」

 

瑞希が穂乃香がFクラスをバカにしたというと、優希は穂乃香に確かめるが、穂乃香はあくまで『Fクラスに学力がない』と言っただけだと言う。

 

「お勉強はできなくても、皆優しいんです。どうして成績だけでしか、人を見れないんですか」

「別に私たちは勉強ができないからってそれだけで判断しないわ。勉強ができなくても、吉井君には穂乃香を気遣ってあげられるだけの優しさがあるのを知ってるし」

 

余談だが、この時の優希の言った『気遣い』とは、普段一人の穂乃香と一緒に帰ってあげた時のことを言ったのだが、明久と穂乃香は優希に宣戦布告後の出来事を見られていたのかと勘違いして赤面していたとか。

 

「だったら」

「でもね、姫路さん。それ以前の問題よ。嫉妬で他人の仲を妨害?論外よ。勉強ができないのも今までの努力を怠ったせい。モテないのも口だけで行動しないせい。そのくせ努力して何かを手に入れた人間に嫉妬で襲いかかる。そんな人を認めろっていう方が無理があると、私は思うけど」

「でも、人には見えない、いいところもあるんです!」

「人に見えない部分なんて、いくらでもねつ造できるわ。もっと言えば、実績がなければ誰も信じてくれない。吉井君がいい例よ。観察処分者の肩書のおかげで、何かが起きれば真っ先に疑われるのは吉井君なんだから」

 

優希はFクラスは学力云々以前に人として既に最低だといい、瑞希はそれでもFクラスには普段は見えないいいところがあるというが、優希は『人に見えない部分』なんて物が信じるに足るものにはなりえないと斬って捨てる。

 

「島田さん。あなたにも言っておくわ。吉井君の何が気に入らないかは知らないけど、嫌いなんだったら最初から彼に近づかないであげて。彼からしたら、あなたの暴力は迷惑以外の何物でもないの。吉井君は、あなたのストレス発散剤じゃないのよ」

「あ、アンタに何が分かるのよ!!」

「小井草さん、美波ちゃんに謝ってください!」

 

優希は美波に、明久のことが嫌いなら最初から近づくなと言うと、美波は激怒し瑞希は優希に謝るように言うが、優希からすれば謝るべきは美波であり、自分はただ真実を言っているにすぎないのだ。

 

「姫路さん。考えを直しなさい。いつでも自分たちが正しいとは限らないの。偉そうなこと言ってる私だって、時には過ちを犯し、失敗するわ。そんな時に止めてくれるのが仲間なのよ。間違いを見て見ぬふりをするのは仲間じゃないわ。そんなもの、ただの慣れ合いよ。島田さんがいままで吉井君にやってきたこと、あなたは知らないでしょうけど、もし知ったら、見逃すのかしら、姫路さん」

「……どうしても分かってくれないんですね。だったら、私が勝ったら美波ちゃんに謝って貰います!」

 

瑞希は優希の言葉が美波の心を傷つけたことを知っており、勝負に勝ったら美波に謝るように美波に言うが、

 

「いやよ」

「どうしてですか!!美波ちゃんの気持ちも知らないくせに!!」

 

当然、優希はそんな約束などするはずもない。

 

「島田さんの気持ち?私には、島田さんは心底吉井君を嫌っているように見えるわ。そんな人に、私が頭を下げる道理なんてないわよ」

「美波ちゃんが吉井君を嫌いな訳がありません!!」

「……どうやら、何を言っても無駄のようね。男だらけのクラスの中で、女子間の絆がより深いものになるのは理解できるわ。けど、あなたがやってることは、無意味に吉井君を苦しめることにしかならないの。嫌われてでも仲間の間違いを正すこともできないのなら、今すぐここから立ち去りなさい」

 

瑞希は美波が明久を嫌っているわけではないというが、優希だけでなく、第三者の目に美波と明久が仲のいい友達に写るわけもない。優希は仲間の、そして自分の間違いを認め、正すことができないのなら、今すぐ戦いをやめていなくなれという。

 

「絶対に嫌です!意地でも貴女に謝って貰います!!」

「嫌と言ったら嫌よ。早く科目を選んで。貴女と会話しても、不毛だわ」

「それはこっちの台詞です!!西村先生、総合科目でお願いします!!」

「承認する!!」

「「試獣召喚(サモン)!!」」

 

優希も瑞希も、これ以上の会話も説得も不可能だと悟り、口で戦いを終わらせることをあきらめ互いに実力行使に入る。鉄人の張った総合科目フィールド内に、二人の才女が呼び出した召喚獣が現れる。

 

 

☆総合科目勝負☆

 

Fクラス 姫路瑞希  4409点

 

      VS

 

Sクラス 小井草優希 6088点

 

 

『総合科目6000点オーバーだと!?』

『姫路さんも凄いけど小井草さんはもっとすげぇ!!』

『やっぱりSクラスは凄すぎる……!!すげぇ小井草さん!!』

「お前らどっちの味方だ!!」

 

優希の点数に驚愕と(なぜか)狂喜するFクラス(バカども)。雄二の言うとおり、自分のクラスの応援くらいしてあげればいい物を。あそこまで頑張ってFクラスや美波を擁護した瑞希があまりにも不憫である。

 

「はぁ!!」

「点数を見れば諦めてくれるかと思ったけど、そうでもないみたいね」

 

瑞希は召喚獣の2倍以上の長さを持つ大剣、対する優希は小さめの片手剣(ブロードソード)。点数差はあっても装備の差で優希が圧倒的に不利だった。

 

「えい!やぁ!!」

「く……リーチの違いはやっぱり大きいわね……」

 

瑞希が大剣の長さと重さを駆使した連続攻撃を仕掛けてくるのに対し、優希は盾と剣で防ぐのが精いっぱい。気がつけば角まで追い込まれていた。

 

「く……」

「これで終わりです!!えーい!!」

 

瑞希は優希を一撃で倒そうと、召喚獣を跳躍させて大剣を振りかぶる。

この状況だけを見れば、優希の圧倒的不利は覆ることがないように見える。が……

 

「………ごめんなさいね、姫路さん。こんな騙し打ちみたいなやり方で。『脅威』」

 

言い終わると同時に優希の片手剣が突如、巨大な大剣へと変化する。長さは召喚獣の3倍……いや、4倍はあり、瑞希の攻撃が優希へと届く前に、瑞希の召喚獣は

巨大化した優希の剣で貫かれてしまう。

 

「勝者、Sクラス」

 

「あ……」

 

無情にも鉄人の宣告がSクラスの教室に響き、瑞希はその場にへたり込んでしまう。

優希はそんな瑞希を見て、何か言うわけでもなくSクラスメンバーの方へと歩いていく。

 

 

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