ギンガ・THE・Live!   作:水卵

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みなさん、あけましておめでとうございます。Twitterをやろうか悩んでいる水卵です。
2016年最初の更新は第3話の「終章」となります。文字数が一番少ない回となっていますので、さらっと読めると思います。
それでは、スタートです。



終章:プロローグの終わり

 絢瀬絵里は家へと帰宅すると、ベットへその身投げ出す。やりきれない思いを抱え、天井を見つめる。

 ダメだった、守りたかったはずなのに、彼女たちは前に進むことを決意してしまった。

 

「どうして……」

 

 情けない声が漏れる。

 瞳を腕でふさぐものの、その暗闇の中映し出されるのは講堂でのやり取り。

 ライブを終えた彼女たちに絵里は聞いた。『本当にこれ以上続けるの』かと。絵里としてはここでやめてほしかった。これ以上進み、彼女たちの傷つく姿を見たくなかったのだ。

 それなのに、ステージの中心に立つ少女――高坂穂乃果は力強く宣言した。

 

『続けます!』

 

 絵里にはわからなかった。どうして続けるのか。

 

『やりたいからです! 確かに生徒会長の言う通り現実は甘くありません。それでも、私は今「やってよかった」って思ってるんです! あのまま行動しなかったら絶対に感じないことなんです!』

 

 穂乃果は言葉を続けたが、絵里の頭には入ってこなかった。

 あの時の絵里は穂乃果たちを止められなかったことを後悔し、一人考えに浸っていたからだ。だが、最後に彼女が言った一言は、絵里の耳にしっかり届いていた。

 

『いつか……、いつか私たち、必ずここを満員にして見せます!!』

 

『いつか、満員のステージで一緒に踊ろうぜ! エリー!!』

 

「っつ!?」

 

 そして思い出されるとある少年との約束。まだロシアに住んでいた時に出会った黒髪の少年は、人の笑顔が大好きで、いつも元気で陽気だった。出会って間もない私を振り回して、楽しい思い出を作ってくれた黒髪の少年。手品やドッキリが大好きで、いつも私を驚かせてくれた少年。

 自分のバレエを見て感動してくれた少年は、今どうしているのだろうか? まだ自分のことを覚えていてくれるのだろうか? まだ私のことを好きでいてくれるのだろうか? 私を、許してくれているのだろうか?

 絵里は首を振ってその可能性を否定する。それはない。きっと彼は自分に失望して、忘れているに決まっている。

 だって私は、()()()()()()()()()()()()()。彼と別れるときに誓った約束を、私は破ったのだ。今の自分に、彼と共に歩む資格はない。彼の前に現れる資格もない。

 それでも、あの少女たちのステージが絵里の記憶の奥底に封印した少年との記憶が蘇ってくる。

 絵里はベットから立ち上がると、棚に置いてある一つの写真立てを取る。約束を破った際に、彼との思い出はすべて捨てた。記憶を奥底に封印して忘れ、彼との思い出の品は捨てたりしたものもあれば、タンスの奥底にしまったものもある。

 それでも、これだけはしまうことが出来なかった。普段は家族の集合写真が飾られているが、一枚取り出すとその奥にしまった彼と初めて撮った写真が現れる。初めて男の子と撮った写真だということもあり、自分の頬は少し赤らんでいる。それでも少年の笑顔につられピースサインをしながらカメラに向かって笑っている。

 絵里はその写真を撫でながら、少年を見る。

 笑顔でピースサインをしている黒髪の少年。

 絵里は、その思いから泣きそうになるのを、唇を噛んで耐える。

 泣いてはダメだ、私は彼との思い出を捨てたのだ。私に今更、そんな資格はない。

 それでも、あの少女たちの前向きな姿が、昔の自分と、この少年に重なる。重なってしまう。

 

「うっ、……うぅぅ」

 

 絵里は嗚咽を漏らしてしまう。

 写真を抱いて、しゃがみこんでしまう。

 

「……会いたいよ、……助けてよ……リヒトくん……」

 

 その日の夜、絵里は一人泣いた。

 

 

 

    ♢ ♢ ♢

 

 

 

 コツコツと音を立てて歩く白い少女は、先日訪れた公園に来ていた。時刻はすでに夜の一〇時過ぎ、四月ではあるが、当然夜となれば寒くなる。

 しかし少女はそのようなことは気にならないといった様子で、ブランコに座る黒ローブの男へと近寄る。

 キィ、と音を立てる男。漂う雰囲気から今表に出ている人格を理解した少女はぶっきらぼうに尋ねる。

 

「どうやら失敗に終わったみたいだな」

 

 少女の言葉に男は肩をすくめながら言う。

 

「まあね。まさか、彼女たちの中にダークガルベロスの幻術を見破るやつがいるなんてね。予想外だ」

 

「『イージスの力』はどうだったんだ? あれは予想範囲内か?」

 

「あれはこの町に眠る力だよ? 当然何かしらあるとは予想してたけど、全く、彼女たちは面白いよ」

 

 男は悲観することなく、事実を述べる。その上で彼は面白がっているのだ。ただ一方的なゲームになる予定が、彼女たちの持つイレギュラーな力が逆転をもたらした。彼にとって今回の出来事は予想外のことが多く起こったが、それでも目的は達成できている。ウルトラマンギンガを倒せなかったことは、それほど気にすることでもない。いずれは敗北する光だ、今はまだその時ではない。

 少女はその男の態度が気に食わなかったのか、腕を組み睨みつけながら言う。

 

「ふんっ、面白がるのも結構だが、これからどうする気だ? あの三人の小娘はもう使えんのだろ?」

 

「確かに、覚悟を決めてしまったあの三人を再び『闇』に落とすことは難しいだろうね。でも、彼女たちは同時にボクらに種をくれたよ」

 

「なに?」

 

 男は一度ブランコを鳴らす。

 

「皮肉なものだよね。彼女たちの頑張りが、ボクらの『力』の糧となる子を生み出してくれた。しかも、中にはとても使えそうな子がいてね。その子をこちらに引き込めば、かなりの『闇』を集められる」

 

()()()以外にも使えるやつがいるのか?」

 

「ああ」と答えながら男はブランコから立ち上がる。

 

「でもそのためには、『光』を別のところに向けないとね。その為に利用する駒も彼女たちが作ってくれた」

 

 そう言って男は歩き出す。

 

「作戦は彼に伝えてある。君とボクはしばらくお休みさ」

 

 男の言うことに、少女は眉間に皺を寄せた。確かに、自分たちはまだ完全に力を取り戻せておらず、今光に挑めば返り討ちに会うことは間違いないだろう。

 そのことをわかっているため、今は渋々と男に言われた通りにするしかない。

 

「ま、それまで君はこの世界でも楽しんでるといいよ」

 

 男の言葉に少女はフン、と鼻を鳴らすと振り返って消えてしまった。

 残された男は、少女の行動を特に気にする様子もなく、目的地に向け歩き出す。目的の場所はそう遠くない、歩いていればそのうちたどり着く。

 男は目的地を見据えながらつぶやく。

 

「さあ、プロローグはここで終わりだ。本当の第一ゲームを始めよう」

 

 

 

    ♢ ♢ ♢

 

 

 

 夢を追いかけ記憶を失くした少年は、新たな夢に向かって歩みだした少女と出会う。

 

 夢を歩みだした少女たちは、悩める少女たちの道となった。

 

 自分の歩みたい道を歩み切れず、迷子になっている少女。

 

 憧れはあるも、自分に自信が持てず歩みだせずにいる少女。

 

 可愛いものに憧れているが、過去のトラウマから踏み出せない少女。

 

 自分の理想の高さから、共に歩み仲間たちを失った少女。

 

 そして、その気持ちから自分の殻に閉じこもり、夢を持てなくなった少女。

 

 かくして舞台は整った。

 少年と少女たち、『光の戦士』と『女神たち』が出会うとき、後に語られる『伝説』の幕が上がる。

 

 さあ、少年よ、少女たちの夢を守るために立ち上がるのだ。

 




以上を持ちまして、「ギンガ・THE・Live!」の予定している全27話中3話が終了し、基本設定編となる序章が終わりました。第4話より、女神たちが集い始めるお話となります。
本来なら2015年中に終わらせたかった第3話だったのですが、2話執筆中に風邪をひいたり、3話の二章を投稿後プロットや設定が丸々消えたりといろいろありました。こうして無事投稿し終えほっとしています。
正直、第3話までは全体的の序章と言うこともありいろいろ詰め込みすぎたり書きすぎたと感じていますが、要約すると、

遥か昔、光の戦士と「大いなる闇」の戦いがあった。

本編開始の一年前、アメリカで何かあった。それによりリヒトは記憶喪失となる。

本編開始。黒ローブの男と白い少女は穂乃果たちを利用し「大いなる闇」復活を目論む。
といった具合でしょうか(かなりざっくりですが)。

第4話以降は文字数が少なくなるんじゃないかなと思っています。

それでは、第4話より始まる「第一部:集う女神編」をよろしくお願いします。今まで登場しなかった彼女たちがどうこの物語に関わってくるのか、楽しみにしていただければ幸いです。

感想や評価をお待ちしています。

次回予告
中学生最後のコンクールで起きた一件から、ピアノの道を諦め医者の道を歩むことを決めた西木野真姫。だが、ある少女との出会い、μ’sのライブ、そして、再び見るようになった「空飛ぶクジラ」の夢が、真姫の心を揺さぶる。
次回、「クジラと歌姫」。
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