前編とありますが今回はバトりません笑
コケコッコーと鶏が鳴き、気持ち良い朝の目覚めを迎える...なんて事はなく、セットしておいたアラームのけたたましい電子音によって叩き起こされた俺は、ノソリノソリとベッドから出て支度をする。現在の時刻は○四三○(マルヨンサンマル)。周りの部屋の住人達はまだ眠っている頃の時間だが、早朝から特務を控えているからには、そろそろ起きないと余裕を持って行動できない。
しかしまあ、実に眠たい。またベッドに寝っ転がりたい気分だ。実は一つ上の階層、俺の部屋の真上にある部屋で生活している奴が一晩中パートナーと営みを続けていたせいで、ゆったり眠れず眠気がスッキリと取れていない。体の関節を準備運動をしながらポキポキと鳴らし、無理矢理意識を100%覚醒状態へ持ってく。
「ふぁーあ...。あんのやろう、よりにもよって特務の前夜に思いっきりハッスルしやがって。これで眠気のせいで死んだら呪うぞチクショウ...」
キッチリ充実した生活(意味深)を送っている
誰なのかはこの際敢えて言わないが、女の声がまだ響いているようだった。
「...」
こんな時間になってもまだハッスルしてやがる。どこまで体力が有り余っているのだ。というか、同僚の情事を壁越し(天井越し?)に聞かされてる身にもなって欲しい。あだるてぃーな映像アーカイブなら多少は興奮(意味深)出来るだろうが(俺だって男だ)、しかし同僚の情事にまで興奮出来るかどうかっていったらNOだ。何が悲しくて友人の営みを想像しなきゃならないのか。気持ち悪くて仕方ない。何が悲しゅうてこの朝っぱらからゲンナリした気持ちにならなきゃいけないのか。はぁ、溜め息が溢れる。
もういい。あんにゃろうの事なんざに構ってる暇は無いのだ。さっさと着替えて支度して、出立しなければならない。というか、昨日支部長がリンドウにも別の任務を頼んであるとか言ってた気がするが、一晩中ヤることヤってて、果たして体調のコンディションは整えられるのか?リンドウに任された任務の詳細は知らないが、もしかすると別の隊の人間も動く作戦かもしれない。そうであった場合、やつが周りの人間に迷惑を掛けないか心配になってしまう。歳としては4年程しか離れてないんだが、どうにも手の掛かる弟というような感覚がしてならない。いや、4つしか離れていないからこその弟という感覚なのか?
「...どうだっていいか。とにかく飯を食わねえと始まんねえな。カフェ開いてたっけか..?」
普段カフェを朝に利用する際はいつも早朝6時頃が多い。比較的空いていて、ゆったりと朝食を頂ける時間なのだ。しかしこんな朝早くの時間に開いてたかは分からない。開いてたらいいが、開いてない場合はよろず屋の店主から嗜好品として食料を調達せねばならない。
ともかく、飯を食わねば何もかんも始まらない。洗顔と最低限の身だしなみの確認だけして、カフェへと向かう。仕事の前には朝飯、これは重要だぞ。
-----
幸いにも、俺たち神機使いの食事処であるカフェは開いていた。現在の時刻は○五一○(マルゴーヒトマル)、どうやらカフェは朝の5時から開くようで、早朝から出立する神機使いの為に朝食を用意してくれるそうだ。ちなみに俺が何故今までカフェの営業時間を知らなかったかと言うと、単純に深夜と未明及び明け方の時間は閉まってるもんだと勝手に思い込んでいたからだ。ちくしょう、この時間からやってるならもっと早くその事実を知りたかった。
「レインさんも大変ですねぇ。こんな朝から、支部長に特務を命じられるだなんて」
カフェの管理人である女性マスター『霧崎マナミ』から、本日の朝食とともに一杯のモーニングコーヒーならぬココアを頂く。朝は苦味のあるブラックコーヒーではなく、甘めのミルクココアを飲むのが俺のスタイル。うむ、カカオの良い香りが絶妙に鼻をくすぐる。今日も美味しそうなココアのようだ。
「ごめんなさいね。本当なら、ココアに合う朝食のメニューという物を用意して差し上げたい所なのだけど...」
そう言って申し訳ないという表情を浮かべるマナミ。というのも、俺の目の前に置かれた銀の配膳用プレートの上には『ジャイアントトウモロコシ』と、少量の緑黄色野菜モドキ、それに申し訳程度の和風ドレッシングが掛けられただけのメニューが載っている。一昔前のアラガミが出る以前の先進国であれば、このような朝食の組み合わせ方は到底信じられないだろう。だが、アラガミが世界の文明のほとんどを喰らい尽くしてしまった現在、まともな食事にありつける人間の方が圧倒的に少ないのだ。メニューは確かにかなり珍妙な組み合わせではあるが、それ以外に用意のしようがないのだからどうしようもない。無い袖は振れない。
「いや、貴方のせいじゃない。こんなご時世に、こうしてまともに食事を出来るだけでも感謝しないとならないのに、これ以上に上を望むのは愚かというものだろう?」
「ええ。それでも、普段から頑張っているレインさんにまでこんな質素な食事を提供するというのは、やっぱり私としてはちょっと..ね。相応の仕事をしている人には、相応の対価を支払うべきだわ」
「その『対価』は金銭や支給品といった形でちゃんと貰ってる。たった350ml缶一本で1万クレジットも取られるレジェンドサイダーも含めてね。貴方が気にするようなことは何一つ無い、心配は要らないさ」
「...そう」
食事をしている俺を見つめながら、しかしどこか哀しげな顔をするカフェのマスターに、自分はこの職場で大切にされている人間であることを改めて実感する。だって、嫌いだったりどうでもいい奴に対してはこんなツラをわざわざ浮かべる必要なんてない。弱肉強食なんていう文明ができる以前の無秩序な世界と成りかけているこの時代、要らねえ奴はさっさと死んじまえってな。自分と家族を守るだけで精一杯な世の中に、他人のことを気にするってのはその『他人』がよほど周りに貢献しているか好かれているかのどちらかだ。俺は...どっちなんだろうな?
『ピピピ、ピピピ、ピピピ...』
俺の右腕に着けた腕時計が設定した時刻をアラームで教えてくれる。時間は◯六◯◯(マルロクサンマル)、そろそろ出撃ゲートに出向かないと、予定の作戦決行時刻までに現場に着くことができないな。
トレーに載っている朝食を全て平らげ、マスターの立つカウンターの上に載せる。
「いつもありがとう、今日もとても美味しかった」
「いつもいつも言わせてもらうけど、必ず...必ず、帰ってきてね?」
「いつも言ってるでしょう?神機使いを辞めるのは引退したときだけだって。そんなに心配しなくとも、出来の悪い弟分みたいな部下たちを置いてどっかフラッと逝っちまったりしないさ」
思わず泣きそうになっているマスターに微笑んでやる。すると少しだけ安心してくれたみたいで、目尻に涙は溜まったままではあるが可愛らしい笑顔を浮かべてくれた。
「ん、やっぱりマスターはその顔が一番良いよ。じゃ、行ってくるな」
「うん...いってらっしゃい!」
マスター...いや、マナミの見送りに応えつつカフェを後にする。
さーって、いよいよラスボス級の相手との『おデート』か...。手は抜かねえぜ?本気でやってやる。
-----
『無事に現場へは辿り着けたようだね。では改めて、今回の作戦の内容を簡潔に説明しよう』
秘密裏に用意されていた”存在しないはず”のオフロードに乗って、今回の討伐目標であるアマテラスとの接触予定地点へとたどり着いた俺は、そのままオフロードに備え付けの機密無線機を使って支部長と連絡を取っていた。もともと、この一件とは別件でアラガミの大群(便宜的にAユニットと呼ぶ)が外部居住区の最終防衛ラインに向かって行軍していて、ここから比較的近いエリアで防衛班による迎撃が行われる事になっている。しかし、いくらなんでも『アマテラス』なんて接触禁忌種と鉢合うような事になると、防衛班である若手神機使い(決して素人ではないが)の命が冗談抜きで危険に晒されてしまう。そこで、あらかじめ支部長の手の内にある偵察兵が仕掛けた誘引トラップによってこの地点、便宜的に『ポイントβ』と呼ぶ地点にて俺と接触、交戦したのちに撃破をする。それ以外のAユニットを構成する大量のアラガミたちは、本来の予測進路の通りに進み、その先にある『ポイントα』にて防衛班の面々と交戦、できる限りの個体数撃破と強力なアラガミの間引きをするのが今回の向こうの作戦らしい。
ちなみに昨日支部長が言っていたリンドウは俺とのコンビを組めないという件だが、これは俺の任務が特務であること、討伐対象が接触禁忌種であることを考慮した結果、近距離で戦う俺のもとへAユニットのアラガミの何体かが行かないように間引くのが仕事らしい。特にザイゴートのような、感覚器官が優れていてかつ周りに仲間を呼ぶような奴にアマテラスとバトってる真っ最中に来られようもんなら、その先の未来は悲惨なことになるのが目に見えている。そのため、アマテラスに感知されないギリギリの地点『ポイントγ』にて『ポイントβ』近づこうとするアラガミを討伐するのがリンドウの役目らしい。補足だが、リンドウの任務の方は準特務扱いということで、任務を遂行することでどういった利益があるのかという詳細な情報を教えることはできないが。リンドウが『ポイントγ』でアラガミと戦闘を行うという任務の内容そのものは防衛班の面々も知っているらしい。バレると一気に士気の低下に繋がりかねない凶悪なアラガミを相手にする俺とは違い、今回は事情を知らない者がリンドウの存在に気付いても特に問題はないという訳だ。
「ちなみに支部長、アイツは昨日から今日の朝にかけて一晩中サクヤとヤることヤってたみたいですけど、あいつの体調面等を考えると非常に不安で仕方がありません。もう一人”使える”応援を寄越して頂けると、背中を預ける立場になるワタクシとしては大変嬉しいのですが、如何でしょうか?」
『・・・・・・・・・・・・』
リンドウくん...という呟きと共に吐き出された深い溜め息が通信機のスピーカー越しに聞こえる。普段は個人的に大嫌いな人間だが、今回ばかりは支部長にも同情する。あぁ、アンタもそう思うよな。危険度が桁違いの特務前日から当日に掛けて、一晩中寝ずにズッコンバッコンするという一連の行為がどこまで馬鹿なのかと。
『仕方がないな...本来のプランには無かったが、帰投中の偵察班の人員をそちらに寄越そう。彼女ならリンドウくんのサポートも問題なくできるだろう。ミストくんを君のもとに応援として派遣する、君はそのまま待機していてくれたまえ。彼女が予定ポイントに到達するまではくれぐれも交戦しないように』
「了解で...っと、支部長。目標が予定接触地点に現れました。もし目標がイレギュラーな行動に発展した場合はどう対処しましょう?」
『Aユニットに目標が合流するルートへ進入した場合は直ちに交戦を開始してくれ。合流されることが、現状最も憂慮すべき事だからね』
「了解いたしました。それでは、緊急の事態に発展しない限りは現状を維持します」
『どうか、よろしく頼むよ』
それだけ言って支部長の方から通信を切られる。
「はぁーあ...こんな面倒くさくておっかねえ仕事を、こんな朝っぱらから片付けなきゃなんねえとはなぁ」
アマテラスの感知範囲外に止めたオフロードのハンドルに、両足を組んで乗っけながらこの任務のことに頭を巡らす。なにせ耐久力も攻撃力も桁違いなバケモン級。そのうえサイズまで山のようにデカいとか一体何をどう食ってきたらこんな体になれるのだろうか。進化の過程をすっ飛ばしたとか、食べたものの形質を取り込んだ結果こうなったとか、そんなオラクル学の学術的に考察できる常識の範囲を超越した奴を一人で相手にしなきゃならない。これのオリジナルというか、ベースとなっているウロヴォロスというアラガミなら過去にリンドウと二人で倒した事もあったが、そのオリジナルを倒すときでさえ死にかけた。なのにそれより数段上の相手を、しかも『初見』でぶっ殺せと。一体どんな無茶苦茶無理難題なのだろうと、いくら普段温厚な俺でも頭に来て愚痴の一つや二つを零したくもなる。
それはさておき、急遽寄越される事になった偵察班の人員、ミスト。
フルネームはミスト・ルイン、今年18歳の若い少女だがこれでも入隊6年目のベテラン神機使いだ。彼女は俺が極東で1人でもまともに戦果を上げられる様になった頃に入隊してきたのだが、その際に俺が彼女の引率教官役を任された事がきっかけで、使える人材にするべく妥協無しでとにかく鍛え上げた。適合したのは遠距離型スナイパー式第一世代型神機、つまり、新型になる以前の俺と同じ種類の神機に適合したのだ。最初の頃はそりゃ誤射は酷いわ狙いは甘いわで何度も本当に大丈夫なのかと思ったが、人間慣れるとなんだかんだ出来るようになっていくみたいで、ある時コツを掴んでからの成長は著しいものだった。その経験と努力が実を結んで、今では神機使いの戦果を測る世界ランキング遠距離型部門においてトップ20に入る活躍を上げている。ちなみに1位はツバキちゃん、そこから2人跨いで4位に俺がいる。なお、あくまで旧式遠距離型として上げた戦果をまとめたスコアなので、新型神機に適合した俺はもうただ後輩に抜かれるのを待つのみである。
スナイパー型という神機の性質上、真正面からぶつかり合うのではなく隠れた所から遠距離狙撃をする方が専門なので、彼女は俺からの教導が終わると同時に自らの相棒の利点を最大限に活かせる偵察班に志願したのである。そっからの戦果も成長も伸びが凄く、おかげで現在では18歳でありながら偵察班副班長兼、班長代理という立場に就く程の実力者になった。実際背中を預ける身としてはリンドウと同じくらい心強い。
「師匠、遅くなりました」
「おう、悪いな」
「師匠には文句は言いません。しかし、あんな化けモンをおびき寄せる為のトラップを設置しろとか、支部長も人使いが荒くて困ります。しかも、気の張った任務から解放されると思った矢先に師匠の応援に出向けだなんて。次会ったらリンドウさんをとっちめてやります」
「おう良いぞ。俺が許可するから一発はたいてやれ。俺の名前使って良いから」
「Yes、では後ほど実行させていただきます」
アルト音域の女性としてほんの少し低めな声と共に、神機を構えながらトテトテとオフロードに小走りで来るミスト。デフォルトでジト目な為に初対面の人間は少し近寄りがたい印象を与えるのだが、決して感情表現が苦手なわけではなく、小柄な体格も相俟って慣れた人間から見るとどこか可愛らしい小動物に思えてしまう。これが戦闘に入ると、途端にアラガミを狩りまくる鬼と化すのだからギャップが凄い。
彼女の話を聞く限りどうも、彼女率いる偵察班がアマテラスをポイントβに誘い込む為の誘引トラップを設置する役目を担っていたようだ。そりゃ誰も相手にしたくない化けモンと鬼ごっこするだけでも気疲れするだろう。俺も今こうしてる中で心は既に疲れてる。あのデカブツとこれからやり合わなきゃならないのかと考えるだけでウンザリする。そんな疲れる仕事一足先に片付けたと思った矢先、俺の戦闘への邪魔者の露払い役に急遽駆り出されるなんて甚だ迷惑だろう。俺が彼女の立場なら無線機を握り潰す自信がある。
「師匠、これからどうするのです?」
「ん?」
さて、応援が来たところでどうするか。少し離れたところにいるアマテラスはまだアクションを起こしていない。感知範囲外であると予測される距離に俺たちはいる為、当たり前といえば当たり前だが、アマテラスがこっちに気づいた様子もない。
今回彼女はあくまで体調面(特に腰とか)に不安を抱えるリンドウと共に、俺とアマテラスとの戦いを邪魔する不届き者の露払いをするのが仕事だ。一応、リンドウが現着する予定の時間まではあと10分程あるのだが、機密通信用の無線機にリンドウから連絡はまだ来ていない。仕事の時は現着10分前待機が常識だと習わなかったのか?もうそろそろポイントγに着いてて欲しい所なんだが、連絡が来ないことを考えるとやはり遅刻していると考えて良いかもしれない。
「アイツがここに来ねえとそもそも話にならねえからな。知っての通り、この後この近くで防衛班の連中がアラガミの大群を狩ってくわけだが、アイツは状況に応じてこっちへ来る敵の間引きと、少しヤバくなった時の向こうの軽めのヘルプをするのが今回の仕事らしいんだ。防衛班にもそういう事で話がいってるっつうんで、リンドウが来てくれないと困るんだが...」
「Yes、肝心の奴が遅れてちゃ先に進まないって訳ですね」
「そういうこと。ったくあの野郎、なんで特務ある日にサクヤと一戦交えやがるんだか...」
「いっ、一戦!?」
「夜戦とも言うな」
「あわわわわわわ.....」
途端にミストが耳まで真っ赤にして爆発した。もう18歳なんだからそれなりのあだるてぃーな知識も頭に入ってるんだろうが、なんだかんだ結構純粋というか初心な女の子でもある。或いは、ムッツリ?
『悪い!遅くなった!もうすぐ現着する!』
無線機からリンドウの声が聞こえて間もなく、ここまで走ってきたせいかゼェゼェと大きく息を吐きながらこちらにリンドウが合流する。
「おっせえよボケ。後で覚えてろ」
「ゼェ、悪い、あとでレジェンド奢っから、勘弁してくれ、ゼェ、ゼェ」
「ったく」
「リンドウさん、あとで覚悟しやがれです」
「み、ミストか、ごめんな、呼び戻しちまって、ゼェ、ゼェ」
「とりあえず、呼吸を落ち着けて下さい」
「お、おう、ゼェ、ゼェ」
後輩に気を使われるほど見ていて虚しい先輩というのはアレだ、無いな。自分はあゝはなるまいと、心に誓う。何回か深呼吸して呼吸を落ち着けたリンドウが、作戦前の確認を取り始める。
「改めて、遅れて悪い。俺のせいで時間も無いという事で最後の確認なんだが、俺とミストがポイントγで露払い、ポイントβでレインがアマテラスをぶっ殺すってーことで良いんだよな?」
「その通りだな。ただし、今回の目標アラガミが、同時展開されている討伐作戦の目標である大群に合流するルートに入った場合は直ちに各ポイントβ及びγで展開する全フォーメーションを破棄、大群への目標の合流阻止を最優先に動く。いつでもそうした事態に対応出来るように構えとく事、そこが変更点だ。お分かりかな?お寝坊さん」
「お、おう」
「んじゃ、お前らはポイントγに向かって行ってくれ。背中は預けたかん・・・な?」
ふとどこかから視線を感じ、その主を探すと途端に『アマテラス』と目が合った。たまたま目が合った、という訳ではないらしい。俺と目が合った後もじっと此方を見続けている。あの巨体の首の辺りに鎮座する女神像が、ジーッと此方を見ている。それが意味する事は・・・。
なんて考える間もなく、アマテラスは巨体であることを感じさせない程の勢いで『ピョンと』ジャンプした。着地点は・・・
「「「あ?」」」
赤い巨体は見る見る内に俺たちの真上へと迫って来て・・・
「「「ッッ!?」」」
刹那、3人とも咄嗟にオフロードから飛び降りる。そして巨体のリーチから一刻も早く退避するべく全力疾走する。
「うぉぉあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっっっっっ!!!!!!!!!!!」
「ぬおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉっっっっっっっっっっ!!!!!!!!!!!」
「いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっっっっっ!!!!!!!!!!!」
(全員の声がハモる)
死に物狂いの猛ダッシュでペシャンコになる範囲外へ脱出した直後、跳んできた巨体がオフロードをちょっとした地震並みの揺れと共に丸々ペシャンコにした。危ねえどころの話じゃない。少しでも気付くのが遅れてたらお釈迦様のもとに旅立っていただろう。直後エンジンが壊れたのやらガソリンに引火したのやらでアマテラスの足元で大きく爆発が起こるが、オラクル以外の攻撃を受け付けないアラガミというのは伊達じゃなく、足元の数百度の熱を気に留めた様子もない。
(((あっぶねぇぇぇぇぇぇぇぇぇッッ!!!!!!!!!!!)))
命からがら脱出できたは良いが、久しぶりに本気で焦った瞬間だった。冷や汗がダラダラ流れるのが分かる。2人を見ても同じ事を思ったようで、額から汗が幾つも筋を作りながら垂れていく。てか、なんでアマテラスはここに俺たちがいる事に気付いたんだ?ここはアマテラスの感知範囲外のはず…ん?リンドウが走ってきた辺りの方角から、何かフヨフヨと白いものがゆっくりと飛んでくる...
「
「すまんッッ!!!!!!!!!!!」
「すまんで済むなら警察いらねえです!!頭にキました!帰ったらリンドウさんを"ぶち殺し"てやります!!」
「ちょっ!?待て!!ミストの"ぶち殺し"はシャレにならな-----ーー」
「んな事良いから、二人とも神機持って戦えっっ!!!!!!!!!!!」
事態の経緯を簡単に述べるとこうだ。
リンドウがアナグラを出発→オフロードに乗る→アラガミに遭遇→アラガミにオフロードを壊される→撃退した後急いで集合場所に行く(無線機は携帯式の物を持っていたようだ)→ザイゴートに遭遇→撃退するも途中で飯食いに逃げられる→時間がないので討伐を諦めて集合場所に→集合場所に現着→ザイゴートは最低限必要な補給を終えてリンドウの追跡開始→リンドウの姿を遠目で発見→『アマテラスへと報告』→アマテラスが攻撃を開始→リンドウ達に追いつく←イマココ!!new!!
リンドウがたった一体のアラガミを倒し損ねた事でこんな事になった訳だ。流石、一晩かけて体力を使いまくった男の翌朝は中々絶不調のようだが...。
「ちっくしょう、先手を取られた挙句のはキツイな…。リンドウ!ミスト!打ち合わせ通りに露払いをしつつ、手が空いた時には援護を頼む!ミストは後方支援、リンドウは前衛、俺は前衛と遊撃を兼ねつつ戦う!始めるぞッッ!!!」
「「了解ッッ!!!!」」
さてと、初めてのお相手とのデートを始めるとしますかね。
今回でオリジナルのキャラクターが二人登場しましたね。
まずは霧崎マナミさん。外見のイメージとしては「このすば」のウィズを、少しだけシュッと(というかスレンダー方向に)させた体格の女性です。
ゴッドイーターのアナグラには、2074年だとちゃんとラウンジに専属調理師もいますが、残念ながら無印時代はラウンジという施設はまだ出来ていない訳です。資料集によるとその代わりとして「カフェ」がみんなの食事処として運営されているそうで、だったらマスターがいなきゃおかしいよね?という事で現時点でまだ6歳のムツミちゃんを出すのは流石にアレですから、カフェのマスター役としてオリキャラを出しました。
もう一人、ミスト・ルインちゃん。年齢は18歳ですがこの時点で6年目のベテランの域に足を突っ込み始めた神機使いです。なお、ソーマとは同期・同学年の入隊にあたります。(のはず)
後々設定集にイラストごと載っけるつもりでいますが、銀髪に近い金髪をボブカットにした、デフォルトジト目表情の少し小柄な女の子というイメージです。こちらは「最弱無敗のバハムート」に登場するノクトというキャラクターの目と髪型をイメージすると分かりやすいかと思います。第一世代の遠距離スナイパー型として、日々偵察班としての仕事に打ち込んでいる彼女ですが、実は入隊直後にレインに徹底的に鍛えられた事がキッカケで、後輩を指導する立場も経験する様になった現在はスパルタ教官として恐れられるという裏設定があったり...笑
次回はアマテラスvsアナグラエースチーム本番です。
戦闘描写の方は....まぁ期待しないで(精一杯の努力はしますが)待っていてください。