VOCALOID×包丁さんのうわさ ~路頭の花と歌姫達~ 作:kasyopa
そして、オリキャラマスター&ボカロの登場です!
ミクの日。昨日、か。……ふむ。
Side 遥 優希
今日は自力で起きだし、リビングの暖房をつけて朝食を作り始める。
昨日リンとレンが買い出しに行ってくれていたお蔭で、今日は御馳走を作ってもなんら問題なさそうだ。
ケーキを作る材料はなさそうだし、買ってくるとするか。
と、不意にドアの開く音が耳に届く。
「おはようございます……マスター」
「レンおはよう。まずは顔洗って着替えてきたらどうだ?」
眠い目を擦りながら着替えずに俺の隣に移動し、おもむろに手伝おうとするレンに制止を掛ける。
彼はそれを聞いてゆっくりと頷くと退室していった。
レンは結構しっかりしているが、しっかりし過ぎているのが玉に瑕だ。
さっきもそう。俺の事を思って行動してくれるんだが、自分の事ももうちょっと気に掛けて欲しいと俺は思う。
目に見えてない所でも俺の事を気にして行動してそうだ。
不可が掛かり過ぎてぶっ倒れたら本末転倒なんだが。
気難しい年頃なんだろうか、彼自身。
「マスターおはよー」
「リンおはよう。顔あらって着替えてきたら?」
「はーい……?」
まだ若干寝ぼけているリンはふらふらと洗面所に向かう。
彼女は姉としては首を傾げざるを得ないが、個人として見れば普通の活発な女の子である。
彼女は彼女なりに俺の事を思っているのだろう。感情表現は各自によって違うし。
子どもっぽい部分もあるが、それによって家の中が明るくなったり騒がしくなったりする。
静まった家庭より騒がしい家庭の方が賑やかでずっといいと俺は思っている。
時計を確認すると、いつも二人が起きだす時間より今日の方が遅い事に気付く。
まあそこまで気にすることでもないか。
「マスターすみませんいつもいつも!」
「主として当然だと思うがな、俺は」
レンが駆けこんできたと同時に、少し横に移動して彼のスペースを作ってやるのだった。
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朝食も片付けも済まして三人リビングでゆったりする。
俺はソファに座ってのんびりテレビを眺め、二人は取っ組み合いでじゃれ合っていた。
酷い事になる前にリンが技を止めているが、いつもぎりぎりなのでひやひやする。
~♪
携帯が鳴ったので見れば夏奈子からだった。
「はいはいもしもし」
『今日そっち行ってもいい? もちろんルカとだけど』
「ちょっと待ってくれ」
携帯のマイクを押さえながら二人に確認を取る。
二人は既に相手が誰か解っていたようで、ジェスチャーでOKを出した。
「構わんそうだ」
『りょうかーい♪ じゃあお昼過ぎに』
「あ、そうだ。お前今から時間開いてるか?」
『え? うん、開いてるけど……ああ、なるほどねー』
「察しのとおり。悪いが付き合ってもらってもいいか?」
『幼馴染のお願いとあらば、たとえ火の中水の中だよ!』
「ありがとう」
『じゃあそこの公園で』
電話を切り俺はジャンパーを羽織る。
「ん? マスターどうしたの?」
「いや、ちょっと夏奈子と出かけてくる。昼までには戻ってくるから」
「はーい、いってらっしゃーい!」
「気を付けていってらっしゃい!」
いつもの笑顔で二人の見送りを返して自転車に跨り公園に向かう。
息が白くなっている。これは手袋しておいた方が良かっただろうか。
兎に角誘った本人が遅れたら面目ない。
因みにそこの公園というのは、マンション近くの小さな公園の事である。
昔は俺もよく遊んだ。夏奈子は家が遠かったから小学までは遊んだ事無いのだが。
今では遊ぶ事はしないものの、待ち合わせ場所に良く使われている。
公園に着き辺りを見渡すが人っ子一人すら居ない。
どうやら俺の方が早かったようで、公園の入り口で待ちぼうけ。
「わっ!」
「うわっ!」
背後から夏奈子が突然現れ、大声を上げる。
「そういうの好きだなお前」
「そういう性格なの」
ふざけたようにそういって彼女は先を行くのだった。
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二人で街を練り歩く。
夏奈子に付き合ってもらったのは他でもない、二人のクリスマスプレゼントと誕生日プレゼントを選ぶのを手伝ってもらうためだ。
「前は何上げたの?」
「マイクとWALKMAN」
「んー、じゃあ今回はちょっと主旨を変えてみたら?」
本人曰く、VOCALOIDにプレゼントを上げるのではなく、リン・レンの二人に上げる物として見たらとの事。
即ち、一人の女の子、男の子が貰って喜ぶ様な物がいいと言う事らしい。
だからと言って服は駄目だそうだ。俺も大体予想していたが。
「本人のフィギュア貰っても嬉しいとは思わないしなぁ」
「そこはあえてねんどろいどにして見るとか?」
「なるほど」
ここらの店舗でねんどろいどを入手するのは不可能。
ならば通販で二人の誕生日に届くように日付指定しておいて。
携帯で素早く注文をしてまず一つは決まった。
後はクリスマスか……クリスマスモジュールはあるが流石に二人のVENは使えないしなぁ。
Appendは買えなくもないがそれはVOCALOIDに対して買ってるも同じだし。
ぬいぐるみをリンに買ってもねんどろいどと被りそうだし、レンにゲームを買ってもレンはあんまりゲームをやらないしなぁ。
ふと洒落た店を見つけて足を止める。
ここら辺にこんな店あったかと思って見ていると夏奈子が話しかけてきた。
「ああ、こんなところにお店あったんだ」
「お前でも知らないなんて事あるんだな」
「それはあるよー。でも見たとこ新しい感じだね」
木製の建物。少しばかりメルヘンチックな雰囲気を醸し出していた。
クリスマスだというのにその手の飾りをしてないのも、ある意味目を引いた。
カーテンがしてあり、店内の様子は入ってみないと解らない仕様になっている。
店名は……Wonder Cafeか。
「入ってみるか」
「そうだね」
カランカランと音を立てて開く扉。木の匂いが香る店内。
カウンター席が最初に目に入る。見たとこ喫茶店のようだ。
「いらっしゃいませー」
一人の女性店員が俺達を出迎えてくれた。
「すみません、ここってどういうお店なんですか?」
夏奈子は辺りを見渡しながら訊ねる。
「見たとこ喫茶店だな」
「はい。テーブル席はありませんが、その代りケーキや小物やオルゴールも売ってるんですよ」
「へぇー」
「それでお客様は……」
「ああいえ、ここら辺じゃ見ない店だったんでどんな店かなって思って」
「そう言う事でしたか。ならこちらへどうぞ」
店員は一人だけなのか、この女性以外は居ない。
もしかして個人で経営してるのかこの店。
案内された先に置いてあるのは女性向けの小物や、棚に置いてある数々のオルゴール。
オルゴールか。二人のクリスマスプレゼントには良いかな。
「すみません、オルゴールって聴けますか?」
「はい。曲名は棚に書いてありますので、ご自由にお聞きください」
お言葉に甘えて棚を眺める。
置いてある全てのオルゴールは普通のオルゴールと違い、結構大きい。横幅50cmはあるか。
と、違和感をまた覚える。
「初音ミク、鏡音リン、鏡音レン、巡音ルカ、MEIKO、KAITO」
「神威がくぽ、GUMI……」
「気付きました?」
全部有名なVOCALOIDだ。凄いとしか言いようが無い。
そもそもオルゴール風の音源は聞いた事があるが、実物は存在しない物と思っていた。
「これ一体どうしたんですか?!」
「オルゴールは全部自家製なんですよ。だから此処にしか売ってません」
自家製オルゴール。でも何故VOCALOIDにする必要があるのだろうか。
「じゃあなんで……」
「私自身がVOCALOID大好きなんです。それに―――私の家族ですし」
店の奥から足音を立てて出てきたのは。
「「えっ?!」」
茶髪の女性と蒼い髪の男性。モジュールはAlice in MusiclandのEmpressとStrange Singer。
言わずと知れた年長組、MEIKOとKAITOである。
というか、この店の雰囲気と彼女らの格好は妙にマッチしていた。
「このモジュールってもしかして」
「いや、これはまだ配信予定にすら入ってないから」
「これも自作。私の家族はMEIKOとKAITOだけだけど、全員分の衣装は作ってありますよ」
うわー、凄いと言うか何と言うか、圧巻の一言に付きる。
「それにしても本物は始めて見た」
「私も」
「これはマスターからのクリスマスプレゼントも兼ねてるのよ」
「マスター、結構意気込み凄かったよね。クリスマスには完成させるんだー! って」
「それに私達には見せてくれないんだもの。流石に気になったけど」
ここの二人もマスターとは仲良くやってるみたいだ。
「因みにお二人はVOCALOIDお持ちですか?」
「俺は鏡音リン・レンを持ってます」
「私は巡音ルカを」
「そうだったんですか! では、また今度一緒にいらしてください。Alice in Musiclandの衣装を差し上げましょう」
「「ええっ?!」」
「その代りと言ってはなんですが、その時に写真を撮らせてくれませんか?」
「あ、はい。いいですよ」
そんな事でいいのかと俺は困惑しながらも返事を返した。
「後、お名前を……」
メモ帳を取りだして俺と夏奈子の顔を見る女性。
「俺は遥 優希です」
「私は水生 夏奈子です」
お互いに漢字の説明をし終える。
「遥さんに水生さんですね。私は町谷 友江といいます」
名刺を渡される。俺は普通に受け取り、夏奈子は戸惑いながらも受け取った。
その後俺達は5000円のVOCALOIDオルゴールを購入し、店を後にした。
「「「ありがとうございましたー」」」
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昼なので一旦夏奈子と別れ、帰宅。
「ただいまー」
「おかえりなさいマスター」
出迎えたのはレン。リンの姿は無く奥からチャーハンの匂いが漂って来た。
「おかえりマスター!!」
台所の方からリンの声が木霊した。
ちょっと考えていた時間より遅くなった。しかしそれ以上の収穫があったから良しとしよう。
・
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昼飯を終えて、暫くすると夏奈子とルカが訪ねてきた。
リンとレンがルカを手厚く歓迎したのに対し、俺が夏奈子に対しての対応がそっけなかったので本人から猛抗議を受けた。
それも受け流してクリスマスパーティーの準備をする。
因みに俺達は飾り付け担当、夏奈子とルカは料理担当だ。
俺が折り紙で鎖を作り、二人は仲良くクリスマスツリーの飾り付けをしている。
一番上の星を誰が飾るか揉めていたが、俺が飾るのは最後だろと言ったら落ち着いた。
「綿付けて~♪ リース付けて~♪」
「サンタさん付けてっ、ボール付けてっ」
お互い言葉のリズムは違うが、ぴったり体は息が合っており交互に飾り付けていく。
「マスター、ライトか一番上の星ってどっちが先?」
「ライトだな」
まぁ家庭によっての文化だからこれが正しいっていうのは無いしな。
「相変わらず仲いいよね、あの二人」
「そうだな」「そうですね」
また今度【廃都アトリエスタにて】でも歌わせようか。
「だーめ! 一番上の星は私が飾るの!」
「僕だって飾りたいんだ! 飾らせろよ!」
ライトも巻き終わり、再び揉め始めた。
レンは感情が高まっているのか俺口調になっている。
「私お姉ちゃんだから優先なの!」
「そんな設定公式にもないだろ! それは二次創作だし!」
「【悪ノ召使】でもレンそう歌ってるじゃん!」
「それが創作なんだって!」
「じゃあ間を取って私が「「駄目!!」」ぅぅ……」
夏奈子がどさくさまぎれに入ろうとしたが跳ね返された。
冗談で言ったのかと思って彼女を見てみれば、割と本気だったみたいで凹んでいた。
ルカが少しフォローして少しはましになっているが、まだ落ち込んでいる。
「「む~~~~~~!!!」」
しばらくにらめっこが続いていたが、とうとう二人は声を上げて笑った。
「じゃあ二人で飾ろっか?」
「そうだね」
やっぱり二人は仲良しでなければ。
兄妹でも、双子でもなくとも、仲のいい事に越したことはないのだから。
「「かんせーい!!」」
ほらな。
「こっちの料理も出来たよ~」
「こっちも大体出来たし食べるか」
「「は~い!」」
皆で料理を食卓に運び、席に付く。
「じゃあ、メリークリスマス!」
「「「「メリークリスマス!!」」」」
いただきますの変わりの挨拶を交わして、乾杯するのだった。
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夏奈子とルカが帰っていった後。
俺はWonder Cafeで購入したオルゴールを、リビングでゆったりしている二人に渡す。
「リン、レン、メリークリスマス」
「えっ? あ、オルゴールだ!」
「マスターありがとうございます!」
因みにリンには【おひめさまになりたいのっ!】のオルゴール、レンには【存在のアンサー】のオルゴールだ。
早速二人はゼンマイを回して聞いている。
「綺麗な音~……」
「あの曲がこんなに落ち着く曲になるんだ……」
二人寝っ転がりながら、肘を着いて聴き惚れていた。
その光景を見て自然と笑みが零れる。
喜んでもらえて本当に良かった。
「レン、マスターにプレゼント渡さなきゃ」
「そうだね」
二人一緒に部屋を出ていき、すぐに戻ってきた。
「「いつもありがとう、マスター」」
綺麗にクリスマス用にラッピングされた小さな箱。
少々驚きながら包装紙を解いて箱を開ける。
入っていたのは腕時計。結構高そうなやつだ。
「凄いな、高かったんじゃないか?」
「えへへ、そうでも無かったよ?」
「二人のVENを出し合ったからあんまり」
二人が期待してるような視線を向けてきたので、俺はそれに答えるように付けてみる。
「「かっこいいー!」」
やっぱり、贈り物は物より気持ちなのかもしれない。
こんないい物でも、適当に渡されたら価値が下がったように思えてしまう。
大切なのは気持ち。そう思った今年のクリスマスだった。
この人達は、途中から参戦するある人達に出番を取られてしまいそうです。
しかしKAITOV3が出たので、この人達には案外活躍してもらわないといけないかな。
言っても、KAITOとKAITOV3は別人、ですがね。
キャラクター設定は出来てるんですが、公開する気がありません。
以前は出していたんですが、なんか駄目っぽい反応を読者様方からいただいたので…。
ということで、自分の頭の中で描いてる設定は小説内でちまちま、出していきます。
一部、おかしい部分があると思いますが。強引な可能性があると思いますが。
完走でのご希望があれば、ある程度まとめて、後書きに書かせていただきます。
P.S. これは去年のクリスマスに執筆した物なので、今後の設定等で矛盾が発生する可能性があります。ご注意ください。