Seven Fantasia 異聞東方戦記   作:丁・丁

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※この小説は二次創作やクロスが多分に含まれています。それらが苦手な方やそれぞれの作品のイメージを大事にしたい方にはあまりお勧め出来ません。

・♯.4『蘇えるS/鬼は酒癖が悪い』からの続きです。先にそちらを読むことをお勧めします。



♯.4 『蘇えるS/不明マジカルガール』

―――――炎、燃えさかる炎が大地を焼き、辺りはただ赤く染まっている。そこにあるのは無数の屍と鋼の残骸、そして揺らめく三つの影だけだった。

 

「これでここの敵は全部のようだな……大丈夫か?萃香、本郷」

 

 本郷と呼ばれた異形の仮面を被った男は周囲を見回し、やるせないといった様子で言葉を吐き出した。

 

「俺は大丈夫だ、勇儀。しかしこの地区の守備隊は―――」

 

「考えるな。彼らは最後まで戦い、還っていった。それだけだ」

 

 彼の言葉を遮ったのは萃香だ。彼女は鋭い目つきで本郷を見ている。その瞳からは強い意志が感じられた。

 そしてしばらく無言が続いたが地響きと鉄の駆動音がそれを壊す。

 

『おい、ここら辺のMSは片付いたぜ。とりあえず弾と燃料を補給に戻るが、あんたらも乗ってくか?』

 

 紅い巨人が彼らへゆっくりと近づいてきた。見れば装甲の所々は傷つき、右肩にマウントされたL字型の盾は激しく損傷している。

 勇儀は一息ついてから一つ目を見て力なく言った。

 

「さすがに疲れた…そうさせてもらおうか。帰るよ二人とも」

 

 答えを聞いた巨人は彼らの前に来ると屈み左手を地面へと下ろす。

 

『じゃあ乗ってくれ』

 

 開かれた掌に勇儀と本郷は乗り込んだ。しかし萃香は燃える大地を眺め動かない。そしてその肩はわずかにだが震えていた。

 

 ―――――考えるな。彼らは最後まで戦い、還っていった。それだけだ―――――

 

 彼に言った言葉を自分に言い聞かせるが納得できない。

 変わることのない現実、行き場のない怒り、自分の無力さ…それらが洪水の如く彼女の意識を飲み込みどうすることもできなくなる。

 

「強くなれ」

 

 かけられた言葉に戦鬼の少女は振り向く。立っているのは大柄の仮面の男だ。異世界で多くの死地を潜り抜けてきた彼には萃香の感じているものがよく分かったのだろう。だからこそそれ以上は言わず、ただ肩を叩いた。

 

 彼女は思う。自分はまだまだ未熟だと、もっと…もっと強くなろうと。

 

 炎はただ燃え続ける。まるですべてを焼き尽くすように ―――――

 

 

 ――――――――――――――――――――――――――――

 

 ふと頭に浮かんだのはいつかの光景だった。あの頃の自分は何も知らず、そのくせ何かを悟った気になっていたものだ。

 今、どうしてそんな事を思い出したのかといえば、酒と目の前にいる異形のせいだろう。

 …少し酔いすぎたなと思いつつ、萃香は一歩を踏み出した。

 

 

 ――――――――――――――――――――――――――――

 

 

「退屈だったから混ぜてもらうよ」

 

「まったくいい余興だよね」

 

 中有の道の露天が立ち並ぶ通りに出てきた二人の戦鬼はひどく酔い、足元が少々ふらついているようだった。

 

「出来上がってるようだけど、あんたらはそれくらいで丁度いいさね。それじゃあそっちの二匹の相手を頼むよ」

 

 死神の返事を聞いた二人は間髪いれず目の前のドーパントに向かっていった。

 

「先手必勝!くらえ!ライダーチョーップ!!」

 

 飛び込んだ萃香の手刀がアンモナイト・ドーパントに直撃し、太古の記憶から作り出された怪物は為す術もなく一撃で地面に沈む。さらにその隣では、勇儀がマンモス・ドーパントを軽々と持ち上げた。

 

『なんて力だ!』

 

「おいおい、軽すぎやしないかい。興醒めだね~」

 

 驚く怪物を尻目に勇儀は敵を軽々持ち上げ投げ飛ばす。そして自身も飛び上がり、落ちたドーパントをめがけて必殺のキックを放った。

 

「一号直伝ライダーキーック!」

 

『ッが!?』

 

 キックの衝撃でマンモス・ドーパントは吹き飛ばされそのまま地面に転がる。起き上がる様子がない怪物を眺めて勇儀は不満そう呟いた。

 

「なんだよ、もう終わりかい?」

 

 その様子をスパイダー・ドーパントと戦いながら見ていたスカルは、背中合わせでトリロバイト・ドーパントと戦う死神に聞いた。

 

「あの二人は何者だ?」

「あいつらは〝鬼〟さ。だいぶ酔っ払ってるが相当に強いよ」

 

 鬼という言葉に荘吉はマスクの下で苦笑いする。

 

「そんなものまでいるとは、面白いなこの世界は」

「だろ」

 

『余所見は命取りになるぜ!』

 

 二人の会話に割り込むように、スパイダー・ドーパントは体から糸を放出し彼らを狙う。

 

『何?』

 

 しかしその糸に掛かったのは彼らではなく、その後ろにいたトリロバイト・ドーパントだった。

 

「遅いな」

「軽いよ」

 

 予想外の攻撃に三葉虫のような怪物はバランスを崩し地面に倒れる。そして一瞬生まれた隙に小町は攻撃を叩き込んだ。

 

「見た目は派手だが使いづらくてかなわないね」

 

『ぐはッ!?』

 

 小町は起き上がろうとするトリロバイト・ドーパントに大鎌を振るった。それは切り裂くというより叩きつけるような斬撃で、振り下ろされた鎌は再び怪物を地面に倒した。

 

「どうやらお前が最後のようだな」

 

『うおおおお!!!』

 

 そして完全に不利な状況となったスパイダー・ドーパントは半ば自棄糞気味にスカルに襲いかかる。彼はそれを流れるような動きでかわすとパンチを放った。

 

『ッ!?』

 

 その一撃は重く、怪物はみぞおちを押え倒れ込んだ。

 

「頃合いか…こちらにそいつらをよこしてくれ」

 

「おらよっと!」

「パース!」

 

 二人の戦鬼は足元で倒れている怪物を掴み投げ飛ばす。ボールのように投げられたドーパントはスカルの横で悶える二体の近くに落ちた。

 

「下がれ小町。終わりにする」

 

「あいよ!」

 

 そして止めを刺すべく彼は胸部アーマーから紫のエネルギー体を放出する。それはまるで意思があるように咆哮し、髑髏の形となり上昇した。

 スカルは、ベルト側面のマキシマムスロットにメモリを押し込みジャンプすると、そのエネルギーの塊を眼下のドーパント達へ蹴り飛ばした。

 

『スカル!マキシマムドライブ!』

「とおッ!」

 

 スカルの足を離れたエネルギー体は一直線に目標へと向かい、次の瞬間には爆炎となりドーパント達を燃やし尽くした。

 

「ほら爆発した、やっぱりショッカーの怪人だろ」

「いや違うね。もっと派手に爆発するよ、あいつらは」

 

 炎を見ながら戦鬼達は、ああでもないこうでもないと何かについて語っている。

 しばらくして炎が消えるとそこにいたのは先ほどの忍者達だ。彼らは一様に気を失っているようで動きもしない。それを見て小町は安堵の溜息を漏らした。

 

「これで終わりかな。さて、とりあえずなんて報告しようかね旦那」

 

 しかし荘吉は変身を解除しない。

 

「一匹足りない」

 

「なんだって?」

 

「噂ではもう一匹いたはずだ。そう、でかいトカゲの頭と表現されていた奴だ」

 

 その声からは苛立ちが感じられる。小町は詳しく聞こうとしたが、それを遮るように彼女を呼ぶ声がした。

 

「おい小町!小町!!」

 

 見れば慌てた様子の男が走ってくる。

 

「化け物だよ!化け物!でかい頭がいきなり…いや、突然!!」

 

「落ち着きな。どうしたんだい?」

 

 その男は小町と同じく幻想郷担当の死神の一人だった。彼はひどく混乱し手には舟の櫂(かい)が握られたままだ。それを見てスカルは確信する。

 

「…はめられたようだな」

 

 もっと早い段階で陽動に気付けたと荘吉は悔やむ。しかし今は急ぐしかない。

 

「小町、そいつから話を聞いておいてくれ」

 

 スカルは船着場へ向かった。

 

 

           ●

 

 

 しばらく走り続けると船着場が見えてきた。

 しかし辺りは滅茶苦茶に破壊されており、何艘かあった舟も全てバラバラになっている。

 

「遅かったか…」

 

 ドーパントを探し周囲を見回していると、壊れた桟橋の先に一人の少女が立っていた。この場に似つかわしくない格好の赤と黒で着飾られたその少女は、札のようなものを掲げ何かを唱えている。そしてスカルに気が付いたようで後ろへ振り向いた。

 

「あは♪ついに見つかっちゃった!予想外のハプニングね」

 

 嬉しそうに驚く彼女の額には×印の傷が刻まれている。

 荘吉は一目見てこの少女に違和感を覚えた。だからこそ、普段であれば間違っても少女には使わない言葉をかけた。

 

「貴様は誰だ」

 

 それを聞くと赤と黒の少女は唇に人差し指を添え、微笑みながらスカルを見た。

 

「それはまだ…秘密。やっぱり地獄の連中が作った結界は別系統だから、時間が足りなくなるのは計算しとくべきだったわ、失敗、失敗。でもまあ大体予定通りだから問題なし!友達もあっちに送ったしね~」

 

 告げられた言葉に荘吉は間髪を入れずスカルマグナムを撃ち込んだ。

 

「!?」

 

 しかし弾は彼女に届くことなくその手前で消滅する。驚く彼に少女はぞっとする様な満面の笑みで言った。

 

「残念だけど今日は相手をしてあげられないの…でも次は嫌でも遊んでもらうから心配しないでね!」

 

 直後、彼女の足元に魔方陣が展開し、その体は少しづつ対極図に沈んでいく。

 

「待て!」

 

 追おうとスカルは飛び出したが桟橋の前で見えない何かに阻まれてしまう。

 

「悪い冗談ね、待てと言われて待つ人なんていないわよ?それに急がないと閻魔さんが危ないじゃないかしら?ではご機嫌よう、仮面の探偵さ~ん」

 

 そして少女は完全に魔方陣へ完全に消え、直後に桟橋は崩れ落ちた。

 スカルは呆然と三途の川の向こうを見るしかない。

 

「旦那!」

 

 背後から小町が声をかけてきた。その後ろには萃香と勇儀もいる。

 

「あの男は?」

 

「天狗に任せてきたよ。しかしこの様子じゃ敵は…」

 

「ああ、どういうトリックかは知らないが渡ってしまったようだ」

 

「急がないと不味いね。でも舟がないんじゃ旦那は無理だな。さすがにあたいも、もう一人分重量が増えたら飛べないし」

 

 死神の舟がない以上、スカルは彼岸に渡ることはできない。小町は少し悩んでから彼に告げた。

 

「映姫様が心配だ。とりあえずあたいは行くよ。旦那、なんとか来てくれ」

 

 この状況ではそうするしかなかった。

 

「努力する。だが、無茶はするな」

 

「わかってるさ」

 

 そして小町は一人飛んでいった。

 

「おい仮面ライダー骸骨、どうするのさ?」

 

「何なら、あたしらがダブルライダーやってこようか?でもあっちは生理的に無理だな」

 

「そうだよな、閻魔とか最悪だしな」

 

 二人の酔っ払いは妖怪である為、彼岸には行きたくないようだ。

 残された荘吉は思う。

 

 ―――――可能性はまだある、しかし確実ではなく疑わしい―――――

 

 と。

 

 あの地獄へ案内するといった胡散臭い女は、ある言葉をスキマに消える前に残していた。

 

〝いざという時は呼んでみてね〟

 

 それがなんなのか今なら理解できる気がする。

 

「果たしてどうなるか」

 

 スカルはスタッグフォンを取り出し可能性に賭けることにした

 

 

 ――――――――――――――――――――――――――――

 

 彼岸:是非曲直庁裁判所庁舎

 

「…地震」

 

 執務室にいた映姫は突然の衝撃に襲われていた。

 一瞬の強い揺れの後、獣の咆哮のような音が響き、庁舎全体が震えるように軋みをあげる。急いで外を見てみると、そこにいたのは大きな爬虫類の頭から手足が生えたような格好の異形の怪物だ。

 

「あれはまさか噂の化け物?」

 

 この衝撃の原因はどうやらあの怪物の咆哮らしく、周囲の岩や地面はえぐられたようになっている。そして怪物がその大きな口を開き吼えると、庁舎は再び軋みだした。

 

「映姫様!避難してください!」

 

 ドアから入ってきた警備担当の死神は慌てて彼女に告げた。しかし映姫は納得できない様子で言う。

 

「なぜここまで侵入されたのですか。結界に反応があったはずです!」

 

「いえ、こちらでは何も観測されていません。とにかく突然で…なにはともあれ今は避難をお願いします!」

 

 このままでは庁舎が崩壊する危険もあると警備担当は彼女に言った。しかたなく彼女が屋外に脱出すると、吼え続ける怪物に警備担当の死神達が殺到していた。彼らは様々な武器を手に怪物を威嚇している。

 

「貴様!何者だ」

「各員油断するな!」

「周囲を固めろ、逃がすな」

 

 退路を絶たれ取り囲まれた怪物は、辺りを見回すと先ほどよりさらに大きな咆哮をあげた。あまりの騒音に警備担当者達は耳を塞ぎ耐える。

 

『――--――――!!!!!』

 

 すると周囲の岩や近くの庁舎の一部が、吸い込まれるように怪物に集まり、その体はみるみる巨大になっていった。そして咆哮が終わり彼等が目にしたのは、太古の肉食獣そのものと化した怪物『ビックティーレックス・ドーパント』だった。

 

「怯むな!一斉にかかれ!!」

 

 隊長の号令を合図に警備担当者達は飛び掛ったが、それを嘲笑うかのように巨獣は彼らを一蹴した。

 

「なんてことだ…」

 

 映姫は目の前には惨状が広がっている。多くの者は倒れ、残っているものも手負いの状態で動けないようだ。ビックティーレックス・ドーパントは次の獲物を狙うように閻魔に近づくが、それを遮るように上空から無数の光弾が怪物の巨躯へ降り注いだ。空を見れば二色のバイクが浮いている。

 

「映姫様!大丈夫ですか!」

 

 そこに乗っていたのは彼女の部下と探偵だった。

 




 なんか付け足したら前より長くなってしまいました・・・そんなわけで次回で四話は終了です。
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