バカとテストと召喚獣 ~たった5人のSクラス~   作:黒炉

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episode1 試召戦争編
第5問


第5問

 

「静真、FクラスがEクラスに宣戦布告したってよ」

「Fクラスがですか?新学期初日からとは、お忙しいことです」

 

自己紹介も終え、Sクラスの授業が2時限目に入ろうとしたところで竜が静真に言う。

試召戦争は多くの教師を立会人として使用するため、他のクラスは原則自習となってしまう。Sクラス(の明久以外の4人)としては、自習になってしまっては進度に響く為、あまり他クラスの試召戦争を快く思わない傾向にある。

 

「ですが、試召戦争はこの学校の生徒全員に与えられた平等な権利。授業に響いてしまうのは仕方がないと思って我慢しましょう」

「どういうつもりなんだろうな、Fクラス。振り分け試験直後なんだから、点数面では圧倒的に不利だろ。なんか秘策でもあるのか」

「さあ。そこまでは分かりませんが……」

 

話を聞いていた明久からすれば、新学期早々こんな無茶をやるバカはおそらく先にも後にも坂本雄二一人である。

ムッツリーニの保健体育の点数を考えれば、Eクラスなら落とせないこともないかもしれないが、それにしても不可解な行動であることに変わりはない。

 

「FクラスでもEクラスでもいいけどさ、私たちの授業が進まないのは困るのよ。まったく、自習って言ったって、教科書はもうあらかた目を通しちゃったわよ」

「はや……」

 

まだ教科書を開いてすらいない明久である。

 

「まあまあ、試召戦争は誰が誰に対して宣戦布告してもいいのですから、私たちが我慢すればいいだけのことです。それよりも、せっかくの自習なのですから……」

「遊ぶの!?」

「……どうやら吉井君の価値観を根本から覆す必要があるようですね」

「自習ってんのになぁ……」

「どうしてそこで“遊ぶ”って結論にたどりつくのかしら……」

「あの、えっと、ファイトなんです!」

 

明久は教師の目がない自習時間を自分の欲望のままに使おうとするが、当然Sクラスメンバーがそれを許すわけもない。

 

「どうでしょう、吉井君。今までの単元で、分からないところがあれば復習しませんか?」

「え?でも、悪いし……」

「そんなことねーよ。言ったろ?わかねーとこは教えてやるってよ」

「そうな、同じクラスの仲間だし(穂乃香もアピールしないと、印象無いわよ)」

「ふぇ!?え、ええと、古典と世界史なら任せてください!」

「お、マジ!?じゃあ俺、教わっちゃおうかな!?」

「竜さんは自分でできるんですから、自分でやってください」

「………」

 

どこかのジュ〇スの息子のキャプテンルサンチマンのごとくバッサリ切られた竜。

そんな竜を含めたSクラスメンバーは、自習の時間は明久の復習を手伝うという方針で決定した。

皆の自習の時間を潰させてまで、自分の勉強を見てくれているということもあり、明久も(本当に珍しく)やる気を出し、今日1日の授業の大半が自習で消えた。

 

 

 

               ☆

 

 

 

今日1日の授業(と言ってもほぼ自習)が終わり、帰りのHRも終了。

明久が帰る支度をしていると、

 

「吉井君、ちょっといいかしら?」

 

優希が声をかけてきた。

 

「何?小井草さん」

「吉井君ってさ、寮取ったの?」

「ううん。家から通うことになってるけど」

 

明久の家は両親と姉が海外にいるため、一人暮らしとなっている。寮に入ってもいいのだが、寮は門限がある上に学園の敷地内にあるため、学校さぼって深夜から新作ゲームの販売列に並べないという難点がある。

 

「そう、良かった。それじゃ、穂乃香と一緒に帰ってあげてね」

「へ?」

「ふぇ!?」

 

首をかしげる明久と、いきなり自分の名前が出て驚く穂乃香。ちなみに顔はゆでダコ状態。

 

「私と静馬と竜はここの寮住まいなんだけど、穂乃香だけは違うのよね。授業終わってから一人で居室でてく穂乃香も可哀想だったし、吉井君も一緒に帰ってあげてよ」

「ゆゆゆゆ優希ちゃん!?わわわわ私は別に一人でも平気だし、吉井君も吉井君の都合があるだろうから無理強いしちゃ……」

「大丈夫だよ、霞さん。今日は勉強見て貰っちゃったし、何かお礼したいしね」

「///(ボフッ)」

 

顔から湯気を出して真っ赤になる穂乃香。ゆでダコって言うか蒸だこである。

 

「(あれで気がつかないから吉井君って鈍いのよね)」

「(あー、穂乃香も苦労人だよな)」

「(……人の色恋沙汰に首を突っ込む物ではありませんよ)」

「(そういう静真も興味あるんじゃないの?)」

「(一人の友人として、応援はしますが、それ以上は何も)」

「「(へぇー)」」

「(何で棒読みなんですか……)」

 

と、ひそひそ声で会話する3人がいたりいなかったり。

 

「じゃじゃじゃじゃ、じゃあ、よ、よろしくお願いします……」

「えっと、一緒に帰るだけなのにそんなに緊張されても……」

 

ここまでしてまだ気がつかない明久の鈍感レベルはもはや芸術の域である。

 

 

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