Seven Fantasia 異聞東方戦記   作:丁・丁

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※この小説は二次創作やクロスが多分に含まれています。それらが苦手な方やそれぞれの作品のイメージを大事にしたい方にはあまりお勧め出来ません。

・♯.4『蘇えるS/不明マジカルガール』からの続きです。先にそちらを読むことをお勧めします。



♯.4 『蘇えるS/閻魔のユウウツ』

「荘吉!小町!」

 

 怪物の襲撃を受けた是非曲直庁で映姫は空を見上げていた。そこには、ブラック&レッドのハーフカラーで構成されたバイクのような乗り物が浮いている。

 巨大化したティーレックス・ドーパントと映姫の間に割って入ったそれから探偵は言った。

 

「遅れてすまない……だが無事でなによりだ」

 

 バイクにまたがるスカルは下にいる依頼主を見つめている。

 マスクからではその表情は読み取れないが、映姫にはホッとしているように見えた。

 

「よっと!間に合った。舟が全部壊されてやばかったんですよ」

 

 バイクの後部から飛び降りた小町は、やれやれと手で素振りをしている。

 

「渡し舟が全滅ですか…しかし、その乗り物は一体?」

 

「あの八雲紫という女に助けられたようなものだ」

 

 彼は先ほどの出来事を思い出す。

 

            ●

 

「それ通じるのかい?外の人間はそういう機械を使うと『繋がらない』っていつもおろおろしてるよ」

 

 スカルが操作している携帯電話のようなものを見て萃香は怪訝な顔をしている。

 

「確かにな。この世界で通じるわけはない」

 

 小町が彼岸に向かった直後、スカルはスタッグフォンであるものを呼び出していた。それはどうあっても幻想郷には存在し得ないものだが、あの八雲紫の言葉『いざという時は呼んでみてね』に該当しそうなものは他にはなかった。そして彼には思い当たる節があったのだ。

 最後の依頼の少し前、装備品の開発者である幼馴染は新装備の設計図と試作品を送ってきていた。それは生前使う機会こそなかったが、今の状況であれば間違いなく役に立つ代物だ。

 しばらくして大型車両の走行音が近づいてきた。

 

「おい、なんかデカイのがあっちから来てるんだけど新手か?」

 

 勇儀が指を差す方向から巨大な黒いマシンが向かってくる。それを確認したスカルは驚きと疑問を同時に感じた。

 

「まさか来るとはな。だがこれは…」

 

 それは彼の知る怪物マシン『スカルギャリー』ではなかった。

 大きさはほぼ同じだがその外観は大きく異なり、顔のような前部と後部に付いたドラム状のパーツが独自のシルエットを形作っている。

 黒い車両はスカルの手前で停止すると前部を左右に展開した。中には一台のバイクが固定されていた。

 

「色が違う」

 

 そのバイクは、形こそ彼の愛機『スカルボイルダー』と同じであったが、ボディーは黒と緑の二色になっており、フロントカウルには武装が施されていた。また側面にはシルバーで『W』の文字が刻まれている。

 

「何これ!顔からバイクとか面白いな!」

 

「バイクがあるんだからやっぱり仮面ライダーだろ、あれは」

 

 バイクが登場したことで、鬼達は再びああでもないこうでもないと何かについて語りだした。そんな彼女達を横目に見つつ、スカルはバイクに跨がり感触を確かめる。

 

「操作は同じか…あいつらは元気にやっているようだな」

 

 この装甲車とバイクを見て荘吉は確信した。

 弟子とあの少年は、今日も風都のどこかで誰かの涙を止めるために戦い続けていると。

 

「急ぐか」

 

 彼は手元のスタッグフォンを操作した。直後にバイクを乗せた台座が後方にスライドし、後部のドラムが回転する。ドラムには三つの装備が格納されており、状況に応じて使い分けられた。

 

「空戦用タービュラーユニット、これで決まりだな」

 

 バイクの後部が後輪ごとはずされ、代わりに翼付きの赤いユニットへと換装される。

 装備の変更が終わり『ハードタービュラー』は空へと舞い上がった。

 

「彼岸に行ってくる。そっちは頼んだ」

 

 機体は一直線に彼岸に向かった。残された鬼達はそれを見送りながら、怪物になっていた忍者達をどうするか考えていた。

 

「ん~…あいつらどうしようか」

 

「全員同じ格好だし戦闘員っぽいよね。起こして尋問してみようか」

 

「よしそうしよう!」

 

 このあと中有の道で悲鳴が響き渡ったのは言うまでもない。

 

            ●

 

「途中で旦那があれに乗って追いついてきたんで、びっくりしましたよ」

 

「そうですか。しかし八雲紫はどうしてこういうものを…」

 

「考えるのは後だ。依頼を終わらせる、下がっていろ」

 

 スカルはハードタービュラーを反転させ、装備されたビーム砲とガンポッドでドーパントに集中砲火を浴びせる。しかしビックティーレックスは怯む様子もなく、周囲の瓦礫を飛ばし空中の邪魔者へ反撃してきた。

 

『ッ--―--――――!!』

 

 それをかわしながらハードタービュラーは高速で飛び回り攻撃を続ける。だがまったくダメージを与えられない。

 

「あの巨体、通常の攻撃ではどうにもならんか……ならば直接叩き込む!!」

 

 アクセルを全開にしスカルは機体を急上昇させる。そしてある程度の高度で反転すると今度は一気に降下した。そして彼はメモリを腰部のマキシマムスロットへ差し込む。

 

『スカル!マキシマムドライブ!』

「はあッ!!!」

 

 スカルは急降下するハードタービュラーから飛び出し、意識と力を集中させたキックを放った。すると右足が紫の炎のようなエネルギーに包まれ体全体が加速する。

 

「旦那行け!!」

 

「荘吉ッ!!!」

 

 閻魔と死神の目の前で炎を纏った右足が、ビックティーレックス・ドーパントを直撃しその巨躯を真っ二つにした。

 直後、裂かれた体は爆発し大きな火柱となる。その炎の中でスカルは砕けつつあるメモリを見ていた。しかし辺りにメモリの使用者は見当らない。

 

「メモリのみでドーパントだと……ありえん」

 

 荘吉は考える。通常メモリ単体では地球の記憶の再現である怪人を作り出すことはできない。しかし目の前には人影もなければ何かがいた跡も無かった、つまりこの見たことも無いメモリはおそらくそれだけでもドーパントとなり活動できるのだろう。これにあの不可思議な少女の形をしたモノが関わっていることは間違いなかったが、それがどういうことなのか今は見当もつかない。燃えさかる炎の中、依頼人のほうへ足を進めながら彼は思う。

 

 

 ―――――――地獄よりも厄介な場所に来たらしい―――――――

 

 

 

「やはり彼は仮面ライダーなのかもしれません」

 

 スカルを見ながら映姫はかつて幻想郷を救った英雄の名前を口にした。小町はそれを聞き五人の異邦人の御伽話を思い出す。

 

「昔話のあれですか」

 

「ええ、そうです。博麗大結界の異常で幻想郷が滅びかけた時、人々の為に戦い何処かに去っていったという五人の英雄の一人、骸骨の戦士『仮面ライダー』。あなたの前任者は共に戦ったそうでよく話してくれましたよ」

 

「マジですか!そんな話全然聞いてませんよ!でもなんで旦那が仮面ライダーなんですか」

 

「彼の過去を見てそんな気がしたのです。それに荘吉も髑髏の仮面を被っていますしね」

 

 燃える炎を背にマフラーをなびかせながら歩いてくる仮面の探偵を閻魔と死神はただ見つめていた。

 

 

  ――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 妖怪の山の麓の道を八つの影が歩いている。

 先頭の三人は並ぶように、後ろの五人はそれに続くように。

 

「勇儀は地霊殿に着いたかな。まあ、こんな状況じゃ心配になるよね」

 

「そりゃそうだろうよ。ところでさ、あんた仮面ライダーを知ってるみたいだけど、どういう関係なんだい?」

 

「俺も聞きたい。その仮面ライダーというのは何者だ」

 

 うんうんと頷く萃香に横の二人は聞いた。問われて鬼は少し考えてから答えた。

 

「ん~…なんていうかな、昔のことだしスキマ妖怪に聞いたほうがいいと思うよ。それに長くなるし面倒くさいし」

 

 萃香の渋る様子を見て小町と荘吉は質問をやめる。

 

「嫌なら今はいいさ。でもそのうち話しておくれよ」

 

「機会があればね。そういや彼岸から向こうは通行禁止になったって聞いたけど本当?」

 

 それは唐突に決まったことだった。

 

           ●

 

「しばらくここは閉鎖ということになってしまいました」

 

 ドーパントの撃破後、映姫は閻魔達の臨時会議を開いた。そこで決定されたのは是非曲直庁の一時的な閉鎖であった。

 

「マジですか?その間は死者の対応とかはどうするんです」

 

「事態がどうなるか分からない以上、あちら側で待ってもらうしかありません。また襲撃があるかも知れませんし地獄側も相当警戒しています。そのため一時的に幻想郷との〝門〟を閉ざすそうです」

 

 幻想郷と地獄、冥界をつなぐ〝門〟。それを閉じることはすなわち異変を意味していた。

 

「そこまでやるとは…」

 

「以前門を閉じたのは博麗大結界が原因でしたが、今回の件はまだ詳しい情報が分かりません。結界や〝外〟の事柄は八雲紫が色々と情報を回してくれるのですが、今のところ彼女は音信不通…そこで荘吉、あなたにもう一つ依頼をお願いします。小町と一緒に博麗神社に行ってください。そして博麗大結界の現状と八雲紫についての調査をお願いします」

 

 荘吉が答えるより早く死神は拒否の声をあげた。 

 

「またあたいもですか!?死神の仕事が休みだからってそりゃないですよ!」

 

 それを聞いて映姫は怒りを爆発させる。

 

「黙りなさい!最近の仕事を見る限り、あなたは死神失格です!この機会にその仕事への態度を改めなさい。それとも、あの再教育に出席しますか?」

 

「うへ~…はいはい、あたいが悪うございました。だからそれだけは勘弁して下さい。よろこんで調査に行かせていただきます」

 

 再教育という言葉に小町は観念し渋々返事をする。それは以前彼女が度重なるミスとさぼりでそれに参加させられ、文字通りの地獄を見てきたからだろう。ちなみにその内容は人格改造といって差し支えないもので大抵の参加者は教育後、狂信者のように仕事熱心になっていた。

 

「…わかればよろしい。それでは二人とも、気をつけて行ってください」

 

「承知した」

「…いってまいります」

 

 閻魔に見送られ二人は再び幻想郷へ渡った。

 

           ●

 

 

「それにしても結界がまたヤバイとはね。霊夢もこれから忙しくなるな。あ~美味い」

 

 露天の人々から感謝され贈られた酒を飲みながら、萃香は巫女の名を言った。

 

「まだそうと決まっちゃいないから、行って確かめないと分からないね。飲みすぎだよ、ほらあたいにもよこしな」

 

 鬼から酒瓶を取ろうとする小町を見て荘吉はやれやれと小町に声をかけた。

 

「仕事中に酒はどうかと思うぞ。それと俺は映姫からお前の監視も同時に依頼されていてな、何かやった場合は細かく報告することになっている」

 

 それを聞いて小町はわざとらしく手をひらひらさせる。

 

「おちおち酒も飲めないとは哀しいもんだね。しかし後ろの連中はやけに賑やかにやってるじゃないか」

 

 荘吉達の後方ではメモリの使用者となっていた忍者達がわいわいと大声で話していた。

 

「いや~なんか知らないうちにとんでもないことになってるな」

「まったくだ。でもせめてバッタかカブトムシ系のがよかったよな」

「でも怪人に変身とか凄すぎだろ、俺等」

「意識は無かったけどな」

「顔が痛いし体も痛い」

 

 彼らは一応学生らしく忍者学園の生徒だと名乗った。しかしどういった経緯で幻想郷に迷い込み、あのメモリでドーパントになっていたのかはまったく記憶にないらしい。それは鬼達が拷問まがいの尋問で問いただした答えであり、おそらく嘘ではないだろう。

 

「ところで博麗の巫女はどういう人物なんだ」

 

「そうだね、なんていうか面白いやつだよ。不思議ともいえるし」

 

「確かにそうかもね。でもちょいと近寄りがたいかな、独特で」

 

「そうか」

 

 こうして彼らも博麗神社へ向かった。

 そして、歯車は加速する。一つの区切りを目指して……。

 

 

 ――――――――――――――――――――――――――――

 

 幻想郷に招かれた客人達は

 それぞれの疑問の答えを求めて神社に集う。

 

 次回、『博麗の巫女』

 




 そんなわけで四話終了です。今年のライダーは早速最強フォームの画像が出てましたが、思ったよりゴチャゴチャしてなくていいですね。
次回より博麗神社篇に話は移り、残りの英雄達の登場はその後になります。
という感じで次回で
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