バカとテストと召喚獣 ~たった5人のSクラス~   作:黒炉

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第6問

Sクラスの校舎で唯一不便なところは、本校舎を経由しないと学校から出るのがとてつもなく面倒であるという点である。校舎を経由しなければ学校の敷地を大周りなければ校門までたどり着くのに果てしない時間と体力が必要になってしまうのだ。

つまりは寮住まいではない明久と穂乃香も本校舎を経由するわけで……

 

「………」

「………」

 

奥手な穂乃香と女の子に慣れていない明久では会話が弾まないのも必然である。

 

「………吉井、君」

「え!?な、何かな」

「吉井君は、前のクラスの友達とか、いるの?」

「友達?えっと、木下秀吉って言う……男なのかな?女なのかな?」

「分かんないの!?」

 

容姿が容姿なだけに1年経った今でも正直性別がはっきりしていない明久。この世で彼の性別をはっきり正しく認識できている人間が家族以外にいるのだろうか。

 

「あとは、ムッツリーニ。本名は……確か、土屋康太?」

「ねぇ、性別を知らなかったり本名が曖昧だったり、ホントに友達なの?」

「……うん。あとは赤ゴリラかな」

「赤ゴリラ?」

 

明久は雄二のことを赤ゴリラと言うが、穂乃香は雄二(赤ゴリラ)など知らないので首をかしげる。

 

「あとは……」

「あとは?」

「見つけたわよ吉井!!」

「………」

「だれ?」

 

とっさに思い当たる友人4人のうち、3人を上げた後、最後の一人を上げようとしたところでその本人が明久の名を呼びながら登場する。

 

「し、島田さん……」

「覚悟しなさい、吉井。まずは両腕ね」

「何でそこで戦闘形態に入るの!?」

 

美波は自分だけがFクラス行きをのがれた明久を目の敵にしており、見つけた直後から早速関節技をかけようと構えている。

理不尽と言えば理不尽なのだが、アングリーメーターがMAXを突き破って月に届きそうなくらいになっている美波にはそんなことはどうでもよく、とにかく明久を殺すことだけを目的に動く殺戮マシーンと化している。

 

「ちょ、ちょっと待って!吉井君は何もしてないのに!」

「何よアンタ、関係ないんだから退いてなさいよ!」

「大丈夫だよ、霞さん。いつものことだから僕の両腕が次世代人間の様にいいいいいいいいい!!」

 

明久は美波の怒気の矛先が穂乃香に向かないようにするために言うが、同時に美波の関節技が明久の両手を摩訶不思議な形状に変形させる。

 

「よ、吉井君!!」

「ぐ……春休みの間、1回も受けてなかったから、かなりキツイ……!!」

「大丈夫!?すぐ保健室に……!」

 

行かなきゃ。と言おうとしたところで明久が自らの腕の関節をはめ始めた。素晴らしきかなこれがバカテスクオリティ。

 

「だ、大丈夫なの……?」

「うん、もう慣れちゃったから」

「ならいいけど……。それより、なんでこんな酷いことするの!?」

 

明久は両腕の関節をはめ直すと、何でもなかったかのように『慣れた』と言い切る。

穂乃香は明久の無事を確認した後、美波になぜこんなことをするのかと問う。

 

「な、何よ。そんなの、吉井が悪いんじゃない」

「吉井君は何もしてない!そっちがいきなり関節技をかけてきたんでしょ!」

「だから、吉井がウチらを差し置いてFクラスにならなかったのが悪いのよ!」

「吉井君がSクラスなのは、学園側の措置なの!文句があるなら学園長に言って!吉井君は悪くない!」

「ふ、二人とも落ち着いて……」

 

穂乃香は美波が明久にしたことを咎めるが、美波は明久がFクラスじゃないのが悪いと言い張り、明久は二人をなだめようとする。

 

「どうしたんだ、島田。でかい声出して。……バカ久?」

「ちょっと聞いてよ坂本、吉井がこの女とイチャついて、しかもSクラスだって」

「い、イチャついてなんて……」

 

美波は現れた雄二に明久がSクラスになったことを言うが、

 

「Sクラス?何かの間違いだろ。そんなことより、お前、明久でいいのか?そいつは既に2人の女子に手を出してるぞ」

「オイコラ雄二!!なんてことを言うんだ!!」

 

雄二はSクラスよりも明久の幸せが気に入らず、早速明久のありもしない(2人という数字だけは間違ってないが)出鱈目を穂乃香に吹きこもうとする。

 

「坂本、ウチはやっぱり吉井を始末しなくちゃいけないのよ」

「おい、お仕置きから始末にランクアップしてるぞ」

「……いこう、吉井君。こんな人たち、相手にしてたらダメだよ」

「え!?ちょっと、霞さん!?」

 

穂乃香は美波と雄二は相手にするだけ無駄と悟り、明久の腕を引っ張っていく。

が、美波がそんなことを見逃すわけもなく、さらに明久に追撃を仕掛けようとするが……

 

「やめて!」

「!?」

 

それは穂乃香によって阻止される。

 

「吉井君がFクラスじゃないのが気に入らないとか、そんなの酷すぎるよ!大体、貴女は吉井君の彼女?そうじゃないんなら吉井君が誰と一緒にいたって文句を言っていいわけないでしょ!!」

「そ、そんなの、アンタだって一緒じゃない!」

「私は、吉井君のクラスメイトとして、友達として、吉井君を傷つける貴女から吉井君を守っただけ。逆恨みで攻撃なんて、最低だよ」

 

それだけ言うと、穂乃香は男の明久でも振りほどけないような力で明久の腕を引っ張っていく。

 

『……何よあの女』

『まあ落ち着け、明久に復讐するなら、明日の試召戦争でいい機会があるぞ

 

 

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