バカとテストと召喚獣 ~たった5人のSクラス~   作:黒炉

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第9問

「では、これよりSクラス対Fクラスの、試召戦争を始める。立会人は俺が務めるのでよろしく」

 

鉄人の開戦の合図で試召戦争が始まる。と言っても、あくまで1対1の決闘形式なので召喚獣を呼び出す物は一人もいないが。

 

「(Sクラスって言ったって、どうせ問題児ばっか集められてんだろ。そうでなきゃ明久が入れる分けねえからな)」

「雄二よ、何をぶつぶつ言っておるのじゃ?早くワシらの1番手を決めねばならんと言うのに」

「お、おう。そうだな、ムッツリーニ、頼む。軽く一勝して、景気づけしてきてくれ」

「………任せろ」

 

雄二はSクラスと言えど、明久が入るようなクラスであり、ならばこの勝負は楽勝だと勝手な解釈をする。Fクラスの先鋒は保健体育による圧勝での景気づけの意もこめて康太が出てくる。

 

「ムッツリーニ、保健体育の帝王か。面白い。静真、俺が出るぞ」

「構いませんよ。元から、彼は竜がお相手して差し上げるのがふさわしいでしょうから」

 

静真が喋るとFクラス男子(FFF団)から、『美形は帰れ!』と野次が飛んでくる。モテない組み代表の彼らはインテリイケメンの静真の存在がどうにも許せないらしい。そんなことを気にする静真でもないが。

 

「教科は保健体育、だろ?土屋」

「………(コクリ)」

 

竜の問いかけに康太がうなずく。一応、科目選択権は全てFクラスにある。理由としては、科目選択権を譲るくらいはしないと、Fクラスに勝ち目など欠片もない状況になってしまうからである。

もっとも、Sクラスはこの戦いを、試召戦争ではなく調子に乗りすぎたFクラスへの制裁と考えているため、戦いをより良いものにしようなどという酔狂な考えなど持ち合わせていないが。

 

「ムッツリーニ……さしずめムッツリスケベか?欲望で保健体育の帝王とは、さすが寡黙なる性識者(ムッツリーニ)の二つ名を持つだけのことはある」

「………無駄口を叩いている暇があるならさっさと召喚しろ。試獣召喚(サモン)」

 

竜は康太の二つ名に対する感想を述べ、悠長に構えるが、康太はさっさと終わらせて流れをFクラスに向けさせたい為、早く召喚するように竜に促す。

 

「いいのか?俺が召喚したら、お前は一瞬で消し飛ぶが」

「………戯言を。俺が保健体育で負ける筈がない」

「なるほどな、ならいい。試獣召喚(サモン)

 

康太は既に呼び出した召喚獣を構えさせると、竜も続いて召喚獣を呼び出す。

 

 

☆保健体育勝負☆

 

Fクラス 土屋康太 572点

 

      VS

 

Sクラス 坂上竜  

 

 

康太の点数は担当教師のそれを凌ぐ572点。生徒ではAクラスでさえ取れないような点数である。が……

 

 

☆保健体育勝負☆

 

Fクラス 土屋康太 572点

 

      VS

 

Sクラス 坂上竜  723点

 

 

竜には遠く及ばない。

 

「む、ムッツリーニが保健体育で点数負けじゃと!?」

「何よあの点数!?先生なんかよりずっと上じゃない!?」

「これがSクラスか……!!くそ、なめてたぜ……!」

 

秀吉、美波、雄二が竜の点数を見て驚愕する。竜から見ても、保健体育の700点は滅多に出ないため、今回の回復試験の試験範囲がボクシングのルール判定であることに感謝しなければならないだろう。

 

「回復試験、受けといて正解だったな。さっきの消費したままだったら微妙だったな」

「………だが、経験ではこっちが上だ!『加速』」

 

康太は先手必勝と言わんばかりに腕輪の能力『加速』を使い、召喚獣を突進させる。

 

「腕輪か。だがな」

 

竜は召喚獣をギリギリで避けさせると、こちらに背を向けている康太に反撃するわけでもなく、

 

「お前じゃ、試合どころか練習相手にもならねーんだよ」

 

ただ一言、そう告げると、康太本人に背を向けSクラスの仲間の元へと戻っていく。

 

「………逃げるのか!?」

「逃げる?何を言っている。お前の負けだ」

「勝者。Sクラス」

 

 

☆保健体育勝負☆

 

Fクラス 土屋康太 DEAD

 

      VS

 

Sクラス 坂上竜  431点

 

鉄人がそう告げると、康太の召喚獣はその場に倒れ伏す。倒れ伏した康太の召喚獣は、無残にも顎が消し飛び、顔も陥没していた。

 

「な、なにが起こったのじゃ!?」

「坂本、説明してよ!」

「……多分、あの坂上って奴の腕輪の能力だな。拳をムッツリーニの召喚獣のすぐ近くにワープさせてやがった」

 

竜がやったことは至極単純。

康太の『加速』による攻撃を避けた後、その突進攻撃線上に自らの拳を腕輪の能力『転移』でワープさせたのだ。あとは向こうから勝手に突っ込んできて自滅してくれるという算段である。

想定外だったのは、康太の攻撃力。点数が高すぎたせいで、ワープさせた拳にダメージが入り、点数を消費してしまったのだ。康太の点数が高いがゆえに、召喚獣の耐久力も高く、顔面を吹っ飛ばすまで行かなかったこともある。

竜が勝ちはしたものの、康太は竜の想定よりもはるかに強かったのだ。

 

「………俺が、負けただと……?」

 

Fクラスの最強の矛である康太が保健体育で負けたとい事実が、Fクラスを固まらせる。雄二だけは辛うじてまだ策を残しており、

 

「姫路、次、頼む」

「………はい」

 

瑞希に2回戦に出るように言う。本来ならば、康太と瑞希で2勝、さらに美波の数学で明久を倒して3勝、Fクラスの勝利のはずだったのだ。

だが、その作戦は康太の敗北と言う最悪の形で崩れ去ることとなる。

 

「(頼むぞ、姫路……!せめて1勝してくれ!)」

 

雄二は瑞希に淡い希望を抱き、試召戦争は2回戦を迎える。

 

 

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