「まずいわね…こんなに早く結界が脆くなるなんて」
博麗大結界の境界で彼女は一人ため息をついていた。
流れるような金髪に派手なドレス、そして大きな日傘が印象的なその女性はなんだかとても胡散臭く見える。
「うーん、この調子じゃまた前みたいに外から呼ばないとまずいかもね。
幻想郷の妖怪『
あの時も本来は来るはずのない別の時間の世界から、
さまざまな異形の存在が結界をすり抜けて幻想郷に流れ着いていた。
異形達は結界の機能不全の影響で変質しており、
それらを排除するために当時の巫女と一部の妖怪、
そしてそれらを倒すべく招かれた彼らは戦った。
その結果、結界は修復され、招かれた彼らも帰っていった。
……あれがどれくらい前か彼女はもう忘れてしまったが。
「聞こえてるかしら」
紫は一枚の札を取り出しそれに向かって語りかけた。札には漢字のような文字が書き込まれている。
「何かありましたか、紫様」
札から彼女の式神の声が聞こえた。
「やっぱりあなたの報告通り結界の綻びが広がっているようだわ。
それでなんだけど、しばらく家を空けるわね。
すぐに帰ってくると思うけど、
結界がらみで何かあった場合はいつも指示してあるように行動しなさい」
「分かりましたが・・・どちらに?」
「昔の知り合いのところよ、面倒くさいのだけれどね。それじゃ~よろしく藍」
「御意」
軽い口調の主人にやれやれといった声色で式神『
「さて、少しばかり疲れるけどしょうがないわよね。さっさとあの女のとこに行かなきゃ」
そして紫はスキマに消えていった。新たな客人達を招くために・・・。
―――幻想郷にはいくつもの伝承が存在するが、
そのひとつに五人の異邦人の英雄譚というものがある。
かつて博麗大結界が緩み、多くの異形の怪物たちが幻想郷に災厄をもたらした。
その時、外の世界より招かれた五人の異邦人と博麗の巫女、そして一部の妖怪が怪物たちを打ち倒し平和を取り戻したという。
招かれた五人の異邦人はこう語られている。
一人は髑髏の仮面を被り風の如く駆け抜け、
一人は一つ目の真紅の巨人を操り稲妻の如く戦い、
一人は白髪の侍で素っ頓狂な騒ぎを起こし夜叉の如く暴れまわり、
一人は左腕が砲で蛇の如く異形を狩り、
一人は異界の姫で大剣を軽々と扱い月光の如く輝いていた。
……らしい。
そして、これから始まる物語もいつか伝承として語られるのだろう。
七英雄の御伽話として。
どうもはじめまして。
このSSは某所で書いていたもので、中途半端にしていたら某所が閉鎖され続きが書けなくなってしまいそのまま放置していた作品です。
色々と至らない点が多く素人丸出しな文章ですが、今度こそ最後まで書き上げたいと思います。
そんなわけで次回。