「………吉井君、坂本君は」
「あとで謝るから今は何も言わないで……」
学園長室の前に立つ静真と明久。
静真は中から聞こえる二つの声に首をかしげ、静真の言わんとしていることを理解している明久はうなだれる以外にない。
「まあ、このまま坂本君に任せておいて、話が進まなくなるのも困りますし、中に入らせてもらいましょう」
「え?し、静真、ノックしなきゃ―――――」
言い終わらないうちに静真はドアノブに手をかけており、(頭がよくなったが故に)礼儀は礼儀だと思った明久は静真を止めようとするが、静真はお構いなしにドアを開ける。
「失礼します」
「だから分からないゴリラだね―――――――何だい、七尾かい。ノックくらいしなこのウスノロ」
ついさっきまで雄二と汚い言葉の応酬を繰り広げていた学園長は、自分のことは気にしていないかのように無礼なことをした静真を咎めるが、
「ノックはしたのですが、学園長が坂本君との言い合いに夢中になっていたようでいつまでも返事がなかったので入らせていただきました」
堂々と嘘を言い放つSクラス代表。
「う……そ、それより、一体何の用だい」
静真の言うことを(嘘と知らないが故に)否定できない学園長は、何とかして話題をすり替えようとする。
「坂本君だけでは話が滞ってしまうのではないかと思い増して」
「……それで、何で明久までいるんだよ」
「坂本君は吉井君がいた方が燃え上がるのでは?」
「「そんなことはないよ(ねえぞ)!?」」
何故か静真の口から放たれる明久×雄二説。いや、雄二×明久かもしれないが。
勿論明久も雄二もそっちの趣味はないし、そんな誤解をされたままでは困るので、訂正をしておいた。ちなみに、静真がこんな勘違いをした背景には某DクラスのT野さんが深くかかわっているのだがここでは割愛する。
「たとえ七尾が出てきたって、アタシの結論は変わらないさね。さっさと帰りな」
「なるほど。よく分かりました。では、Fクラスの人たちに頼んでおいたことをしてもらうことにしましょう」
「頼んでおいたことだって?」
「ええ」
学園長が静真の台詞に首をかしげる。静真は非常にいい笑顔を浮かべており、
「雄二、僕、嫌な予感がする」
「奇遇だな、俺もだ」
隣で見ているバカ二人は嫌なものを感じ取る。
「Fクラスの皆さんに、清涼祭当日に学園長の今までの失態を全て暴露してもらうことにしましょう。ありますよね、さんざん隠ぺいしてきたこと」
「………分かったさね。その代り、坂本には条件を出させてもらうよ。これはFクラスの問題だ。Sクラスのあんたと吉井には席をはずしてもらうよ」
「勿論です、学園長」
静真は良い笑顔で学園長を脅迫し、雄二にある条件を出すことで教室を綺麗にすることを受託する。
ちなみに、静真が言ったことは全て
そこに学園長が気がつかないのは、静真達の目的が瑞希の転校の阻止だということを知らないからに尽きる。