数十分後、Sクラスの教室。
「なあ、優希さんよ。あの二人、なんかあったのか?」
「私にも分かんないわよ。言っちゃうと、吉井君と穂乃香は一緒にいるといつもあんな感じもしないこともないし」
「お二人とも。他人の恋路に首を突っ込むなんて無粋なことは……」
「「本音は?」」
「あの二人が気になります」
そんな若干コント染みたやり取りをする三人など気にも止めていないかのように、トリップしてしまっている明久と穂乃香。
さっきまでは落ち着いていたものの、昨日今日のことがもしSクラスのメンバーにばれたらと想像した瞬間、オーバーヒートしてしまったのだ。
「穂乃香ー?ちょっと、本当にどうしたのよ?」
「ふぇ!?ひゃひゃひゃひゃひもひゃいれふ!!」
「何語よそれ……」
穂乃香は優希に話しかけられ、次世代言語を話しており、
「おい明久。一体どうしたんだよ」
「わ!?りゅ、竜!?べ、別に穂乃香がどうとかないからね!?」
「……一般的にそう言うのを墓穴を掘るっていうんだろ」
明久は聞きもしないのに自分から喋っちゃったりする。
「別に、無理やり聞き出そうとは思ってないわよ。けれど、さすがにそんな風にされてたら気になるっていうか……」
「昨日までのお前らも見てて痒かったが、今日は一段と……ムズムズするんだ」
「「え?」」
優希と竜に言われ、同時に首をかしげる明久と穂乃香。あれか、お前らは双子かよ。つーか双子でもこんなに息ぴったりにはなんねーよ。
「いや、『え?』じゃなくて、その、いつまで手をつないでるつもりよ」
「「……ええ!?」」
「『……ええ!?』じゃないわよ」
優希も、竜も、静真でさえも授業中もかまわずお互いの手を離さない二人には驚嘆させられた。というか、呆れた。
ホントお前ら昨日何があったとか思っても仕方がない。
「べべべべ別に私たち何でもないからね!?」
「付き合ってるでしょ」
「ぼぼぼぼ僕らはいつも通りだよ!?」
「だったらそんなに豪快にキョドるなよ」
何を言っても潰される。明久も穂乃香も典型的な嘘がつけないタイプの人間なのだ。というか、ここまであからさまだとわざとにすら見えてくるものなのだが。
「まあまあ、皆さん。二人の問題は二人の問題です。二人が私たちに相談してくれるまで、口出しはしないべきでしょう」
「まあ……そうだけどね」
「気になるモンは気になるっつーか……」
そう言うお年頃、まあ当然である。
「気持ちは分かりますが、今は目の前の問題の処理からは要りませんか?」
そう切り出す静真だが、4人同時に首をかしげられ、これちょっとヤバいかもと不安を隠しきれなくなる。
「清涼祭、というよりは、姫路瑞希さんの転校の問題ですよ」
「「「「ああ、それ」」」」
前の清涼祭編から10問以上間を挟んで、話はようやく本題というレールへと戻ってきた。