Seven Fantasia 異聞東方戦記   作:丁・丁

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※この小説は二次創作やクロスが多分に含まれています。それらが苦手な方やそれぞれの作品のイメージを大事にしたい方にはあまりお勧め出来ません。

・♯.4『蘇えるS/閻魔のユウウツ』からの続きです。先にそちらを読むことをお勧めします。



♯.5 『博麗の巫女1/楽園の管理者』 その1

 いつもの午後、私はいつものように賽銭箱の横でお茶を飲む。だが残念なことにお茶うけを切らしているので少し物足りない。

 

干し柿か干し芋があればよかったのだが、それは贅沢というものだろうか。

 

『…排除…』

 

 そんなことを考えていると今日もまた異物が現れた。まるで鉄の鎧のようなそれは、私を狙っているらしくここ数日現れなかった日はない。最初のうちはまともに相手をしていたが途中で私は気が付いた。これはただの嫌がらせのようなものだと。

 

『…消ス…』

 

 鉄の鎧の腕から銃弾が発射される。それは一直線に私を目指して飛んでくる。しかしそれもいつものことなので気にせずお茶を飲み続けた。

 すると私の前方で弾は止まり、そのまま何かに飲み込まれるように消える。防御用の結界だ。

 そしていつものように私の意識は切り替わった。

 

「危ないわね、まったく飽きもせず毎日毎日ご苦労なことだわ」

 

 例えるなら後ろから自分を見ているようなものだ。私の意識は体を離れていた。それが正しい表現かどうかは分からないが、そうとしか私には表現できない。

 

「あんたらの雇い主が誰かは知らないけど、いい加減にしないと泣かすって伝えといてくれないかしらね?そろそろこっちも怒りがバーストなのよ、これが」

 

 どうもあっちの自分は口が悪いといつも思う。私ならわざわざ無駄なことは言ったりはしないのに。

 

『排除…不要ナ存在…劣化コピー…』

 

「日本語でOK?ぶっ殺すわよ」

 

 言い終わるより早く私は右手から札を投じていた。札は鎧の手前で術式を展開し、光る網目となって対象の全身を正面から通過した。直後に鉄の鎧はその形に従ってバラバラになり地面へ崩れ落ちる。

 

「汚いところてん一丁あがり!」

 

 直後、細切れとなった破片は黒ずみ氷のように砕けた。いつ見ても不思議な光景だと思う。

 

「はい、出番終了」

 

 ――――――そして私の意識は元に戻る。

 

 博麗の巫女になってから私の中にはもう一つの人格が生まれていた。それは陽気で明るく戦いを楽しみ異変の度に私と入れ替わるもう一人の自分だった。

 この人格は大結界と幻想郷を管理するために必然的に生み出されたもので、歴代の巫女達もそういった別人格を抱えていたと八雲紫は話してくれた。しかし私の場合、別人格の〝陰〟と〝陽〟のバランスが極端に悪いようで、言動と態度が安定しないことが多かった。そのため周りの人々や妖怪達は私をいぶかしんでいる。まあ、当然なので気にはしていないがまったく厄介なことだ。

 

「ふう…」

 

 あらためて湯呑みに口をつけるがぬるい。意外と早くお茶はさめてしまったようだ。

 私は温かいお茶が恋しくなって台所へ向かった。

 

 

 ――――――――――――――――――――――――――――

 

 

「…なるほど、あんたもあの胡散臭い姉ちゃんから頼まれたってわけだ」

 

「そういうことになるな」

 

 博麗神社へと続く石段を登りながらカミナはトニーと話していた。その前を歩くのは魔理沙と香霖とにとりで、後ろからチルノと大妖精が続いた。

 

「しかし本当にどうなっているんだろうね。あんなのがわんさか出てくるなんてさ」

 

「さーね、それを知りたくてわざわざここまで来たんだ。あいつなら何か知ってるだろ多分」

 

「微妙なところだと思うよ。けっこう霊夢は適当だし」

 

「霊夢は何してるかな?」

 

「そうだね」

 

 彼らは博麗神社へと続く山道で鉢合わせしそのまま一緒にここまで来ていた。

 周囲は背の高い木々が生い茂り、彼らが歩みを進める石段の大部分は補修が必要なほど古い。

 

「…にしたってよ。そろそろ着いてもいいじゃねえのか」

 

「だいぶ上った気がするが、まだ遠いのか?」

 

「もう少しさ。まあがんばろう」

 

 しばらくして階段の終わりが見えてきた。そこでは大きな鳥居が彼らを見下ろすように出迎えてくれる。

 

「ようやく到着!」

 

 石段を登りきるとそこには社があった。その外観は質素ながらも力強い印象で少し離れた場所には小さな家が立っている。

 

「おーい霊夢、仕事の時間だぜ!…霊夢?おーい」

 

 しかし帰ってくる声はない。魔理沙は境内を回り巫女を探したが見つからなかった。

 

「おかしいな、この時間は決まって賽銭箱のあたりで茶を飲んでるはずなんだけど」

 

「ここにいないんだから家の方じゃないかな」

 

「なんでい、いねえのかよ」

 

「ふむ」

 

 一行が神社から少し離れた家に向かうと玄関から少女が出てきた。彼女は湯呑みが載った盆を持っている。

 

「…大勢いるみたいだけど、なんの用?」

 

 博麗の巫女『博麗霊夢(はくれいれいむ)』はけだるそうに一行を見た。

 

「いないかと思ったよ。早速だけどこの人達を外の世界に帰してやってほしい。ちなみにこっちがトニー・スターク氏でそっちがカミナ君だよ」

 

 霖之助の言葉の後に二人はそれぞれ自己紹介をした。

 

「はじめまして、こっちのトニーだ」

 

「俺はそっちのカミナだ。よろしくな!」

 

 霊夢はしばらく無言で異邦人達を見ていたが唐突に口を開いた。

 

「……無理」

 

「いきなりかよ!」

 

 一行は一斉に叫んだ。しかし巫女は気にせずお茶を飲んでいる。

 

「霊夢、一体どういう事なの」

 

 にとりが聞くと、霊夢は目を閉じ考える素振りをするが、すぐに否定の言葉を口にした。

 

「なんというか無理」

 

「おいおいちゃんと説明してくれないか」

 

 巫女はまた考える素振りをすると、手元のお茶を一気に流し込み湯呑みと盆を玄関に置いて一言告げた。

 

「……面倒だから選手交代で」

 

 一瞬の間のあと霊夢の表情が変わった。だるそうだった目には力が宿り、下がっていた口元は笑みがこぼれそうなくらい上がっている。

 

「ふ~出番のようね。わざわざここまで来てもらって悪いんだけど肝心の結界が不安定なのよ。いつもならちゃっちゃと外に送り返すんだけど、今はまともに開けたり閉めたりもできないから根本的に無理。ちなみに無茶すれば一応幻想郷から送り出すことはできるけど、正直どうなるか分からないので責任は持てないわ」

 

 先ほどとは打って変わって機関銃のように言葉を放つ霊夢の様子にトニーとカミナは唖然としている。それに構うことなく霖之助は今回の出来事に深く関係しているであろう妖怪の名を言った。

 

「それなら八雲紫を呼んでくれ、彼女なら何か知ってるだろう。彼らをここに呼んだのは彼女のようだし」

 

「へー、そうなんだ。でも残念だけどそれも無理。ここ数日あの妖怪に連絡してもまったく現れないのよね。いつもなら呼ばなくても来るのに」

 

 基本的に八雲紫を呼べる者達は限られており、博麗の巫女と一部の妖怪、そして地獄、冥界、天界の有力者等だけなのだ。

 

「彼女の式神には連絡したのかい」

 

「ええ、もちろん。でもそっちも音信不通なのよ。まったくどうなってるんだか」

 

 やれやれと霊夢は手を振った。

 

「つまりこの世界からは今は出られないということか」

 

 トニーの質問に巫女は笑顔で答える。

 

「ご名答、しばらく大自然でも満喫したらいいんじゃないかしら。バカンス的な感じで」

 

「………」

 

 しばらくの沈黙が続いたが異邦人二人は別段騒ぎ立てることもなく冷静に反応した。

 

「まあいいさ、どのみち私はすぐには帰れない。探し物があるのでね」

 

「俺も別に構いやしねえぜ。どうせ今は根無し草みたいなもんだしな。それより大ちゃんがあんたに聞きたいことがあるそうだぜ」

 

「何かしら」

 

 カミナに言われて大妖精は一歩前に出た。

 

「ええとですね、湖の霧が夜になっても消えないんです。それに湖に見たことがないような大きい魚が増えて食べられそうになった人間や妖怪もいます。これって異変でしょうか?」

 

 それは数日前からのことだと大妖精は付け加えた。

 

「異変であれば〝あたし〟が反応するようになってるけど、とくに何も感じないわ。でも調べなくちゃいけないわね。そういうわけだから今日は解散で、とりあえず明後日にでも来てもらえるかしら」

 

「明日は?」

 

「調べたいことがあるから駄目、湖の件もあるしね。さっさと行くわよ」

 

 そういうと霊夢は一人湖の方角へと飛んでいってしまった。チルノはそれを見てうんうんと頷く。

 

「こっちの霊夢はやっぱり元気だな。カミナはどうする」

 

「暇だから付き合うぜ。そのでかい魚ってやつは食い応えがありそうだしよ」

 

「食べるつもりですか!危ないし大きいんですよ!」

 

 カミナは胸を叩いて言い放った。その言葉には根拠のない自信がこれでもかと感じられる。

 

「俺を誰だと思ってやがる!グレン団のリーダー、カミナだ!魚なんぞに負けやしねえぜ!!それより置いてかれるぞ。じゃあまたなトニー!」

 

「今夜は魚!」

 

「まって下さいよ~!!」

 

 霊夢の後を追うようにグレン団は去っていった。それを見送ったトニー達はどうしたものかという様子だ。

 

「なんとも慌ただしいな。しかしあの霊夢という女の子はなかなかエキセントリックな人物のようだ」

 

 トニーの感想に霖之助は微妙な様子で答える。

 

「いや普段は大人しい娘なんだよ。というかあれはある意味霊夢じゃないというか、結界の管理者というか…うーん難しい」

 

 それを聞いてトニーは何かあるのだろうと追求するのを止めた。

 

「ふむ、色々込み入った事情がありそうだな。我々も帰るしかないか、店の修理も残っているし」

 

「そうだね、帰って…そうだよ…もう帰ってこないんだ!!」

 

 霖之助は店の惨状を思い出したらしく、その場でこれまた珍妙な動きをはじめた。

 

「ああ!また店主が!」

 

 すると魔理沙はすかさず背後に回りこみ、首筋にチョップを叩き込んだ。

 

「やれやれ、おい香霖くよくよするなよ…ほら」

 

「たわば!!」

 

 その光景にトニーとにとりは叫ばずにはいられなかった。

 

「「またかよ!!」」

 

 こうしてこの日は終わった。ちなみに数日後の天狗の新聞に『巫女と異邦人、大怪魚を捕獲!そして完食!!』という記事が載っていたのは別の話。

 

 ――――――――――――――――――――――――――――

 

 二日後、彼らが再び神社を訪れるとそこには大勢の黒装束の忍者が集まっていた。その中心には黄色いボールのような物体とピンクの衣装の少女が立っている。

 

「は~い、ここで突然ですが第一回『幻想郷最強オパーイ』決定大会を開催したいと思います!!」

 

 境内に響き渡る声にカミナ達はなんともいえない視線を送った。

 




 てなわけで五話になります。いまさらながらクロスオーバーって難しいですね…そんなわけで次で
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