Seven Fantasia 異聞東方戦記   作:丁・丁

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※この小説は二次創作やクロスが多分に含まれています。それらが苦手な方やそれぞれの作品のイメージを大事にしたい方にはあまりお勧め出来ません。

・♯.4 『蘇えるS/地獄への行き方』からの続きです。先にそちらを読むことをお勧めします。


♯.4 『蘇えるS/鬼は酒癖が悪い』

「どうだい旦那、そっちは何か分かったかい?」

 

 中有の道、露天が並んだ通りを見ながら小町は聞いた。その横には団子と湯呑みが載った盆が置かれている。

 船着場に到着した後、二人は別れそれぞれ今回の化け物の騒ぎについて情報を集めた。待ち合わせ場所は入り口ある茶屋で荘吉が向かうと小町がすでに来て茶を飲んでいた。

 

「これといって新しい情報はない」

 

 やはりかと小町は思う。彼女も色々な人や死人から話を聞いたがとくに新しい情報は得られずにいた。大体の人々は噂を聞いただけで、実際の目撃者は多くはなかったのだ。

 

「お互い芳しくないね。どうしたもんだろう」

 

 すると荘吉はため息を吐く小町の横に座り、だがと言葉を続けた。

 

「目撃者の話から推測できることがある」

 

「そいつは何だい」

 

「化け物が次に出現する場所だ。目撃者の証言を三日前から昨日まで順番に並べてみると移動しているのがわかる。最初に化け物が現われたのは中有の道の入り口付近、次の日は道の中間地点の露天がまばらな通り、そして昨日は彼岸行きの船着場の手前だ。順当に行くとすれば今日は…」

 

「まさか三途の川か彼岸かい?有り得ないよ。だってあそこは死神の舟以外は浮かない特別な川なんだから、いくら得体の知れない化け物でも泳いで渡れるとは到底思えないね」

 

「なるほど」

 

「ちなみに空を飛んで渡ろうとしても、侵入者を知らせる結界があるからすぐ警備担当の連中にばれて御用だよ」

 

 説明の通りならあちらに渡るのは難しいと荘吉は思う。しかし結界という言葉に彼は何かを感じた。それは探偵としての勘だった。

 

「結界か。それはどういうものなんだ」

 

「詳しいことは聞いてないけど特殊なタイプらしくて、解除するには分散配置された呪物をどうにかする必要があるって話だよ。場所は確か、道の入り口から三途の川の途中にかけ…ちょい待ち、もしかして化け物達は」

 

 はっとして彼女は探偵を見た。彼は茶をすすりながら険しい表情のままだ。

 

「おそらくだがその結果は既に役に立たなくなっているかもしれん。それと目撃者の証言から推測すると最低でも化け物は五匹以上はいると見ていいだろう」

 

 荘吉が聞いた限り奇妙な化け物の姿は五つに分けることができた。噂の三体の他は殻がついているものと長い鼻と牙を持つもので、似た動物や妖怪は見たことはないと目撃者は語った。

 

「最低五匹か。結界の件も調べてみる必要があるし一旦報告に戻るべきかね、これは」

 

「ふむ」

 

 どうしたものかと二人が考えていると露天の道の先で悲鳴や慌てる声が聞こえてきた。

 

「おい!化け物だ、化け物!」

「飛んでくるぞ!」

「伏せろー!」

 

 立ち上がり道に出ると、逃げ惑う人々を掻き分けるように向こうから走ってくる少女が見えた。一見すると女子高生のような格好のツインテールの少女は手に携帯電話らしきものを持っている。

 

「ひいー!誰でもいいから助けてほしいんだよ!」

 

 叫びながら少女は走る。その後ろからは異形の白い怪物が低空飛行で彼女を追いかけていた。

 それを見て荘吉は一つの答えを得る。それは愛しい街を泣かせる〝悪魔の道具(ガイアメモリ)〟がこの世界にも存在しているということだった。

 

「やはりドーパントか」

 

「なんだいそりゃ?知ってるようだけど」

 

「厄介な化け物だ。すまないが今は説明できない」

 

「どうしてだい旦那…って旦那!?」

 

 生前彼は故郷〝風都〟で数々の依頼を受けていた。そして依頼の多くには人智を超えた怪物〝ドーパント〟の影があり、そのドーパントを生み出す道具が地球から抽出された記憶の断片〝ガイアメモリ〟だ。USBメモリのような形状のそれは、使用した人間を怪物へと変化させ心までも蝕み、最終的に使用者を死に至らしめることもあった。そのガイアメモリが生み出す怪物がどうしてこの異世界に現われたかは分からない。だが荘吉は駆け出していた。

 道の先から飛んでくるのはかつて相手をしたことのある蝙蝠タイプのドーパントのようだ。少女との距離はまだあるが、このままでは追いつかれるだろう。少女は半泣きの状態で必死に叫び逃げる。

 

「やっぱり家で念写しながら記事を書くほうが安全だったよ!文のバカー!!」 

 

「お譲ちゃん!伏せろ!!」

 

「うん!?」

 

 彼の声に少女は転がるように地面に倒れこんだ。

 次の瞬間、勢いのまま荘吉はバット・ドーパントの頭部に飛び蹴りを浴びせた。

 

『ぐあッ!?』

 

 突然の攻撃にバット・ドーパントは驚き地面に落ちる。その間に荘吉は少女を起こし後ろへと下がらせた。

 

「大丈夫か。下がっていろ」

 

「は、はい!」

 

 少女が下がるのを確認してドーパントへ振り返ると、彼はスーツのポケットから赤と銀の機械のようなものを取り出し腹部に当てた。すると機械からベルトが排出され一瞬で腰に装着される。

 

「ふん、ここでもこれの世話になるとは因果なものだ」

 

 それを見てドーパントはひどく落ち着かない様子で彼を見た。

 

『お前はまさか…!?』

 

 だが荘吉は無言で懐から一本の黒いメモリを取り出した。メモリ表面には頭蓋骨を模っしたSの文字が描かれており、下部にはスイッチが付いている。彼は空いている手で被っていた帽子を取り、そのスイッチを押した。

 

『スカル!』

 

 すると男性の声が聞こえメモリが紫に発光した。そしてメモリを機械の赤い部分に差し込み、可動部を横へと倒すと先ほどと同じ声が響き黒い粒子のようなものが彼の周囲に現われた。

 

『スカル!』

「…変身」

 

 その刹那、黒い粒子は荘吉を包み込み、一瞬で彼を異形の超人へと変えた。全体的に黒いボディーに白いマフラー、そして銀色の頭部は髑髏を連想させる形をしている。その様子に小町も少女も驚きの声をあげた。

 

「旦那は一体…」

「これスクープだよね!うんうん!」

 

 異形の髑髏(スカル)と化した荘吉は左手にある帽子を被りなおし、右手をドーパントに向け言い放つ。

 

「さあ、お前の罪を数えろ」

 

『―――――!!!』

 

 ドーパントは甲高い咆哮をあげスカルに襲い掛かるが、どう攻撃してもカウンターで反撃された。

 

『くそ!!』

 

 しばらくなりふりかまわず攻めたバット・ドーパントだったが、勝機が無いことを悟り上空へと逃げた。それを見てスカルは胸部に右手をかざす。

 

「逃がさん」

 

 すると胸部アーマーにある肋骨状のパーツが開き、大型の銃が一瞬で手の中に出現した。そしてベルトからメモリを引き抜き銃に装填すると空へ狙いを定める。

 

『スカル!マキシマムドライブ!』

「終わりだ」

 

 引き金を引くと無数のエネルギー弾が上空のターゲットに向かっていき、それらは全てバット・ドーパントに命中し白い怪物は地面に落ちた。

 

「やった!」

「すごいね、これは」

 

 落ちた怪物へスカルが歩み寄ると体内からガイアメモリが排出された。

 しかし排出されたメモリを見て彼は驚く。彼が知る限りドーパントのメモリは骨のような外観をしているのだが、目の前のメモリは自身のメモリと同じ形をしていたのだ。

 

「どういうことだ?」

 

 スカルは落ちたメモリを調べようとしたがそれは黒く変色しあっという間に砕けてしまった。不審に思いつつド-パントに目を向けると、そこに倒れていたのは黒い格好の人物だった。

 

「これは忍者か?」

 

 その人物は絵に描いたような忍者の格好をしていたが、気を失っているようでまったく動く気配は無い。

 

「噂にあった黒装束の連中じゃないかね、そいつは」

 

 振り返れば小町と先ほどの少女が駆け寄ってきていた。

 

「さっきは助けてもらってありがとう、私は新聞記者の『姫海棠(ひめかいどう)はたて』。ちょっと話を聞きたいんだよ!」

 

 感謝と自己紹介を済ますとはたてはスカルに取材を申し込んだ。

 

「生憎だがそういうのはNGだ。とくに今はな」

 

 だがスカルは天狗の記者に背を向けた。

 

「え~取材拒否!はたんはショックなんだよ!」

 

「アホ、周りを見てごらん」

 

「うん?」

 

 小町に言われはたてが周囲を見回すと、三人を取り囲むようにふらふらと四人の人影が現われた。その四人は倒れている忍者と同じ格好で、手には先ほどと同じガイアメモリが握られている。そして彼らは次々とメモリを起動させた。

 

『マンモス!』

『アンモナイト!』

『トリロバイト!』

『スパイダー!』

 

「あ~あ囲まれちまった。どうしようね、旦那」

 

「やつらに聞いてみるか?」

 

「なんで余裕なの!ヤバいんだよ!」

 

 周囲を囲む怪物を見てスカルは思い出す。かつて幼馴染が見せたドーパントのデータの中に似た姿のものがあった事を。それらのメモリは制御が難しく、試作段階で排除されたようで風都では一度も見かけなかった。

 そしてこの危機的状況にあっても荘吉は安堵を感じていた。その理由はスパイダー・ドーパントだ。かつて倒したメモリの使用者は彼が最も信頼していた相棒であった。その心の闇に気づけず、戦う事を悩み、結果的に街を泣かせことが彼の罪であり後悔だ。荘吉は心の中でただつぶやく、

 

 ―――――――お前じゃなくてよかった―――――――

 

 と。

 

「不味いね。なんとかなんないかな?」

 

「無理だな」

 

「だから!なんで余裕っぽいのかな!ピンチなんだよ!ピンチ!!」

 

 迫るドーパントの群れに三人がどう対処すべきか考えていると、近くの露天にある飲み屋から声がした。

 

「やれやれ、せっかく飲みに来てるってのにうるさいもんだね」

 

「いいじゃないか。でも度が過ぎるのはいただけないよな」

 

 そこから出てきたのは見るからに酔っ払っている小柄な少女と背の高い女性の二人で頭には角が生えていた。

 

「おい!あれ見ろよ!仮面ライダーだぜ。ついでにショッカーの改造人間みたいのもいる!」

 

 スカルと怪物を見て一本角の女性は懐かしそうに少女に言った。しかし二本角の少女は何か納得できないような表情をしている。

 

「似てるけどもっとシンプルっつうか、古いっつうか…てか帽子被ってるし、違うよ~。それに改造人間はもっと弱そうだし」

 

「そうだったかな」

 

 『星熊勇儀(ほしぐまゆうぎ)』は少し考えてから左腕を後ろに引き右腕を斜め前に傾けドーパントを見た。

 

「ん~違ったか?まあ、いいか。おーし!かかってこい!」

 

 そのポーズはかつての戦友がよく戦いの際に取っていたものだった。

 

「じゃあこっちは2号!」

 

 『伊吹萃香(いぶきすいか)』はそれに応じるように両手を握り拳にし、別のポーズを取り勇儀に並んだ。

 

 二人の酔った戦鬼は遠くなった過去を思い出す。

 そこには戦いがあり、かつての巫女があり、そして異世界の友があった。

 

 




 といわけで二回目です。某所で書いていた時はライダーの関係でSSが丸ごと消されたりして散々でした。ここではそうならない事を祈ります。
そんなわけで次回。
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