バカとテストと召喚獣 ~たった5人のSクラス~   作:黒炉

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深紅のユウキさん、クロードさん感想ありがとうございました!


第48問

「くっそ……坂本の野郎、絶対ゆるさねぇ」

「あだだ……なあ、俺のダメージ坂本のパンチよりもお前原因の方が多いんだけど」

 

3年Aクラスの教室の前、夏川と常村がぼやいている夏川(ハゲ)は既に満身創痍で、既に足に来ている状態だった。常村(モヒカン)の台詞だけを聞けば、雄二onlyのせいに聞こえなくもないが、夏川の怪我のほとんどは常村が夏川を引きずって階段を下りたことに原因がある。

 

「ちくしょう、後でアイツらまとめてぐへっ!?」

 

教室のドアをくぐりながら、夏川が言ったところで突然の衝撃。なんか、哀れになってくるくらいに今日の夏川は不幸である。

 

ドアの向こうには、夏川の鳩尾を蹴り抜いた女生徒が立っていた。名を立川新香(たちかわあらか)という。

 

「おい、夏川!?立川テメェ、何しやがる!?」

「どこの誰が2-Fのクズどもにボコされてこいって言ったのカナ?アタシはアイツらの邪魔をして来いって言ったはずだと思ってたんだけど?」

「それはッ……坂本がいたんだ、俺達で相手になるわけが……ぐあっ!?」

 

言い返した常村に新香のボディーブローが入る。新香は見た目こそ華奢だが、新体力テストでぶっちぎりのAを取るほどに運動神経抜群なのだ。ちなみに握力86kg。リンゴも潰せます。

 

「が……ご……ッ!?」

「おいおいー、育ち盛りの男子高校生弱すぎでしょー。つーかお前らが吐いた血で入口汚れるからこっちこい」

 

夏川と常村を引きずりながら、通りかかった3-Aの女子生徒に「掃除しといて」と言う新香。女子生徒は一瞬ビクッとなったが、逆らえば今の夏川達のように瞬時にボロ雑巾にされかねないと直感する。

急いで掃除用具を取ってくると、夏川と常村の血を掃除する。

立川新香とは、自分の命令をちゃんと遂行できない人間は男女問わず粛清する人種なのだ。

 

新香は新校舎4階の生徒相談室―――というのは名目で、殆ど物置となっているが―――に夏川と常村を投げ込み、自身も中に入る。

 

「さーて、お前ら覚悟は出来てんだよな?」

「ぐ……だ、第一、お前はどうなんだよ、坂本とやってお前は勝てんのかよ!?」

 

常村が苦し紛れに喰いつくが、

 

「アタシが坂本程度(・・・・)に勝てないとでも?あんな中二の二つ名付けられて調子乗ってるバカにアタシが負けるわけないでしょ、勉強でも、腕っ節でも」

 

簡単に新香に切り捨てられてしまう。

 

「だったら、俺達に行かせずにお前が行けばいいだろうがよ!」

「別にアタシが言ってもいいんだけどさー、ほら、召喚大会あったし、アタシが言ったら大事になって鉄人出てきても嫌なんだよねー。つーか文句ぶーぶーたれるくらいならさっさとクズどもの妨害してこいよ」

「くっそ……分かったよ、やってやらぁ!!いくぞ夏川!」

「………(ぐったり)」

「ははは、だらしねーな」

 

新香のボディーブローしか喰らっていない常村はともかく、雄二のパンチ、常村の階段引きずり、新香の蹴りと既に死んでもおかしくないレベルのダメージを受けている夏川は何か物を言える状況ですらない。

 

「あー、そうそう。常村に言っときたいんだけど」

「………なんだよ」

 

生徒相談室を出ていこうとする夏川を引き留める新香。常村は嫌そうに顔を新香に向ける。

 

「お前らがちゃんと仕事できたら大学への推薦状が出るらしいから頑張れよ。アタシはそんなもんに頼るつもりはないし」

「……教頭がらみか(・・・・・・)

 

それだけ言い残し、常村は夏川をかついで生徒相談室を出ていく。その直後、生徒相談室につながっているもう一つの教室から人影が入ってくる。

 

「……さすが、3年次席の立川新香だな。恐怖で人を押さえつけることの有効さを理解している」

「勘違いしてんな。アタシは穂乃香を絶望のどん底に突き落としてやれればそれでいいの。お前のくっだらねー野望も文月学園もどうでもいい。だからお前が用意した大学の推薦状もアイツらにくれてやったワケ」

 

腹黒の竹原教頭だった。新香の明久達の妨害の黒幕(バック)は竹原だったのだ。

 

「口は悪いが……ちゃんと働いてくれればいいだろう。しかしお前は霞穂乃香とどういう関係なのだ?」

「どうだっていいだろ。アタシはアイツが大嫌い。だからこうしてテメェに協力してる。それで十分だろが」

「まあ、詮索はせんがね。なるべく穏便に事を済ませてくれよ」

「ヤだね。アンタ、チンピラどもと繋がりがあんだろ?そいつ等に上玉の女くれてやるから傷物にしてやれって言っとけ」

「女子高生が言う言葉ではないな」

「知ったことか。アタシは穂乃香の顔が絶望でいっぱいになるところを見れればそれでいいんだし」

 

言い残し、新香は身をひるがえして教室を出ていく。

ただ一人残った竹原の目は、協力者を見るような生易しいものではなく、獲物を見るような鋭いものだった。

 

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