ギンガ・THE・Live!   作:水卵

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今日のオーブ凄かった……。ヤバいぜサンダーブレスター。
サンシャインも最終回ですし、今日はいろいろやばい


第7話 センター争奪戦!
第一章:開幕! センター争奪戦!


 [0]

 

 

 ──―そこは、とあるカラオケのパーティールームだ。

 さすがパーティールーム、七人の少女達と一人の少年が入ったところで、そのスペースはまだ十分にある。

 しかしそこに集う少女達の表情は、どこか戸惑い気味だった。

 それもそのはず、この場に集まった七人の少女達は、共にいる一人の少年に無理やりカラオケに連れてこられたのだ。本来ならばスクールアイドルとして活動している彼女達は、夕方の練習となっているはずなのに、この少年によってこの時間は別の時間に使われてしまっている。

 そして、いつもより若干強く外に跳ねている茶髪の少年は、いつも着ている灰色のパーカーを肩に羽織り、マントのようにバサリとなびかせると用意されたマイクを片手に宣言した。

 

「Ladies and Gentlemen!! さあ、これよりμ’sの次なる曲、そのセンターを決めるべき戦いがいよいよ始まります!! こちらが用意した四種目によって競われるセンター争奪戦。果たして勝利を掴むのはだれか!? 記念すべき第一回のエントリー者を紹介したいところですが、残念ながら時間がございませんので割愛させていただきます。

 それでは、七人のメンバーによるセンター争奪戦、第一種目、カラオケ対決スタートです!!」

 

『…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………』

 

 と、少女達の方は少年のテンションに付いて行けないのか若干引き気味だ。七人の中でそれなりに少年について知っている三人の少女達でさえも、若干戸惑っているのだ。付き合いの浅い六人の少女が付いて行けるはずもない。

 キャラ崩壊しているとか、キャラを間違えているんじゃないかとか、変なものでも食べたのかなとか、そもそも目の前の少年は本当に一条リヒトなのか? とか、様々なツッコミどころや疑問がわいてくるが、残念(?)ながら少女達の目の前にいる少年は紛れもない一条リヒトなのだ。

 ……なお、少なくともキャラ崩壊しているのでは? と一番不安に思っているのは本人だったりする。

 

 

 さて、なぜ今回少年のキャラ崩壊(?)と、『センター争奪戦』なる事態になってしまったのか、それを知るには少しだけ時を戻す必要がある──―。

 

 

 

 

 ☆☆☆

 

 

 

 

 新たに三年生・矢澤にこが加わり七人となったμ’sは現在、始まりの曲である『START:DASH!!』の七人バージョンを練習中である。先日の一件で、一年生の時のにこ達はこの時期二回目のライブを開いていたと聞き、穂乃果達も二回目のライブをやろうと提案してきた。もちろん新曲を作ることも。

 今現在μ’sの持ち曲は残念ながら一曲しかない。たった一曲では次のライブを開くのには寂しすぎるだろう。しかし、前回のライブから四人が加わり今の人数は七人。となれば持ち曲の『START:DASH!!』も三人のフォーメーションから七人のフォーメーションに変更しなくてはいけない。

 ということで、一先ずライブのことはおいておいて『START:DASH!!』の七人バージョンをマスターしてから、新曲に取り組もうという方針で話が決まった。最初はぎこちなかったフォーメーションも、今では何とか形になってきている。ここまでの少ない日数で形になってきているのは、彼女達の努力のたまものだろう。

 

「よし、今日はここまでだ。時間もちょうどいいし、あとはストレッチをやって今日はもう終わりにしよう」

 

 と、練習風景を見ていた一条リヒトが声をかけ、各々ストレッチに入る。

 リヒトはここ最近同様、にこのストレッチパートナーとなって彼女のストレッチを手伝う。

 

「なあ、矢澤達は二回目のライブで何曲踊ったんだ?」

 

「なによいきなり」

 

「いや、ちょっと気になってよ」

 

「……」

 

 口を閉ざしてしまった矢澤を見て、しまったとリヒトは思った。

 先日の件から矢澤に対して過去のことを聞くのはタブーだと思っていたのだ。ライブのことに関しても、リヒトが聞いた瞬間口を閉ざしてしまったことを思い出し、自分の学習能力の低さに嘆いていると、

 

「三曲、ぐらいだったかしら。自作の曲以外にアイドルが踊った曲を真似したのもあったから、本番はもっと踊ったかもしれないけど」

 

 と、すんなり答えてくれた。

 リヒトはにこの背中を押しながら、

 

「へ、へー。三曲か……」

 

「ちょっとっ、痛いって!」

 

「あっ、わりぃ」

 

 どうやら強く押しすぎていたようで怒られてしまった。

 過去にスクールアイドルをやっていただけあって、それなりに体の柔らかいにこだが、筋力はそれほどない。活動休止中に衰えてしまったのか、それとも元からなのか、とりあえず少し気を付けながらにこの背中を押していくリヒト。

 

(三曲、か……。今の持ち曲は『START:DASH!!』の一曲だけだから、あと二曲必要になってくるわけだけど)

 

「なあ、新曲の調子はどうなんだ?」

 

 と、リヒトはμ’sの作詞作曲担当である園田海未と西木野真姫に聞く。幸いこの二人は曲の意見交換があるからなのか、一緒にストレッチをやっていることが多く今回もそうだった。

 

「それが……」

 

「……まだ、納得の行く感じにはなってないわね」

 

 言葉を濁した海未のあとに真姫が続いた。

 

「歌詞か? それとも作曲?」

 

「両方です。私も真姫も納得の行く形に仕上がらなくて」

 

「いくつか海未先輩から詩は貰ってるわ。でも、私の方が納得いく感じに出来上がらないの」

 

「それはこっちも同じです。真姫から何個か曲を頂いているのに、それに合う詩が思い浮かばないんです」

 

「つまり、二人ともまだ納得の行くものが出来てないってわけ?」

 

 リヒトの言葉に、二人はこくりと頷いた。

 そう、新曲を出したいのだが肝心の曲作りの二人が納得できていないのだ。いくつか候補は出来上がっているらしいのだが、二人の間では納得のいっていない様子らしく、『START:DASH!!』の時の様な詩と曲がパズルピースのようにぴったりとハマった感覚が来ていないとのこと。

 

「そうか。でもまあ、候補が出来上がっているならいいか。最悪、その中から選べばいいんだから」

 

 と、リヒトは言うが二人の顔には納得の行かない色が浮かび上がっていた。

 こりゃ、いろいろ大変だな。とリヒトは考える一方で、ふと周りを見渡すと一つの違和感を感じた。

 

(あれ? なんだ?)

 

 今はストレッチの時間。二人一組になってストレッチをするのだが、

 

(穂乃果とことり、星空と小泉、海未と西木野、俺とにこ。別に人数は問題じゃない。それに……)

 

 リヒトの視線の先では、楽しそうにストレッチをする六人のメンバー。ストレッチなのだからそのパートナー同士で会話をするのだから特に気にかけることはないのだが、何となく、リヒトは違和感を拭えなかった。

 

「なぁ、矢澤からアドバイスとかないのか? 一応『先輩』なんだし」

 

 と、発言後に『なんで俺は過去に突っ込んでいるんだ!?』と一人心の中でツッコみを入れるリヒトだったが、にこは口を閉ざすことなく言ってきた。

 

「……あの二人の作詞と作曲はレベルが高い。私がアドバイスするようなことはないわよ」

 

「そっか……」

 

 なんだか腑に落ちない点を感じつつも、その日はいつも通りの解散となった。

 

 

 

 

 ☆☆☆

 

 

 

 

 自室のベットに身を投げ出したリヒトは、天井を見上げながら一人考えていた。

 ここ最近μ’sを見ていて感じる『なにか』。それが一体何なのか考えていると、机の上に置いておいたスマートフォンがメールの受信を知らせた。

 誰からだ? と、ベットから起き上がってスマートフォンを手に取ると、希からのメールだった。

 

『今から行っていい? 少しりっくんに見てもらいたいものがあるの』

 

 と、短くまとめられたメッセージに『別に構わない』と返信したリヒトは希を待つべく居間の方へと移動した。

 しばらくして榊家に希がやってきた。

 

「ごめんなー、急におじゃましちゃって」

 

「いや、別に構わねぇけど。で、俺に見せたいモノってなんだ?」

 

「これや」

 

 そう言って希が取り出したのは一台のビデオカメラ。

 

「穂乃果ちゃん達が入ったことでアイドル研究部が復活してな。部活紹介PVを取ることになったんよ。これにはその試作映像が入っていて、りっくんに見てもらいたいのはコレ」

 

 希は取り出したビデオカメラを操作しながら、おそらく今日撮影したと思われる映像の中から一つの映像をピックアップするとすぐに再生した。

 試作映像、というよりはただ撮影した映像が流れてくる。

 授業中なのに寝ていて教師から注意される穂乃果。

 弓道部の練習中近くの大きな鏡に映る自分を見たかと思うと、笑顔を作る練習をしている海未。

 中庭と思われるところでの映像後に、屋上でダンス練習をするメンバーの姿。

 すべてに希のナレーションが入っているのだが、似非関西弁ではなく標準語を話すことに新鮮さを感じながら、リヒトは映像を見ていった。

 その後も映像が続き、やがて練習を終えた風景が映し出される。

 

「たぶん、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 希の発言に「え?」と返すリヒトだったが、流れてきた映像を見た瞬間、リヒトの中で何かが浮かび上がってきた。それはここ最近μ’sを見ていて感じた『なにか』。

 映像は練習を終えたメンバーの風景が映し出されている。

 ストレッチをする者、楽しくおしゃべりをする者。

 疲れ切っている凛を励ます花陽、海未と曲の打ち合わせをする真姫、穂乃果の心配をすることり。

 それはどこにでもいる普通の女子高校生の姿だった。

 楽しくおしゃべりをし、時にはツンデレな真姫を凛が弄り、宥める花陽。最近リヒトがよく見る一年生メンバーの風景だ。

 練習が終わった途端にだらしなくなる穂乃果を注意する海未に、それを宥めることり。リヒトがよく見る二年生メンバーの光景がそこにもあった。

 そしてにこは、活動休止中が長かったにもかかわらず、すでにμ’sの(元ダンサーであるリヒトの母制作の)練習に付いて来ている辺り、彼女がどんな思いでスクールアイドルを復帰したのかがわかる。けが防止のため一人入念にストレッチをして、一度ほかのメンバーの方に視線を向けるも、特に言うことがないのかそのまま帰宅の準備を始める。

 

「────あぁ。そうか」

 

 その映像を見て、リヒトはここ最近感じていた『なにか』の正体がわかった。

 

「なるほどな。まあ、考えてもみればあり得ることだったな」

 

 一つのことがわかれば、それが起きた理由もリヒトの中で次々とわかって来る。絡み合った糸がきれいに解かれていくような感覚を感じながら、リヒトは一人納得していった。

 

「もしかして、これを俺に教えるためにわざわざ来てくれたのか?」

 

「さぁ? どうやろな」

 

 リヒトの問いをはぐらかす希。

 希らしい返しに小さく笑うリヒト。

 さて、ここで問題がわかったのならばあとは解決策を生み出すだけ。幸いなことに、その解決策のヒントを、リヒトは以前とある番組で見たことがある。これをうまく使えば、おそらくリヒトが感じた問題が解決し、より一層μ’sの絆が深まる。

 

「サンキュー、希」

 

「んー? なんのことかな?」

 

「俺の独り言だ」

 

 やることは決まった。

 リヒトは一度パチン、と指を鳴らすと、

 

「さーて、いよいよ『一条リヒト』の出番だ」

 

 得意げに宣言した。

 

 

 

 

 ☆☆☆

 

 

 

 

 その日の夜、リヒトはパソコンの前に座り情報収集をしながら一つの企画を練っていた。希に見せてもらった映像から分かった一つの違和感。それを解決するために企画。向こうはこの事態に気付いているのか、それとも気づいていないのか。おそらく後者だろうとリヒトは考える。

 だからこそ気付いたリヒトが動くのだ。

 しかし向こうは女性。男性であるリヒトの考え通りの結果に繋がるかはわからない。それでも何もしないより、何かする方がマシだ。

 なにより、この企画はうまくいけば海未と真姫の曲作りの手助けにもなるかもしれない。

 難しく考える必要はない。あくまで楽しく、企画を盛り上げることを考えればいい。

 

(俺は今回道化かな。ま、それも悪くない)

 

 今回の自分の役割を考えながら企画を考えていくリヒト。

 成功することを祈って、リヒトは『Enterキー』を叩いた。

 

 

 

 [2]

 

 

 

 その日の放課後。

 穂乃果達μ’sは一条リヒトに呼ばれて都内のカラオケ店の前に集合していた。

 

「いきなりカラオケに来てとか、りーくん何考えてるんだろ?」

 

「先輩達は何か聞いていないんですか?」

 

「うん。昼休みに穂乃果ちゃんのケータイにりひとさんから連絡が来て、それまでは何も聞いていなかったよ」

 

 凛の疑問に答えたことりの言葉通り、今朝の朝練習でリヒトは何も言ってなかった。というより、朝の弱いリヒトのことだから連絡し忘れって可能性もあるが……。

 事の連絡が来たのは昼休み。いつもの通り三人で昼食をとっている時に、穂乃果の携帯端末に連絡が来たのだ。内容は『今日の放課後は練習をやらずに、カラオケ店に集まってあることをしてもらう。一年生と矢澤にも連絡をよろしく』と、短くまとめられたメールだったため、一体何をやるのかは書いていなかった。

 

「一応『何をやるの?』って返信はしたんだけど、りーくんは『その時のお楽しみだ』って教えてくれなかったんだ」

 

 不服な表情をしながら言う穂乃果。

 たしかに、場所と時間だけを指定されて、そこで何をやるのか具体的な連絡がないのは、ちょっとだけ不満である。ましてや海未と真姫は新曲に向けての調整をしたいところなのに、リヒトに会ったらまず文句の一つは行ってやろうと考えていると、

 

「おっはー」

 

 と、気軽な挨拶と共にリヒトが姿を現した。

 

「全員集まってるな。よし、じゃあ行くか」

 

「待ってください。お店に入る前に説明をしてもらわないと、なぜ私達をカラオケに呼んだのですか?」

 

 早速店に入ろうとするリヒトを止める海未。

 ん? と言って振り返ったリヒトは、そこにいる少女たち全員が説明を求めている目をしていることから、しばらく考えた後にショルダーバックからクリアファイルを取り出した。

 

「なに、今からちょっとしたゲームをやろうと思ってな」

 

「ゲームですか?」

 

「そっ。今からお前達には四種目のゲームであるものを競ってもらう」

 

「競うって……」

 

「一体何を競うの?」

 

 花陽のあとに続いて穂乃果が言うと、リヒトはニィッと笑みを浮かべた。

 その瞬間、七人の中で唯一海未だけが謎の寒気に襲われる。

 知っている、自分はあの笑みを知っている。体に染みつくほどに見たことがあの笑み。()()()()()があの笑みを浮かべた時は大抵悲惨な目に遭うのが、海未のにとってのお約束となっている。

 逃げなくては、逃げなくてはいけないと海未の本能が語っている。絶対にろくなことにならない、絶対に変なことを考えている目だと、海未の第六感が告げている!! 

 

「それはなぁ──」

 

 リヒトのもったいぶる姿勢が、謎の緊張感を生み出し、この場にいる全員(海未を除く)がごくりと息を飲み込む。

 そして、リヒは──、

 

 

 

 

「──次の曲のセンターだ」

 

 

 

 

 さらりと、先ほどの緊張感を吹き飛ばすほどの何の脈絡もない声音で言った。

 

『………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………は?』

 

 テンションの違いに戸惑い、たっぷりの間をあけて少女達の口から疑問が発せられた。海未だけが呆れた表情を浮かべてため息をつき、頭に手を当てている。その様子はどこかこの事態を予想したのか「やっぱり……」と言いたげだった。

 

「だからセンターだよ、センター。真ん中に立って踊るやつ」

 

「それは知ってるわよ」

 

 真姫からツッコミが飛ぶが、リヒトは構わず続ける。

 

「小泉と矢澤ならわかるんじゃないか? センターをかけて戦うのはグループアイドルの定めだって。その時に限っては周りの全員が敵! 例え仲間であろうと、その時はライバル! ひとつの栄光を手にするために、戦わなければならない!!」

 

「そこまでじゃないと思うんだけど……」

 

「ことり先輩の言う通りだにゃー。一条センパイ何か変なものでも食べた?」

 

「さっき穂むまんを食べてきたけど、それを変なものだと解釈するならお前は失礼な奴だな」

 

「穂乃果先輩ごめんなさい!!」

 

 速攻で穂乃果に謝罪する凛。以前穂乃果の家に訪れた際に凛も穂むまんを食べたことがあり、今ではお気に入りの食べ物の仲間入りを果たしている。リヒトの返しを認めると、お気に入りの穂むまんをバカにすることになってしまうため、凛はすぐに謝罪したのだ。

 

「そうです! 確かにセンター争奪戦はグループアイドルの宿命。避けられない運命なんです!!」

 

 どうやら花陽の方も『アイドルスイッチ』が入ってしまったらしく、すでにリヒト側に取り込まれてしまった。

 このままではリヒトの押しに負けてセンター争奪戦に突入しそうな空気だが、それを阻止するべく一人の少女が異議を唱える。

 

「待って! センターを決めるって言っても、まだ曲ができてないのよ?」

 

「センターが決まれば、そいつをイメージした曲とか、明確な『テーマ』や『方向性』が決まって作りやすいだろ?」

 

「それは……そうかもしれないけど……。それならリーダーである穂乃果先輩がセンターなんじゃないの?」

 

「甘いな!」

 

 真姫の発言を『待ってました』と言わんばかりに、声を大きくして指摘するリヒト。

 

「確かに今のμ’sを見れば、誰だって穂乃果がリーダーに見える。だが、リーダーだからと言って必ずセンターになれるわけじゃない!! それに、本当に穂乃果がリーダーであってるのか?」

 

『え?』

 

 ここにきて、まさかのリーダーが穂乃果であることにまで突っ込んでくるとは予想外。全員が『今更そこ突っ込むの?』という視線を向けてくる中、リヒトは昨日の希との会話を思い出しながら言う。

 

「希から聞いたんだけど、穂乃果。お前は普段()()()()()()()?」

 

「なにって……」

 

「海未は作詞、ことりは衣装と振り付け。だが、穂乃果、お前は何もしていないだろう!!」

 

「──―なぁっ!?」

 

 ビシィッ! と指を指してまで宣言され、衝撃を受ける穂乃果。確かに振り返ってみれば海未とことりは何かしらの仕事をしているのに、自分は何もしていない。毎日ほかのスクールアイドルをチェックしたり、二人に頑張れと声援を送ったり、妹と一緒にテレビを見たりしているだけだ。

 

「つか、俺はてっきり矢澤がすぐにこれを指摘して何かしらを起こすんじゃないかと考えてたんだけど」

 

「え? 私?」

 

 突然自分のことに触れられ、今まで沈黙していたにこは驚きの声を上げる。

 

「ほら、矢澤はアイドルに詳しいだろ? だから真っ先に穂乃果がリーダーをやっていることにツッコミを入れそうだと、俺は考えてたんだよ」

 

「それは……今のスクールアイドルを作ったのはコイツなんだし、今更異議を唱える必要がないと思ったのよ。それに明美に宣言した時点で、こいつがリーダーだって決まったようなもんじゃない。それを変える方こそ、変だと思うんだけど」

 

「え? そうなの? つか、その話初耳なんだけど」

 

『あ』

 

 今度は少女達の方から声が上がった。

 考えてみればあの場にリヒトはいなかったため、この話を知らなくて当然だ。先ほどまでとは違い、首を傾げて説明を求めるリヒトに海未が簡単に説明すると、

 

「えー、つまり、リーダーは穂乃果で決定してるパターン?」

 

『うん』

 

「…………………………ま、まあ、あれだ。さっきも言った通り、リーダーが絶対にセンターって言う訳じゃない! 兎に角、店の予約もしちゃったんだから入るぞ!」

 

『えー』

 

「『えー』じゃない! 行くぞっ!」

 

 と言う訳で、渋々仕方ないといった形で少女達はカラオケに入店。

 受付の男性店員がリヒトに向けて妬みなどの視線を向ける中(リヒトは全く意に介していない)、パーティールームへと入って行き、リヒト企画の『センター争奪戦』が始まるのだった。

 

 

 

 

 

 




いよいよ第7話がスタート。
今回は第一部ラストエピソードに向けての箸休め的な感じに進めていこうと思いますので、かる~い感じで読んで貰えれば幸いです。なので文字数もちょっと少なめに行くかも……?

さて、次回「其の②」の方へ続きます。
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