相変わらず文章の書き方が下手くそで読みにくい点もあるかもしれませんが、どうぞお楽しみください。
俺、藤木コウタはいよいよ今日、神機使いとして初めての実戦を経験する!
昨日行われた実戦前最後の訓練、言ってしまえば実戦に出せるかどうかを判断するための試験みたいなものを無事にパスできた俺は、今日同行する先輩の神機使いと一緒に初実戦に臨むことになる。同期の飛鳥には先に実戦デビューされちゃったし、早いとこ俺も追いついてノゾミや母さんに自慢できるようになりたいからな。
さっきエントランスで待ってろってツバキ教官にメールで言われた俺は、今ヒバリさんの立つカウンター近くのソファーで暇を潰していた。
「コウタさん。いよいよ初の実戦ですね!頑張ってくださいね!」
「あ、ありがとうございます。ヒバリさん!」
応援の言葉を掛けてくれた上にニッコリとかわいい笑顔を浮かべてくれる。これがたとえ営業スマイルだとしても、俺を応援してくれたのだから嬉しい。ヒバリさん、たしかにこの人は受付嬢に向いてるのかも。
「あっ、レインさん。支部長が顔を見せに来いと...
「見なかった事にしてくれ」
「あっはい」
2階から今までの訓練でお世話になったレインさんが降りてくる。あれ?ってことは今日の俺とペアを組む先輩神機使いっていうのは...
「ようコウタ。つうわけでお前の初めてのパートナーは俺ことアークレインだ。一応形式ってもんをかるーくお話するぞ」
「は、はい」
「改めて俺の名前はアークレイン・レグナゲート、いつものようにレインと呼べ。ツバキ教官と同じく階級は大尉、お前がこれから所属する第一部隊の隊長でもある。普段はあまり気にする事はないが、支部長や他の上層部の面々と話をするときはこういう形式ばった振る舞いをしっかりしないとならんから、一応覚えておいてくれ」
「分かりました!そのー、レイン隊長?」
「普段はレイン”さん”でいいぞ」
俺が隊長とつけて名前を呼ぶと、ちょっぴり恥ずかしそうに苦笑しながら言う。レインさんはフランクなところがあるし、あんまり硬い呼び方は慣れてないのかな。
「早速だが、今回の任務には俺が同行する。目標は今までお前が訓練で散々的にしてきたオウガテイル一体、こいつをぶっ倒すのが今回の任務だ。ただし今までの訓練とは違い、想定外のアラガミが現場に乱入する事があるかもしれない。訓練でも口酸っぱくして言ってきたが倒し終わっても絶対に気を抜くな。警戒を解いていいのは目標を討伐したときでもなく帰りのヘリに乗ったときでもなく、アナグラに戻ってから、だ」
「はい!あの、精一杯頑張ります!!」
「オーケイ。んじゃあ現場へ行くぞ、コウタ」
「はいっ!」
レインさんに連れられて一緒に神機保管庫へと向かう。さあ、いよいよ初めての実戦だぜ!
-----
「来るたびに思うが、ここは昔の面影の『お』の字もねえなぁ...」
贖罪の街と呼ばれる場所
移動手段のヘリから降りてしばらく歩いたところでふとレインさんが口をこぼす。少し進むと急に崖になっており、ここがヘリの中で聞いた
この現場の『A地点』と呼ばれるポイントらしい。特に何か現場で起こっているような状態でない限り、基本的にこの現場での仕事はこの地点からスタートすることになるそうだ。
「昔の面影?」
「ん、ああ。お前は物心ついたときには既にアラガミがいた世代だからよく分かんねえか。俺はガキの頃家族と一緒にこの街に来たことが何度かあるのさ。そんときは高いビルが群れるように建ってて、まさにThe 都会という感じだったよ。ターミナルで昔のアーカイブ映像を見れば分かると思うが、この辺は綺麗な街だった」
「へぇ...」
そう言われて辺りを見渡してみるが、どこもかしこも荒廃した景色しか目に入らない。目線を上げると何やらデカイ穴の開いた建物が何個か建ってるけど...
「そう、そこにある建物一つ一つがかつては綺麗な都会の街を作ってたのさ。今じゃこんな状態になっちまってて、見る影もないけどな」
少しだけ寂しそうな顔を浮かべるが、すぐに訓練のときに見た、上官としての厳しい表情に直り俺に向かって話し始める。
「そんじゃあ最終確認といこう。
アナグラを出る前にブリーフィングは済ませてあるはずだが、実際に戦闘を始める前にここでチームメイトやオペレーターとの作戦目標や注意事項などの認識を共通化しておくこと。つまり、互いの理解した内容が食い違わないように確認し合うことを忘れるな。これが戦闘前に必ずやってほしいこと。ここまではいいな?」
「はい!」
「次に、お前に4つの命令を出す。絶対何としてでも守り抜け。我武者羅になって守れ。『死ぬな、死にそうになったら逃げろ、そんで隠れろ、運が良ければ不意をついてぶっ殺せ』の4つだ」
レインさんは人差し指から小指を順番に立てながら俺に命令を与える。でもこれって、案外簡単なことなんじゃと思ったり...
「言っとくがコウタ、この職場は生きるより死ぬ方がずっと簡単なところだ。でも絶対に俺の許可なく死ぬことは許さん。そしてそんな許可を出す日は金輪際来ない。だから絶対に死なないことを考えろ。何が何でも生き抜く根性で任務に臨め。んまぁもっとも、根性だけじゃなく頭もきちんと使わなきゃすぐに死ねちまうけどな」
「最後の最後で俺にプレッシャーかけるの止めてくださいよ...」
頭を使うのがあんまり得意じゃない俺に対してはちょっと辛辣な言葉だなぁ。
「とにかく、ヤバくなったら俺を頼れ。俺じゃなくても先輩がいたらそいつを頼れ。新人であるうちは先輩を頼って技術を盗んで自分の成長の糧にしろ。というわけで以上で俺から言うことは終わりだが、何か質問はあるか?」
「いえ、特にはないっす」
「んじゃあ今回の作戦前最後の確認に入ろう。俺たちがこれからやるのはオウガテイルだ。いいか?」
「はい、間違いないです」
「目標の個体数は一体である、また付近にアラガミの反応もない。ブリーフィングの時に確認された段階ではそうだったな?」
「ヒバリさんはそう言ってたっスね」
「よし、認識のズレはない。これで何か異常が起こらなければおそらく問題はないだろう。絶対に”死ぬな”よ?じゃ、狩りに行くぞ」
「はい!よろしくお願いします!」
レインさんは神機を肩に掛けながら崖を飛び降りる。ちょっと高さがあって怖かったけど、勇気を出して飛び降りる。着地してもそんなに痛みを感じないことに気付き、体が完全に神機使いの体になっちゃったんだなぁと思いつつ後を追いかけた。
「いたぞ、今回のターゲットだ」
「えっ」
先行していたレインさんが突然物陰に隠れて静かに言う。向こう側には確かに一体のオウガテイルがその場で周りをキョロキョロと見渡している。白い顎を持つ小型のアラガミ、オウガテイル。俺は今までこれと同型のダミーはたくさん倒してきたけど、本物を倒すのは初めてだ。戦う上での基本であったり、オウガテイルという種はどのような行動パターンを持ってるのかは、今までの訓練で散々叩き込まれてきたとはいっても、やはり目の前に出てくると緊張する。神機を握る俺の手が汗ばむ。
するとレインさんは俺の緊張を感じたのか、普段のような柔らかい笑みを浮かべると俺に言った。
「大丈夫だ。今までやってきたことを油断なくこなせれば決して倒せない相手じゃない。お前は神機使いになった、ならコイツは倒さなきゃならねえよな?さっきも言ったようにマズイ展開になれば俺がフォローする。だからお前はアラガミを狩ることに集中して、けど周りの警戒も怠らずに仕事を果たせばいい。お前なら出来る。な?」
「は、はい」
「よぅし、それじゃあ俺がやつに突っ込んで一発攻撃を食らわせる。お前は俺の援護射撃。出来るな?」
「は、はい。やります!」
「うん、良いツラだ。それじゃ、行くぞ」
そういうとレインさんはキリッとした真剣な表情になったかと思うと、いきなり目にも留まらぬ速さでオウガテイルに斬りかかった。
いきなり攻撃されたことに驚いたのと、単純に斬られたことによる痛みで叫びをあげるオウガテイル。生まれた隙を逃すのはよくない、そう思った俺はオウガテイルに照準を合わせて引き金を引く。一発一発の威力は低いけど、中距離までのそれなりに長い射程でかつ連射が利くアサルト型。レインさんが剣で攻撃をするポジションに弾が行かないよう、時々自分の位置を変えながら少しずつダメージを積み重ねていく。
「もうすぐ終わるぞ!止めの用意は良いかッ?」
「はい!いつでもいけます!」
「よしっ、今だ!行けぇ!!」
レインさんの叫びに合わせてもう一度引き金を引く。オウガテイルの体に吸い込まれるように向かった弾丸は確実に止めを刺し、断末魔の叫びを上げながらオウガテイルは地面に横たわった。
遠距離型の俺の神機では出来ない為、代わりにコアを捕食しながらレインさんは口を開く。
「どうだ?初めての実戦は」
「なんというか、呆気なく終わっちゃったなぁっていうのが正直な感想っす」
思ったままの事を言うと、どこかが可笑しかったのかレインさんは吹き出す。怪訝に思いつつもレインさんを見ていると、やがて笑いが収まったのか苦笑いといった表情で口を開く。
「呆気なく終わっちゃったなぁってのはそりゃ当たり前の事だわな。何しろ『オウガテイル』ってのはこの程度の強さだからオウガテイルなのであって、コイツが新人殺しみたいな強さを持ってるなら、そもそもお前さんを連れてこないさ」
それでもレインさん曰く例外はあるらしく、たまたま生存競争の中で生き残り続けて他のアラガミを喰いまくった結果、普通のオウガテイルよりも数倍強い『強化型個体』という形で出没することもあるのだそう。だが、それだけの強さを持つアラガミの場合にはキチンとアナグラのレーダーにも普通のとは違う反応が出るそうなので、ミッション中にいきなり乱入してきたりという事態にならない限りは新人と鉢合わせる事は無いとの事。
うん、解りやすく説明してくれたのはすごく嬉しいけど、俺の頭の中でキチンと理解するにはもう少し勉強しないとダメっぽい。レインさんはイマイチ内容にピンときてない事を直ぐに顔を見て察したらしく、苦笑いを浮かべながら俺の肩に手を置いた。
「んまぁ新入りの内は何もかんも理解しろってのは難しい話だ。とりあえず、『見た目は雑魚キャラ・中身はバケモン』っていうアラガミはちゃんとオペレーターが区別を付けてくれるから、お前が戦う羽目になる事はほぼ無い。一部の非常事態を除いてだが、その可能性は限りなくゼロだから心配は要らん。という事だけ覚えてくれりゃOK」
「そういう事っすか。了解です、気を付けます!」
要点を纏めて更に解りやすく説明してくれたレインさん。やがてコアの捕食が終わり、神機を肩に掛けるように持って歩き始める。
「そんな感じで、本日のお仕事ノルマは達成したって訳だ。でもまだ気を抜くんじゃねえぞ?安心して良いのは『アナグラ』に着いてから、だ」
「周りに意識を向け続けろって事ですよね?」
「そう言うこった。特に遠距離型は装甲が無い。いきなり奇襲受けてからの直撃を貰えば、簡単にすぐに死ねる」
「うっ...」
「ああ、ほんの一瞬の油断、そこを突かれて死んじまった奴を何回も見てきた」
「...」
レインさんの口から出た過去の神機使いの死はきっと事実なんだ。ここはお遊びで来る場所じゃない、一歩間違えれば直ぐに死んでしまえる様なところなんだっていうプレッシャーを感じる。
「少し昔話をしようか」
「昔話?レインさんの?」
俺が尋ねると、レインさんは真剣な顔で一回だけ頷いた。
「俺は元々第一世代の遠距離型として適合したんだが、今のお前のように入隊したての時には、そりゃ俺の心は浮かれてた。何しろ神機使いになった、それは俺が適合した当時においては『アラガミに抵抗出来うる唯一無二の英雄』みたいな扱いでな。『英雄』という言葉に浮かれた結果、俺自身が死にかけたり、仲間の犠牲を増やす原因になってしまった事が何度もあった」
「えっ?レインさん...が?」
俺はレインさんの過去の話に、それは本当なのかと思わずにはいられない。レインさんは自分も昔はたくさん失敗したという経験を話してくれているんだろうけど、この短い期間でも俺が訓練とかで見てきたのは凄く頼れる先輩という一面だったからか、どうにも信じられない。だけどレインさんは、そんな俺の感情を知ってか知らずか話を続ける。
「今とはオラクルの技術レベルが全然違う時代だったからな。俺の様に『今の第一世代の神機』に適合したやつってのは、周りには殆どいなかった。あの当時は、あの時の時点で『第一世代』と呼ばれてたピストル型神機を使ってた神機使いが殆どだった。スナイパーライフルを模して作られたこの神機だが、何しろ俺自身がこの型の神機に適合した所謂第1期生ってやつで、周りにまともに同じ型の神機を扱える先輩って人はいなかった。だからかな、最初の頃の実戦の時にはそれは失敗に失敗を重ねたさ。オラクルの供給方法から射撃の仕方まで、何においても先輩たちが使ってるピストル型とは勝手が違う。コイツを作った技術者もあくまで設計と制作を担当しただけで、実際の使い心地ってのは完全に専門外。文字通り手探りでコツを掴んでいかなきゃならなかった」
「そ、それで?」
「結果として、俺は死なずに今日まで生き残り続けてる。だけど、俺が新人の時に犯した数多くのミスのせいで、少なくとも30人は命を落とす結果になっちまった。遺族は状況を分かってたからか、俺を責める様なことをする人は殆どいなかったよ。でも、だからといって自分の罪悪感と後悔と、死んじまった同僚に対する申し訳なさってのは消える訳じゃない。同じ現場で仲間が死ぬっていうのは、そう、こうした負の感情を背負うって事でもあるわけだしな」
レインさんは、仲間を目の前で失った事がある人にしか出せないであろう哀しげな表情を浮かべる。でもそれはほんの一瞬で、すぐに頼れる先輩の表情に戻る。
「何を言いたいかっていうとだな、この先お前が仲間を一人も失う事なくずっと生き残り続けられる可能性ってのは、万に一つあるかないかだ。だから...」
そう言うとレインさんは俺の胸を拳で小突いて、優しい笑みを浮かべ、
「だから、『覚悟』はしっかりと持っとけって話だ」
「っ!」
俺もいつか、仲間を目の前で失う日が来るんだろうか。いや、大事な人たちを失いたくなんかない。失ってたまるかよ!
「そのツラを浮かべられる限り、お前は油断さえしなければ生き残れると思う。いいツラ構えだぜ。さぁ帰ろう」
「はい!」
レインさんは踵を返して、ヘリの待機してるポイントへと歩き始める。俺はその後ろから周りの警戒をしつつ付いていく。
初めての実戦、戦闘自体はすぐに終わっちゃったけど、神機使いとしての最優先でやるべき事がなんとなくわかった気がする。『生き残る』ってことが何よりも大切なんだってことは、レインさんに教わった最も大事なこと。当分はこれを破らないように戦っていこう。
本当に戦闘描写が淡白な感じになってしまいましたが、原作をプレイされた方なら何となく分かるかもしれません。本当に何をするわけでもなく、あっという間にオウガテイルって死んじゃうんですよね(笑)。だからといって、いくらなんでもこれは少々内容が薄すぎると言われても仕方ないですが...