ファミリーゲーム 作:遊佐坂
期末テストを終えた帰り道
温水由寿は上機嫌だったテストの重圧から開放されたのだから無理もない、しかし由寿が笑っている理由はそれだけではないようだ
「コワレた真言面白かったー」
真言が徹夜で勉強をした為学校でコワレたのだ
真言は学校でみょーと叫び皆に注目されたのだ、真言の顔は羞恥に染まっている
「まあそう言うな温水、徹夜なんてしなくても言いように俺が教えられなかったのも原因だからな」
と彼方が真言を庇う
だが徹夜をしたお陰と言っていいのか、真言の頭は変に冴えていたと、テスト結果に自信を持っていた
由寿は勉強しなかった事を後悔しながら
「テストあきらめてネットゲーやってたから」
と言った時彼方と真言の考えはシンクロした
((まさか?))
テスト返し当日
彼方の結果は軒並みほぼ満点だった、聞けば真言の結果も良かったようだ
真言は彼方に感謝の言葉を伝えると、彼方は照れ臭そうに後頭部を掻いてから真言の頭を撫でる、昔からの癖が一向に直らないが真言の機嫌取りにはちょうどいい、と彼方は結論付けた
「ねぇ、彼方くん、勉強教えてくれた、お礼、って訳じゃないけど、次のお休みに、どこかに出掛けない?」
真言はほんのりと頬を染めながら彼方を誘う
「礼なんて、気にしなくていいんだがな、じゃあテストお疲れって事で遊びに行くか」と彼方は真言を見て奇妙な胸の高鳴りを感じていた
真言は先週ゆきえに言われた事を考えていた、彼方は幼馴染みで昔から世話になっている、何だかんだと世話好きを思うと気持ちがほんのりと温かくなる、真言は自分の気持ちを少しずつ自覚しはじめていた
(私は彼方くんが好き?だから由寿とじゃれる彼方くんにムカムカしたの?あれは…嫉妬?)
完全な答えはでないが、自分は彼方が好きなのかも、と考えると胸のつっかえが取れたような気がするのだ……なら今はそれでいいや、と真言は考えた、今はこうして何気ないやり取りが出来ればそれで良かった
次の日、二人はちょっと遠出をして遊んだ、真言は飲み物を買いに行った彼方を待ちながらベンチに腰掛けた
彼方とのデート……ではないけれど、こうして出掛けるときに彼方はいつもさりげなく真言を歩道側を歩かせる自分は車道側を歩き真言をエスコートする、自分の感情を自覚して考えてみるとそんな気遣いを日常的に彼方にされていた事を思い出してクスクスと笑った
「どうした?真言何を笑ってる?」
紅茶と果汁系のジュースを持った彼方がいた、それを見て真言はまたクスクスと笑いありがとねと言って紅茶を受けとる
「な、なんだよ、真言、俺の顔になんかついてるか?」
居心地悪そうに彼方は言った
普段の彼方はコーヒー派だなのに真言がどちらを選んでも言いように買ってきてくれたのだろう、彼は紅茶をあまり飲まないのに
「ふふふっ彼方くんは紳士だなぁって」
笑いながら紅茶を飲む真言に彼方は首を傾げていた
夏休みに入った彼方は自室でゲームをしていた、真言程ではないがやり込み好きの彼方はレベリングを繰り返していた
一通りやり終えた彼方は昼食を作る、遊佐家ではゆきえによる手抜き宣言があったので序でに遊佐家の分も作る
料理が趣味の彼方は手際よく五人分の料理を作ってタッパーに詰めて遊佐家に向かう
ピンポーン
インターホンを鳴らすとパタパタと真言が出てきた
「真言、ほらメシ作ってきたぞ」
とタッパーを下げた袋を渡すと真言は嬉しそうに
「ありがとー助かったよー」
真言は彼方に礼を言う
「またカップメンじゃ栄養偏るしな、ゆきえさんの手抜き宣言が出るだろうなって思ったからよ」
彼方は家に戻ろうとすると
「あっ!そうだ彼方くん海行かない?」
真言はそう聞いてくる
「海?インドアの遊佐家にしては珍しいな」
彼方は不思議そうに言うと
「うん、でも男手がお父さんだけだからね着いてきてほしいなぁって」
確かに征爾さんだけじゃ辛いものが有るだろう
「わかった、お邪魔させて貰うよ」
日程と時間を聞いて彼方は帰っていった
当日
「今日はよろしくねー♪彼方くん」
ゆきえは上機嫌に挨拶する
なぜか葵がしばってーと言っているが、車に積んだゲームをやるためだろう、葵はキャラの動きに合わせて身体が動くので、車内では危険なのだ
一見周りに誤解されそうな絵面である
彼方はゆきえの提案で真言の隣に座った
遊佐家は征爾以外が車酔いするなど色々あったが無事海水浴場に着いた
平日の割に人が多いが芋を洗うような状態じゃないだけマシだった
征爾と彼方は先に着替え終わり、パラソル等を立てて場所の確保をしていた
其処に真言がやって来た、真言はモジモジとしながら彼方に
「ど、どう、かな?」
新調したであろう水着を見せる真言
「ん?あぁ、よく似合ってて可愛いぜ」
彼方は平気でこう言う事を言う一面がある、本気で言ってるから達が悪いのだ
「あぅ、あ、ありがと」
真言は真っ赤になりながら、呟いた
「ホントに似合ってるぜ?お世辞なんかじゃないからな?」
追い討ちをかける彼方に更に赤くなる真言
「あらあら、お熱いわねー」
とゆきえがやって来た
「も、もう!お母さん!」
真言は真っ赤になって葵と共に海へ逃げていった
葵も真言も海を満喫していた、いつもよりハイテンションな葵が無茶しないように彼方は直ぐに動ける程度に離れて泳いでいた、もともとテンションを上げるような性格じゃない彼方はゆるく泳ぐだけで波打ち際で葵を見守っていた
お昼になり、葵は海の家に入ろうと提案してくる子供らしくはしゃぐ姿に征爾と同じように苦笑しながら着いていく彼方
すると
「すいません、あいにくお座敷いっぱいでして…って教授?」
どうやら征爾の生徒の様だ
「今日は誰とフラグを立てに?」
残念感溢れるセリフを吐く男は西浦といった
そんな彼にゆきえは
「西浦さんは彼女とかいるの?」
と質問し
「ウチの娘達これで美少女ってことになってるケド手ェ出しちゃだめよ?」
とからかうゆきえだが西浦はゆきえの予想より斜め上な人間だった
「僕も一応大人ですからやっていいコトと悪いコトの区別くらいついてますよ……女の子に手をだしていいのはゲームの中だけで」
予想以上にぶっ飛んでる西浦に彼方は苦笑した
その後も2次元を愛してると少々別方向に危険な発言をしていた
「どーした、よっしー?」
西浦の友人が尋ねる
「あーいや……教授の娘さんのお姉ちゃんの方かわいかったなぁと」
「オイオイ、中学生だろ」
西浦が三次元に興味を持った?と思うと
「あんな女の子出てくるゲームないかなぁ」
と残念臭のするセリフを吐いた
「もーちょっと遊びたかったなー」
葵は名残惜しそうに言った
「それだけ喜んで貰えたなら来年も来ようって気になるなー」
その征爾の言葉に葵は食いついて
「また来ようよ!」
よっぽどお気に召した様だ
「それでゲーム持ってきて皆でやろう!」
「「「却下」」」
遊佐家総出で否定された、当然である
「来年も行くなら彼方くんも一緒にいこ?」
真言が彼方を誘う
「あぁ、俺で良ければ」
彼方は頷いたその返事に真言は嬉しそうに微笑んだ
「真言も気を付けないとね」
ゆきえが小声で真言囁く
「彼方くんナンパされてたわよ」
真言は驚愕する、確かに彼方は中学生に見えない伸長の高さであり顔も整っているがまさかナンパされていたとは
「う、うん、気を付ける」
真言は意気込んだ
(あらあら、素直になって来ちゃって、面白くなってきたわ)
ゆきえは娘相手にもナチュラルに外道だった